EVANGELION SHIFT WORLD

 

 新箱根湯本駅より二人の少年・少女が降り立った。碇シンジと六分儀ミカである。シンジの

格好は白のポロシャツにストーンウォッシュのジーンズ、肩には大きめなスポーツバッグを

担いでいる。ミカはというと、白と青の横ストライプのノースリーブのシャツに、紺のミニ

スカートである。やはりこちらも大きなボストンバッグを持っている。

 端から見ると完全に旅行に来た恋人同士にしか見えない。が、今日から第三新東京市で

暮らす事になっている二人である。

 

 二人は駅前のロータリーそばにあるベンチに腰掛けて、かれこれ1時間ほどたった。

「暑いな〜。」

 シンジがそう呟いたのを耳にしたミカがすかさずつっこんだ。

「ね〜、しーちゃん。到着時間は伝えたんでしょ?」

「うん。列車の中から電話したよ。」

「迎えが来ないね。」

「たしか葛城さんって人が来るはずなんだけど・・・。」

「叔父さん達じゃないの?」

「何か忙しいらしくて代わりに葛城さんが来るって。」

「ふ〜ん、それにしても遅いね。」

「うん、こんな事なら喫茶店にでも入っていれば良かったかな〜。」

「ほんと。」

 

 ここまで話した後、シンジは急に小声にしてミカに訪ねた。

 

「それにしても気づいてる?監視されてる事。」

「うん。」

「全部で6人いるけど殺気はないね。」

「そうみたいね。ただ監視してるだけのようね。」

 

 さすがに二人とも小さい時から鍛えられているだけあって、気配を感じるぐらいは訳は

なく出来る様になっていた。

 

 そうこうしているうちに、爆音を轟かせて1台の車がロータリーに入ってきた。ブルー

メタリックのアルピーヌルノーA310である。

 二人が(飛ばしてるな〜)と思っている所へわざわざスライドして停車した。シンジと

ミカが目をぱちくりしていると、車のドアが開いて一人の女性があわてて降りてきた。

黒のフロントジップのワンピースに赤のショートジャケットを着ている。髪は背中まで伸

び軽くウェーブがかっている。首からは大きな十字架のペンダントを付けている人なつっ

こそうな美人である。それでいてナイスバディ(笑)から醸し出す色気も十分にあった。

 

「シンジ君とミカちゃんね。私葛城ミサト。ミサトって呼んでね。遅れてごみん!」

と手を合わせ片目を瞑った。二人は顔を見合わせて一つ溜息をつくとミサトに向かい合っ

た。

 

「わかりましたから頭を上げて下さい。改めて僕が碇シンジです。」

「私六分儀ミカです。よろしく〜。」

「こっちこそよろしくね。シンジ君にミカちゃん。」

 

 ミサトは改めて二人を見つめ、

(うわ〜シンジ君写真よりはるかにいい男じゃない。美少年ってやつね。唾つけちゃおう

かしら。周りがほっとかないわね。取り合い激しそ〜。ミカちゃんもかなりな美少女ね。

野郎どものアタック受けまくりでしょうね。それにしてもこの二人できてんのかな〜。)

と邪な考えを張り巡らせていた。

 

 一方シンジは、

(やさしそうな人でよかった。それにしてもあの胸は反則だよな〜。どのくらいあるんだ

ろ?)

と思春期の少年としてあたりまえの事を考えていた。

 

ミカはミカで、

(くっ負けた。でもこれからよ!ミカ、ガンバ!それにしてもミサトさんレベルだと彼氏も

レベル高いんだろな〜。それとも男取っ替え引っ替えだったりして。キャッ。)

とか思っていた。

 

 三人とも思考のループから抜け出すのに1分程かかったが、はっとなってははは・・・と

乾いた笑いでごまかした。

 

「さ、さあ荷物乗っけて乗っけて。」

「そ、そうですね。」

「し、しーちゃん手伝って。」

 

 荷物をトランクに押し込むと三人は車に乗って出発した。ちなみにシンジがパッセンジャー

シート、ミカがリアシートに座っている。シンジが隣りなせいかミサトは結構ゴキゲンである。

 

