EVANGELION SHIFT WORLD

 

 シンジ達一行が第三新東京駅前の巨大ショッピングセンターに着いたのは、ほぼ11時
になった時だった。
 
 シンジの家からバスで10分位のはずであったが、例によって女性陣の支度に時間が掛
かり、10時出発が10時45分に変更になった為である。
 
 そのショッピングセンター内には、色々な店舗が入っており衣食住の全てが揃うといっ
た事が売りである。当然各国のブランドショップも入っており、女性の購買意欲をかき立てている。
 
「「うっわ〜っ!」」
 
 中に入ったシンジとミカは、広々とした空間に凄まじいまでの店の数に圧倒されてしま
った。シンジ達がよく行っていた長野の松本駅の駅ビルなんて規模ではなかった。
 
「すっごいでしょ!!」
 
 レイは何度も来ている余裕からか、まるで自分の事の様に二人に自慢した。
 
 シンジとミカはこくこくと頷いていたが、早く回りたいらしく目をきょろきょろさせて
いた。
 
「ふふっ、まずはシンジの服から買いに行きましょうか。」
「「賛成〜!。」」
 
 ユイがそう提案すると、レイとミカはすかさず賛成した。まあ、割と時間の掛からない
シンジの買い物を先に済ませ、自分達の買い物をゆっくりしようという魂胆があったのは
言うまでもない。
 
「じゃあ行きましょうか。」
「「「は〜い。」」」
 
 ユイの号令でシンジ達はまず男性物の店があるエリアに向かった。
 
 
「シンちゃんこれどう?」
「しーちゃん、これなんか似合うよ。」
「シンジに合うわね、これ。」
 
 と女性陣に引っ張り回され、殆どの衣類を選ばれてしまった。シンジが自分で選んだ物
といったら、アンダーウェアと日の丸をバックに『平常心』と明朝体で書かれたタンクト
ップ、あとスニーカーぐらいな物だった。
 
 
 さて、問題だったのは女性陣の買い物である。とにかく一店一店覗く時間が長いうえ、
何か購入するかと言うと何も買わず次の店に行き、気に入らないからと言って又さっきの
店に戻るといった感じで、なかなか買い物が進まなかった。
 
 特にランジェリーショップでは、シンジが外で待っているにも関わらず(当然顔なんか
真っ赤である)、これなんかどう?とか言ってシンジの見える位置に移動し尋ねたりして
からかっていた。シンジは俯いたり、明後日の方を見たりで何かと忙しかった。
 
 そんなこんなでも、徐々に荷物が増えて来ると、流石にシンジも持ちきれなくなってき
た。そこで一旦荷物を宅配便に預け、買い物の続きを始めるのを見たシンジは、ウンザリ
としながらも彼女らに付いていった。内心は休みたいと思いながら。
 
 
 ようやく買い物が済んで時計を見ると3時を回っていた。実に女性陣の買い物だけで3
時間を費やしていた。
 
「じゃあ、荷物を預けて休みましょうか?」
「「はーい。」」
「・・・・・。」
 
 ユイ・ミカ・レイはまだまだ元気一杯だったが、シンジは返事をする気力もなかった。
ただ疲れていて早く休みたいと思っていた。
 
 飲食店街の喫茶店で遅い昼食と休息を1時間程取り、ショッピングセンターを出たのは
4時半頃だった。
 
 荷物の殆どは宅配便に預けた為、身軽であったがとにかくシンジは疲れていた。気疲れ
というやつである。
 
 外は夕方であるがまだ明るく、頬に当たる風が心地よかった。
 
「少し歩いていきましょうか。」
 
 ユイの案内がてら、少し先のバス停まで歩いて行く事になった。
 
 
 ショッピングセンターの周りも、かなり色々な店が建ち並び、ウィンドウショッピング
兼用であちこち見て回った。
 
 
 手にビニールの袋を持った小学生らしい少女が渡り始めた横断歩道で信号待ちの為立ち
止まろうとした時、一台の車が殆どノーブレーキで左折をしようとしたのがシンジの目に
入った。しかし、そこにはちょうど少女が差し掛かっていた。
 
「いけない!」
 
 言うが早いか、シンジは人が認識出来ないスピードでその少女の側に行き、目を見開い
て動けないでいる少女を小脇に抱えると向こう側の歩道に移動した。この間0.5秒も掛
かっていなかった。
 
