ハジメテノ チュウv
by 遙か
「だから、八戒にkissしていいか、俺っ!」
テーブルに、バンッと音を立てて
手をついて、立ち上がった悟浄の顔は
真っ赤、でした―――――
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八戒を拾った日から、一年以上経った。
もー、激動の一年だったが。
俺には有意義な一年だった。
八戒が居るってコトだけで(照)。
初めは、ナンだコイツ…だったんだけど。
あーだこーだと、面倒見てるウチに。
ナンだカンだと、気になっちまって。
ハッと気付いたら、惚れていた。
俺は八戒に。
んで、惚れたのはイーんだけどさ。
さあて、そっから先はどーすりゃイーんだ、になった。
何しろ、来る者拒まず去る者追わずの基本方針で。
ずーっと、きちまったもんだからさ。
俺から動くってコトさ、したコトなかったんだヨ。
スル必要もなかったしさあ。
俺の『アイシテル』は、社交辞令。
挨拶程度のモンで、深みなんかねぇ。
シャレの判んねーコには、ご遠慮願ってた。
―――今、そのしっぺ返しが痛烈に
俺を襲ってる、……って訳だ
どー言ったら、伝わる?
どー言ったら、判ってくれる?
俺も八戒も男で、どっしよーもナイ過去の生傷抱え込んでてさ。
必死に取り繕って、何でもナイ顔して笑ってる似たモン同士…でさ。
けどよ。
八戒に『悟浄』って呼ばれんのが、嬉しいし。
八戒を『八戒』って呼べんのが、嬉しいんだよ…な、俺は。
ん〜、俺が八戒を『スキ』だってコト。
『特別』だってコトを判らせて。
俺にも、八戒からそーして欲しいってのを。
八戒に天然ボケさせずに、判らせる方法。
誰か、教えてくれっ!
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悟浄の所への居候生活は、波瀾万丈で大忙しの日々ですが。
決して、嫌なものではありません。
寧ろ、楽しいと思ってしまっています。
厄介者でしかないのに、悟浄は。
僕をこのままで、何でも無い事の様に普通に受け入れてくれています。
時々、それが小さな痛みを持つ事もありますが。
悟浄の差し出してくれる手は、優しくて。
振り払う事が、どうしても出来ません。
出来ないで、いるんです………。
―――僕は、悟浄が好きだから
この気付いてしまった気持ちに、僕は戸惑ってばかりです。
花喃しか、愛せなかった。
花喃しか、愛せないでいた僕の心に。
悟浄との暮らしの中で、悟浄の存在が確かになっていくのが。
判るんです。
人を好きになるのに、理屈はいりませんでした。
惹かれてしまうのは、自分では止められませんでした。
けれど、この気持ちを開放する訳にはいきません。
悟浄に迷惑を掛けてしまいますから。
―――悟浄に疎まれてしまう
それは、僕自身が耐えられません。
だったら、口を閉ざした方がいいんです。
だから、口を閉ざすのに僕が我慢出来なくなったら。
この家を出ればいい…ですよね。
悟浄の為に。
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そーいや、去年の八戒の誕生日は、それどころじゃなかったなあ。
バタバタしてたしヨ。
大体、誕生日ってのも知らなかったしなあ。
なんで、今年は絶対に祝ってやろーと決めていたんだ。
八戒には、ヒミツしてさ。
ビックリさせたていのと。
喜ばせてやりたい…喜んでくれっかな、の気持ちからでさ。
ぶっちゃけてゆーと、かなりジコマンからなんだよなあ。
俺が八戒の笑った顔を見たいって、だけ。
俺を見てくんないかって、だけ。
―――そんで、俺をスキになって
欲しいんだよ、八戒
そんなすったもんだの、葛藤しつつ迎えた八戒の誕生日当日に。
俺が誕生日を祝った事を喜んでくれた八戒から。
爆弾宣言をされた。
『ここの家を出ます』『一人で暮らす事にしました』
『今までご面倒をおかけして、済みませんでした』
深く、丁寧に頭を下げられて。
俺の今までの我慢が、吹っ飛んだ。
―――逃がしてたまるかっ!
八戒の気持ちばっか尊重して。
ナンも始まらないウチに、諦めてたまるかっ!!
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突然、降って湧いた出来事。
『家からは出さない』『一人暮らし反対』
『面倒みて貰ったのは、俺の方』
悟浄からの言葉に、僕はただ吃驚するだけで。
そして…。
「俺は八戒がスキなんだっ!!!」
この言葉に、僕は悟浄に負けず劣らず。
真っ赤になってしまったのを自覚しながら。
こくんと、頷いていました。
悟浄との初めてのkissに―――
2004.9.20 UP
★ コメント ★
今年の八戒さんの誕生日のお話ですv
(間に合って良かった…(汗))
とにかく、かわゆくvv
可愛いお話にしよう書き上げました(笑)
…悟浄まで可愛くなってしまった様な(苦笑)
まあ、それは棚に上げておいて
お誕生日おめでとう、八戒さんvvv
モドル