スクランブル・エッグ【1】



この話は不定期連載の形を取ってます
この話は萌え仲間ののぞみ嬢に捧げます


by 遙か



『痘痕も靨』
これが何よりピッタリとくるカップルが一組…おりました…


晴れて恋人になって1ヶ月。
浮かれ度は気分上々だし、満足度は充満中。
…の筈で。
一寸したズレなど、目に入らないのが恋愛中の良い証拠。

ただ、この2人の関係が世間一般の恋人の範疇に入るか、どうかは。
甚だしく…。
神様も知りたくないと、言ったところでしょうか。


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天蓬――現在、売れ始め夢の印税生活に手が掛かった、BL作家
悟浄――一般生活を営んでいた、年下大学生の、天蓬の彼氏…?


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やっぱ、社会人ともなると色々と大変なんだろーなー。
仕事ってのは。
恋人の天蓬が、音信不通になって3日目。
携帯の呼び出し音はしてんだけど、全く出ねぇ。
自由業で、〆切ってのがあっから。
時々、すっげ忙しくなるって言ってたもんな〜。

大変なんだなあ、と。
そん時は思ったけど、こんな風に連絡が取れなくなるくれえに。
大変だとは、思ってもみなかった。

俺はまだ学生で、年下だけどさ。
恋人だもんな。
こーゆー時にこそ、ナンかしてやんなきゃな。
頼れるってコトをアピールするチャンスじゃんか。

つーコトで、俺は天蓬んトコに陣中見舞いを口実に。
恋人の顔を見に行くコトにした。
やっぱ、手土産はケーキだよな。
天蓬、スキだもんな〜と、高級ケーキを奮発して。
講義をサボって…あはは。

恋人の俺が顔を見せたら、喜んでくれるよな。
もち、ケーキよりっ!
じゃないと、泣いてやるぞ。本気で。
…なあんて、色々と考えながらご機嫌で、ハナ歌を歌いつつ。
俺は、天蓬んちへ着いた。

驚かそうと思って、連絡は入れなかった。
つーか、携帯が繋がんねーもん。

ピンポーーーン、とチャイムを一回押した。
応答ナシ…。
そのまんま10回以上、連続で押し続けてたら。
嗄れた、チョー不機嫌ポイ、天蓬の声がインターホンから聞こえてきた。
やったv いたvv

『…どなたですか?』
「あv 俺俺、悟浄だって。」
『悟浄っ!?』

おっ、声が変わったv  嬉しーなーvv

『すぐドア開けますっ。待ってて下さいっ。』
「うん、待ってんな〜。」

俺は気分上々だった。
ドアの内側から、バタバタって足音が聞こえてきてきた。
ガチャガチャって、鍵を開ける音も。

「ちわ〜vv」
「悟浄っ、すぐ入って下さいっ。」

あっと、いう間に。
引きずり込まれるってカンジで、俺は部屋ん中に。
手をガシッと掴まれて、入れられた…呆気に取られつつ。

目の前にいる天蓬の目の下には、くっきりとしたクマがあって。
俺はゴクンと唾を飲み込んだ。
言葉が出てこないもんで。



【2】に続く★



モドル