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6月12日
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午後8時ちょうど。 汽笛と共に僕を乗せたフェリーが岸を離れていく。眼下に
は見送りに来てくれた友が大きく手を振っているのが見える。 果たして再び、
元気にこの街に帰れるのだろうか...
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出発当日にもかかわらず慌ただしい一日を過ごしながらも、なんとか準備を整え
た僕は、仙台新港フェリーターミナルへと向かう。
乗船指示のアナウンスに従い、僕はマシンに火を入れ車両デッキへと進んだ。
フェリー特有のオイルの匂い、これが今日から始まる僕の旅への期待と不安を、
いやが上にもかき立てる。
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港の明かりが遠くなった頃、僕は餞別にもらったジャックダニエルを握りしめ、
甲板の上で潮風に身をさらす。6月という季節柄まだ少々寒いが、バーボンで火
照った肌には心地よい。
いい加減酔いが回り始め、このときのために買ってきたハーモニカを取り出し吹
いてみる・・・・・・
やはりヘタっぴだ(^^;
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6月13日
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早起きの爺さま婆さまの声にたたき起こされ、眠い目をこすりながら甲板へ出る。 冷たい風が、
北海道だ!と言う気分を盛り上げる。 軽く朝食を取り荷をまとめ、 いよいよ上陸だ。 まずはR36
からR276へ。いきなり鬱蒼とした森の中を 抜ける直線路。僕はヘルメットの中で雄叫びをあげな
がら、アクセルを煽る。 最初の目標は支笏湖、そしてその途中に口無沼へ至るダートがある。
大量の荷を 積んだ状態でのダートは不安でもあったが、固く締まった浮き石の少ない路面は意外と
快適に走れ、なんなく口無沼へ到着。地元の4輪の釣り人グループと談笑 しながら、休憩を取る。
さて、出発だ。ところが、一路、支笏湖を目指そうとしたモノの道に迷ってしま ったようだ。何しろ
主要な地名も未だ把握しておらず、道道の表示を見てもどち らに向かっているのかさえ分からない
のだ。 途中、支笏湖の方面へ向かうらし い林道があったが、なにしろ支線が多くて話にならない。
1時間ほどうろついた 挙げ句に元に戻ってしまった(苦笑) 仕方なく道道に戻り支笏湖へ。 湖面の
向こうには恵庭岳を望み、1週間前にシ ーズンを終えたというツツジの花が風に揺れる。
R276美笛峠を越えてR453へ。快適な高速巡航だ。 さて、今夜の宿泊はどこにしようか。洞爺湖
周辺のマップを睨みながらキャン プ場を探し、人気も少なく気ままにできそうな「林野弘済会キャンプ場」
へマシ ンを乗り入れた。 洞爺湖の湖面に映る夕日を見つめ、今まさに北海道にいると いう実感を噛み
しめる。
初日の夕食は「アスパラベーコンのトマトソース煮」。夜はなかなか火のつかな い焚火に四苦八苦しな
がら、ハーフボトルを空けた。
本日の走行距離 135km
洞爺湖から望む日没
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6月14日
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テントの朝は早い。洞爺湖を7時に出発しR37にて長万部へ。 意外と暖かい
と思っていた北海道だが、やはり徐々に寒さを増してきた。静狩峠に至って、ま
さかと思って持ってきた冬用のジャンパー(東京では真冬でもコレ一枚で十分と
いうもの)を取り出した。
長万部は毛ガニの街だ。何の気なしに入った土産物屋では店のおばちゃんや
常連のタクシー運転手のオッサンと30分ほど話し込み、道南全般の情報を得る。
時間に余裕があったのでマップで温泉をチェック、森町にある濁川温泉で冷えた
体を温める。ご主人はいわゆる自称アウトドアオタクと言うことで、道内のいろ
んなキャンプ場の情報を仕入れることが出来た。
さて、今夜は北海道を訪れるツーリングライダーのメッカのひとつ、東大沼キャ
ンプ場だ。大沼を一周するワインディングを駆け抜け、ついに点々と並ぶテント
郡を発見! しかし湖畔に至る入り口が見あたらない。
あのテントに横付けされたマシン群は何なんだ?!と途方に暮れていたら、1台
