You're My Only Shinin' Star
by 遙か
どうしても 判らなかったのは
貴方への返事
答は 判っているのに
どうしても 口に出せなくて
*:.。. .。.:**☆**:.。. .。.:**☆**:.。. .。.:*
『返事はいつでも、いっから』
口を噤んでしまった僕に、悟浄はそう言ってくれました。
僕の気持ちに負担を掛けないようにと、いつも通りの笑顔で。
優しい人で。
僕と同じ、臆病な人。
それでも…。
僕より、ずっと強い人。
受け入れられない事を考えてもいる筈なのに。
それなのに。
きっと、考えて考えて、伝えてきたのでしょう。
悟浄は、僕に。
応えてはいけない。
僕では、悟浄の負担になってしまう。
迷惑になってしまう。
資格なんてないのだから。
悟浄には、もっと相応しい人がいる。
何も、僕を選ぶ事なんか…。
そう、ぐるぐると否定して…否定して…。
何とか、悟浄に納得して貰う言葉を探して…。
普段と変わらないでいてくれる悟浄の態度に甘えて。
僕は、答を引き延ばしていました。
卑怯―――です、よね。
答を口に出来ない僕を。
いっその事、悟浄が見限って欲しいと。
呆れて、諦めて欲しいとさえ、思ってしまいました。
でも、それでも。
僕の中にある、悟浄への気持ちは。
頑固にも諦める事を知らなくて。
そんな僕を見かねた悟浄が…。
「八戒、あのさ」
「…はい」
「えっとな、返事、無理しなくていっから」
「………」
「そりゃあさ、イー返事欲しいに決まってんだけどさ」
「………」
「俺さ、八戒を困らせたいワケじゃねーの」
「………」
「八戒がイヤじゃねぇならさ、俺んトコに居て欲しくてさ」
「………」
「ワガママだって、判ってんだけどさ、それでもさ」
「悟浄…」
言葉に詰まってしまって、顔を上げると。
「俺、八戒がスキなんだ」
悟浄の精悍な顔が、はにかんでいて。
僕へと向けて、笑っていてくれて。
ふわりとした暖かさが、流れてくる熱さが。
僕の隠し続けている本音を刺激しました。
どうすれば、とか。
どうしたら、とか。
そんな戸惑いが、頑なさが、飛んだ気がしました。
僕は、自分から悟浄へとしがみつきました。
過去の事を思うと怖いです。
これからの事を考えると、更に。
けれど、それよりも大切な存在は悟浄でした。
僕にとって、何よりも。
気付いてしまった事に、後悔をするかもしれません。
離れようとするかも、しれません。
それでも、今は離れたくはない、と。
傍に、悟浄の傍にいたい、と思う気持ちを。
僕は優先しました。
先の事は、その時になった時に…。
どうやら、悟浄の考え方が移ったみたいです。
…でも、それでいいです。
突然の僕の行動に吃驚していた悟浄の腕が。
ゆっくりと、僕を包んで、抱き締めてくれました。
その心地良さに、僕は力を抜きました。
悟浄がいるから。
ここに、こうして。
これだけで…、もう。
『僕も、好きです、貴方が、悟浄』
小さな呟きを拾ってくれた悟浄の抱き締める力の増す、腕の中。
僕は、目を閉じました。
―――悟浄
2009.11.11 up
★ コメント ★
2009年の悟浄の誕生日話です
八戒視点で書いたら、甘い!
悔しい程に甘い(笑)
…ま、いっか…お誕生日だからねv
お誕生日おめでとう、悟浄v
お祝いが遅れても、愛はあるから(笑)
モドル