Play a Game




by 遙か



絶対に、何か要求してくるに決まっています
この絶好の機会を逃す訳がありません

据え膳、大好きな人なんですから
―――悟浄は


★。、::。.::・'゜☆。.::・'゜★。、::。.::・'


もう直ぐ、日付が変われば。
時計の針が、後少し動けば。
悟浄の誕生日です。

僕を自分の目の前に座らせて、そわそわ…うきうき、と。
子供じゃないんですから…。
歳を取るのですから…。
少しでも良いですから、落ち着いてくれないものでしょうか。

ポーン!

悟浄のご機嫌を反映したかのような、元気に。
時刻を告げる、鐘の音に。
悟浄の目尻が、思いっ切り下がったのを目撃してしまいました。


「はぁ〜〜〜っかいvvvvv」
「―――お誕生日おめでとうございます、悟浄」
「さぁんきゅ〜vvv」
「それで?」
「ん〜?」
「プレゼントは何が欲しいのですか?
 努力はしますが、僕の良識で出来る範囲の物にして下さいね?」
「わーってるってvvv」

…糠に釘。
何度、この笑顔を見てきた事でしょう。
…僕も僕なんですけどね。
仕方ないですね、を前面に押し出した溜息を大袈裟について。
僕は悟浄へとにっこりと、笑いました。
一応の釘刺しの意味を含めて。
…浮かれた状態の悟浄に、効果があるかどうかは…考えたくありませんが。


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「ほいほい、八戒〜引いて引いて」
「これって………もしかして…」
「そv 王様ゲームvv
 八戒に俺のリクエストを選ばせてやっからさ、俺ってばやっさし〜」
「………」

カラカラと、缶の中の籤の方が楽しく揺れているのに。
頭が痛くなりました。
6本…どれを引いても、悟浄のリクエストなんです。
似たり寄ったり、大差などないのは容易に想像出来ます。

―――一年に一回、誕生日ですから

僕は覚悟を決めて、そのうちの1本を引きました。


「大あったり〜っ!
 
『俺への、見せる為のストリップショー!
 当然、俺をその気にさせて付き〜♪」

グラッ―――目眩と一緒に意識も失ってしまえば、良いと。
この時、本気で願いました。


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ソファに、足を大きく広げて、尊大に座っている悟浄は。
満面の笑顔で、最高にご機嫌でした。
何だか…。
その顔を見ているうちに、困惑だけしていた気持ちに。
ふと。
天の邪鬼というか…負けず嫌いというか。
悟浄に一矢報いてあげましょうか、という気持ちが。
沸き上がりました。

「八戒〜vvv」

目でGOサインを出してくる悟浄に、僕は。
にっこりと、笑い返しました。
それに悟浄が『えっ!?』と、目を丸くしたのを皮切りに。
僕はシャツの裾をズボンから抜き取り、裾を真っ直ぐに整えました。

自分で、自分の服を脱ぐ事はいつもは意識していませんが。
そこに、悟浄の目――で見られているを意識すると。
全く、別物になります。

身体を横向きにして、悟浄からの死角を作ってベルトを外し。
ゆっくりと、下着ごとズボンを片足ずつ抜き取って。
靴下も一緒に、床へと脱ぎ落としました。

ゴクリ、と。
悟浄の喉が鳴る音がしました。

身体を正面に戻して、悟浄へともう一度視線を向けてから。
軽く、顔を俯かせました。
袖口の釦を口で外す為に。

片袖ずつ、袖を解放して。
今度はシャツの前の釦…一番下のを一つだけ外しました。
それから…上から、3つまでのを外して。
一つだけ嵌めた儘のを残して、僕は顔を上げました。

悟浄は身を乗り出して、自分の膝をギュッと掴んでいました。
そこへ、裸足の足を一歩踏み出し。
僕は悟浄へと近付いて、少し距離を置いて立ち止まりました。

「……………八戒?」

上擦った悟浄の声が、僕を呼びました。

「知ってますよね?
 踊り子さんには、触っちゃいけないんですよ?」
「………勘弁してヨ、今日は」
「そうですね…貴方のお誕生日ですものね」
「そうそう!」

いつの間にか、手首を掴んで引き寄せられていて。
腰には悟浄の腕が回っていて。
身体は密着していました。
間を隔てているのは、お互いのシャツ一枚の薄さだけで………。


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悟浄が僕のシャツの残り一つの釦を外しました。
僕は自分で肩から、シャツを落としました。

ソファへとそのまま横にされ、覆い被さってくる悟浄の首へと。
腕を回して、強く引き寄せ。
小さく肝心な言葉を呟いて。
僕は悟浄にキスをしました。

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     僕の上にいる悟浄の髪が、さらさらと肌の上を。
     擽ってゆきます。
     止められなくて、ただ…ただ、深くなっていくキスを
     飽きる事なく、続けていました。

     悟浄は器用に、キスをしながら自分の服を脱いでいきます。
     部屋の中には、息遣いと衣擦れの音。
     お互いを欲している熱が広がっていきます。

     悟浄の骨張った大きな掌が、肌の表面を。
     丹念に愛撫していくのに、僕の身体が素直に。
     反応して、震え始めました。

     何度、こうして身体を重ねても。
     その度に感じる悦びと、やるせない切なさには。
     慣れないでいます。
     けれど、気持ちだけでなく身体の距離を縮める事で。
     触れ合う事で、勇気を貰っているのかもしれません。

     ―――悟浄を好きという、僕の気持ちに

     肩が噛まれ、背中に回された腕に力が込められ身体が浮いて。
     汗の匂いと、上がった体温の熱さをきつく感じて。
     息が漏れます。
     悟浄の名前と一緒に。
     唯一無二の存在は、堅く閉じている枷を外してくれます。
    
     目を瞑っていても判ります。
     悟浄が僕の身体中に、痕を残している事は。
     小さな痛みと、大きな安心感を僕に与えてくれているから。
     
     別々のイキモノだから、ひとつになりたいと。
     願いながら、激しくなっていく行為に。
     ねだる自分の声に羞恥を覚えながら、奥を明け渡します。
  
     次に来る、最後の波を全て受け止める為に…。

     ★。、::。.::・'゜☆。.::・'゜★。、::。.::・'



Happy Birthday to you
                      with ………



2006.11.09  UP



★ コメント ★

引き続き、今年の悟浄の誕生日は友人諸氏との企画でのお祝いですv
キーポイントは『王様ゲーム』『一日下克上』
お誕生日くらい良い思いをさせてあげようv
…その他の日は? と考えなくて良いですから(笑)
ギリギリに書き上げましたが、やっぱり書くのは楽しかったですv

お誕生日おめでとう、悟浄♪



モドル