【 天然素材 】



by 遙か



あまり、実感がなかったのですよね。
この躰に――何の神様の悪戯か知りませんが――女性の躰になっても。
いえ、違和感は勿論、あるのですけど。
非日常を過ごしてばかりいるせいですかね。
僕ばかりか、他の皆さんも、あまり気にしていないというか。
影響が無ければ、いいみたいで。
だから、僕も気にしてはいなかったのですけど。
なのに、最近――。
悟浄の様子が――おかしいんです。
僕に対する態度が……。
それが、とても気になってしまっているんです。
どこか、僕に至らない処があるのでしょうか。



絶世の美女。
なあんて、陳腐な単語しか出てこねっえてのが、情けねえくらい。
女化した、八戒は美人過ぎ。
成熟の半歩手前ってなカンジでよお。
すっげえ、危うい色気があってよお。
それを本人が意識してねえから、余計にヤバイ。
元が細くて、痩躯っての?
それに華奢ってのが、加味されてさ。
いつも通りに、世話されんのも俺の方が意識し捲り。
参ったよなあ〜。
まあ、元から参ってんだけどよ、八戒に。

なあ、八戒。
俺、お前に手出してえんだけど、いいか?



そ、そんな改まって言われると。
何て返事を返していいのか、僕、困ってしまいます。

悟浄、どうして、あなたってそう唐突なんですか。
…いつもの事ですけど。
もお、仕方のない人ですね。
そんな事、一々聞かなくても、
僕はいつでもあなたの物なんですよ。
分かっているでしょう? ねえ、悟浄。



キス、から始めた。
ベッドの上で、向かい合って。
八戒の指と指の間に、俺の指を絡めて。
何回も何回も、キスをする。
息が熱くなる。心臓も早鐘打ってる。
こんなに緊張する、セックスなんぞ初めてじゃないか?
ガキん時にした、初めての比じゃねー位に緊張してるぞ。
「……ご、じょお。」
少し、高めの、声。
八戒は俺とのキスが好きで、いつもこれで、躰の緊張を解いていく。
「――ん、八戒。」
キスしたまんま、頭の後ろン処を支えて、
背に掌を当てて八戒の躰を横たえる。
直ぐ、上に乗っかりてえんだけど、今日の八戒は胸があっから。
俺は横へと躰をずらした。
うわっ、すげっ。八戒の胸。
隆起してるってのか? 横になってんのに、崩れてねーよ。
細身のくせに巨乳ってヤツ?
しかも…乳首……桜色…薄い、ピンク色。
……鼻血、出すなよ、おい、自分。
「…ごじょう?」
「ん?」
「あの…ぼく、の…躰…どこか、変…ですか?」
「まっさかあ、違うって見取れたの。
あんまし、綺麗だからさあ。」
「……よかった…変、じゃ…なくて…。」
八戒の躰から、小さく息が抜ける。
俺の一挙一動に、八戒がこんなにも顕著に反応してしまうのに。
胸ん中が熱くなる。
「お前がイチバンだって。
俺にとって、女でも男でも、さ。」
「ぼく…にも、そう…です。ごじょう、は……。」
じーーーんと、感動。
八戒にここまで言われたら…言わせたら、ば。
「絶対、優しくすっから、安心しててなv」
「はい、ごじょう。」
花が綻ぶどころじゃない、笑顔をしてくれた八戒の胸に。
俺は顔を埋めていった。



朝。
目がうすぼんやりと開いた俺に。
「おはようございます、悟浄。」
と、八戒の声が掛けられた。
「ん。」
目をぱちぱちとすると。
窓から差す朝日を背に、俺の隣で。
ベッドの上にちょこんと躰を起こしていて。
胸をシーツで隠して、にこりと俺に微笑んでいる八戒がいた。
「悟浄のシャツ、貸して下さいね。」
そう言って、八戒は俺のシャツを軽く羽織って。
「コーヒー、淹れますね。」
ベッドから脚を降ろして、立ち上がる。
俺も続いて起きあがり、八戒を後ろから抱き締める。
八戒の感触を――甘い匂いを――全てを満喫しながら。



2001.8.27 UP



☆ コメント ★


SIMOONのトモコさんに捧げます。

トモコさ〜ん、出来たよ〜。
頂いたイラストに刺激されて、それに添える話の筈…なんだけどお。
あれっ? こんなモンしか、書けませんでした〜ごめん(>o<)
半ば、強引に書かせて貰ったのに〜、未熟者で。
トモコさんとは、最近、女の子で盛り上がってて、へへへ、嬉しいです。
又、メールで、ヤバイ女の子話をしましょーねv