キミノヒトミニコイシテル
by 遙か
まずは、当然の如くで、キスから。
手順ではなく、お約束。
互いの、違う、煙草の味を楽しんで。
戯れつつ、唇を――舌を甘噛みして。
丁寧に、丁寧に。
吐息と唾液を混ぜ合わせてから。
大抵、いえ、殆ど。
ベッドに、躰を横たえるのです。
その寝室の持ち主の捲簾大将と。
その恋人となっている天蓬元帥は。
……………。

下界への討伐組と天界での事務処理組。
この二手に分かれてしまったのが、十日前。
元帥がいい加減、お仕事にクサクサしていたトコロに。
思いの他、手間取ったのに、イライラしつつ大将のご帰還。
天帝への挨拶だけは、済まして。
事後報告も、書類作りも、直属上官への顔見せも。
ぜーーーんぶ、パスして。
部屋の鍵だけは、しーーーっかりと、閉めて。
お互いの躰を強く、抱き締め合って。
ベッドに倒れ込んだのが、中空の月の頃。

ネクタイは、さすがに苦しいだろうと思って。
最初に外してやった。
あと、Yシャツの釦もな。
外しとかねえと、天蓬の肌に触れないもんな。
んだけど、白衣は脱がしてねえから。
Yシャツと一緒に、肩と腕に引っ掛かったまんま。
抜き取ってやれば、いいんだろうけど。
ちと、そこまで、まだ、俺にも余裕ナシ。
とにかく、コイツを抱きてえんだ。
抱きたくて、抱きたくて、仕方なかったんだって。
天蓬の躰を、さ。
十日前に付けておいた痕が、薄い紫に変色してんのを。
半分、噛み付くカンジで、もう一度、濃い赤に変える。
こっちの色の方が、天蓬の白い肌に似合うんだ。
薄い胸。
薄い腹。
骨の形が、うっすらと見える、細い躰。
力加減を間違えたら、折っちまうんじゃないかと、錯覚するが。
そんなのを払拭する様に。
天蓬の躰は、柔軟でしなやかで、俺に馴染んでいる。
鎖骨の浮き出たトコを舐められるが、苦手。
首を竦めて逃げを打つが、更に追い掛けてやると、溜息を付く。
両方の乳首を刺激して、立たせてから潰されるのが、苦手。
断続的に、小さな悲鳴が上がる。
左の脇腹を指の腹で、何度も往復されるのが、苦手。
細い指が力無く、引き剥がそうと、無駄なコトをする。
まだまだある、天蓬の苦手なコトは。
カンジ過ぎるから、躰が敏感過ぎるからだ。
良く精神が鈍感なヤツは、躰が敏感体質ってゆーけど。
天蓬は、モロ、それ。
本人、知ってんのか、知らねえけどよ。
その体質を更に育ててんのは、俺だよなあ。
うんうん。
これは、褒めたって、イイよな。
「け……ん、れん。」
「ん、どした?」
「……もっと、く、だ…さい、もっと…。
あ、なた…を…ぼく……に。」
あいよ。
力なく投げ出されている、ほっそい脚をひょいと掴み。
俺の肩へと乗せてしまう。
角度を持たせたコトに依って、これから俺を受け入れるトコが晒される。
白い肌の奥の部分は、夜の空気を感じたらしく、ヒクリと蠢く。
俺はペロリと、自分の親指を舐めて。
その部分へと、押し当てた。
「あっ。」
連動する様に、天蓬の躰が跳ね、声も上がる。
傷を付けない様に、ゆっくりと押し進め。
親指の根元まで埋まったトコで、残りの指で天蓬の尻を掴み。
もう片方の手の指を使って、天蓬のペニスを掴まえた。
「いっ、いやあ、け、けんれんっ。」
さっきとは、比べモノにならないくらいに。
天蓬の全身が、跳ね上がり。
次には、声をしゃくり上げ、躰を痙攣させ始めた。
全てを俺に開き切って、先を望む、その姿。
俺以外を堕とすのなんて、許さねえ。
指を引き抜き、俺は自分のペニスを。
天蓬の中へと、突き立てた。

光の消失点。
汗と荒い息と、熱い躰が心地良くて……。

「てん、ぽう…へっき、か?」
僕の上にいた捲簾が、腕を使って躰を支えて。
僕に重さを掛けない様にと、少しだけ躰を浮かせました。
でも、離れるのは嫌だったので。
力の巧く入らない腕に、何とか力を込めて。
捲簾の背中へと伸ばしました。
「…なん、とか…。」
躰は、悲鳴みたいに軋んでいて。
声は、喉が痛くて掠れていて。
平気の範疇からは、大幅に外れているのですけど。
今は、捲簾を離したくないから、多少の強がりを口にしました。
久々に見れた、至近距離での捲簾の顔。
ん?
あれ?
ああ、何か随分はっきりと見えるなって思ったら。
僕、眼鏡をしたままだったのですね。
随分と、間抜け、だったのですね。

返事をした天蓬が、急に、にこりと笑った。
その笑った顔が、滅多にない、無邪気な笑顔だったもんで。
俺は、ひとつ思い付いたコトを実行した。
いつもは口にしないが、俺は天蓬の笑顔に釣られて。
「好きだ。」
そう、一言告げると。
天蓬の顔が、ポカンと呆けた。
してやったりと、ニカッと笑い返すと。
一気に顔を赤くして、天蓬は横を向いた。
その拍子に、取らなかった眼鏡の裏側に溜まっていた、涙が。
つーーっと、シーツへと滴り落ちていく。
こんな綺麗で、可愛いヤツ。
離せっこない。
腕の中に、きつく抱き締め直しながら。
十日分にはまだまだ足らない、溜まってたモンを。
天蓬と楽しむ為に、俺はまた動き出した。
2001.11.5 UP
☆ コメント ☆
さて、久々の捲天の裏仕様ですv
えへへ
いつも、私の煩悩を刺激してくれる、遠藤さやさまより、リクを頂きましたん
さやさん、どう?
さやさんからの指定箇所
1.Hの最中に【好き】と言う
2.眼鏡したまんまのH
これを念頭に置いて、書き上げましたよん
なんか、めちゃくちゃ、楽しみつつ
ノリノリで、Hを書いた気がする
さて、このお二人さん
何回、ヤったら満足するのでしょうか・笑
