CL6DX 水平スタックのスタックブームの影響


 6mでスタックといえば普通、上下スタックを思い浮かべると思いますが、水平スタックだってよさそうに思います。
なぜ垂直スタックが多いかというと構造的に組みやすいからでしょう。でも垂直の場合スタック間隔をある程度
確保しないと性能が悪そうです。これがくせ者であんまり無理してスタック間隔を広げると台風襲来で、マストが「へ」
の字になってしまいそうです。

 では水平スタックなら「へ」の字はなさそうですが(「く」の字がある???)そのままスタックブームを付けると、
エレメントとスタックブームが同一平面上にきてしまいなんか悪影響がでそうです。
さてさて、その影響度はいかに? というわけでシミュレータさんに登場していただきました。
最近入荷したWindows版EZNEC3.0を使ってみます。

●条件
アンテナはCD社のCL6DX(フォールデットダイポール型ラジエータ)6エレを使います。
地上高は全て25m
 

●もくじ
1.シングルアンテナ
2.ブームを付けて計算
3.ブーム付きCL6DXの水平スタック
4.スタックブームを付けてみる
5.ついでにタワーも付けて(建てて)みる
6.スタックブームに2mの垂直部を付けてみる



1.シングルアンテナ
 
 スタックブームの影響を見る前に、アンテナそのもののブームの影響をみます。
 比較のために、まずは素の状態、すなわちエレメントのみでシミュレーションする。
 (普通シミュレーションと言えばこの状態で計算する事が多い)

  打ち上げ角3度の水平パターンです。
 
 垂直パターンです。
 



2.ブームを付けて計算
 
Φ30のブームを付けた状態で計算してみます。
エレメント中央とブームは電気的に完全に接続しています。(ラジエータを除く)

 水平パターン
 
 垂直パターン
 
教科書どおり、ブームの影響はでていません。ハイ
 



3.ブーム付きCL6DXの水平スタック
 
 ブームがついたCL6DXを水平に6m離して配置します。6mにしたのはスタックブームの影響を見るのが主目的
なので、敢えて共振しそうな間隔にしています。最適スタック間隔ではありません。
次の結果はまだスタックブームは計算に入っていません。空中に浮かんでいる2つのCL6DXです。
 
 水平スタック 水平パターン
 
 同、垂直パターン
 


4.スタックブームを付けてみる。
 
 エレメントと同一平面上にΦ45のスタックブームを付けてみます。アンテナブームとスタックブームは電気的に接続している。
 
 ちょっとパターンが変化している。
 
 真上のビームがやや大きくなった。

 スタックブーム有無でゲインが19.63dBi から 19.13dBi に変化している。
 



5.ついでにタワーも付けて(建てて)みる 

 スタックブームまでつけたんだからタワーも付けちゃえで、Φ150の25mのタワー(そんなタワーないぞ!)を付けてみます。
タワーとスタックブームは電気的に接続してます。
 
 水平パターン
 
 垂直パターン
 
スタックブームだけの結果とかわりません。タワーの影響は無視できる?? Φ150のタワーね。
 
 
では、アンテナブームとスタックブームの接続部の電流分布を見てみます。
 
 接続部の分布が乱れている。
 



6.スタックブームに2mの垂直部を付けてみる。
 
同一平面上にスタックブームがあるのがいけない?? ではつり下げ方式にしてみると。
垂直部は2m
 
 あれ、また変な感じ!!!
 
 これはあんましかわんない。
 

 構造と、電流分布を下図に示します。電流の乱れはないようですが、スタックブームにまだ少し電流が誘起して
影響がでているみたいです。


 
 
おまけ(全体像)
 

 

感想:

 同一平面上のスタックブームの影響が、大きいと見るか小さいとみるか、、、うーーん。。。。
 
 


K.Ohmae/JF3IPR   27th.Jan.2001