最上階から愛を込めて…



「…はい。はいそうですか。判りました。ではお疲れさまです…」
受話器に向かって話しかけていた八戒が接続を切る。
「…ふぅ…」
「今のは営業の独角部長ですか、社長?」
お疲れさまです、と温かいコーヒーを差し出されて。
「…はい。玄奘商事の契約が取れたようです。これで一安心ですね…」
すぐ傍で微笑む秘書に、微笑み返した。



有数の大手企業、天竺物産。
そんな会社の社長と言えば、普通は定年間際のオジサンだと思いがちだが。
何故かこの会社の社長は、大学を出たばかりの22歳の青年なのだ。
「それはおめでとうございます。では社長。そろそろお帰りになられては?明日もお早いですから」
時刻はそろそろ午後9時。
連日連夜、会社で仕事をしている八戒の疲労は限界に近い。
それでも…。
「…いえ。僕はまだこの顧客リストに目を通したいので。…貴方はお先に上がって下さい」
沙さん、と秘書の悟浄に声を掛ける。

八戒が社長に就任してから、まだ3ヶ月。
入社してから半年。
この矛盾の原因は何かと言うと、八戒は所謂『社長の息子』だったことだ。
いずれ後継者にと、大学を卒業後、この会社で働き始めたものの。
すぐに父親が病死してしまったのだ。
正直、もう会社の経営権など得られないだろうと思っていたが。
父、悟能の人柄のせいか、上層部の人々から新社長は是非八戒に、と。
白羽の矢が立てられたのだ。
その後、沢山の人の手を借りて何とか社長業をこなしてこれた八戒にとって。
一日でも早く、立派な社長になりたいという思いが強いのは仕方のないことだろう。

「社長、いけません。体調を崩されては困ります」
「…でも…」
そんな押し問答が繰り広げられて…。
ふう、と悟浄が溜息をつき、後ろで一つに纏めた紅い髪を解き、こう言った。

「―いい加減にしろよ、八戒。また熱出すって言ってんだろ?」
「…悟浄」
たったそれだけの変化で、『切れ者の秘書』からまるでホストのような風貌になる悟浄が。
小さな子供のように、社長である八戒を叱りつける。
「…ご、ごめんなさい…」
しゅん、と項垂れて。
到底抗えない相手に服従の姿勢を見せる。
悟浄という男は、秘書であり、お目付け役であり。
…そして、それよりも八戒にとっては、『兄』のような存在なのだ。
実際に、代々猪の家に仕える沙家の人間である悟浄は。
八戒が物心ついたころには、もう傍にいて。
厳しく、時に優しく躾てくれた。
そんな悟浄は、八戒よりも八戒のことを知っていて。
体調のことなど言われたら、言い返す言葉も無い。

「眠らないっつ〜んだったら…眠らせてやる」
「―え?…んンっ」
唇を奪い。
悟浄の指が八戒のネクタイを解いて前を開かせる。
シュルリ。と乾いた音が響いた。
八戒が呆けているのをいいことに、その薄い躰を腕の中に包み込み、軽々と持ち上げる。
「ご、ごじょっ!」
黒革貼りのソファにその身を沈めさせて。
手馴れた指が背広のスラックスを剥ぎ取る。
下着も奪われ、八戒の下半身は何も覆い隠すものが無い。
「ヤっ!」
値踏みでもするように見つめられて、羞恥心を煽られた八戒が悟浄に背を向ける。
「随分積極的じゃねーか…」
コロリと反転したせいで、八戒の白い双丘が悟浄の目に晒された。
いつも悟浄の前では冷静な判断が出来なくなってしまう。
「ち、違いますっ!―くぅ…ん」
ジタバタともがいてみたところで、抗いきれるはずもなく。
尻の谷間を濡らされ、甘く鳴かされる。
全身から力が抜け、悟浄が与えてくれる快感に溺れていくのを感じていた。
兄のような悟浄。
そんな彼が何よりも大切な“恋人”になってから…もう5年の月日が流れようとしている。
数え切れないくらい抱かれたはずなのに、未だに慣れないこころが。
すっかり慣れてしまった躰に追いつけない。
「―あっ!だ、めぇ…」
そんなことはすっかり御見通しとばかりに、背後から悟浄が軽く笑う。
「もう、挿れる…ぞ?」
八戒の答えも待たずに、凶器を細い躰に突き刺した。
「――アーッ!あ、あっ…ふ…ア、あ、ンっ!あっあっ…!!」
背後からの衝撃に八戒は何度も嬌声をあげると。
「――!」
あっけないほど簡単に、その意識を手放した…。



「…ん」
眩しさに目を覚ますと、そこは社長室のつづきの部屋であった。
いつ仕事で帰れなくなっても良いようにと。
先代が作らせていた部屋の仮眠用ベッドの上で眠らされていたようだ。
ここには簡易のシャワーも備え付けてあり、なかなか快適なのだ。
「―社長、お目覚めですか?シャワーでもなさったら如何です?」
如何にも秘書然と丁寧に声を掛けてくるのは…悟浄しかいない。
もう既に身支度を整えている彼は、ニコリと笑うと。
「…それとも浴びさせて欲しいか…?」
羞恥心を煽るように、耳元で囁いた。
「―なっ!結構ですっ!(///)」
火が出そうな程、赤い顔で怒る八戒を見て、楽しそうだ。
八戒が眠っている間に用意したサンドイッチを袋から取り出して。
「…ゆうべの残業費。今夜でも払ってくださいね?」
勿論、そのお躰で…と。
厭らしく笑うと、八戒の甘い首筋に唇を落す。
「―あっ!…こんなに明るいのに…!やっ!」
まだ夜じゃありません、と暴れる八戒の躰を容易く捕まえた。
「まだ他の社員たちが来るまでに1時間ほどの猶予が有りますからね…社長v」



最上階からは…朝っぱらから甘い甘い声が聴こえたとか…
どうかは定かではナイ(笑)。


End


魚住さまのアトガキ

西国さまの1万オーバー時に「何か贈るね」と言っておきながら
無茶苦茶、日が経ってしまいマヌケな作品です(汗)。
オメデトウゴザイマスv(笑)
遥かさんからのリクエストは
『社長・八ちゃんと、有能な秘書ゴジョ』←驚!
ということでした★
悟浄が有能って!と衝撃を受けながらも
書いててちょっと楽しかったですv
しかし…八ちゃんは17歳んときに
ゴジョのお手付きになったんかいな。
自分で驚きやわ。くっそ〜、ムカツクったら!(笑)。
…こんなお馬鹿な作品ですが、可愛がってやって下さいね、遥かさんv


遙かのCOMMENT

B&Bの魚住涼さまより、超絶なモノを頂きましたv
ウチのサイトの1万ヒットのお祝いでv
ありがとうー、涼さーん、愛してるからねvv
うん、可愛がっちゃうよ〜♪

ところで、リクを送ったら↑みたいに、驚かれたんで
夜が有能な秘書で、いーよ、と返したの
そしたら
特に夜が有能な秘書を書いてくれました
ほおら、楽しかったんじゃないか・笑
夫婦して、ベタな話、好きだもんねvv

しっかし、17歳って、淫行に引っ掛かかんないの?
それと、ゴジョって一体、幾つなの?
すっごい、気になるよ、涼さん・笑