only my railgun


by 遙か


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コイツだったら イイ
そう 思ったんだ 俺自身が
だから それでイイんだ

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惰性で生きてた。
それは判り切ってても、それ以外をスル気がないもんだから。
ナンの改善もしないで、過ごしてた。

アイツ――を拾うまで。

生きたいんだか、死にたいんだか。
アイツと俺は、似てるような、似てないような。
説明の出来ない切っ掛けで、一緒にいるようになった。

毎日。
アイツと過ごす時間。
余計な干渉はしねぇけど、さ。
…お互い、一歩を踏み出すのに戸惑ってたのもあったけど、さ。
自分以外の他人がいるって事は、新鮮で、こそばゆいモンだった。

アイツのお袋口調に、俺は安心を感じてたのがイイ証拠だ。
家庭ってヤツの疑似的なモンかも、しれねぇ。
偽善って言われりゃ、その通りだ。

けどな。
それが心地良いって感じたなら、それでイイじゃねぇか。
誰より、俺とアイツが。

他人の目より、言葉より。
何よりも、俺ん中にある予感ってモノに縋るのが悪いなんて思えなかった。
あったけぇんだ。
気持ちがさ。

どうしてだ? と、問われりゃ、答は1つに行き着いてる。
アイツの存在。
八戒と新しい名前になった男の。

ほっとけなかった。
最初は、それだけだったって思うさ。
崩れそうで、壊れそうで、目が離せないクセに。
妙に命汚くて、根性が悪くてよ。
心配で見てたのが、そのうち興味も出てきて見始めた。

全部、判ってるなんて言わねぇよ。
けどさ、痛みを抱えている、その苦しさ、辛さは受け止めてやれる。
解決出来ない分をさ。

八戒が泣きてぇ時。
感情の捌け口を求めた時。
そんな時、一番の傍にいてやっから。
八戒が意地を張って、強がってもさ。
その精一杯ごと、全部抱き締めてやる、この俺が。


「八戒八戒」
「はい? 何ですか、悟浄」
「コーヒーのお代わり頂戴」
「はいはい、待ってて下さいね」

こんなナンでもねぇコトが、すっげぇイイ。
だから、俺は欲張りになってくな。
八戒に関しては、これから、もっともっと、ってな。

限界なんか、きっとナイ。
俺は八戒をスキなんだから、さ。






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この人だったら いいです
何故 そう思ったのか判りません
けれど 思ってしまったから

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自分で自分をどうしたいのか。
僕は自分を見失い、水の中の魚の様に。
ゆらゆらと、定まらない日々を過ごしていました。

そして、ふと気付くと。
同居人となってくれた悟浄の視線とぶつかったりして。
少々、落ち着かなかったりしました。

いつも一緒にいる訳ではないのに。
悟浄との生活時間帯は、ズレている方が大きいので。
一日のうち、顔を合わせない方のが多いのに。
家の中、悟浄の気配が残っていたり。
家事をするにおいて、悟浄の事を念頭にしている為に。
彼の事を考えてしまうんです、どうしても。

自分の気持ちが整理出来ない分、僕は悟浄の事を考えました。
何故、僕を置いてくれるのでしょう。
何故、僕と関わろうとしてくれるのでしょう。
僕一人で考えている事なので、答は得られる事はないのですが。
考えずにはいられない…んです。

厄介事は嫌いだと、言う悟浄。
なのに、実際はこんな厄介者に関わっているんです。
彼は、不思議です。

けど、自分も不思議なんです。
曖昧といえど、そんな悟浄の好意に甘えているのですから。

悟浄の為を思ったら、傍にいるべきではない。
この家から、出るべきと頭で判っているのに。
この家に居たいと、悟浄の居る場所に自分も居たいと。
相反する気持ちに気付いてしまい、戸惑いました。

感情を押し殺す事は得意な筈なのに。

悟浄が笑ってくれる事。
本気で怒って、窘めてくる事。
そんなひとつひとつに、心が揺れてしまう変化に。
僕は…どうしていいか。

けれど、心地良さは本当で。
少しずつ、その日常を受け入れていく僕がいました。

ねえ、悟浄。
本当に良いのですか?
邪魔なら直ぐに出て行きます。
貴方の迷惑になりたくないんです。

僕はこれらの言葉を飲み込んでいました。
悟浄の為と言い聞かせながら、自分が傷付かない為の狡い言葉を。
予防線を張って守ろうとしていたんです。

けどね、無駄な努力でした。
貴方の傍に居たい。
この気持ちを手放せない。
そんな自分に、気付いてしまったから。


「悟浄、今晩は?」
「休み」
「良いのですか?」
「ん、イーの」

珈琲を向かい合って飲みながらする会話に。
僕は嬉しくなって、そっと微笑みました。

悟浄が僕に与えてくれるもの。
それに返せる自信などありませんが、それでも。

……………好きですよ、悟浄。

いつか、貴方に伝えられたら、と。
僕は、そう願っているんです。


2010.05.08 up





★ コメント ★

2010年の58day話です
同居して、少し経って
お互いを考え始めた頃って感じです
端から見たら、お前等何してんだ(三蔵談)な2人です
両想いバレバレ
けど、臆病なんで(好きだから)
なかなか先に進めないお二人さんです
こんな2人が好きな私です(笑)





モドル