紅頭巾ちゃんと翠の瞳の狼さんのお話
by 遙か
むかしむかしのお話です。
ここ、西の森に、新しい管理役の狼さんが赴任して来ました。
狼さんの家系は、この森の代々の管理をしていまして。
それが一人前の証ともなるので、とてもとても緊張していました。
新しい管理の狼さんの名前は、昨日までは悟能で。
今日から、八戒となりました。
半人前から、一人前と認められる名前を授かり。
緊張はありますが、それ以上に張り切っていました。
管理用の家に、到着して。
早速、家の中の風通し、掃除、自分の部屋の整理整頓。
パタパタと、元気良く動きます。
そこへ、掃除の為に開けていた窓からひょっこりと。
顔を覗かせてきたのが、大きな金眼の人懐っこい子猿さんが顔を出しました。
「こんちわーっ、オレ、悟空ってゆーんだ。
あんた、誰? 何で、ここにいんの?」
「はい、初めまして、今日和。
僕は八戒と言います。今度、この森の管理を任せられた者です。
どうぞ、宜しくお願いしますね。」
「うん、よろしくっ!!」
にこにこ、ほのぼの。
その日は、子猿の悟空に手伝ってもらいながら、家の中の片付けをして。
その時に、色々と森の様子を聞いた八戒は。
一日も早く、この森に慣れて、頑張ろうと力強く張り切っておりました。
「八戒ーっ、こんちわーっ。」
「はい、今日和、悟空。
そちらの方は、どなたですか?」
「うん、昨日話した、三蔵っての。」
悟空が連れて来たのは、紫の目をした兎さんでした。
「ああ、そうですか。三蔵さん、八戒と申します。
どうぞ、宜しくお願い致します。」
「ん。」
昨日、悟空に聞いていた通り、本当に無愛想で。
八戒は内心びっくりして、小さく微笑んだ。
直感というもので、仲良くなれそうだと分かって。
「今、お茶を淹れますから、どうぞ寄って行って下さいな。」
「わーい、お菓子ある?」
「クッキー作っておいたんです。
悟空が今日も来てくれるって言っていたから。」
「わーーいっ!!」
「バカ猿、煩い。」
「うるさくねーよー。」
「オレが煩いって言ったら、煩いんだ。」
「何だよ、それー。」
急に目の前で繰り広げられた、掛け合い漫才。
八戒は、目を丸くしたが。
これが、彼らの日常なんだと分かると。
更に更に、楽しくなって。
良い処に、勤められたなあ、と。
しみじみと。
この時は、思っておりました……。
「んー、良いお天気ですねえ。今日は。」
朝から、ぽかぽかの良い天気。
八戒は、うーんと、背伸びをして新鮮な空気を吸い込んだ。
「じゃあ、今日は予定通り、森のパトロールに出掛ける事にしましょうか。」
えいっ、と。自分に気合いを入れて。
八戒は森の中へと歩き出して行った。
あちらこちらへと、顔を出して。
新任のご挨拶をして回っておりました。
この森は、本当に穏やかで、皆、新参の八戒に気を遣ってくれて。
『これから、宜しく』と、気軽に声を返してくれて。
八戒は、本当に嬉しい気持ちでおりました。
「さあ、そろそろお昼ですから、一旦帰りましょう。」
そう言いながらの、ご機嫌での帰り道。
道の端、繁みから細い煙が上がっているのを発見して。
八戒は『火事っ!』と、近くの樹に設置してあった消化器を手に。
思いっきりその繁みに、消火活動をしたならば。
「つめてっ!」
「えっ。」
「誰だっ!!」
がそごそと、繁みの奥から出て来たのは。
大柄の、紅頭巾を被った、銜え煙草をした……。
煙草――火事じゃなかった。
瞬間、八戒は自分の勘違いを悟り。
慌てて、頭を下げました。
「済みません。火事かと思ってしまったんです。
僕の家が直ぐ近くですから、洗濯します。」
必死に自分の非を謝り捲る八戒を。
怒りの頂点で怒鳴り込んでいた、その相手は。
八戒の姿――顔――全身をしっかりと、見やってから。
にやりと、笑いました。
八戒は、全く気付きませんでしたが。
「じゃ、そーしてもらおっか。」
「はい、どうぞ、こちらです。」
心底済まなそうにしている八戒の後。
質の良くない笑みを浮かべた、一応の被害者がくっついて行きました……。
「本当に、済みません。ご迷惑をお掛けしてしまって……。」
洗濯を済ませた処で、シャワーを浴び終えた人物と鉢合わせをして。
八戒は、又、深く頭を下げた。
「それと着替え、大きいのがなくて済みません。バスローヴで……。
あの乾くまで、良かったらお昼を作りますので。
お詫びの代わりに召し上がって頂けませんか?」
完全に自分が悪いと、恐縮しまくっている八戒の言葉に。
「んじゃ、ご馳走になっか。」
と、返事が有り、八戒はほんの少しほっとしました。
「あー、美味かった。あんた、料理上手いな。」
「お口に合って、良かったです。」
食事をしながら、話をしていて。
だんだんと、雰囲気が打ち解けていました。
八戒が、自分の事を話すのと同じだけ。
相手も話してきたので、色々な事を知りました。
先ず、名前は悟浄。
この森に代々住む、紅頭巾一族の一人で。
