ピロー・トーク


by 遙か



「大丈夫か、八戒。」
「ええ、大丈夫です。」

と、口では【当然、その返事だろうと思ったが】言っているが。
八戒の顔色は、蝋のように白くなっていて。
痛々しかった。
ごめん。
体調崩してたんだもんな。
けど。
2人して、2人ともが、お互いが欲しくてさ。
始めちまったもんだから。
夢中に……いや、夢中になっちまうのが、当然の成り行き…だよなあ。

「悟浄。」
「ん、何だ?」
「あのシャワー、浴びたいので、躯、起こすのだけ、手伝って頂けませんか。」

それって、無茶じゃねーか。
自力で躯を起こせねーのに、風呂場に行くなんてよ。
風呂場で滑ってひっくり返る…心配もあるが。
その前に、風呂場まで歩けるかどうかも、怪しいぞ。

「悟浄?」
「ちょっと、待っててな。」
「あ、はい。」

俺はベッドから立ち上がり、1人で風呂場へと向かった。
洗面器を見つけ、その中に適温の湯を入れる。

はあ。
溜息と共に、俺は顔が赤くなっていくのを自覚した。
さっき。
ベッドから起き上がった時。
上掛けを捲った時。
一瞬だけ、目の端に捉えた、赤い色。
白いシーツに、はっきりと。

あれって、さ。
初めてっての、証拠だよな。
う、わぁ。
駄目だ。
俺、感動してる。
八戒の初めてが、俺ってコトに。
嬉しさが、止まんねえ。
駄目だ。
にやけんのが、止まらなねえ。
どしたら、いいんだ。



躯が、とても、怠いです。
でも、心は、とても軽いんです。

悟浄の全身に愛されて。
今の、僕はとても、満たされているのが分かります。

僕は、本当に悟浄が好きなんだなあって。
嬉しくて。
悟浄も、僕を愛してくれて。
そう、思うだけで、幸せになっていく。

悟浄、大好きですよ。


で、悟浄。
どうしたのでしょうね?
バスルームへ行ったっきり、まだ戻って来ない。

パタン。

「あ、悟浄。」
「待たせたな。」

え?
悟浄が手に持っているのは、洗面器とタオル。
え、どういう事なのでしょう…か。

「フロ、無理だぜ。そんな状態じゃ。
俺がやってやるから。」
「!! いいですっ。」

逃げたいのに、腰から下の痺れが取れていなくて。
身動き一つ出来ない。
悟浄の手が、足に掛かり。
閉じる力もないから、簡単に開かされて。

「いやっ。悟浄、止めて下さいっ。」
「動けないんだから、仕方ないだろ。気にすんな。」
「気にしますっ。」
「いいから、いいから。俺とお前の仲じゃん。」

口だけでなく、手もどんどん、動いて。
僕の身体は、悟浄によって綺麗にされて……。

「ほら、そんなに恥ずかしがるなよ。
お前の面倒は、俺が全部見るのが当然だろ。
ヴァージン、貰っちゃった責任は、ちゃーんと、取るさ。
それが男の甲斐性だもんな。」
「……………。」

新しいパジャマを着せられて。
新しいシーツに替えられたベッドで。
悟浄の腕の中に、抱き締められて。
僕は顔を真っ赤にしながら。
悟浄の与えてくれる幸せに、包まれていた。


2001.5.4  UP



☆ コメント ☆

Hの後のお話でしたん。
書こうと思ってたのに、忘れてしまってたので。
オマケとして、書いてみました。
好きなんですよ、こーゆーの。
しかも、八戒ってば女の子でしょ。
悟浄の庇護欲をばっちり刺激しておりますね。
何をゆうても、どんな抵抗しても。
きっと、かまいまくりでしょー。
それに、八戒も嬉しいんですものね。
あー、甘い、甘いって。



 おまけのおまけ

「ごじょーっ、八戒、どうだ?
大丈夫か?」
「ああ、大分いいからさ。
今日は静かに寝かせといてやってくれ、な。」
「う、ん。」
「頼む。」
「うん、分かった。」

「三蔵。」
「何だ。」
「俺が運転すっからさ、出発、明後日にしてくれ。」
「悟浄。」
「ん?」
「避妊だけは、しっかりしろ。
八戒にこれ以上、負担掛けるな。」
「人んちの家族計画に口出すんじゃねーの。
ちゃんと、肝に銘じてますって。」

翌朝の、悟浄と悟空、三蔵の会話でした・笑。