Timeless sleep



by 遙か



「てーんぽっv」

ノックの音と一緒に。
この執務官室に入ってくるのは、いつも決まっているので。

「…いらっしゃい。」

の、一言とで僕は返事を返しました。
単に僕は、面倒臭がりなだけの性格なのですが。
こういった態度が、一見無愛想に見えると。
面と向かって言い放ったのは、彼が、初めてでした。



「何、ソレ? それで、何、してんの?」
「これは、コーヒーメーカーと言って、コーヒーという飲み物を淹れるモノですよ。」
「…まあた、変なモンを拾って来たんだ。」
「失礼な。蒐集と言って下さい。」
「言い方変えたって、やってるコトは変わんねえって。」

ニヤニヤとしながら、捲簾は。
何時もの定位置、長椅子へとその長身をドカリと座らせました。

「暇、何ですか?」
「いんや。」
「暇だったら、こっちに来て下さい。」
「暇じゃねえって言ってんのに。
あ、もしかして誘ってんの?」
「馬鹿な事を言ってないで、いいから来て下さいよ。」
「バカってなあ。お前、それが恋人に言うセリフかあ?」
「貴方に言う台詞です。」

僕がきっぱりと言うと。
捲簾の動きが、見事にピタリと止まりました。



いけしゃあしゃあを。
具現化した、咲き誇る華達よりも、美しい微笑み。

何で俺は、コイツと両想いの恋人同士なんてやってんだろうという。
愚問が、さっさと、すっ飛んで行く。

この顔も。
この性格も。
理屈じゃなく、惚れてんだもんな。
そう。
白衣の下の、その躯にもな。
――と、結論付けたトコで。

「はい、どうぞ。」

と、トンと目の前のテーブルの上に置かれた湯飲みの中には。
真っ黒…飲みモンか、これ?
――が、なみなみと入っていた……。

「ご馳走してあげますから、どうぞ。」
「……どうも。」

まあ、もし一服盛られたとしても。
毒だけは入れねえだろうし、大丈夫だろう。
俺は、半分位を一気に飲んだ。

「にげっ。…けど、美味いなコレ。」
「お好みで、砂糖とかミルクとかを入れるんですよ。」
「へぇ。んじゃ、頂戴。」
「ありません。」

は?
あーあー、そーだよ。
コイツは、こーゆー奴でした。
だったら、それなりの対応法ってのゆーのがあるからな、俺サマにもさ。
湯飲みを片手に、天蓬のいる執務机へと近づく。

「何ですか、捲簾?」
「まあ、いーから。」
「はい?」
「ちと、立ってみ。」

天蓬の腕を掴み、やや、強引に立たせた。
そんで、その細腰を引き寄せて、真っ正面に向き合うスタイルで。
自分のと天蓬の躯を密着させた。

「…また、何をする気なんですか、貴方は?」
「イイコト。」

天蓬の黒眼鏡を外し、机の上へと置き。
その代わりに湯飲みを手に取った。
くいっと、残りの中身を口に含んでから。
可愛くないコトばっか言う唇へと、口吻けた。

現実的な、コーヒーの苦み。
それと。
実際には甘くなんか絶対ナイ筈の、天蓬の唇の甘さを。
俺は丹念に楽しんだ。
薄くて、ひんやりとして、柔らかくて、弾力があって。
俺の一番のお気に入り。

「美味いな。」
「…コーヒーが、ですか?」
「お前が。」
「…そう、ですか。」
「うん、そう。」


腰を攫って、持ち上げて。
唇を塞いだまんま、一番手近な机の上に。
天蓬の躯を横たえる。
正直な欲望を分かち合う、俺とコイツのセックス。
与えたり、貰えたりで。
なかなか、対等なコトをやってる。
でも、それはコイツとだけの特権。
誰にもやらねえ。
俺だけの、モン。



コトンと、空の湯飲みが倒れる。
それを気にするコトなく、2人の躯が重なり続ける。
甘い睦言と共に………。



2002.1.14 UP



☆ コメント ★


15000のキリリクをゲットされたレンコさまに捧げます

以下が、レンコさんからのリク内容ですv

今回はぜひ捲天でお願い致します〜♪
捲天って、ごはちとはまた全然別物カップルですよね。
イジワルな天ちゃんに振り回されて、それでも愛があるから頑張れるのよ〜♪
な捲兄が好きなんですよー(笑)。
素直じゃない天ちゃん、でもやっぱり二人は甘々なの♪
・・・やっぱ腐ってますか?(笑)
指定小物として、コーヒーなんて如何でしょう?
ごはちでよく登場するコーヒーですが、この二人ではあんまりでないですよね。
それとも天ちゃんは紅茶派かな?
・・・たいした指定でもないですね、すみません(笑)。
表裏は、お任せいたします♪(*^_^*)/
大人な二人、表でも裏っちいですよね、なんか(違)。


以上を指定して頂いて、ふふふ、と始めたのですが
どんなモンでしょうかね?
飲み物、カルピスもいいかなと思ったんですよ
何か、天ちゃんが好みの濃さに凝りそうで・笑
でも、コーヒーに落ち着きましたv

裏には、ならなかったのですが…ごめんなさい…ι
でも、雰囲気は裏っちいですよね
ねっねっねっ・笑


では、慎んで贈らせて頂きますので、ご笑納下さいませ