created:1998.08.16 updated:1998:08.17
雑誌 SWITCH と J-WAVE の番組『INTO THE DIMENSION』の連動企画「音が生まれた風景」。SWITCH 編集長新井敏記氏によるCoccoへのインタビュー。1997/11/28 放送。
MIHO さんから番組の録音テープをいただきました。
ナレーション
「こんばんわ。鮎貝健です。「SAISON GROUP INTO THE DIMENSION」。今週は創刊 100 号を迎えた雑誌 "SWITCH" との連動企画。今月発売の "SWITCH" 12月号。その巻頭特集とリンクした、5人のトップアーティストたちへのインタビューを日替わりでお送りしています。名づけて「RADIO SWITCH・音が生まれた風景」。最終日の今夜、RADIO SWITCH に現れてくれるのは、"SWITCH" がとてもパーソナルな対象であると同時に、特別なアーティストである、と捉えているCocco。そして今夜は彼女にとってのFMラジオ初登場になります。今日聞いていただくのは "SWITCH" 編集長の新井敏記氏とCoccoとのとても私的なプライベートな対話です。沖縄の風、波音、夜のざわめきを背景に、沖縄で生まれた少女が、ひとりの知人に対してゆっくり心を開きながら初めて語る島への気持ち、戸惑い、決意が感じられるはずです。Coccoの、音が生まれた風景に身を寄せ、一緒に心を解放してみましょう。
SEISON GROUP INTO THE DIMENSION。この番組はセゾングループの提供でお送りします。
| Cocco | 「さいき、そういうさ、なんか、大勢の感じじゃなくてもっと個人的な感じ。自分が喋れないのがかなしい。だって、こっこたちの年代の、沖縄の子供、っていうか子供っていうかは、こっこなんかのママなんかの世代もそうだけど、もう、英語よりも自分の島の言葉知らないし、だから、なんでさこっこさ沖縄こんなに好きだのに、歌うときは、標準語か英語かしかないのかなぁと思って。それはこっこが島の言葉を喋れないから、なんて言うんだろ、やっぱ自分から出てくるのは、学校で習った、日本語と、それについてくる英語と、そいで、島の言葉をこっこたちは習うことなかったから、もう教えてくれる人もいないし、個人的になんでこっこは島の、こんなにさ島が好きだのに、島の言葉で、なんか、別に島歌を歌うとかは思わないけど、でもなんか、こっこは島の言葉では歌えないなぁっていうのは、、、」 |
| 新井 | 「寂しいね」 |
| Cocco | 「うん、それは、思う。だから民謡で、民謡じゃなくてこう、沖縄音楽で現代、今作っているレコーディングしたある、最近のなんか、沖縄の歌とか、ちゃんと沖縄語で歌っている人とかが、なんか、すごいなぁと思って、あっちゃんはどんなにしてもきっとできないんだろうなって、、、思う、なんか、うん」 |
| 新井 | 「でもひとつだけ帰って子守り歌を覚えたって言ったよね?」 |
| Cocco | 「(嬉しそうに)うんん」 |
| 新井 | 「あれはお母さんから教えてもらったの?」 |
| Cocco | 「うん」 |
| 新井 | 「ふうん」 |
| Cocco | 「教えてもらった、やっと。なんかよ、、、弟が寝てるから、弟があんまりスズメが鳴いたら起きるさぁね? だから、おうちの後ろの方行って鳴いてちょうだいって言ってる、歌なんだけど」 |
| 新井 | 「やっぱりそれを聴いて、お母さんに歌ってもらったときに、やっぱり耳の中、残ってた? リズムとか、詩とかそういうものが」 |
| Cocco | 「『チョッチョイ』だけ覚えてた、ウフフ。歌詞の最後『チョッチョイ』って言うんだけど」 |
| 新井 | 「チョッチョイ?」 |
| Cocco | 「うんうん。『チョッチョイ』ってスズメの、ことだけど。チョッチョイって言うのだけ、なんか。『おおう、チョッチョイ』って(笑)」 |
| 新井 | 「ふうん」 |
| Cocco | 「覚えてた」 |
| Cocco | 「こっこ、タイショウ(?)の生まれた島に行ったときにさ、はじめてさ黒い色っていうのを見たってば」 |
| 新井 | 「どういうこと?」 |
