月下美人
 
〜 悟浄と八戒




by 遙か



「怖い?」
「…少し、だけ。でも、大丈夫ですから」

結婚して、初めて2人で過ごす夜
悟浄と八戒に取って、正真正銘の…

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新妻の、八戒の落ち着かなさが悟浄にも移って。
初々しさを持った、緊張感に包まれていました。

挙式までの日程は、慌ただしく。
当日も、朝から忙しく。
周りを祝福と人に埋め尽くされ、やっと2人きりになって。
ホッとしたのも束の間。
改めて八戒が悟浄を意識してしまい。
そんな八戒を見ているうちに、悟浄も思わず緊張してしまったのです。

けれど、そこで固まったまんまでは、いられません。
長い間、想っていた八戒に。
これで、何の遠慮なく手を出せる時が来たのですから。

悟浄らしくなく…いえ、最も悟浄らしく、大事にけじめを付けて。
今までの我慢が、解放される時がとうとう来たのですから。


シャワーを浴びて、所在無くバスルームから顔を出した八戒に。
先にシャワーを浴びて、うろうろと部屋の中で待っていた悟浄は。
これ以上、待てないとばかりに、八戒に近付いて抱き上げて。
隣の続き部屋のベッドの上に運んでしまいました。

いつにない、悟浄の精悍な(八戒にはそう見えます)表情に。
更に緊張した八戒は、身体を縮こませてしまいました。

それでも、悟浄が怖いというのでは無い事を。
何とか伝えたくて、八戒は悟浄の首へと腕を伸ばし。
精一杯、ぎゅっと抱き付きました。

心臓の鼓動が、耳に付いて離れません。
灯りが落とされ…でも、お互いの顔は見られる明るさの中で。
悟浄は八戒のおでこに、自分のをコツンと付けました。

「八戒」
「はい…」
「スキだからな」
「僕も好きです、悟浄」

紅い色彩と翠の色合いが、見つめ合って口元を綻ばせる。
幸せに包まれた笑みで。
悟浄が八戒に、キスをする。

柔らかく重ねた唇。
安心するようにと、握られた指先。
悟浄は肘を付いて、自重を支え、八戒を愛しげに見つめた。

手に入れた、たった一つの存在。
こうして、腕の中にいると誰にも渡せないと、強く感じる。


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悟浄は、額、目元、頬、首筋…と、触れるだけのキスをしながら。
八戒の着ている物を脱がし始めました。
しかし、抵抗は無いけれど、脱がされる事が初めての八戒は緊張するばかりで。
悟浄も悟浄で、いつもの手際の良さが発揮出来ず、もたもたとしています。

やっと全てを脱がし終えて、自分も脱いで。
悟浄は八戒の裸身をきつく抱き締めました。
感激しながら。

「八戒、スキだ」

もう恥ずかしさから目が開けられない八戒の瞼に、一つキスをしてから。
悟浄は八戒の強張っている身体に、愛撫し始めました。

もう一度、頬にキス。顎先にキス。
首筋を辿り、強く吸い上げ、初めての所有の印を付ける。
二の腕を掴んで、鎖骨を軽く噛む。
漣の様に、震える肌に掌をあてる。
乳首を片方ずつ、口に含み、舐めて転がす。

少しずつ、熱を籠もらせ始めた八戒の身体を。
悟浄は愛おしさを込めて、抱いてゆく。

誰も踏み込んだ事の無い領域に、許されているという喜び。
どこまでも白い世界に、自分の色を落とすという満足。
何度も何度も、悟浄は八戒の名前を呼び。
八戒も、夢中で切れ切れに呼び返した。

身体を一つに繋げる幸福感に包まれ。
2人は初めての夜を明かしました。

―――――祝福の朝を2人で迎える為に…



2007.01.05  UP



★ コメント ★

悟浄と八戒の初夜編ですv
何か、とてもこっ恥ずかしかったです
書いてて
さらさらっと、読み流して下さいませ(笑)



モドル