白のラビリンス 〜 ロンド 〜【4】
この話は不定期連載の形を取ってます
この話は萌え仲間の由良嬢に捧げます
誰よりも間近で
その瞳の色を見てみたいと
そう思っていた、ずっと
そして漸く叶えられたその色は
迷い込んで帰れなくなる深い森の色…だった
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驚愕に開かれた目を見つめた儘、俺は唇を合わせた。
息を飲み込ませ、言葉を奪って。
拒否されるのは、百も承知だったが。
その言葉を聞きたくはなかった。
俺はこんなにも、臆病だったのか。
たった一人の人間の、俺を拒む言葉だけは受け入れないくらいに。
初めて知った事実に、後に退けない事を知った。
欲しいのは、俺のみ。
彼には、判らない。
平行の線は、決して交わらない。
判っている…判っている。
この歪みは。
けれど、それを修正する気は、俺にはなかった。
長い時間を経て、今眼下に居る『八戒』を。
不完全でいい。構わない。俺は手に入れる。
「…は、なして…下さ、いっ」
口吻けから解放すると、予想通りの言葉が。
その口から、発せられた。
少しでも俺から遠離ろうと、首を捩りながら。
「嫌、です…こんな」
混乱を含んだ切れ切れの拒絶は。
保とうとしていた均衡を容易く崩した。
押し返してくる腕を潰す勢いで、きつく抱き締めた。
息を詰まらせた所で、間断無く唇を塞ぐ。
漏れ聞こえる苦しそうな声は、無視し。
舌を絡ませ、吸い上げた。
嫌がる柔らかい舌を何度も、甘く噛む。
腕の中、緊張で強張る身体が小さく跳ねる。
そんなに、嫌、か? 俺が嫌なのか?
カッと目の前が、赤く染まり。
沸々した怒りが、広がっていった。
甘い覚悟だった。
奪えばいいなど、と。そうすれば、手に入ると。
愚かに信じていた己が、滑稽だった。
『彼』は決して、俺のものにはならない。
それを理解した瞬間、俺は八戒の両手首を片手で掴み。
もう片方の手で、八戒の服を剥いだ。
「嫌ですっ…止めて、下さいっ、離してっ」
何度も繰り返される、同じ言葉が俺を煽った。
欲しい――ただ、ひたすら欲しかった『彼』を。
どんな形でも、繋ぎ留めたい…俺に。
抵抗を諦めない身体を押さえ込み、手で、口で。
執拗に、愛撫を施す。
嫌がる心と快感を受け入れていく身体の狭間に、揺さぶれるのを追い詰め。
抱き締め、口吻ける。
瞳から溢れる涙に。唇から零れる喘ぎに。
もっと深く、俺を判らせる為に。
俺は八戒の身体を穿った。
細い悲鳴が上がる。
身体の震えが大きくなる。
絶望を乗せた哀願の瞳で、八戒は俺を見た。
これでいい。これで満足だ。
戦慄く唇に口吻けて。
俺は優しく、八戒を抱き締めた。
続く★
モドル