星、眠る空
by 遙か
「あれ、どしたん、八戒?」
「目が、覚めちゃって……。」
街を格好付けて、飛び出した後。
文句を入れようが、入れまいが、野宿が決定となり。
野営の支度をし、少しでも疲れを取る為。
八戒を除いて、交代で仮眠を取る事となった。
ラストの火の番は、悟浄で。
あと、一時間程したら、夜が明ける時間だった。
目を瞑り、火の番をしていた悟浄は。
八戒の気配を即座に感じ取り、目を開けた。
「寝なきゃダメだろ。
お前は車の運転してんだからよ。」
「でも……。」
「ナニ、俺が居ないと眠れない?」
「えぇ。」
真っ赤になって俯く、八戒と。
自分の言った言葉に、火の灯りのせいではなく、真っ赤になった悟浄。
気まずいのではなく、気恥ずかしい空気に2人して、一緒に囚われて。
2人一緒に、暫く固まっていた。
パチッ。
焚き火にくべていた薪が崩れて、悟浄が先に我に返り。
立ち尽くしている八戒に向けて、おいでおいでと、手招きをする。
それをホッとした顔で、八戒がボテボテと悟浄へと近付き。
隣に座ろうとした。
「八戒、コッチ。」
「えっ?」
分からないまま手を引かれ、胡座を掻いて座っていた悟浄の膝の上に。
ポスンと、八戒の身体は治まってしまった。
「ご、悟浄っ。」
「女は身体冷やしちゃダメなの。
ほら、この方があったかいだろ。」
毛布の前をしっかりと合わせ。
悟浄は八戒をくるみ込む。
それはそれは、大事そうに。
「なっ。」
「…はい。」
八戒が力を抜いて、悟浄の胸へと凭れる。
悟浄の心音が、はっきりと聞こえてきて。
それが、安心感と眠気を連れてくる。
あふ、と。
八戒が小さなあくびをした。
「俺、朝まで起きてっからさ。
八戒はこのまんまで、寝ちまえ。」
「えっ、でも。」
「ちゃんと、起こしてやっから。
いーから、このまんまでいろよ。」
少しでも、寝苦しくない様にと。
悟浄の腕が、八戒が寝やすい様にと動く。
「悟浄。」
八戒の白くて小さな手が。
悟浄の傷のある方の頬へと触れてくる。
「ん?」
少し身体を伸ばして、八戒から悟浄へと唇を合わせた。
「はっ、八戒っ。」
「お休みなさい。」
クスリと、悪戯っ子の目で八戒が笑う。
それに、悟浄はおでこへのキスで返す。
「又、明日。」
「明日な。」
悟浄の腕に、少しだけ力が籠もる。
八戒の眠りを妨げない様にと、セーブをしながら。
たった、ひとつのモノ。
かけがえのないモノ。
譲れないモノを腕に抱き。
一人でない夜を過ごす。
いつも――いつまでも――2人で。
2002.3.29 UP
☆ コメント ☆
58好きのお嬢様方v
ご覧になられましたよね、祝・連載再開
ふふふ
はい、先に書いたのが58ノーマル編
そして、こっちは女の子ちゃん編ですv
だっあて、書きたくなっちゃったんだもん
えへへ
さあ、朝になって悟浄もうたた寝してて
それを一番に発見するのは、三蔵さまです
八戒が眠っているので、銃を乱射出来ず
ハリセンも、八戒に振動を与えてしまうので
断念v
まあ、きっと
後に貯めといて、まとめて返すコトでしょうねvv