のセローが現れ「着いてこい!」のサイン。サイトまでの迂回路を抜け、やっと
たどり着けたのだった。
テントを設営しガイド役のライダーに挨拶を済ませたところで、日中走りに行っ
ていたライダー達が続々と帰ってくる。
なにしろ6月の北海道だ。まっとうな職に就いている奴等なんていやしない(笑)
ライダーのくせに走りにも行かず、日がな一日、黙々と切り株を削ってハンドメ
イドの灰皿造りに精を出すヤツ、沖縄から始まって1年も走り続けていると言う
チャリダーのおっさんなどなど、愉快な連中ばかりだ。
その時一台のマシンが。見れば女性ライダーである。みんなが僕に迎えに行けと
目配せをする。すでに本性を見抜かれていたようだ(笑) おもむろにブーツに足
を突っ込みエンジンスタート! 失敗したら笑い者になるかも知れないという
多少の躊躇はあったが(笑)、自分でも惚れ惚れするようなアクセルターンが見事
に決まり、カウンターを当てながらダッシュ、彼女を迎えることが出来た(^^)v
名古屋から単身、野宿を続けながら北海道に上陸したという彼女を交え、つい数
時間前までは全くの他人だったヤツ等と焚き火を囲んでの晩餐。
上陸二日目にして、北海道ツーリングの醍醐味を味わえた一晩だった。
本日の走行距離 182km
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6月15日
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朝からあいにくの雨。気の合う仲間とも巡り会えたし、全員で連泊を決定。近くの
露天風呂まで行くことになり、バイク9台を連ね雨の中を走行。
午前中から風呂を浴び、どうせ時間制限のない座敷もあるってことでそのまま夕方
まで雑魚寝して疲れを癒す。
函館までナイトランに行くという仲間と別れて僕はそのままテントに戻り、さらに
ひと眠り。 ちょうど目を醒ましたところで函館組が帰還してきたのだが、みんな
疲れたようでそのままテントに潜り込んでしまった。
中途半端に寝てしまった僕は焚火の前でボトルを口にし、チロチロと燃える炎を見
つめていた。 こんなに楽しい奴等と知り合えた喜びと、これからまだまだ続くツ
ーリングの不安...
その時、二人のライダーがやはり眠れないと言う感じで僕のそばにやってきて、
なんだかんだで朝の4時まで話し込んでしまった。
本日の走行距離 80km
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6月16日
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もしかしたら今日も連泊かと思われたが、次第に天気も回復の兆しを見せたので、
僕を含め数人のライダーが出発することになった。お互いがまだまだ長いツーリ
ングである。 ぜひどこかのキャンプ場で出会おうと再会を祈りつつ、マシンを
スタートさせる。函館から上陸した面々は北の長万部へと向かい、僕は独り、南
へと走り、出発前から検討していた水無海浜温泉へと向かう。
ここは波の打ち寄せる岩場に段々状にいくつかの浴槽が据え付けられ、潮の満干
に従って海水が入り込み、いちばん湯加減の良いところを選んで入るという、実
にワイルドな温泉である。湯船につかると、ちょうど視線の高さで波しぶきが砕
け散るのだ。
水無浜海浜温泉
さて、函館周辺にはキャンプ場がない。ライダーハウスという手もあったが、ど
うも好きになれないので、小さな簡易宿に入りオーナーから函館の呑み所を聞き
出し街へ繰り出す。
本日の走行距離 143km
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6月17日
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今日は早起きして、函館の朝市を訪れる。 実家へメロンを送り、その八百屋の
おねぇさんのお奨めの店へ。 ウニ・イクラ・カニ・鮭・ホタテ・甘エビのうちから
5つを選べる5色丼だ。
「あ〜〜〜、貧乏旅行なんでろくなもの食べてないっす」
と言うと、おばちゃんが通常料金で大盛りにしてくれた。
R228で松前へ(木古内のホクレンGSのバイト嬢は超可愛かった(^^;)。
松前城の本丸の見える芝生に弁当を広げていると、野良犬が寄ってきた。
犬が苦手な僕がヤツを刺激しないようにゆっくりと体を動かすと、なんとそいつ
もそれだけで逃げだすと言う憶病者。しかし、30分ほど静かな攻防を繰り返す
うちにどうやらお互いが危険でないことが解り、最後は一緒に昼寝をした。
松前城で出会った犬
松前城でひとやすみ
