響け 恋の唄 
by 遙か

夢ならば 覚めないで
夢ならば 覚めないで

この俺が…。この俺様が。
考えると赤面しちまう程、純愛しちまってる。
表面は、冷静を徹底してるけど。
内心は、うわわ〜っとジタバタしちまってる。
生まれてこのかた、愛なんて信じられるモンじゃなかった。
信じれば、裏切られる。
裏切られるんだったら、信じなければイイ。
そう悟りを開いている俺は、その信念を崩さないでいた。
俺が生きる為に、必要だったんで。
それを。せーのっと、ひっくり返してくれたのが。
俺の拾いモンの、八戒だった。
拾った時。全身は泥だらけの血塗れで。
拾った後に知った中身も、俺に負けず劣らずのグッチャグチャで。
それを笑った表情一枚で、内側にギュウギュウに詰め込んでいた。
八戒は、していませんよって言うだろうけど。
…無理矢理にな。
悟能としての、一件が落着して。
八戒と同居を始めて。
色んなコトが、有りすぎて。
すったもんだの末。
俺は八戒を好きになっちまってた。
告白なんて、とんでもねぇ。
傍に居てくれればいいって、満足しちまう…何コレ?って感情を抱えて。
今、俺はジタバタしてる。
何一つ、今までは俺のテリトリーには入れねーように。
細心の注意を払ってたってのに。
どーして、こんな易々と。
俺は、八戒を好きになったんだ?
相手は男だってのに。
笑った顔が可愛いから、もっと笑ってくれと思っちまったり。
俺にだけ、その笑った顔を向けてくれればと思っちまったり。
挙げ句の果てに、他の奴等への愛想笑いさえに嫉妬してたり…。
一時は、自分が信じらんなくて。
ナンで何だーっ、と混乱もしたけどさ。
今は――開き直ったせいか、多少は落ち着いた。
八戒を好きだという、俺自身の気持ちは誤魔化しようがねぇんだもんよ。
否定しよーにも、押し込めよーにも。
無駄無駄無駄…ムダ。
……あー、恋愛してるよ、俺。
……ナンか、すげえかも。
イヤ、八戒がすげえんだな。
俺をこんな気にさせてんだもんな。
さあて、どーしたら…イーんでしょーかねえ。
これから…なあ、八戒。

どうしたら…いいのでしょうか。
自分が信じられません。
気が付かなければ、良かったのに…。
悟浄を好きになっている、僕なんてものに…。
花喃が死んで。
悟能という名前も、一緒に見送って。
八戒という自分になった時。
ほっ、としたら…悟浄がいてくれました。
僕に笑い掛けてくれていて。
それが、とても嬉しかったから笑い返して。
端から見たら、きっと奇妙な関係でしょうね…僕達。
何しろ、大の男2人が同居しているんですから。
まあ、僕は周りを気にするタイプ…からは程遠いので、気にもしていませんでした。
だからかな。
その分、悟浄の事が気になって…気になって…仕方なくて。
どうして何でしょうか、と自分を突き詰めて…突き詰めて。
…はっ、と気が付いてしまった答えに。
思わず、赤面してしまいました。
僕は悟浄が好きなんですね、って。
好きになってしまったんですね、って。
性格が捻くれ捲って、複雑になっている僕の中にあった、単純な答。
余りにも、吃驚し過ぎて。
簡単に、認めてしまいました。
…嬉しかったんです。正直に言うと。
罪人の僕には、許されない事だけれど。
まだ、誰かを――人を恋うる気持ちが、僕の中にあったのだと。
それが、悟浄へだった事にも喜びを感じました。
ただ、口にはしません。出来ません。
…終わりにしたくないんです。
僕の気持ちは、優しい悟浄を困らせてしまうだけだと判っていますから。
告げてしまったら。
僕はここを出て行かなくちゃならない…それだけは、嫌なんです。
悟浄の傍に居たい。
いつか、別々の道を進む、その日ぎりぎりまで。
僕は悟浄の傍に、居たいんです…。
けど…いつまで保ちますかね、僕自身が。
悟浄の声に。悟浄の姿に。
こんなに、ドキドキしているのに。
平静を保つなんて…いつまで、出来るのでしょうか。
自信なんて…ありませんよ…悟浄。

ほぉら
あなたにとって大事な人ほど
すぐ
傍にいるの―――――
2003.11.20 UP
★ コメント ★
悟浄の誕生日SSです。
はい、今頃です(笑)。
実は、2本お話を考えていたんです。
それで、11/9には間に合わなかった訳なのですが…。
やっぱり、折角だからねvv
沙悟浄氏、ハッピーバースディ!!
モドル