1997年8月7日、
一杯ひっかけながら無為に時間を過ごしていた私の耳に
遠くから聞こえてくる、あれは確かに花火の音。
そうか、今夜は多摩川の花火か。
......花火。花火。はなび。
行きたいのは山々だが、金も交通手段(あし)もない。
あったところで人混みにまみれてまで見る気もせず...............
居たたまれない気分に、とりあえず知人Kに電話。
一通り世間話、近況などを話す。
続く打ち上げ花火の音。
夜の9時。突然決まるあたりがお馬鹿である。
とりあえず呼んだら来そうな知人Tにも電話。
生活感あふれとるな。
しかし夜の9時に突然呼び出して、ちゃんと来てくれるんだからなんとひとの好い.......。
(呼び出した張本人>私)
場所は近所の@@公園にした。
蚊は多いが緑の多い、かなり広い公園である。公衆トイレもあるので水も確保できる。
同じく近くにある大学構内でやろうか、とも考えたのだが、警備のおじさん達と追いかけっこを楽しむほど気力も体力もなし、もう若くないんだから、ということで没。
ちなみに知人Kはサークルの合宿から帰った直後でへとへと。よく馬鹿の花火なんぞにつき合ってくれる気になったもんだとおもう。良い奴。
(諸悪の根元>私)
近所のコンビニで適当に必要な物を入手。
あたりめ \285
缶ビール(モルツ)\300
打ち上げ系の派手な物はなし。手持ちのものばかり。
線香花火とどっちにするか迷ってすぼてぼたんを選択。渋い。
公園の一隅に陣取る。学生3人で花火遊び。
ススキ、スパークラー、絵型、筒物など、入っているのを適当にとっては火を点ける。
マグネシウムやその他の幾つかの化学物質の燃える色。
昔やった炎色反応の実験を思い出す。
燃えていく火薬の匂い。
この香りが心穏やかに嗅げるのは多分おそろしく幸せなことなのだろう。
燃え尽きた花火を水に入れたときにする、しゅっという音.......
「雷?」
「......気にしないことにしよう。」
あたりめかじりながらすぼてぼたん。
ビールは1缶をまわしのみ。
ああ、なんて地味な.........。
すぼ手牡丹は地味な花火だ。
ヒゴの先に火薬が無造作にくっついている、「マッチのお化け」の様な風体。線香花火の一種らしい。普通の線香花火よりも火花はやや華やかだが、火の玉が落ちやすい。
微かな音を立てて燃え尽きていく。
線香花火もすぼてぼたんも、沈黙を誘う花火だ。
途中で火の玉を落としてしまったときの、
悔しいような悲しいような何とも言えない気分は他の花火では味わえない。
パックの中には普通の線香花火もあった。
風があったためローソクがすぐ消えたり、花火がうまく点火しなかったりだったんだが、しばらくの間結構楽しく遊んでいた。
「あら?」
雨、だね。
殆どパックの中身は使いきっていたこともあって、撤収。
......3人で近くのミニストップへ行くことに。
そのままソフトクリーム等喰いつつ雑談(馬鹿話)でひたすら時間をつぶす。
.........結局帰宅は午前様となったのだった。
持つべきものは、よい友人