松前をあとにし、R228をひたすら北上する。人気の「全く」ない道路を走る。
山の手は恐怖すら感じさせる巨岩の山々、そして息を呑むような貫入岩の激しい
海岸線。「でっかいどー、ほっかいどー」なんて呑気なことを言ってるような場
合ではない。全てが大きく、恐ろしいほどの静けさと重圧感である。そんな中、
まさにオアシスのような、上ノ国のレストラン「文珠」にたちより、コーヒーブ
レイク。しかし何故だろう、人間の行き交う場所に来たとたん妙に落ち着かなく
なった自分に気が付く。ふと外に目をやると、あいかわらずの岩の塊のところど
ころに花が咲いている。レストランを出てガケの縁まで下りてみると、ヤマユリ
が岩にしがみつくように咲いている。こんな暴力的で荒々しい地形の中で、それ
でも花は生きていたのだ。たかがヤマユリに心を動かされるようになった自分に
気恥ずかしさを覚えながら、宿泊予定地の大成町を目指す。
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大成町営キャンプ場にたどりつき、設営を始める。そのとき2人組の釣り人キャ
ンパーが現れ「釣りたてのイワナとヤマメを御一緒にいかが?」
塩焼きはもちろん、イワナの刺身、味噌タタキ、そして荒炊きと言った、予想だ
にしない素晴らしい夕食にありつけたのだ。そしてなんと、よく話をしてみれば
彼らは僕が以前勤務していた会社の、札幌支店の元部長と課長だったのだ(笑)
なにも北海道の山の中で会社の話をすることもなかったのだが(笑)、そこは何か
の縁である。酒を酌み交わしながら大いに盛り上がり、夜は更けていった。
本日の走行距離 278km
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6月18日
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大成町営キャンプ場でモーニングコーヒー
早朝に目を醒ますと昨日の釣り人は既に出発しており、その代わりに連絡先を記し
たメモが、僕のマシンに貼り付けてあった。
さて、大成町は北海道南西沖地震による津波の被害が甚大だった所のひとつである。
さすがに奥尻島は爪痕がまだ酷く、僕のような物見遊山の輩が訪れる場所ではな
かったのだが、大成町サイドは復旧も進んでおり、地元の人に勧められたこともあ
って、先は行き止まりではあったが訪れてみた。
その学校は海岸に迫った小高い丘の上に立っていた。校舎の窓には板切れが打ちつ
けられ校庭も荒れ放題、そんな中に未来を讃えるコトバが刻まれた碑がポツンと据
えられていたのが、なんとも胸に迫るものがある。
大成町から北上し北桧山のコンビニで朝食。北桧山から島牧までは狩場渓谷を抜け
る林道があったのだが、コンビニのおばちゃんや地元の営林署の情報から通行不可
であることを知り、仕方なくR229を海岸沿いに走る。
島牧で村営の公衆浴場を発見、これがガケの上に張り出した露天風呂で見事な景色
である。眼下に広がる日本海、どのガイドブックにも載っていなかったが、幸運に恵ま
れた。
通常なら、そこからはR229・通称雷電国道で北上するのだが、敢えて黒松内を
経由してニセコへ向かう。途中、道に迷って路肩でマップを広げていると、やはり
息子さんが自転車で日本一周しているというおばさんが道を教えてくれた。
さて、蘭越町に入ったところでコーヒーブレイクしようと思ったら、先ほどピース
サインを交わしてすれ違ったライダーが引き返してきた。福山ナンバーのXLRだ。
ん?と思って駆け寄ると... そうだ!東大沼で出会ったライダーだ。
偶然の再会に手を取り合い、無事であったことを喜び合う。その夜はニセコ高原の
野営場泊の予定だったのだが、急遽、彼と共に羊蹄山半月湖キャンプ場に泊まるこ
とにする。彼もそうだったのだが、ここは羊蹄山登山者のためのベースキャンプ場
としての性格が強く、一般のキャンパーは訪れない。 その晩はついに二人きりで
焚き火を挟み、彼はオカリナ、僕はハーモニカを取り出し、他にだれもいないのを
いいことに、夜遅くまで練習に励んだのであった(笑)
本日の走行距離 323km
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6月19日
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翌朝、野鳥のさえずりで目を醒ました僕は、羊蹄山に登頂する彼に別れを告げ、
一路札幌を目指す。羊蹄山の雄姿を右に左に見ながら、ライダーのお約束、中山峠
へと進む。内地ではまずお目にかかれないだろう広い車線をフルに使い、適度な斜
度とワインディングを満喫しながら一気に登りつめる!
