キンチョーの入浴


片手でも十分だった

ボクがモエナを初めてお風呂に入れたのがいつだったのかは、はっきりとは覚えていないんだけど、 ヨメとモエナがヨメの実家から帰ってきて少しした頃だったと思う。 ウチの場合、二人がヨメの実家にお世話になっていたのは、2週間くらいだったから、 ボクの入浴初体験の頃は、モエナは本当にちっちゃかった。
世間的にはちょっとルール違反(?)なのかもしれないけれど、 ウチの場合は結構早いうちからオトナと一緒に浴槽に抱いて入れた。 正確に言うと、「抱いて」って言うより「手で支えて」って言う感じだね。 モエナの首から後頭部にかけてを利き腕の手のひらで包んで(十分包めちゃうんだよね)、 残りの手で背中とお尻のあたりを支えてあげてお湯に浮かべる感じ。 モエナも初めのうちは不安がって手のひらをしっかり握り締めて、 その腕を自分の体にギュッと押し付けていたな。全身にキンチョーがみなぎっていた。
ボクのほうだって負けずにキンチョーしてて、身体を洗ってあげなくちゃいけないんだけれど、 怖くて全然うまくいかなかった。でもその時に、「今このヒトは、片手で十分支えられるくらいの、 本当に小さな存在なんだな」って思ったよ。それにしても風呂に入って肩がこったのは、今までの人生の中で、 後にも先にもこの時だけだった。今思うと、ボクの緊張をモエナも肌で感じて、 だから余計に不安になっちゃっていたのかもしれない。

今はお楽しみタイム

悲しいことに、ボクには仕事があって、それも最近はあまり早く帰れない。 でも、早く帰れた日や、休日にはモエナと一緒にお風呂に入る。 実は慣れてキンチョーが抜けて(結構すぐだった)からは、モエナはお風呂が好きになった。 (初めの頃も泣いたりすることはなかったけど)
最近は、洗い場でシャワーを使って洗ってあげてから、抱いて浴槽に入るんだけれど、 洗って泡だらけになっている時も、機嫌がいいと「うきゃうきゃうへうへ」ってなんか喋ってたりする。 ヨメが洗ってあげてる時の会話(?)なんか聞いてると、
ヨ:「おきゃくさん、痒いとこないですか?(床屋風)」
モ:「うっくぅ」
なんてやってて、結構面白い。
浴槽に入れば入ったで、身体が軽くなるのが楽なのか、足をいっぱいに伸ばしてみたり、 ボクのひざの上で立とうとしてみたり、それも最近は生意気に鼻の下に汗なんかかいちゃってたりするもんだから、 すっかり人間っぽくなってきてて、とっても面白いんだよね。
でも、お風呂に入ってるときに「ぷくぷくぷくぷく」って臭い泡を発生させるのは、 あれはとっても行儀が悪いからやめた方がいいと思うよ、モエナ。 まだ「気体」だけのうちはいいよって言われたから、更なる覚悟はしてはいるけどさ。
1999.6.28