セロリ 〜
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あのな それでよ つまりはさ
えーーっと そっそれそれ だからさ
俺 お前のコト スキなんだわ
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ソワソワする。
八戒を見てっと。
前はこんなコトなかったってのにさ。
前はハラハラだった。
八戒を勢いで引き取って、1年チョイ。
初めの頃の毎日の暮らしは、そりゃあぎこちないったらなかった。
大体、こんな近くで他人を受け入れるのなんて双方初めてじゃんか。
俺は周りを他人で埋めて。
八戒は姉ちゃんだけで。
よくよく考えっと、無防備?
丸腰の1対1…なんだよなあ。
結構、バカ?
時々、ボーズとサルが様子を見に来るつーか。
人ン家の食料漁りに来る。
俺はほっとくけど、八戒は歓待する。
その様子を見ると、キチッと胸が痛くなる。
ご近所用とは又違った笑顔を見せる八戒と見せられるアイツらに。
八戒は常に笑ってる。
それがアイツの防御だって知ってる。
だから、アイツの笑うは心からのじゃナイ。
だからだよなあ、俺は八戒の笑った顔が見たい。俺に向けて欲しいと思ってる。
色々考えてっと、グルグルしてくるんで。
適当なトコで打ち止めて、俺は八戒をジッと見るクセがついた。
付き合いが上手いのも柔らかいのも、八戒の努力の賜。
そーやってきゃなきゃ、八戒が保たねぇ。
自己防衛。
それを責める気も治せとか説教垂れる気はナシ。
そんなの目クソ鼻クソ。
俺も同じ。
俺は八戒の親じゃねえ。
救うなんてご大層なコトする気もねえ。
とどのつまり。
俺は八戒にナニをしてやりてーんだろう、な。
なんて、突き詰めたら意外にも簡単に判っちまった。
俺は八戒がスキなんだってな。
一緒にいてえんだってさ。
男だし、妖怪だし、性格合わねえし、で。
難癖山ほどだってのに、いっこイイと思っちまったら、もおオシマイ。
認めちゃった方が楽。
だから、やれるコトやって、少し頑張って、八戒の傍にいるんだよ。
そう決めたんだよ、俺は。
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「悟浄、珈琲のお代わりはどうしますか?」
「いる」
「はい、どうぞ」
「サーンキュ」
八戒の淹れるコーヒーは絶品。
これは文句ナシ。
外で飲めなくなる程に。
けど、文句があるとしたら、この味を知ってんのがもう1人いるってコト。
あのクソボーズ!
「悟浄、どうしました?」
「へ?」
「眉間に皺、寄ってますよ、三蔵みたいに」
「けっ、アレと一緒にすんなよ」
「機嫌、悪くしちゃいました?」
「した」
「直して下さいよ、折角の誕生日なのですから」
「八戒がキスしてくれたら直す」
「それでいいのですか?」
「それ以外じゃ直さねえ」
クスクスと笑った後に、一瞬戸惑った表情をする八戒がスキだ。
ゆっくりと、それでも八戒らしい小さなキスをくれるのが、スキだ。
同じコーヒーの香りのする、味のするキス。
面倒事はキライな俺だけど。
八戒と一緒にいる為の努力は、出来るだけするんだよ。
――つまりさ、俺は八戒が、単純にさ、スキなんだ。
2010.11.10 up
★ コメント ★
2010年の悟浄誕生日話です
原点回帰
どうにも出会った頃の2人が、自分的には好きなので
こうした話になりました
旅に出る前の2人っきりの生活
些細な事でも
人から見たら何気無い事でも
2人なら意味が出来るって、そんな話です
…あんまり誕生日らしくないけど(笑)
一日遅れたけど、お誕生日おめでとう、悟浄vvvvv
モドル