ゆらぎ
by 遙か
後ろ手に 閉じられた ドア
小さく鳴る 掛けられた 鍵の音
伸びる腕と 近付いてきた唇に
拒む理由も なく――――――
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「――脱がして欲しいのか?」
「えぇ、出来たら。」
僕の返事に、一瞬目だけを笑わせて。
捲簾は、カッチリと留められていた僕の軍服の第一ボタンに。
指を掛けました。
僕は、その指の動きをボンヤリと見ながら。
この歳になって、服を他人に脱がされる自分って――と。
おかしくなってしまいました。
「何、笑ってんだよ。」
「あれ? 僕、笑ってましたか?」
「笑ってた。種類の良くねぇ、笑い方で。」
「はぁ。何ですか、それ。」
どうやら、その問いに答える気の無いらしい捲簾は。
今度は、口元だけを笑わせて。
僕へとキスを仕掛けてきました。
元の体温が高いのか、それとも簡単にそうなるのでしょうか。
捲簾の唇は、とても熱くて気持ち良くて。
僕は目を閉じて、捲簾とのキスを楽しみ始めました。
唇は捲簾の身体の中で、数少ない柔らかい部分で。
それを男で知っているのは、僕くらいでしょうね。
軽く噛まれて、宥められる様に舐められる。
自然と開いた隙間から、侵入を果たしてくる舌を。
素直に受け入れ、絡ませる。
耳につく、濡れた音。
一部分の接触だけで、上がり出す体温。脈打つ鼓動。
奪うのでもなく、与えるのでもなく。
キスひとつで夢中になれる、満足感。
不思議です。ただ、相手が捲簾だという事で。
気持ちが、こんなにも変わるんでしょうか。
いつの間にか、頬を撫でられていて。
僕はその大きな、堅い掌に。
自分の頬を預けました。
「シテ、いいか?」
「いいですよ。今更、何をですが。」
「承認取っとかないと、後で何を言われるやら。」
「前言撤回って、手もあるんですけど?」
「そうならないように、善処するさ。」
「ええ、宜しくお願いしますね?」
背中を支えられて、押し倒されるのを甘受しながら。
僕は捲簾の首へと、両腕を回して。
ぎゅっ、と可愛らしくしがみついてみました。
笑いを堪えながら。
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コイツを抱くのが、一番興奮する。
今まで抱いた、どんな女よりも。
確かに、顔は美人だ。
正直に言うと、選りすぐられた天帝の後宮の女達よりも、遥かに。
束になっても、悪いが勝ち目はないと思う位にな。
身体の造りは、俺と同じ男だってのにな。
服を脱がしながら、先ずは鎖骨へと恒例の赤い痕をつける。
「…また、そこに、ですか?」
「そv」
「飽きません?」
「全然。」
「…そぅ、ですか。」
上がり始めた息を殺しながらの掠れた天蓬の声は。
いつもの毒を含んだ声と違って、甘く聞こえる。
本人は、絶対否定するだろうけどな。
なだらかな肩。
細い手首。細くて長い指。
一本一本、根元まで丁寧に舐めてやると。
ピクッピクッと、反応してくるのが舌先を通して判る。
体温の低い躯が熱を籠もらせ、少しずつ燻り始める。
強情な精神を時間を掛けて愛撫すると。
汗を滴らせて、開花する痩躯。
妖艶とか。
そんな言葉では足りないくらいに、俺は天蓬へと魅せられる。
余裕を持つ事が、馬鹿馬鹿しくなる。
夢中になって、食い尽くそうとしてる俺がいる。
壊れようのない、確かな存在の中に入り込む快感。
絡み付いてくる柔らかい肉。擦り上げて上昇する熱。
途切れ途切れの悲鳴を上げ、仰け反る喉元に噛み付いて。
腰を揺すり上げる。
繋げた部分をぐちゃぐちゃにして、名を呼ぶと。
うっすらと、目を開ける。
「………け、んれん。」
「て、んほぅ………。」
唇を寄せて、深く口吻ける。
呼吸さえも、邪魔にして。
今にも落ちそうだった、俺の首に回されていた天蓬の指に。
力が籠もり、爪を立てられる。
そのチリッとした痛みに、俺は天蓬の裡へと勢い良く。
更に、奥の奥へと俺自身を押し込んで。
全部を注ぎ込んだ。
жжжжж жжжжж
天蓬の力の抜けた躯を抱き寄せて、俺の上へと乗せる。
余韻を宥めるように、髪を撫で、背中を撫でてやると。
天蓬は、うっすらと目を開いて微笑んだ。
その潤んだ目に誘われて、合わせるだけの優しいキスをする。
『アイシテル』の声を乗せながら……………。
2005.1.12 UP
★ コメント ★
『捲簾祭』万歳〜♪
大将、最高〜♪♪
主催してくれたパッキーさんへ
このSSを読んでくれた方々へ
ありがとうv
そして、一緒に萌えましょうvv
モドル