趣味の本棚

個人用所見。一言書評。たぶん気分と買った順。
飽くまでも個人的感想。文句は受け付けません。長くなってきたら分割するかも。気分で。


三根生久大; 文春文庫「陸軍参謀 -エリート教育の功罪」
好著。偏りすぎない視点に好感が持てる。少なくともこの本は。ハードカバーからの文庫化。資料的価値も高い。お買い得。
西部邁; 中公文庫「経済倫理学序説」
むつかしーことばでむつかしーことをいう。けいんずとかう゛ぇぶれんとか。いちおう専門は経済らしいし。内容評価は保留(わかりません)。日本語としてはかなり脂っこい。朝生で見る限り「だったらどーした」という印象しかないが。昭和58年度吉野作造賞受賞。
秋山さと子; 講談社現代新書613「夢診断」
夢診断についてなんとなく知りたくて読む分にはいいが,勉強したくて買うと損した気分になれる。エッセイ集と思えば納得。資料的価値は低い。
八剣浩太郎; 廣済堂文庫「歴史考証なるほど読本」
ごみ。一部真実,そーとー電波。「司馬遷はユダヤ人だった」とたいへんまじめに論じる人。副題「偽造日本史の正体」で気付け。新人物往来社「時代考証百科」に加筆訂正。
加藤諦三; 三笠書房<知的生き方文庫>「安心感」
この本,っていうかこの著者に限っては痴的生き方文庫。はやくコンビニからどけろ。
笹山朝生; 講談社ブルーバックス「パズルで挑戦IQ150への道」
さりげに宗教。っていうかAUM。中身は類書のパクリ。未だ売っているかどうか連絡請う。
織田正吉; 講談社現代新書975「百人一首の謎」
国語学界の柳瀬尚紀。報われない求道者か,ただの電波なおっさんか。見てる分には楽しいので許す。
田沼靖一; 講談社現代新書1308「アポトーシスとは何か -死からはじまる生の科学」
がんばっている本。良書。ちゃんとまともに科学的。無理に「分かり易くしよう」(一般/大衆受けしよう)としていないのに好感が持てる。きっちりとした日本語で読みやすい。中身はほとんどブルーバックス。日本語のみだが参考文献表付き。
岡堂哲雄; 講談社現代新書1228「心理テスト -人間性の謎への挑戦」
がんばっている。まともな本。この手の類書のろくでもなさから考えるとすごいことかも知れない。心理テストの種類と方法について概論的に触れている。中身が薄いわけではないがやや散漫な印象はある。ま,新書だし。「心理テスト」やりたさに買う本ではない。参考文献はかなりいい加減だが付いているだけましか。
黒川洋一 編; 岩波文庫「李賀詩選」
原文掲載で資料価値はある。が「なるべく原文に忠実に」との訳文は詩としての鑑賞に耐えない。文体語調まで訳そうとの試みはわかるが,日本語がこなれていない。
文藝春秋 編; 文春文庫ビジュアル版「オカルティズムへの招待」
ものすごく期待せずに買ったら良い意味でみごとに裏切られた。めちゃめちゃお得じゃん,これ。副題と表紙は極度に駄目。安っぽいわ悪趣味だわ。(副題;西欧”闇”の精神史/黒魔術、錬金術から秘密結社まで。 表紙;エリファス・レヴィのサバト山羊バフォメッツを着彩。)中の図版がかなりきれいに印刷できていたので買った。内容はあちこちからよせ集めと書き下ろし。澁澤龍彦に種村季広。大瀧啓裕。で,村上陽一郎。なにやってるんですかあなたこんなところで。しかも書き下ろし。
澤井繁男 ;講談社現代新書1128「錬金術」
わかりやすい。中身も濃い。資料的価値も割合高い。日本語の訳語に原語が付されていないのは元ネタ用には多少不便か。日本語の本だけだが参考文献表も付いている。良心的。
A.K.デュードニー 著/田中利幸 訳; アスキー出版「眠れぬ夜のグーゴル」
「統計で嘘をつく方法」の類書。出版社と帯以外は良い本。装丁もきれいだ。翻訳もそんなに悪くない。内容は大丈夫。参考文献の中の邦訳済み文献について何も触れられていないのはまあ良い。帯の書評が「人はどうしてこうもたやすくだまされるのか。それは人間が誰でも持っている論理性や合理性を見失ってしまっているからです。」..........早大教授大槻義彦。あんたにいわれたかないやね。先に出版社と帯を見てたら購入しなかったろう,多分。
M.B=ミットフォード 著/若桑みどり 訳; 三省堂「サインシンボル事典」
訳者若桑みどりは千葉大学教授。がんばったのは分かるが,訳語への詰めが甘い。エジプトの太陽神「レー」。紅玉髄「コーネリアン」。瑪瑙「アジット」。私の知識では訳語は「ラー」,「カーネリアン」,「アゲート」に固まってたもんだと思っていたが。原音に忠実なのか?でも原書は英語だろ?どっからでたんだよ「アジット」。かえって遠いぞ。決定的なのが「マンダラゲ(カタカナ)」。「マンドレイク」,「マンドラゴラ」じゃないのか,おい。といったことを読者アンケート葉書で送ったら「上の三つは訳者の意向に添いました,マンダラゲは英和辞典にもそうあるので良いと思います」という返事が返ってきた。誰か曼陀羅華は元々仏教語,指示対象は一応蓮の花ってなことを教えてやってくれ。知っててやってるのは構わないんだが。
森田良行; 講談社現代新書969「日本語をみがく小辞典<形容詞・副詞篇>」
一応まっとうな研究者だが日本語が下手。定義もいまひとつ。資料価値は一応ある。もっと使いやすい類書を望む。


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