| Cocco | 「なんかさ、真っ暗でさ電気がなくて、信号も島に一個しかないようなとこなんだけど。それで、そこへ行ったときに、トラックでさぁ、なんかみんなとさ、夜ドライブしてて、もう車の電気消したら真っ暗なわけ! したらさ、もう空もさその日真っ暗でさ、月も星も無くてから、真っ暗でさ、でもさ、「これがうわぁすごい黒、黒だぁ」と思ったわけこっこ、空見たときに。うわっ真っ黒な空だなぁと思って、なんでこんな暗いんだろうってか。星も、なにも見えないってか、真っ暗ぁと思ったらさ、まわりパッと見たら全部山でさ!もっと深い黒なわけ!!」 |
| 新井 | 「はあん、、、」 |
| Cocco | 「なんかさもう、ブワァッて鳥肌立ってからさ、あっちゃん。『あ、これが、これが黒っていう色だぁ』っつてから。なんか、なんていうの、もう「黄色っぽい緑」とか、もうそういう、「グレーっぽい黒」とかそういうことじゃなくてから。はじめてさなんか、こうやって見るもので、黒ぉぉ!っていうのを、なんか見た」 |
| 新井 | 「そうか、、、」 |
| Cocco | 「ずっと那覇とかに居たらたぶん分からなかったはず。だから沖縄でよ生まれたっていう人もよ、みんな月で影踏みしてるかっつったらそうでもなくて、那覇で暮らしている人はもう都会だから、全然、別に東京と売ってるものも変わらないし、、、ずっと夜も光付いてて、ずっと山原(やんばる)とか南部とかに来ないとこんな月で遊んだりとかも、できないはずだけど。こっこはたまたま、そういうのは恵まれてたんだなとは思う、なんか」 |
| 新井 | 「そういう遊びってママから教わるの?それとも自然と、友達たちとそういうことになってくるのかな?」 |
| Cocco | 「うん! 自分で。気が長い勝負だとしたら、はじめて行った海で、干潮のときに行った海で、岩をそれぞれ決めてから、どの岩が先に沈むかとか(笑)。ずっとその間尻取りしたりとか(笑)しといて、最後まで残った人勝ちでジュース奢るとかよ。そういうのとかで、、、」 |
| 新井 | 「何時間もやっているんだ」 |
| Cocco | 「うん、ずうーっとずうーっと(笑)」 |
| 新井 | 「すごいなぁ!(笑)」 |
| Cocco | 「ずうーっと何時間も」 |
| Cocco | 「痛いって、、、癒されないんだったら痛いって言わないし、歌おうとも思わないけど、、、優しいになるから歌うんだけど。っていうかもう、最初は別になんでもホントによくて、もうホントになんでもよかったわけよ。別にどこの社長でもよかったし、バレリーナでもよかったし、、、ホントに、もう、なんでもなんでもよかったわけ。とにかくさある程度のお金と、なんか、地位みたいのがないと絶対誰も後悔させられないと思ったから。もうこっこさ復讐だけで生きてたからさ(笑)、最初、なんかさ、」 |
| 新井 | 「切ないね」 |
| Cocco | 「なんかさこっこをさ捨てた人とかをさ、とかこっこを残して死んだ人とかをもう絶対、後悔するぐらいの人になりたいと思ってたから。だからホントになんでもよかったわけ。だから、その中に、歌っていうのがたまたまあって、それで歌ってみたら、まぁ普通ぐらいにできていて、それで、なんかいろんなめぐり合わせがあって、それでじゃあ、やってみようってなったときに。なんか歌詞書いたのとかいつ書いたとかも覚えてないんだけど、気がついたらいっぱいできてるんだけど、でもそれを歌ったときに、なんかとっても、『ああとっても楽になった』と思ったわけ、なんか。痛いことが、なんか、やっとなんか目が開けられたなぁって感じがしてから。一番たぶん好きなのはこの島にいて、こうやってずっと暮らしていくことだろうけど。でもやっぱりこっこは目を開けたかったし、、、痛いのから楽になりたかったし、とにかく、もう溜まったウンコを出したかった。だから歌った」 |
ナレーション
「今夜お送りした曲は、カウントダウン、がじゅまるの樹、やわらかな傷跡、遺書、星の生まれる日、でした。さて今夜の "RADIO SWITCH、音が生まれた風景"、いかがだったでしょうか? "SWITCH" 編集長、新井敏記氏との私的な対話だったせいかCoccoの言葉はとても素直に、自然に発せられていたような気がします。なぜ書くのか、なぜ歌うのか。そのある意味で個人的な「何故」を対象に問い続けることが雑誌の持つ、まさにコレ!というものなのかもしれません。だとすれば今日のインタビューにはそんな雑誌 SWITCH の個性と魅力が溢れていたと言えるんではないでしょうか」