「あの、ミサトさん。」

「なにシンジ君?」

「父さん達はミサトさんの・・・。」

「上司になるわね。」

「これから行く所は家ですか?」

「いいえ、仕事場に連れてくる様頼まれてるわ。一刻も早く会いたいんじゃない?」

「そういえば父さん達の仕事ってなんですか?」

「聞いてないの!?」

「ええ。聞こうとするとニヤッてして不気味に笑うからいつも聞きそびるんです。」

 

 リアシートでミカがうんうんと頷いていた。

 

 ミサトは(あのヒゲメガネが〜)と思いながらシンジに答えて上げた。

 

「国連所属の特務機関ネルフ、ここで司令をしているわ。もっとも実質的にはユイさんが

 仕切ってる様なものだけど。」

「父さん、母さんに弱いから・・・。」

「ふふっ、そうね。それで、ぶっちゃけた話人類を守るのがネルフの役目なの。」

「人類を守る!?」

 

 何かスケールがでかくなってきたな〜と思うシンジであった。

 

「そう、これから起こりうる未曾有の危機に対処する為、働いてるの。」

「そんなの起こるんですか?」

「ええ、ついさっき太平洋上の早期警戒網に謎の物体が日本にむかって水中を移動している

 のが引っかかったわ。二三日中に上陸するわ。十中八九ここにね。」

 

 ほんとかな〜と思っているシンジであったが、まさか自分も巻き込まれるとはこの時点で

は微塵にも思っていなかった。

 

「それはそうと僕ら監視されてたみたいなんですけど・・・。」

「えっ!?」

「全部で6人ほどいましたよ。」

「監視だけだったみたいよね、しーちゃん。」

「うん。」

(うちの保安部の連中ね。ユイさんあたりが動かしたか。)

「う〜ん、それは監視じゃなくてシンジ君達のガードね。」

「ガード、ですか。」

「そうよ。でもよく判ったわね。」

「あんなに気配が立っているんじゃいやでも判りますよ。」

「そうよね〜、しーちゃんだけじゃなくあたしだって判ったぐらいなんだから。」

 

(この子達何者なの!?)

 背筋がぞっとするミサトであった。

 

 道は都市部を抜け、山間部に入っていった。

 

「仕事場ってこっちなんですか。」

「そうよ。さ〜てちょっち飛ばしますか。」

「「えっ?」」

 

 ワインディングに入ったとたん、ミサトの運転が攻め!の運転に切り替わり、乗ってる二人

はゲートに着くまで生きた心地がしなかった。

 

 ゲートよりキャリアトレインに車ごと乗り込み、長いトンネルを抜けると広大な地下世界が

広がっていた。

 

「すごい!本物のジオフロントだ。」

「きれい・・・。」

 

 シンジとミカはさっきのひどい目などきれいに忘れ去り目下の景色に見とれていた。

 

「これで全部じゃないのよ。大部分が土砂で埋まっていて、これはほんの一部なの。」

「へ〜、これが遺跡なんて信じられませんよ。」

「でも今の技術じゃこんな広くは造れないわ。」

「それもそうですね。」

「あっ、二人とも。あのピラミッド型の建物を見て!」

「あれは?」

「あれがネルフの本部よ。あそこに司令やユイさんがいるわ。」

「あそこに叔父さまや叔母さまががいるのね。久しぶりだわ〜。」

「ほんと。元気かな〜、かあさん達。」

「まあ、慌てなくてもすぐに会えるわ。」

 

 キャリアトレインが最下層に到着し、三人はゲンドウらに会うべく移動を開始した。が、

 

「ミサトさん、本当にこっちでいいんですか?」

「ちょ、ちょっち待って。」

「あたし、ここさっきも通った様な気がする・・・。」

 

 案の定道に迷っていた。

 

「まだここに慣れてないのよ〜。」

 

 半分泣きが入っている。

 

 あっち行ったりこっち行ったりしている内に、シンジが何かを見つけた。

 

「ミサトさん、あれなんですか。」

「なに?」

 

 ミサトがそちらを見てみると、連絡用のターミナルがあった。そんな物にも気づかない

ほど慌ててたらしい。ミサトは天の助けとばかりにターミナルに飛びつき、どこかへ連絡

を入れた。

 

「そう、リツコに連絡入れて。え、ここ?え〜と、S−17って左の壁に書いてあるわ。

 うん、わかったわ。ここでじっとしてればいいのね。」

 

 ターミナルを切ると、二人の方を向いた。

 

