易NiCd充電回路


 最近NiCdの充電器を作ってみましたが、基本的な仕組みは単純なものです。仕組みの説明と電子工作入門を兼ねて、最もシンプルな定電流充電器をご紹介します。

この回路では一定の電流で図の位置に接続されたバッテリーを充電します。
トランジスタを2つ、抵抗を2つ使い、充電用の電源は安定化電源かバイク・自動車用のバッテリーを想定しています。
TR1とR1が電流を制限し、TR2はトランジスタのB-E間電圧(Vbe)が常に0.6Vであることを利用し、TR1のベース電流をコントロールします(注1)。電流量はR1の抵抗値によって以下の式で決定されます。

 充電電流(A) = 0.6(V) / R1(Ω)

これはR1の両端電圧が常に0.6Vになるように制御されるためで、学校で習う E=IRの式です。つまり、NiCdを1アンペア(1000mAhのNiCdなら1C充電)で充電したければR1を0.6Ωとすればいいわけです。
注意しなければならないのがTR1の損失ですが、以下の式で求める損失を許容できるものにしなければなりません。

 損失(W) = 入力電圧と最低バッテリ電圧の差(V) * 充電電流(A)

6Vバッテリーを使ってNiCd2セルを充電するのであればおよそ、(6 - 1.0 * 2) * 1〜2 = 4〜8(W) 以上の汎用パワートランジスタを使えばよいでしょう。その他の定格は余裕を見てVceo = 30(V)以上、Ic = 4(A)以上であれば大丈夫と思います。
なお、上記の損失はトランジスタの発熱という形で現れます。発熱によってトランジスタ内部の接合温度を越えてしまうと素子が破壊される恐れがあるので、トランジスタにはヒートシンクの装着が必須です。ヒートシンクの大きさを決めるには

 熱抵抗(℃/W) = (Tj - Ta) / Pc - 2.0   ; Tj=ジャンクション温度 Ta=室温 Pc=損失(W)

という式をあてはめれば良いそうなのですが、ジャンク屋で買ってくるようなヒートシンクはそもそも熱抵抗がわからないので、稼働中に手で触れない程熱くなければOKとしちゃう事が多いです(^^;

そうそう、これだけではNiCdが満充電になっても充電停止しないので、充電中はバッテリ電圧をテスターとにらめっこして、電圧が下がりだしたら直ちに充電を止めることをお忘れなく(NiCdは充電終期でピークを迎えた後、電圧が若干下がるので)。

参考:
実験では6Vバッテリーで2セルを充電するのに TR1 : 2SD1191 , TR2 : 2SC1815, R1 = 0.6Ω/2W でやってみました。


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