数放電管(デカトロン)の工作

2006.1.17 公開

はじめに

このところ、どうやら放電管マニアへの道を歩んでいる(イメージ的には登山に例えたいところですが、実際には坂道を転がり落ちてポテンシャルエネルギーを速度に変換している様子を想像していただきたい)ようなRUUでございます。

転げ落ちるとか泥沼にはまり込む過程としては、LED→レーザー→冷陰極管(ネオン管)→ニキシー管ときたら次はデカトロンかマジックアイと相場は決まっているらしい(謎)。
昔の技術者の方や管球マニアの方はご存じなのでしょうが、私は最近まで全然知らなかったデバイスでした。母校の実験準備室だか旧**公社の展示室だかで見かけたような気もするのですけど、さすがにニキシー管ほどポピュラーな物ではなかったようです。

で、このデカトロンについて私が理解できた範囲で・・・

デカトロン(Dekatron)というのは計数放電管と呼ばれ、その名の通り数を数えるカウンタと放電表示器を兼ね備えたようなデバイスなのです。
30年くらい前にはもうほとんど使われることがなくなったのではないでしょうか。
管の中央には円盤形のアノードがあり、それを取り囲むように10本のカソード(K0〜K9)と、それぞれのカソード間にあるガイド(G1,G2)の計30本(ダブルパルス型の場合)のピンが生えています。
ニキシー管と同じようにアノードとカソード間に高電圧が加わると放電によってカソード極が発光するわけですが、アノードとK0〜K9のいずれかの間で放電が起きると、該当するカソードとアノード間の電流によって他のカソードとは放電が起きなくなります。極端に高電圧だとあちこちで放電してしまうので、定格でどれか1つしか光らないようなセッティングにしておくということでしょうね。
カウントパルスによって発光位置を進めるには、カソードに隣り合うガイド(G1とG2)の電位を順番に落とすことで放電路を引きずるようにして、隣のカソードに放電位置を移せば以前のカソードは消えるというわけです。たとえれば聖火リレーでトーチの火を順番に移しているような感じっすかね。
こんな管で10進のカウントと表示ができるわけですけど、単純にしてなかなか面白い構造であります。


今回入手したのはロシア製のA101というダブルパルスタイプの管で、アノード1本と10本のカソード、ガイド2本の計13本足となっています。
カソードが個別に生えているので、ちと弄ればパターン表示なんかも出来そう。
同様の管にレイセオンのGS10Cなどがあるので、これらのデータシートや回路例も参考にしました。

さて・・・これで何を作るかという事ですが・・・クルクル光点を回すディスプレイか7セグの代わりに何かの表示をするか程度しか思い付きません(^^;;;
まあとりあえずはクルクル回して癒されましょう(笑

回路

今回はいたずら製作ですので、1本で適当な周期のクルクルや入力パルスに応じてカウントを進める程度で作ってみます。

で、・・・・電源をどうしようかというところで詰まってしまいました。
AC100Vを倍々電圧整流してみましたがかなり危なっかしい感じだったので、他に方法がないか検索してみたところ、30分のウェブページ幻のTRON復活計画〜D〜で冷陰極管用インバータ改造による電源が紹介されていました。
しかもPICで制御なさっておられる! うむ。これいただきです(笑
さっそく私も秋月インバータを電源にして実験してみたところ、たいへん良好な結果となりました。
記事参考・紹介について快諾いただきました30分のウェブページの逆転写RNA様にはこの場を借りて御礼申し上げます。

回路図(1000*750 gif 14KB)

電源に使用したインバータは秋月の「15cm級冷陰極管+インバータセット」付属の物で、TDKのCXA-0199という型番でした。
出力側の33pFをバイパスして、ダイオードで半波整流、0.33uF/630Vのフィルムコンと1MΩ1/2Wで約550V(ただし入力=DC5Vの場合)となりました。

リセットスイッチは押すとオフになるモーメンタリ型を使います。
PIC電源側のツェナーはインバータやデカトロン側から回り込むノイズで誤動作やラッチアップしないよう念のため付けておきました。

プログラム

PIC12F675用ですが、A/Dなど使用しないのでHEXはそのまま12F629に焼いても動きます。
ソースはCVASM16アセンブラです。

deka_a101.ZIP (12F675/629 3KB)

電源を入れると時計回りにクルクル回ります。モードスイッチを押す毎に以下の順で切り替わります。

1) 時計回り、1秒1回転(60rpm)
2) 反時計回り、 〃
3) 時計回り、1秒4回転(240rpm)
4) 反時計回り、 〃
5) カウンタ

カウンタモードはCount入力(プルアップされているので負論理のパルス)によってカウントアップします。
ただし1球(1桁)なので周波数が高いとワケがわからなくなります(^^;
K0からキャリーを取り出して次段に回せば2桁以上のカウンタとして少しは実用的になりますかねえ。

写真

1950年代の代物らしいです。
管のあちこちに手書きの記号や数字があるのですが・・意味まではわかりませんです。。
感電すると危険なのでケースに入れました。
100円ショップダイソーのディスプレイケースです。
以前ニキシー時計を入れた物を再利用。
毎秒一回転で表示しているところ。
シャッタースピードが1/10秒かそこらなので、カソードの順次点灯の状態が確認できます。
カソード間のガイド(G1,G2)は0.5ms程度のごく一瞬しか放電しないので光っている様子はわかりにくいですね。

さいごに

入力にマイク&アンプを繋げてみました。結構笑えます。
「へっくょん!!」(クルクルクル・・・・

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