「よろこべ諸君!助けが来るぞ!」

「ミサトさんって、おっちょこちょいなんですね。」

「方向音痴ともいうわ。」

「ひ〜ん、二人がいじめる〜。」

 

 三人で掛け合い漫談をしていると、どこからか機械の動作音がしてくる。音のする方を

見ると、すぐ近くにエレベータらしきドアがあった。

 

「「ミサトさん・・・。」」

「ジト目で見ないで〜。」

 

 エレベータのドアが開き、そこから金髪の知的な美人が顔を出した。白衣を着ている所

を見ると研究者だろう。

 

「ミサト!また迷ったのね。これで何回目?」

「だってしょうがないじゃない!だれよ、こんなに複雑にしたのは。」

「迷うのはあなたぐらいよ。もっとしっかりしなさい!」

「ごみん、リツコ。持つべき物はやっぱ親友だわ〜。」

「はいはい、さっさと乗りなさい。」

 

 三人がエレベータへ乗り込むとリツコが口を開いた。

 

「あなたが碇シンジ君ね。私は赤城リツコといいます。リツコでいいわ。」

「よろしくお願いしますリツコさん。碇シンジです。」

「あなたはシンジ君の従姉妹の・・・。」

「はい、六分儀ミカです。よろしくお願いします。」

「よろしくね、ミカちゃん。」

「それはそうと、ユイさんおかんむりだったわよ〜、ミサト。」

「げっ、マジ?」

「後で来るように言ってたわ。又あれを言い渡されるんじゃないかしら。」

「そ、それはいや〜!」

「リツコさん、あれってなんですか?」

「ふふっ、禁酒よ禁酒。」

「禁酒?」

「そう、ミサトはお酒が好きだから禁酒はそうとう堪えるの。」

「はあ・・・。」

「前にも一ヶ月の禁酒を言い渡されたときに、最後の方は目が血走っていたわ。」

 

 そんな会話をしているリツコだが、シンジの事を

(司令の子供とは思えないわ。ユイさんの遺伝子が全てにおいて勝ったのね。よかったわね

シンジ君。それにしても美少年ね。マヤあたりは大騒ぎするでしょうね。あの娘少しショタ

入ってるから。私もあと10年若かったら・・・。)

などと思っていた。

 

 シンジの方はというと、

(ミサトさんとはまた違った美人だな〜。それにしてもあの金髪はやっぱり染めてるんだろ

うか。眉毛が黒だし・・・。聞いてみたい気もするけど何かいけないような。もしかしてタ

ブーだったりして。)

やっぱり誰もが思う(笑)事を考えていた。ちなみにミカの方も同様であった。

 

 ミサトはどう言い訳するか頭を抱えてうんうん唸っていた。

 

 リツコの案内で、今度は無事にゲンドウらのいる司令室に辿り着いた。

 

「さあ、ここにあなたのお父さんとお母さんがいるわ。会ってらっしゃい。」

「ありがとうございました、リツコさん。」

「どういたしまして。」

「ミサトさんはどうするんですか?」

 

 まだ言い訳を考えているらしく、一人ぶつぶつ言っている。

 

「これは私の研究室に連れていって説教ね。」

「はは・・・。」

「じゃあねシンジ君、ミカちゃん。」

「「はい。」」

 

 ミサト達と別れたシンジは、大きく深呼吸をして気分を落ち着かせようとした。

 

「じゃあ行くよ、ミカ。」

「うん。」

 

 シンジはドアをノックした。

 

「入れ!!」

 

 低めの少し太めの声で返事があった。シンジ達はノブを回して部屋に入っていった。

そこはかなり大きな部屋であった。天上には何かの記号ともいえる模様が描かれ、シンジ

は(セフィトロの樹だ!)ということが判った。床は高価そうな絨毯が敷き詰められている。

そして、10m!先に一つの長机が置かれ一人の男が手を顎の位置に組んで座っていた。

その隣には女性が一人立っていた。

 男の方は黒い髪を短めにカットしてあり、髭をたくわえている。オレンジ色のサングラス

らしき眼鏡を掛けているがその奥の目は、まるで鷹が獲物を狙うような鋭さがある。年齢は

30歳後半であろう。服装は軍服らしいものを着込み、手には白の手袋をはめている。

 女性はというと、非常に美人であることがわかる。髪は黒で緩やかにウェーブがかかった

ショートヘアである。たぶん軽くパーマをかけているのであろう。服装は淡いグリーンのブ

ラウスに黒のタイトスカート、その上に白衣を付けている。そのやさしような顔つきはシン

ジ達が入ってきた時から目を潤ませていた。一見20歳台にしか見えないが男とは同年齢で

ある。

 

