39週目(臨月の様子)

兆候がない

予定日を1週間後に控えているにもかかわらず、相変わらず変化のない日々。 臨月になるとお腹が下がって胃のあたりがスカスカになる、胎動が減るなどと本には書いてあるが、 特にそのような感じはしない。検診時にも「子供が下がってない」「子宮口が硬い」と言われていて、 一体お腹の人は何を考えているのやら…と気になっている日々である。
パンパンに膨らんでいるお腹を「ペシペシ」叩きながら「いつ出て来てもいいんだぞぉ」 「今日は天気がいいからデビュー日和だぞぉ」と誘ってみたり、「これ以上居座ったら家賃取る」 「予定日を過ぎても出てこない場合は栄養供給を止める」と脅迫したり、 「一体、いつ出て来るつもりなんだぁ?」と問いかけをしても、 「お腹の居心地がいいんだよぉ」と言っているかのように足をモゾモゾさせ、人の胃を蹴飛ばすだけである。
この時期になると私よりも親の方が気がかりでしょうがないらしい。 遠方に住んでいる彼のお母さんからは週末になると電話が入り「今週はどうだった?」と聞かれるが、 「相変わらず兆候ないです。」としか答えられないでいる。 県内に住む自分の親には「一体、いつ産むつもりなんだ?」と聞かれたが、 いつ産むかは私の意思じゃなくてお腹の人の意思だから答えようがない。
一体、いつ産まれたいんだろう、この人は…。

桜前線上陸

最近すっかり春らしくなり、レンギョウ、モクレン、スイセン、雪柳と春の花があちこちで咲いている。
予定日5日前の3月24日。近所の桜並木では桜が咲き始めた。
以前から「退院の頃には桜がきれいだろうな〜。」と桜前線と同時期に出産… というシナリオが自分の頭の中では勝手に出来ていたが、 今年は桜の開花が例年より1週間ほど早かった。 おまけに兆候もなく、相変わらずの様子なので、予定日を過ぎての出産の可能性が高いため、 私が退院するころには、花びらのかけらも残らず、すっかり葉桜になっているかもしれない。 「桜を見ながらの退院」というドラマのようなワンシーンを演じるつもりだったのに、 すでに夢が壊れつつある。

母からの電話

予定日4日前。母から様子伺いの電話が入る。「どう?生まれそう?」といつもの質問…。 「生まれそうだったら電話するからさ、しょっちゅう電話くれなくてもいいよ。」と冷たい娘の一言。
「昔の人はね、農家や漁業に嫁いで産気づくまで働いていたから、ほぼ予定日通りに生まれたし、 小さい子を産んで大きく育てたものなのよ。歩き回ってて家にいないかと思ったのに、 電話でしゃべっている場合じゃないでしょ?もっと歩きなさいよ。」
(おいおい電話かけたのはあなたでしょう?お天道様が出ている間中歩き回れるわけないよ。)
「今からさ、出かけようと思ってたんだ。まさか、縄跳びとかするわけいかないじゃん。」
「そうね〜。縄跳びなんかしたら、へその緒がついたまま子供がすっぽ抜けちゃって大変よねぇ。」 と寒気がするジョークは言った本人が一番うけてて、電話の向こうで大笑いしている。
「でもさ、分娩費用がかからないから、格安出産できちゃうわね。」と追い討ちをかける言葉が続く…。
(実の娘だからってそのデリカシーのない話はやめてくれよぉ。 おばさんパワーとの相乗効果で怖いものなしだな。あたしゃ、ちっとも笑えないよ。)
「そんなことは現実にあるわけないじゃん、怖い話しないでよ。じゃあね電話切るね。」 と、大した用件もなさそうだったので、さっさと電話を切らせてもらった。
天気が悪いので、散歩は止めようと思っていたが、「ノルマはこなさなくちゃ」 という気になり、傘をさして散歩に出かけた。

デパートへ買物

予定日3日前。電車に乗り上大岡のデパートまで買物に出かけた。
偶然にも特設会場ではベビー用品の催しがあったので、とりあえず立ち寄った。 売り場にはブランド別の高級衣類からワゴンセールの安い服、マタニティウエア、 出産準備品などありとあらゆる物が揃っていた。 春らしいマタニティウエアもあったがマタニティ期間も終わりが近い。 ひと通り揃えてしまった今となっては、ベビー用品にすら興味がないので、 何も買わずに、売り場を一周しただけだった。
その中で一番興味深かったのは、売っている商品ではなく、買う人の方だった。 子供の月齢が小さければ小さいほど、 買うお母さんの顔は夢見るような顔つきであれこれと商品を物色している。 「生まれたばっかりで、子供服買うのも楽しいんだろうなぁ。」と思いつつ、 それを着る本人(赤ちゃん)を見ると、買物の楽しみも分からずに、 すっかり飽きてしまい、鼻水たらしてぐずっていた。 それでもお母さんの物色する手が止まることはなかった。
売り場の脇には「お子様の姓名判断コーナー」があって、大きなアクセサリーを付け、 薄紫の眼鏡をかけた占い師風のおばちゃんが座っていた。 冷やかし半分で子供の名前の字画を見てもらうことにした。まだ名前は決めてないが、 姓との相性のいい名の画数などを教えてもらったので、もしかしたら参考にするかもしれない。
その後、本屋へ行き「私たちは繁殖しているB」を偶然に見つけたので購入し、 産後は忙しくてゆっくりと立ち寄ることが出来なくなりそうな化粧品コーナーへ寄った。 8ヶ月頃から、顔のシミ・そばかすが気になっていた。 出産後に薄くなるらしいが、私も若くはないので、回復能力は著しく低下している。 産後の早目のケアが大切らしいので、 シミ・そばかすに有効だといわれている某高級化粧品を買い込んだ。