動ガン用モータースピードコントローラ(スピコン)の作成

更新履歴

2002.04.07 基板写真を追加
2002.03.29 回路図、プログラムを公開

はじめに

このホームページで紹介している弾速測定器の作成で、大阪の高見山さんとあれこれ相談しているうちに、電動ガンの連射速度を自由に変えられる装置が欲しいんじゃ〜、という話題になりました。
電動ガンのヒューズの代わりに内蔵できるくらいの大きさになら出来そうですネ・・・と答えたばっかりに成り行き上(笑)、作ることになってしまいました。

ガンへの組み込み等、実装の詳細は高見山さんのスピコン作成ページを参照して頂けると幸いです。

回路図

スピードコントローラ回路図 1000*750(gif 15kb)

今回はPIC12C509Aを内部RC発振の4MHzクロックで使用します。電源(バッテリー)は6V〜12Vの範囲としました。

FETスイッチデバイスは高見山さんから高性能なサンプルを提供して頂き、なかなか満足いく物が出来ました。FETはIR社のIRL1404やIRFBA1404Pを想定していますが、使用するモーターやバッテリーに応じて、国産等入手性の良いNチャネルのパワーMOS-FETに差し替えても良いと思います。

パワー系とロジック系を切り離すためにフォトカプラ(TLP555)を使っています。このカプラは出力がPush-Pullになっているので、FETのゲートを高速にスイッチングすることができます。また、ゲート電圧をVcc近くにとることができるのでFETのON抵抗を低く抑えることができます。
使用するFETのゲートが5V未満(4V程度)で充分ONになる場合は回路図の補足にあるように、あえてフォトカプラを使わなくてもよいです。

スピード調整の方式はPWM (pulse width modulation)で行います。VR(20kΩ)とC(0.047uF)による充放電で簡易AD変換を行い、パルスデューティ比を調節するようにしました。C(0.047uF)はサンプリングコンデンサなので周波数特性の良いポリスチレンやポリカーボネート、マイラ等を使います。

TLP555+IRL1404使用時

白:PICのGP2出力波形
赤:FETのゲート電圧波形
VCC = 8.4V
Duty = 70%
f = 1.4kHz
Vgs = 7.5V

 

プログラム

トリガスイッチがONになると、始めの数ミリ秒はモーターを起動するためFETをONにして、その後VRで設定されたデューティ比でFETをドライブします。
VRの値を読みとるために、まずGP4ピンの出力を'H'にしてCを充電しておき、次にGP4ピンの出力を'L'に設定してVRを経由してCを放電し、GP5の入力が'H'→'L'になるまでの時間をカウントする方法をとりました。
PWMドライブは、読みとったVRの値をもとにパルスのON期間とOFF期間のカウント値を求めて、ループ処理によってパルスドライブ出力を行います。
トリガスイッチが押されていない場合は念のためPICの状態をスリープにして、クロックを停止させるようにしました。(トリガが引かれれば直ちにウェイクアップしますが)

PWM周波数はとりあえず1.4kHzに設定していますが、GP1ピンをGNDに接続すると倍の2.8kHzでドライブするようになっています。

使用するモーターやバッテリー、あるいはギア比やスプリングの強さなどによって、最適なデューティ比の設定範囲が異なると思われるので、使用するVRの抵抗値により次のような設定範囲が決まるようにしました。

30kΩ=0%〜100%
20kΩ=20%〜100%
10kΩ=60%〜100%

20%未満だと負荷でモーターが回らないことが多そうなので、15〜20kΩ程度がベストだと思います。

スピコン ソース+Hexファイル (spcon14.zip 6kb)

 

使い方

元々ついているヒューズをキャンセルして、本基板を内蔵します。
既にFETスイッチに改造している場合は、FETのゲートとトリガSWの間に本回路を入れるような形になります。
回路の消費電流は4mAほどですので、繋ぎっぱなしでもほとんどバッテリーは減らないと思いますが、安全のため使わない時は必ずバッテリーを抜くようにしてください。

トリガを引けばVRで設定された速度でモーターが回ります。VRを調整してお好みの連射速度に調整してください。最大速度(VR=0Ω側)の場合は単なるFETスイッチとして動作します。

 

New! (2002.4.7)
このスピコンは主にPIC16F84を使ってブレッドボードで試作、その後プログラムを12C509に移植、という手順で作成をしていましたが、今回は私のほうでもテスト用に基板を作成してみました。抵抗と0.1μFのコンデンサはチップ部品を使い、試しに2階建て構造にしてみました。が、後で改造し難い事に気付いたナリ。 (^^;
コネクタ部を除き、42×12×16(mm)の大きさです。

●上:A基板(ロジック基板)表面

●下:B基板(パワー基板)表面

●上:A基板裏面

●下:B基板裏面

●A,B基板の裏面同士を合わせてサンドイッチ

●電源+, GND, 信号線を貫通ピンで接続

●SW,VR を取り付け
  VRは11mm×9.5mmの小型タイプにしてみました。

※バッテリー&モーターのケーブルはテスト用に細い物を
 使っています。

 

おわりに

最初は試作してもなかなか思い通りに動いてくれず、しかも設計の私(神奈川)と、実験・評価の高見山さん(大阪)の遠距離恋愛・・・もとい、遠距離開発だったためにいろいろと苦労が絶えませんでした。(^^;
どうにか実用的なものが出来たのでここに公開しましたが、いざ完成してしまうと何かちょっと寂しい気もしたり。。
悩みながらも工作することの楽しさをあらためて感じたのでありました。


戻る