 男の方は碇ゲンドウ、女性は碇ユイ、シンジの両親である。

 

 ゲンドウは席を立ち、シンジ達の方へゆっくりと向かってきた。

 

「よく来たな、シンはうあっ。

「シンジ!会いたかったわ!」

 

 ユイはシンジに抱きついてわんわん泣き始めた。

 

「ごめんね、ごめんね。これからは一緒だから。甘えたい時に居なくてごめんね。」

「か、かあさん。わかったから泣きやんで。とうさんが吹き飛んでるよ。」

「うん、わかったわシンジ。とうさんの心配するなんてやさしい子ね。」

 

 ゲンドウはユイに突き飛ばされて壁に張り付いていた。

 

「ユ、ユイ〜。男同士の久しぶりの再会を邪魔するのか〜。」

「なんですって!?」

「い、いえ何でもありません・・・。」

 

 ユイに睨まれたゲンドウは何も言えなくなってしまった。どうも碇家は女性が強い様だ。

 

「おじさま、お久しぶりです。大丈夫ですか?」

「ふっ、問題ないミカ君。いつもの事だ。」

 

 ゲンドウのダメージはないらしい。いつも突き飛ばされているんだろうかと思うミカで

あった。

 

「でもこんなに大きくなって・・・。かあさん嬉しいわ。」

「かあさんも元気そうで良かったよ。とうさんも相変わらずみたいだし。」

「ふふっ、そうね。ねえ、シンジ。彼女でも出来た?贔屓目にみてもシンジはいい線いって

 ると思うんだけど・・・。」

「か、かあさん、何言うんだよ!」

「あら真っ赤になっちゃって。ひょっとしてミカちゃんかな〜?」

「お、おばさま違います!」

「ミカちゃんも真っ赤になっちゃって。まんざらでもなさそうね。」

 

 ミカも何にも言えなくなってしまった。ユイにかかればミカもまだまだ子供である。シンジ

はその間にゲンドウに近づいた。

 

「とうさん久しぶり。大丈夫?」

「ああ、問題ない。変わらずにいたか?」

「うん、かあさんも相変わらずみたいだね。」

「ああ、それで少し困ることもあるが。」

「はは・・・。」

「それにしても遅かったな。」

「うん、まず葛城さんが一時間来なくて、その後、下で迷ってた。」

「そうか、人選を誤ったようだ。後で説教だな。」

「いいひとなんだけど・・。」

「うむ。」

「話は変わるけど、叔父さんから奥義を見せてもらったよ。」

「そうか!よくやったシンジ。これで継ぐ者となったか。」

「うん。まだまだ修行しなきゃならないけどね。」

「今はそれを喜ぼう。」

 

 女性陣を見るとそちらも話が弾んでいるようである。

 

「ミカちゃんもすっかり女らしくなって・・・。男の子がほっとかないでしょ?」

「いえ、そんな・・・。」

 

 顔を真っ赤にしてもじもじしているミカを、ユイはさらにからかっているようだ。

 

「とうさん、何で自宅じゃなくネルフに呼んだの?」

「そうだった。おまえに先に見て欲しい物があるのを忘れてた。」

「何それ?」

「すぐにわかる。お〜いユイ。そろそろ行くぞ。」

 

 ユイはミカとの話を中断しゲンドウのほうへ向いた。

 

「そうね。シンジにあれを見せなきゃならなかったわ。」

「おばさま、何ですか?」

「ミカちゃんにも見て欲しいの。いっしょに来てね。」

「はい。」

「よし。それでは行くぞシンジ。」

 

 四人は部屋をでてゲンドウの後に付いていった。途中、説教が終わったのかミサトとリツコ

に遭遇した。

 

