既視感
by 遙か
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〜 俺からお前へ
目を瞑ると、浮かんでくる形。
曖昧で。…酷く曖昧で。
それが、一体何なのか。いつもいつも。
判らず仕舞いで。
苛立つ前に、胸が痛くなる。
呼ばれているのに、喉が掠れて呼び返す事が出来ず。
手を伸ばして掴まえたいのに、足が一歩も動かず。
もどかしさだけが、いつも残る…。
―――アンタは、一体、誰なんだ?
人って事だけは判る。
けど、記憶を手繰っても、街頭する奴は誰もいねぇ。
知らない筈なのに、俺は知っている。
知っているんだと。
俺のどっかが、叫んでる。
けど、形にはならなくてもさ…。
不思議だけどさ…。
イヤって訳じゃねーんだ。
小さな灯を灯すよーに、心ん中が丸くなるよーな。
――あったかくなるよーな。
…そんなカンジ。
言葉に出来ない感情が、鬩ぎ合っている。
実際、キツイ時もあんの。
白黒ハッキリ付けたいタチだからさ。
アンタ。誰なんだ?
俺のナニ?
俺はアンタの、ナンだったの?
††††††††††
〜 僕から貴方へ
僕を見る瞳の色は、紅だけ。
それだけなのに、そう判っているのに。
その紅の向こうから、もう一つ見つめてくる漆黒が。
僕を落ち着かせなくなります。
実際には、その色はどこにも無いのですから。
イメージというか、頭の中でそう想像…感覚で、捉えているんです。
だから、本当に気のせいだと思うんです。
思いたいんです…。
だって、何回も何回もそれを繰り返していたら。
錯覚だと、思っていても。
気になってしまうじゃないですか。
包み込む様な、見守る様な…懐かしい様な…温かい眼差し。
思わず『名前』を呼びそうになって。
知らないのに。知る訳ないのに。
その度に、開きかけた口を噤んで。
形にならない音を飲み込んでいます。
誰…なのですか、貴方は?
僕は、知っていますよね?
僕を知っているんですよね…貴方は………。
2004.7.1 UP
★ コメント ★
BGMは『瞳を閉じて』です
はい、平井堅氏のです(^^
この詞を初めて聞いた時に思い浮かんだものを
こっそりと形にしてみました
好きな人は、今、目の前にいる人
それなのに、追い求めてしまう気持ち
もどかしくて、捨てきれない気持ち
そんな想いを書き綴ってみました
モドル