頂上にある「道の駅 中山峠」でアイスを食べながら休憩、ずらっと並んだマシン
を前に、全国から集まったライダー達が談笑する。これこそ、バイクならではの楽
しみのひとつなのだ。
さて、ついに札幌市内に入り、まずは駅前へ。ここでウロウロしていたら、なんと
「横断禁止」の標識を見落としていたらしく、警官に指導票を切られる(;_;)
減点も反則金もないのだが、警察に捕まったのは後にも先にもこれだけだっただけ
に、悔しかった(笑)
サラリーマン時代に世話になった先輩を札幌支店に訪ね、系列ホテルの割引券をも
らいチェックイン、夕方にはその先輩がホテルに現れ、お約束のススキノで呑んで
騒いで大暴れ!(^^; と相成りました。
本日の走行距離 124km
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6月20日
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こういった放浪の旅では綿密に立てた計画も、実は手落ちだらけだったりする(笑)
おまけに他のキャンパーやライダーから仕入れた様々な「野宿の智恵」が、その後
の旅を大きく、そして快適なものに変えてくれる。と言うことで、街にいる間に必要
なモノを揃えるため、札幌に連泊を決める。 ひととおり洗濯を終え、ホテルのチェ
ックインまでの間、大通公園をぶらつく。
と、「すいません、写真を... 」と、おきまりのセリフ。埼玉からひとり旅で来た女の子
である(^^) ボストンバッグひとつで今朝、千歳に着いたらしい。
まぁ、結局は一期一会と言うことで、名前も何も聞かず、旭川へ向かうという彼女
を駅まで送り、別れる。
細々とした便利グッズを買い揃えホテルにチェックイン、ベルキャプテンから得た
情報をもとに、小料理屋で夕食。
本日の走行距離 15km
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6月21日
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札幌連泊で英気を養い、いざ出発。今日の目的は夕張地方、そして宿泊は富良野だ。
R12からR274、そして夕張へと入る。
ウワサでは聞いていたが夕張の街はまさにゴーストタウン。僕は絶句してしまった。
農業立地の町は田舎だが未来がある。 しかし戦後日本の高度成長を支え、現在の
繁栄の原動力となった産業、石炭の街に未来への希望は見られず、ただ朽ち果てる
のを待つだけといったやりきれなさだけが感じられた。まさに歴史の悲哀が強烈に
胸に迫る。
さて、夕張から芦別までは国道といいながらほとんどがダート。とは言え、単なる
砂利道なのでいまひとつだ。芦別からはR38に戻り、富良野を目指す。
ライダーのメッカ鳥沼公園は、いわゆる「ヌシ」がはびこっているという情報があ
ったので、上富良野の日の出公園キャンプ場へ。
ここには、夏は北海道、そして冬は沖縄と移動しつつ放浪しているというオヤジ、
何か胡散臭そうなベテランキャンパー、そして北海道に職を探しに来たという若者
がおり、例によって焚火を囲んで酒を酌み交わした。
本日の走行距離 231km
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6月22日
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昨夜は何故か深酒をしてしまった。重い頭を抱えながら、まだ早咲きのラベンダー
畑まで早朝の散策。今夜は旭川の先輩を訪ねなくてはならない。この旅は新しい
世界を切り拓く旅であるとともに、それまで僕を支えてきてくれた数え切れない人
たちへの感謝の旅でもある。
旭川まではたいした距離ではないので時間をたっぷりとり、美瑛町の丘陵地帯を眺
めながらのクルージング。観光用の早咲きラベンダーに混じり、色とりどりの花が
咲き乱れる。
さて、美瑛川を越え旭川にアプローチ。スキーでは何回か訪れたところだ。旭川の
先輩は仙台の田舎坊主だった僕をここまで成長させてくれた恩人であり、大学卒業
以来、じつに8年ぶりの再会である。
まさに差しつ差されつ夜の更けるまで酒を酌み交わした、思い出深い夜となった事
は言うまでもない。
本日の走行距離 95km
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6月23日
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さぁ、今日はどこまでいけるだろう。如何に予定のない旅とはいえ、昨日の分まで
距離を挽回しなくてはいけない。ひたすらR40を北上、途中で名寄の叔父貴宅に
立ち寄り、ジンギスカンの材料を頂くことが出来た。
しかし、思ったほど距離が稼げず、朱鞠内湖、美深の街をパスし、音威子府の山間
を抜けサロベツ原野へと至るころには既に夕方も近付いていた。稚内まで行ければ