「シンジ!」「シンちゃん!」「しーちゃん!」
 
 三人が思わず叫んだが、車が通り過ぎた後向こう側に少女を抱えたシンジを見つけると、
ほっと胸をなで下ろした。
 
 シンジは少女を歩道に立たせたが、ショックの為かぺたんと膝をついてしまった。身体
は恐怖の為ブルブルと震えており、歯をガチガチ鳴らしている。
 
 シンジは少女を安心させる為に両肩に手をおいてニッコリ微笑んで言った。
 
「もう大丈夫だよ。」
 
 少女はシンジを見てようやく安心したのか、涙目になりながらも、
 
「お兄ちゃんありがとう。」
 
 と小さな声で言った。しかし、ショックは抜けていないのをシンジは確認していた。
 
 ユイ達がようやくシンジの側まで来ると、シンジは少女をおぶさりユイに言った。
 
「母さん、僕はこの子を送っていくよ。まだ歩けないみたいだから。」
「そうしてあげて。レイちゃんとミカちゃんは先に家に戻っていて。私はする事が出来た から。」
 
 さっきの車のナンバーをしっかり確認していたユイは、不気味にふふふふふと笑って、
シンジ達を引かせた。
 
「じ、じゃあ僕は行って来るから。」
「う、うん。先に戻ってるから。」
「あ、あんまり遅くならないでね。」
 
 三人は乾いた笑いをひとしきりすると、それぞれに散っていった。
 
 
 シンジは少女に道順を教わりながら歩いていた。少女の呼吸が正常に戻ったのを感じて、
やっと安心したんだなと思った。
 
「お兄ちゃん本当にありがとう。こうして送ってくれて。」
「気にしなくて良いよ。あ、そう言えば自己紹介がまだだったね。僕は碇シンジ。一昨日
 こっちに来たんだ。」
「あたし、鈴原ナツキ。小6です。」
「僕は中2だよ。」
「でもさっきはもう駄目かと思いました。シンジさんがいなかったら・・・。」
 
 ナツキは先程の事を思い出し、身震いした。
 
「あんまり思い出さない方がいいよ。大丈夫?」
「はい。今晩寝て忘れることにします。」
「うん、それが良いね。」
 
 シンジとナツキはニコリと笑い合うと、その話題から離れることにした。
 
 
 とりとめのないことを話しながら、すっかりうち解ける頃には周りは住宅街になってい
た。日もだいぶ傾き始めている。
 
「あ、あそこです。」
 
 ナツキが指を差した先には、一軒の木造2階建ての家があった。
 
 表札は『鈴原』となっていたので、確かにナツキの家だった。
 
 シンジが呼び鈴を押すと、ドタドタドタを足音がして、
 
「なんでっか?」
 
 と言う声と共にドアが開かれた。
 
 そこには短髪の背の高い黒いジャージを着た同い年くらいの少年が立っていた。
 
 その少年はナツキを見るなり、
 
「どなんしたんや!ナツキ?」
 
 と叫んだ。
 
「車に轢かれそうになった時に、このお兄ちゃんに助けてもらったの。」
 
 ナツキはシンジの背から下りながらそう答えた。
 
「け、怪我はないんか?」
「どっこにも!ナツキはピンピンしてるよ!」
「そ、そうか〜。」
 
 その少年は一安心したようだった。そしてシンジの方に向き直り頭を下げた。
 
「えろうすんまへん。妹がお世話になりまして。」
「いえ、それよりもナツキちゃんを休ませてあげて下さい。」
「わかりました。こら、ちゃんとお礼は言ったんか?」
「うん。」
 
 ナツキはシンジにニッコリ笑いかけた。シンジもナツキに笑いかけると、
 
「もう大丈夫そうだね。今日はゆっくり休んでねナツキちゃん。」
「うん!。」
「では僕はこれで。」
「ほんま、申し訳ないです。」
「シンジお兄ちゃんじゃあね!」
 
 少年は頭を下げナツキは手を振っていた。シンジもぺこりと一礼すると大通りに出る為
に歩き出した。
 
 
 ナツキはシンジが見えなくなるまで手を振っていた。
 
「さて、ナツキ。今日はもう休めや。」
「うん、お兄ちゃん。」
「詳しくは明日聞くわ。」
「うん。」
 
 ナツキはそう言って、二階の自分の部屋に入っていった。
 
 少年はそれを見ながら、
 
「ナツキになんかあったら、おとんに顔向けできへんや。」
 
 と独り言を呟くと、玄関のドアを閉めてさっきまでいた居間に戻っていった。
 

  N「ううっ、今回は全面書き直しの上、書いている途中でのマシンのフリーズが数回。」 A「フリーズまでに書いていた文がパーになってたわね。」 N「そうなんですよ。原因を追及しなければ・・・。」 A「一旦イニシャライズしなさいよ!」 N「そうは言ってもですね、環境の再構築は面倒なんですよ。」 A「なにが面倒よ!安心して書けなきゃ、アタシの出番が遅くなるじゃない!」 N「・・・本音はそこですか。」 A「あったりまえでしょ!この超絶天才美少女、惣流・アスカ・ラングレー様が出ないE   VA小説なんて、この世には存在しないわ!」 N「いや結構ありますが・・・。」 A(ピクッ) N(やばい・・・。) A「ほほう、PENTIUM IIマシンがどうなってもいいと?」 N「そ、それだけは・・・。」 A「じゃあとっととやりなさい!」 N(別のハードディスクに作成環境を構築しよう・・・。) A「なんか言った!?」 N「い、いえ別に。」    

 

感想はこちら  novels roomへ