こな雪 さらさら
by 遙か
【ご注意】
心優しい貴女にお願いv
このお話はお正月が背景となっているのを
念頭に置いてお読み下さいませ
そして設定は同棲中(笑)のふたりですvv
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『恋人』
甘い響きの その言葉
だけど それは 人 それぞれで
甘さにも 色々と 種類が ありまして……
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「だあからー、どーして、寺の掃除なんかしなきゃなんねーんだよ。
しかも、三蔵の部屋なんかをさ。」
この場に部屋の主が居たら、確実に。
『その軽いおつむを打ち抜いてやる』
と、されていたでしょうに。
居ない事を良い事に。
さっきから、お口を開けば罵詈雑言の嵐。
もう、本当に困った人ですね。
「だって、仕方無いでしょう?
原因はあなたなんですから。」
どこをどう見ても。ねぇ?
案の定、ぐっと詰まってますね。
「だけどさー、八戒ー。」
「だけども、しかしも、かかしもありません。
ほら、手だけは止めないで下さい。
いつまでも、片付かないでしょ、悟浄。」
「………へーい。」
くすくす。
全身で拗ねちゃうぞをしないで下さいな。
僕、笑ってしまいますよ。
「………八戒。」
「はい?」
「今、笑ったろ?」
「いいえ。」
「笑ったろ!」
「…はい、ごめんなさい。笑ってしまいました、僕。」
そんな、剥きにならないで下さいよ。
膨れっ面のオプション付きで。
笑うのを堪えるのって、結構辛いんですから。
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くそっ。
くそっ。
くそっ。
くそっ。
くそっ。
(以下、エンドレスなので割愛・笑)
あー、面白くねー。
あー、面倒くせー。
あー、やだやだ。
『掃除中に煙草は駄目です…灰が散らかるでしょ』
って、八戒にタバコを取られてから。
余計に、イライラが募る。
うー、なんでこの俺さまが、寺の年末大掃除中で。
しかも、三蔵の私室担当に。
なってんのか、なんて…分かり切ってっから。
更に、ムカムカが増える。
増えるんだよっ、八戒っ。……………ハァハァ。
……………。
はい、わりぃのは俺です
不徳の致すトコです。自業自得です。
申し訳、あっりませんでしたっ。
……………。
この発端は、数日前のクリスマス。
商売っ気抜きで始めたポーカーが、出だし好調でよ。
遊び気分で、そこそこに負けたり勝ったりのアップダウンの折れ線グラフ。
何かさ、もうちっと頑張ればってなカンジでさ。
なかなか、止めらんないでいたらさ。
25日が26日に、日が変わって……。
折れ線が直線に、ゼロへと近付いて……。
簡単に、マイナス区域への急転直下に。
突入してくれちゃった…んだな。
そんでもって。
それが、八戒にバレて。
八戒が三蔵から、金借りて精算して。
肉体労働で返済するなんて借用書を作成してくれて。
あまつさえ、母印まで………。
立場の弱い俺が、口を挟むコトを許されずに。
全面的強制の元に、俺は尊い労働に励まされているって訳。
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「ご苦労だったな、八戒。」
「いいえ、大丈夫ですよ、三蔵。」
「おい、俺には労いの言葉はねーのかよ。」
「無いな。」
「ある訳ねーじゃん。悟浄ってバカ?」
「バカザルが身の程知らずに、人のコトをバカにすんじゃねーぞ。」
「バーカ、バーカ、バーカガッパっ。」
「こっのやろおっ。」
「ああ、悟浄も悟空も喧嘩納めなんてしないで下さいね。」
「どうせ此奴らは、来年も馬鹿のまんまだ。
ほっておけ、八戒。」
「ひでぇ、三蔵〜っ。」
「このクソボーズ。」
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とてとて、と夜道を歩く。
しんしん、とした寒さと。
ぴん、とした張り詰めた空気の中を。
今日が一年の最後の日だと思うと。
やっぱり感傷的になります。
僕達は『泊まってけ』という三蔵の申し出を。
丁寧に『年頭の挨拶には来ますから』と辞退させて貰って。
帰宅の途に着いています。
隣を歩いている悟浄は、無口だけど。
不機嫌ではなく……。
どちらかと言うと……。
「なあ、八戒。」
「はい、何ですか、悟浄?」
「…ごめんな。
こんな年の最後まで、俺の尻拭いに付き合わせちまってさ。」
「気にしているんですか?」
「だってよ、俺は身から出たサビだけどよ。
おまえは、完全にとばっちりじゃん。やっぱさ……。」
「大丈夫ですよ、これくらい。
それにタダ働きって訳じゃありませんから。」
「は?」
「ちゃんと僕の分は、アルバイト代としてお金で貰ってきてありますし。
ほら、おまけも頂きましたから。」
「ナニ、これってそーなの?」
僕の言葉につられて。
悟浄は持たされていた中身入りのお酒の瓶を指差しました。
「ええ、お寺に寄進されていた物ですけど。
三蔵が持ってけって、言ってくれたものですから。
遠慮無く、頂いて来ちゃいましたv」
そう言って、僕が笑って答えると。
悟浄も、笑って。
「おまえって、サイコーv」
ぎゅっと、僕を悟浄の腕の中に抱き締めてくれました。
暖かい――僕だけの、場所に。
「あなたも最高ですよ。僕にとって。」
「そんなの分かってるって。」
「来年も宜しくお願いしますね、悟浄。」
「ああ、こっちこそ宜しくな、八戒。」
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除夜の鐘を
カウントダウンに
kissをする
白い吐息を 重ねながら
紅と碧の瞳を 見つめ合いながら―――――
2002.7.17 UP
☆ コメント ☆
さて、【2002年開けまして、貴女のリクを私に下さい】今頃かい企画v
その第6号・煎奈さんのリクは
『年越しの瞬間はキス』
――でしたv
なんて、ロマンチックなリクでしょーv
なのに、このテイタラク…ιι
ごめんね、ごめんなさいっ、煎奈さん
図々しくおし付ける私を許して下さいませ〜
でも、たっのしかったv
にこっと笑って、chuする2人を書けて
煎奈さん、心を込めて贈りますので
どうぞ、貰ってやって下さいなvv