スクランブル・エッグ【4】
この話は不定期連載の形を取ってます
この話は萌え仲間ののぞみ嬢に捧げます
by 遙か
「トイレ、ですか? 冷えちゃいましたか?」
俺は嘗てない程、首を立てにブンブンと振った。
「判りました、どうぞ。」
スクッと立ち上がろうとして、シャツの袖を縛られている所為で。
失敗した。
「て、天蓬っ、頼む。コレ、解いてくれっ。」
「はい?」
「このままじゃ、用、足せねえって。」
「ああ、そうですね。済みませんでした。」
心ん中でカウントを取りながら、俺は早く早くと念じた。
頼むっ。
もお、一刻を争うんだってっ。
「ふぅ、解けましたよ。」
「さんきゅっ!」
今度こそ、スクッと立ち上がって、俺は部屋を飛び出した。
「いってらっしゃい、ごゆっくり。」
と、ゆー天蓬の(絶対、ニコニコとしながら、ヒラヒラと手を振ってる筈)声を後に。
††††† ††††† †††††
バンッ! ドドドッッッ! バッターーーンッ!
目に見える様な大きな音を響かせながら、悟浄は。
トイレへとダッシュしていきました。
よっぽど、我慢していたんですね。
漏らさないと、良いんですけど。
する事がなくなった僕は、手元に残った悟浄のシャツをギュッと抱いて。
クンクンとしてみました。
あv 悟浄の匂いがします。…当たり前ですけど。
「お前、何やってんの?」
「あ、捲簾、いらっしゃい。
ちゃんと、ノックして下さいよ。」
「した、って。お前が気付かなかったんだろうが。」
「あ、そうですか。済みません。」
ドアの所に立って、座り込んでいる僕を。
いつもの呆れた顔で、見下ろしてくるのは。
僕の大学からの腐れ縁の、現在、僕の担当をしている出版社勤めの。
取り敢えず、友人の捲簾でした。
何もここまで、腐れ縁をしなくてもと思うのですが。
気心は知れていますから、楽チンという事で妥協しています。
「で、何をやってたんだ?」
「あ、それはですね…。」
僕は、先程までの一連の出来事を捲簾に話しました。
††††† ††††† †††††
ザアーッ、と水を流しながら。
俺は、フィーッとデッカイ溜息を付いた。
ナニが悲しゅうて、恋人の自宅のトイレで一人でヤんなきゃなんねえのか…。
悲し過ぎる…はぁ…。
タオルで手を拭きながら、俺はもう一回溜息を付いて。
グッと顔を上げた。
鏡に映った自分に、ニカッと笑った。
天蓬は仕事なんだよな。
で、今はそれが大変なトコなんだ。
ここは、やっぱ恋人として俺が支えてやんなきゃ、だよな。
甲斐性のあるトコ見せるチャンスじゃん。
天蓬だって、益々惚れてくれっかもじゃん。
そしたら、後でアレコレさせてくれるだろうし。
…コレって、一石二鳥だよな。ウン。
俺は頬を軽くパンッと、気合いを入れて。
俺はもう一度、鏡に向かって男らしく笑った。
「天蓬、ただいま〜お待たせ〜。」
「おう、待たせられたぞ。」
へっ? げっ!
天蓬の部屋に戻ったトコで、俺は。
後ろから羽交い締めにされちまったーーーっ、て。
コイツ、天蓬の担当の捲簾にっ。
おいっ、離せっ、このヤロッ!
「では、悟浄。さっきの続きをお願いしますね。」
ジタバタする間もなく、上半身ヌードのまんま。
俺は近付いて来た天蓬に、ジッパーを半分までスッと下ろされちまった。
「顔は撮りませんから、その儘ジッとしてて下さいね。」
な、ナニする気だ。
携帯なんか、構えて。
「資料用に写メするだけだ。安心しろって。」
ど、ドコが安心だ。
後ろから、捲簾に囁かれた言葉に固まってるウチに。
何発もの、フラッシュがたかれてったのに。
俺は気を失いそう、だった。
【5】に続く★
モドル