コドモの視点
真っ白け…
最近、モエナは寝返りも出来るようになって、
さらに頭をしっかり起こして、腹ばいにもなれるようになって来たんだけれど、
この話は、そうなる以前−2ヶ月くらい前−のこと。
モエナは、生まれて少ししてからずっと、起きている時は専用の座布団を布団代わりにして、
リビングで寝転がって大半の時間を過ごしてた。
このころはまだ昼寝してることも多くって、そういうときはいいんだけれど、
起きていると結構すぐに、退屈しちゃうんだか飽きちゃうんだかで、
グズグズ言い始めることが多かった。
そんな時は、抱いて揺らしてあげたり、足元に立って、
顔を上から覗いてあげたりすると、その時はすぐに泣き止む。
でも、元に戻すとまたすぐにグズり始めちゃったりする。
本を読んだりして、「抱き癖ついちゃったのかなぁ」なんて心配になっていたのも、
このころだった。
ある日、モエナが寝てる横に寝転がって、モエナの寝顔を見てた。
そのうちにちょっと飽きてきて(モエナ、ごめんな)、ふと天井を見上げた。
今のマンションは、この時には越してきて3ヶ月くらいだったんだけれど、
それまで実は天井なんかあんまり見たこともなかった。
買うときにも照明と高さくらいしか気に留めてなかった。
で、見てみて気付いたことは、真っ白けで面白くないってことだった。
寝っ転がって天井を見上げて、首の動く範囲で左右を見まわしてみても、
あんまり変化が無くって、なんかつまらない。
やっと、「天井って見てても面白くない」ってことに気付いた。
寝っ転がって首と目だけしか動かせないコドモにとっては、
その時ボクが見ていた景色が、日常の大半を占める景色だったってことに気付いて、
なんか結構ショックだった。それまで、「んもう、すぐに飽きちゃうんだから…」
なんて、グズり始めたモエナに文句言ってたコトが、すごくひどいコトに思えた。
単純な、頭の上でゆっくり回っているだけのメリーゴーランドが、
とても楽しいものに思えてしまう気持ちがやっとわかった気がした。
#本気で楽しんでるかは本人のみぞ知るんだけど。
抱き癖なんていいや
かなり無責任な話かもしれないけれど、最近は結構本気で「抱き癖なんかついてもいいや」
って思っている。抱かれることに味をしめたコドモは、
すぐに抱いてもらうことをせがむらしいけれど、
モノの理屈が少しでもわかるようになって来た時にきちんと、
「いつでも抱いてあげられるわけじゃないんだ」ってことを理解させてあげるようにして、
それまではボクらが出来る範囲で抱いてあげて、歩いてあげて、
色んな景色を色んな角度から見せてあげようと思う。
モノの理屈がわかるようになる前にだって、自分の足で動けるようになればきっと、
新しいモノを新しい角度から見て、触って、そういうことに興味を持つだろうとも思う。
だから、そうなるまでは、時間と体力と気力の許す限り、ボクらが代わりに歩いてあげよう。
抱き癖が付くから、甘やかすと調子に乗るからって、オトナの感覚で判断しただけの、
大したことのない根拠でコドモをほったらかしにしている人がいたら、
ゼヒ自分の目で天井を見てみてもらいたいと思う。
きっと、1分もしないうちに飽きちゃうと思うんだけれどな。
#もちろん、きちんとした根拠があってそうしてるなら、それは認めるけれどね。
1999.8.30