寒雪花
by 遙か
【ご注意】
心優しい貴女にお願いv
このお話はお正月が背景となっているのを
念頭に置いてお読み下さいませvv
「うー、寒々。」
最近の悟浄の口癖。
それと一緒に、最近のお気に入りの場所へと、飛び込んで来るのを見るのが。
僕は楽しくて仕方ありません。
「そんなに寒いのでしたら、もう少し厚着すればいいのに。」
「めんどい。」
悟浄は本当に薄着で、あまり服を着込むのが好きじゃないんですよね。
悟空と一緒で、子供みたいなんですから。
「風邪、引きますよ。」
「俺、体温高いから、へっき。」
ああ…みたいではなく、子供ですね、本当に。
「何、笑ってんだよ。」
「いいえ、何も。」
そう言って、僕は悟浄の真向かい――炬燵を挟んで座りました。
年末に購入した、この日本製の暖房器具は、いたく悟浄のお気に入りで。
年が明けて、三日経って。
悟浄は、炬燵に潜って、温々としています。
あんまりゴロゴロしているので、一寸、外の雪掻きをお願いしちゃったんです。
そして、どういった雪掻きをしたのか、雪まみれで帰って来て、即炬燵行き。
でも、窓から覗いて見たら。
獣道が、何とか人の通れるなっていましたから。
頑張ってくれたんですね、悟浄。
「悟浄。」
「何? まだ、肉体労働させる気か?
あっ、でも、あっちの肉体労働だったら…。
いてっ、いてっ。こらっ、八戒、蹴るなよっ。」
「あんまり、くだらない事を言っているからです。」
「くだらくなんかねーだろー。
夫婦の大事な営みっ…いてっ。」
どうして、悟浄はこう…明け透けなのでしょうか。
何の躊躇いもなく、言葉を乗せて、態度で伝えてきてくれる……。
僕だって、気持ちは同じ…です。
ただ、僕には人並みの羞恥心が備わっているんです。
「…八戒、怒っちゃった?」
炬燵の天板に、顎を載せて。
悟浄が上目遣い、僕を見ていました。
それが、叱られた子犬の様で。
僕は吹き出しそうになった笑いを噛み締めました。
だって、しゅんと垂れた耳が見えてしまったんですもの。
「怒っていませんよ。」
「ホントか?」
「ええ、本当に。」
あ、ぴょんと耳が立った。……可愛い。
もう、僕も末期症状ですよねえ。
自覚がある分、手に負えないっていうか……。
だって、悟浄が【好き】で仕方ないんですから……。
「そんでさあ。」
「はい?」
「さっき、何、言い掛けてたんだ?」
「雪掻きのご褒美に、熱燗を付けてあげましょうか、と思っていたんです。
けどねえ…どう、しましょうか?」
「呑むっ。
呑むに決まってんだろっ。」
「途中で話の腰を折られてしまいましたしねえ。」
「謝るっ。謝るからさあ。
なあ〜、八戒〜。」
両手を合わせて、拝み込みの体勢。
神妙にはしていますが、キラキラと期待で輝いている紅い瞳。
ふぅ。
分かっているんです。
自分でも、ほとほと悟浄に甘いのが……。
苦笑するしかありませんね。
「お摘みも要りますよね。」
「勿論v」
ふさふさの尻尾をパタパタと左右に振る様な喜び方が。
更に可愛いもので。
「前払いのツケにしておいてあげます。」
と、もうひとつ、イジワルを。
「え?
あ、おい、今度は何をさせる気だっ。
こらっ、八戒っ。」
きゃんきゃん吠える悟浄を炬燵に残し。
僕はさっさと、台所へと向かいました。
作っておいたお節の中から、悟浄の好きな物ばかりを選んであげようと思いながら。
2002.5.19 UP
☆ コメント ☆
はい、【2002年開けまして、貴女のリクを私に下さい】今頃かい企画v
その第3号・渉さんのリクは。
着物着た二人が見てみたいですvおせち突付いておこたでぬくぬく。
そんな感じの作品を読みたいですv
で御座いました。うふv
しかし…本当に申し訳ありません…ιι
リクをクリアしていない上に、大遅刻。
頭ペコペコといくら下げても、足りませんね。
厚顔無恥にも、贈らせて頂きますので、ご笑納下さいませ。