港の橋の下にテントを張って早朝のフェリーで礼文島へ渡れるはずだったのだが、
ここでムリをして事故でも起こしては基も子もない。 と言うことで、近くにあるこれも
ライダーには有名な兜沼キャンプ場にマシンを乗り入れた。
近くで釣った魚を焼いてかぶりついている学生、何日経ってるかわからないような
パンをちぎっているヤツ、朝昼食も食べずに走り「オレは酒しか呑まない」と豪語
する40過ぎのライダーなどなど、どこに行っても妙な奴等ばかり。そいつらが、
ひとつのテーブルを囲んで、思い思いの旅の計画やマシンを披露しあっている。
テントの設営を終えると、僕は叔父貴にもらったジンギスカンと酒を取り出し、
「御一緒させて下さ〜い」と挨拶しながら、その輪の中に入っていく。
そこで知り合った1人の男から、東大沼で知り合ったヤツ等の何人かの消息を聞く
ことが出来た。元日本料理の包丁人、つい先日までパチンコ屋の店員、そして旅が
終わったら実家を継ぐという彼とは、その後も偶然にいくつかのキャンプ場で出会
うことになる。
本日の走行距離 246km
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6月24日
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今日は今回のツーリングのひとつのハイライトである礼文島である。稚内港は数多
くの客で溢れ返っていた。 純粋な観光のおばさん、TVのロケ隊、ワケありげな
独り旅の少女... 季節外れだからだろうか、バイクは僕の他には大宮ナンバーの
原付1台である。埼玉出身で札幌の大学に通っているという彼は、フェリーの中で
おもむろにレトルトのごはんとカレーをとりだし、そのまま食べだした。
どうやらフェリーの中に設置してある給湯器をアテにしていたらしいが、短距離の
連絡船にそんなものがあるはずもなく、冷たく固いご飯を黙々と食べている。
横にいた老夫婦が見るに見かねたというように、水筒のお茶をわけてくれたようだ。
さて、礼文島の香深港に上陸、まずは宿泊地である久種湖畔キャンプ場へ。すでに
ライダーばかり数十張りのテントが並んでいる。 まさに北の果ての旅人の終着駅
という感じである。 もう何週間も連泊しているらしいヒッピー風の集団や、とに
かく北を目指してきたというライダーたち、それぞれ思い思いの場所にグループを
形成している。 ここで知り合った千葉の画家、通称ハナさんから礼文林道の様子
を聞き、荷物をおろすが早いか林道を目指す。急な山道から枝分かれするその林道
は、礼文島の稜線を走る僕好みのガレ道である。幅2メートル足らず、片側は切り
立ったガケで、気を抜いたが最後、まっさかさまは間違いない。
ようやく見つけた待避スペースで、あらためて景色を楽しむことにした。左右には
なんとも形容しがたい礼文独特の地形がひろがり、その向こうには海がみえる。
深い谷となだらかな丘、それを包み込むような優しげな植生、青い海がキラキラと
輝く... 絶句!
本日の走行距離 125km
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6月25日
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目を覚ますとさわやかな風が吹き抜ける。今日はフェリーで北海道本島に戻らねば
ならない。11時にキャンプ場を出ることにし、早朝から礼文島最北端のスコトン
(須古屯)岬へ行く。日本最北端と言えば宗谷岬なのだが、既に観光地化されたそ
ことは違う、「さいはて」のイメージが実感できるところである。
思ったよりも静かな波、その向こうに点々と連なる小島... 少しずつ、少しづつ、
海に消えていく、そんな感じだ。カモメの群がさらに旅情をかき立てる。
キャンプ場で知り合ったみんなに別れを告げ、同じ便で本島に戻るライダー3人で
フェリーターミナルへ。 食事を済ませターミナルに戻ると、さっきキャンプ場で
サヨナラしたはずの仲間達たちが見送りに来てくれていた。礼文名物「桃岩ユース
ホステル」の送迎音頭を横目で見ながら礼文に別れを告げる
香深港より利尻富士を望む
稚内に着き他の二人と別れて宗谷岬をパス、いよいよオホーツクだ。
オホーツクの海は予想に反して静かだ。日本海が濃い青なのに対し、オホーツクの
海はしっとりとした緑色の佇まいである。途中の林を抜けるルートで、後ろから翼
を広げるとゆうに3メートルはありそうな巨大な鳥が飛んできた。 天然記念物の
オジロワシであった。少しずつ霧が深くなり、視界は暗くなっていく。寒さが身体
の芯まで滲みてくるようだ。
平凡な海岸線を辿り、予定通りクッチャロ湖畔に到着。4輪で北海道を回るという
青年と、毎年林道走行に来るというバイク屋のオヤジ、そして婚約者の女性をクル
マに残したまま僕たちと呑んだくれるカヌーイスト、他に誰もいないのをいいこと
に4人の笑い声は2時頃までクッチャロ湖に響きわたった。
お手製のカレーライス メロンつき!
本日の走行距離 195km