紅頭巾の着用が、義務付けられているときの事。
但し、一族の問題児で、飲む打つ買うの三拍子揃った放蕩児との。
正しい噂は、黙っておりましたが。
「コーヒーのお代わり如何ですか。」
「――ん、ああ、貰おうか。」
「はい、少し待ってて下さいね。」
かたんと、軽い音を立て。
いそいそと、コーヒーを淹れに行くその後姿を。
悟浄はじーーっと見つめていた。
『うーーん、どっからどう見ても、オレ様の好みにバッチじゃん。
やっぱ、このチャンスを逃す手なんかねーよな。
よし、即実行。』
がたんと、勢い良く椅子が音を立てた。
「あれ、どうしたんですか?」
「ん、喰いたくてさ。」
「…足りませんでしたか。だったら、クッキーがありますから。」
「いや、こっちが喰いたいんだ。」
「え、こっちって?」
疑問に対する答えは、言葉でなく態度で返された。
八戒の躯が、悟浄の腕に乱暴に反転させられて。
きつく抱き込まれて、唇を強引に奪われてしまった。
一気に追い込まれるような、口吻。
息が出来ず、息が整わず。
抵抗を許されず、絡め取られる。
「……ぃや…やめ、て……くだ…さぃ。」
「止めない。」
「あっ。」
腰を密着させられ、刺激するように、動かされる。
悟浄の熱が、いやでも分かる、その動きに。
八戒の躯が、反応を返す。
心は拒絶しているのに、躯が受け入れ始めていて。
八戒は、自分で自分に驚いて、目を見開いた。
「ほら、気持ちイイだろ。一緒に気持ち良くなろーぜ。
オレ、上手いからさ。任せときなって。」
「あっ…ぁぁ、いやっ……やめて、…やめて、くだ…さぃ。」
「絶対、止めねーよ。」
強引に、連続して3回、八戒は達かされて。
八戒は息絶え絶えに、自分のベッドの中へと沈み込んだ。
息がどうしても整わない。
荒れ狂った熱に翻弄されて、思考が纏まらない。
自分の腕が――脚が、どうなっているのか。
感覚が、無くなってしまっていた。
「気持ち良かったろ?」
耳元に、悟浄の唇が寄せられ、柔らかい部分を甘噛みされながら囁かれる。
その低音に、八戒の躯がぞくりとしてしまう。
「脚、自分で広げてみ。もっと、気持ち良くしてやっから。」
潤みきっている瞳を一回閉じて。
巧く動かない脚を左右に、少しだけ開いた。
「よし、イー子だな。」
悟浄の言葉に、素直に従った八戒に気を良くして。
悟浄は八戒の膝頭を掌でくるみ込んでから、手伝うように大きく開かせた。
薄紅色のペニスの奥。
慎ましく、少しだけ色濃くした紅色の八戒の蕾が、悟浄の視線に晒される。
経験の豊富さから、悟浄は未開の場所だと、直感した。
兎に角、焦らしてやろうと。
啼きが入るくらい、快感で追い詰めてやろうと。
そこを集中的に、責め始めた。
1本の指と舌。
丁寧に、傷付けないように。
丹念な動きで、入口の浅い箇所を解してゆく。
緊張で強張っていた、柔らかい肉が。
少しずつ弛んでいくのを、指の先からの感触で確認し。
後続の為の道を拓いていく。
未体験故の、怖がっている裡の肉が、悟浄の指を愉しませる。
怖がらせず、痛みを与えず、微妙な動きで撫でさすってやっていたら。
ある一点で、啼き声のトーンが高くなり。
指を銜えさせられている裡が、とろけ出すように、柔らかくなっていった。
2本目。
慎重に、3本目と。
指を増やし、裡を広げ、受け入れさせる準備を施す。
くたりと、投げ出されていた腕を悟浄は自分の首へと回させ。
八戒の細い腰を固定し、有無を言わせず、侵略を開始した。
途端、甘い息が、悲鳴へと変わり。
弱々しくも逃げようと藻掻く。
それを口吻で、呑み込んでやり。
両腕で全身を抱き締め、抑え込む。
八戒の紅く染まった目元から。
真珠に良く似た涙が、零れ落ちていった――。
あれから。
八戒からは、強姦でしかなかった行為の後。
悟浄は同意の上とばかりに、八戒への権利を主張し。
初めてなのに、回数をやられ過ぎて、日常生活を送れなくなった八戒の世話をするを名目に。
そのまんま住み込み始めた悟浄の、意外な甲斐甲斐しさに。
少しずつ、心を許し始めている八戒がおりました。
そして。
少しずつ、自分に笑顔を向け始めている八戒に。
この次は、何をしようかとの企みをおくびにも出さない悟浄が、おりましたと、さ。
めでたし、めでたし(……一体、どこがでしょー、 ^_^;)。
2001.6.26 UP
☆ コメント ★
お待たせして、申し訳ありませんでしたm(_)m。
はい、カキコbT8をGETして頂いたYきさんからのリクエストですv
最初は、赤(翠)頭巾ちゃんと狼さんの話、だったのですが。
そっかあ、そーいえば…紅頭巾ちゃんでもいいかなあと、翠の目の狼さんでも…。
と、メールしましたらOKを頂けちゃいましたので。
こーなりました。ははは。
如何なモンだったかな…ドキドキ。
返品は可能ですので、内容をご確認の上、ご判断下さいね、Yきさん。
では、皆様よりのご感想をお待ちしてまーすvv