闇 夢
by 遙か
思い通りにならない事なんて
一杯ありました
今更
それが一つ増えた位で
何があると
言うのでしょうか―――――
「いいよ、王子さまv
お姫さまは、キミの好きにして。
そうそう、お部屋に招待してあげたら?」
一種、機械的な動きで。
紅孩児さんは僕へと近付き、僕の動かない身体を抱き上げました。
「どうぞv
2人きりの世界に行って来ていいよ。
邪魔なんかしないからねvv」
腕にも足にも、力が入らず。
糸の切れた操り人形みたいに。
抱き上げられた為に、僕の手足はブラブラとしています。
「じゃあねv」
ひらひらとした掌が、目の端にうつりました。
それを見たくなくて。
僕はぎゅっと目を瞑り、視界を閉じ…。
唇を噛みました。
絶望が、身体の隅々に広がって行きます。
いくら、助けを求めても。
誰も助けてなど、くれません。
そう…いつも。
僕にとって、悪い方がその通りになるのですから……。
静かに、ベッドのシーツの上に、横たえられました。
髪を梳かれ、ホホを撫でられ。
服を一枚一枚、脱がされていきます。
言葉が不要な、この部屋で。
僕は、これから紅孩児さんに抱かれます。
心を無にした、sexを。
だから、大丈夫…大丈夫…。
僕が愛しているのは、悟浄一人だけなのですから。
心は裏切らないのですから。
ぎしり、と。
ベッドの軋む音で、紅孩児さんが近付いてきたのが、分かりました。
そして、僕のあおむけの身体に。
ぴたり、と。
重ねる様に伸し掛かってきました。
素肌が、体温を感じ取ります。
静かに、降りて来る、唇は。
2、3度啄んでから、深く合わせられ。
舌を絡められる。
呼吸が苦しくなってきたところで。
見計らった様に、解放されて大きく息をつきました。
生温い口の中の感触が、気持ち悪い…です。
混じり合った、口の端から流れる唾液を拭いたいのに。
手が動かないから出来なくて、不快感が募る。
耳朶を甘噛みされ、首の根元に痕を残される。
両の乳首は、指で摘まれ、舌で嘗められ。
じわじわと、熱を持ち始めています。
腹部の傷に、手が進んだ時は嫌悪感で硬直してしまったけれど。
さらりと、手が移動して行った事に、ほっとしました。
けれど、無防備な陰茎をやわやわと揉まれ始めて。
悲鳴を上げそうになりました。
悟浄の手ではないのに。
悟浄の手の様に。
反応していく自分が嫌で、涙がこぼれました。
紅孩児さんの頭が、下へと移動して行きます。
首を動かせない僕は。
何をされるのかは見えないけれど、される事は予想出来ます。
…案の定、手の次には、陰茎が口に銜えられ。
舌で、愛撫され始めました。
快感を素直に追えるように、優しく丁寧に嘗められる。
そんな与えられる熱を止めたくて。
シーツを掴む事で耐えたいのに、指が動かないんです。
膝裏を掬われ、大きく足が開かされたのが分かりました。
腰が浮き、その下に枕を宛がわれる。
指がすぼまっている空洞へと、おしこまれました。
1本目が、中を確かめる様に、ゆっくりと動く。
2本目が、中を広げる様に、ばらばらに動く。
3本目が、中に道を作る様に、出し入れを繰り返す。
暫く続いたその行為が中断されました。
僕の右足が、紅孩児さんの左肩に掛けられると。
挿入が開始されました。
重くて…熱くて…気が狂いそうな力が。
僕の中へと、撃ち込まれる。
動けない身体。
出せない声。
流れる涙。
僕は悟浄のモノなのに。
悟浄以外のモノを身体に受け入れてしまった……………。
「悪いんだけど、コレ、捨てておいてくれるかな。」
ドサッ、と。
鈍い音に、独角?と八百鼡は目を瞠って、床に転がされたモノを見た。
ニィ博士が、まるでぬいぐるみを投げ捨てる様な、気軽さで。
落されたモノに、ふたりは驚愕するしかなかった。
「八戒さんっ!?」
「おいっ、これはどういう事だっ!」
「壊れちゃったんだョ。
だから、捨てるの。
仕方ないでしょ?」
ふたりで、意識の無い八戒を庇い、ニィ博士を睨み付けるが。
飄々と、その視線を交わし、背中を向ける。
「王子さまのお気に入りのおもちゃだったんだけどねぇー。」
残念そうな言葉で、含み笑いをしながら。
立ち去るニィ博士を。
ふたりは、どうする術も無かった―――。
2002.8.22 UP
☆ コメント ☆
頭の中で、腐らせて終りにするつもりだった、紅八です〜。
タカコさまが、欲しいと言って下さったおかげで。
日の目を見る事が出来ました・笑。
サイト開設のお祝いなのに。
こんなに遅くれるわ…内容はどっしよーもないわで。
大変、申し訳ありません。ぺこぺこ。
お受け取り下さると、嬉しいです。
勿論、返品は可能ですのて・笑。