「赤城君に葛城君、ちょうど良い所にいたな。君達も来たまえ。第一ケージに行く。」

「わかりました。」

「リツコさん終わったんですか?」

「ええ、シンジ君。でも馬の耳に念仏かも・・・。」

「酷いわね、リツコ。あたしだってあんだけ言われれば・・・。」

「二度としない?」

「自信ない・・・。」

「ねえシンジ。りっちゃんとは顔見知りになってたのね。」

「うん。結局リツコさんが案内してくれたんだ。」

「シンちゃん、しーっ。」

 

 ユイはミサトをジロリと睨み、

「ミサトちゃん、明日私の所まで出頭しなさい。」

「はい・・・。」

有無を言わさない迫力に、ミサトは小さくなって頷くしかなかった。

 

 こうして六人は一団となって第一ケージに向かった。

 

 

 

 こちらはネルフドイツ支部。

 

 休息室だろうか多数のベンダーマシンが置かれている所で、二人の男女が話をしていた。

男は、黒い髪を後ろで束ねていて、服装は白のワイシャツに黒のスラックス、黒のネクタイ

は緩めている。顔はなかなかダンディだが無精ヒゲが生えている所が御愛敬である。加持

リョウジ29歳である。

 女はといってもまだ少女であるが、勝ち気そうな美少女である。ブルネットの髪を背中

まで伸ばし、頭には赤のヘッドセットを二つ付けている。服は淡いイエローのワンピースで

裾はふわりとしている。スタイルはかなりよく、胸などは同年代からするとある方であろう。

将来大いに期待出来そうである。惣流・アスカ・ラングレー、13歳。12月に14歳になる。

日本人の血が四分の一入ったクォーターであり、この年で大学まで卒業した天才でもある。

 

「いよいよ明日出航だな、アスカ。準備の方はいいのか?」

「もっちろん、バッチシよ、加持さん。ママの方もOKよ。」

「これから2週間、退屈だろうが我慢してくれよ。」

「加持さんと一緒なら全然退屈じゃないわ!」

「ははっ、そりゃ光栄だな。」

「ねえ、加持さん。」

「なんだいアスカ?」

「日本に向かう使徒が確認されたって本当?」

「耳が早いなアスカは。そうだ、二三日中に上陸するようだ。」

「大丈夫なの?」

「ファーストチルドレンが待機しているし、サードチルドレンも到着する頃だな。まあ、

 大丈夫だろう。」

「お気楽ね〜、加持さん。どっちにしろ間に合わないか。」

「そういうこと。」

 

 加持は手に持っている紙コップの中のコーヒーを飲み干すと立ち上がった。

 

「さて、そろそろ寝なさい。明日早いからな。」

「え〜もう?まだ早いわよ。」

「おいおい、キョウコさんに睨まれてるんだ。また怒られるのは俺なんだぞ。」

「ママに?しょうがない、今日の所は加持さんに免じて休みますか。」

「そうしてくれるとありがたい。じゃお休みアスカ。」

「お休みなさい加持さん。」

 

 二人は別れ、それぞれの部屋に向かった。

 

 翌日、空母『オーバーザーレインボー』を中心とした国連艦隊が日本へ向けて出航した。

そこにはアスカ・加持の他、アスカの母惣流・キョウコ・ラングレーと父惣流・アレクサン

デル・ラングレーの姿もあった。ちなみにアレク・キョウコはゲンドウ・ユイとは旧知の仲

であり、これらの大人達の中である計画が深く静かに進行していた。

 


N「ふ〜、B−PART上がったか。うぐっ。」

A「アンタ、あたしがちょっとしか出て無いじゃない!」

N「いきなり下突き入れんで下さい。約束通り出てきたじゃありませんか。」

A「あたしが主役じゃないわ!なんでバカシンジ中心に進んでるのよ!」

N「TV本編もそうだったじゃないですか?」

A「TVはTVよ!ここはSHIFTした世界でしょ。あたしが主役のはずよ!!」

N「いや、あくまでもシンジ君が情けなくないという事での世界ですから・・・。」

A「バカシンジはどの世界でも情けないのよ!」

N「そんな無茶な。ん、なんか寒気がするんですけど・・・。」

A「あらファースト。Nの背後に張り付いてなにやってんのよ?」

R「・・・私が出てないわ・・・。」

N「ちょ、ちょっと。うぎゅう〜・・・。」

A「重力攻撃か。芸が細かくなったわね、ファースト。」

R「次出てないと殺すわ・・・。」

 

感想はこちら  novels roomへ