馬鹿企画

 

Rei Ayanami

ある

「ある戦いの記録」F・カフカより


このページの文章は柳瀬尚紀訳「幻獣辞典」に掲載の「ある戦いの記録」を引用したものである。*1 画像はGAINAXの掲載使用許諾を受けている。再掲載・配布は禁止。この文章に関する質問、抗議、訂正、削除希望などの一切は私に送るように


 

Red Eye

ぼくは奇妙な動物を飼っている。半分猫で半分羊だ。

これは父の形見だ。Ambivalence

しかしぼくが飼うようになってから、こうなったのだ。
以前は猫であるよりはるかに羊だった。Desire

Despairいまでは両方が
ほぼ同じ釣り合いになっている。

 

Just a Dummy

.............それからはなはだ妙な質問、
人間には答えようのない質問があびせられる。
何故こういう動物が一匹しかいないのか............

 

Tears

..........こいつの太い頬髭から、涙のしずくが落ちていた。

あれはぼくの涙だったのか、
それともこの動物のだったのか。
この猫は、羊の気性といっしょに、
人間の野心ももっていたのか。
父からはさほどの遺産を譲り受けなかったけれど、
この形見はながめる価値がある。..........

 

Don't Be

たぶん肉屋の包丁がこの動物にとっての救済となるだろう。
しかし形見だから、そんなことをさせてはならない。
だから、肉体から呼吸が自発的に去っていくまで、こいつは待っているしかない。A Human Work

もっとも時折、人間みたいにわかっているという顔付でぼくを見て、僕ら両方が考えていることをしてみろと挑んでいるのだけれど。

Do you love me?

 

 

 


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*1 引用:「幻獣辞典」p.70-71 「ある雑種」の項にある、「「ある戦いの記録」」を引用した。
つまり「孫びき」。ごめんね。

「幻獣辞典」ホイヘ・ルイス・ボルヘス, マルガリータ・ゲレロ;
 柳瀬尚紀 訳: 晶文社刊, 1992 (1974 初版):
 El Libro de Los Seres Imaginarios. Original Copyright 1967

  「ある戦いの記録」フランツ・カフカ
  (タニア、ジェムズスターン共訳の英訳による)