ゲルギエフのロミジュリ、音楽はさすがでした。
12月
・「こうもり」 新国立劇場バレエ
・「シンデレラ」 キーロフ・バレエ
・「ロミオとジュリエット」 キーロフ・バレエ@東京
11月
・「ロミオとジュリエット」 キーロフ・バレエ@神奈川
・「ヘリコプター、春の祭典」
・奇跡の競演 ギエムとバレンボレム
・「マノン」 新国立劇場バレエ
8月
・「ジゼル」 スターダンサーズ・バレエ団
・「ノートルダム・ド・パリ」 牧阿佐美バレエ団
・世界バレエフェスティバル 特別ガラ
・世界バレエフェスティバル Bプロ
・世界バレエフェスティバル Aプロ
7月
・ヌレエフ・フェスティバル
・「ジゼル」 レニングラードバレエ団
6月
・「ラ・シルフィード」「パキータ」 新国立劇場バレエ
・「3つの愛の物語」 シルヴィ・ギエム公演
・「白鳥の湖」 熊川哲也 K-ballet カンパニー
5月
3月
・「ラ・バヤデール」 パリ・オペラ座
・「ジュエルズ」 パリ・オペラ座
・「白鳥の湖」 AMP
2月
・「ラ・バヤデール」 新国立劇場
・バレエの美神たち
・「海賊」 レニングラードバレエ団
・「ロミオとジュリエット」 牧阿佐美バレエ
・「パキータ」 パリ・オペラ座@パリ
1月
・「マノン」 ロイヤル・バレエ@ロンドン
・「トリプル・ビル」 ロイヤル・バレエ@ロンドン
・「ベジャール・ガラ」 東京バレエ団
2003/12/24 新国立劇場 大劇場
本日は、新国のこうもり(プティ振付)を見てきました。
今回、新国では、こうもりとシンデレラを立て続けて上演するので、仕事でばたばたしててバレエから意識が遠ざかっていたせいもあって、始まる直前まで今日の演目はシンデレラだと思い込んでしまっていた、、、、演奏が始まって、初めて、今日はこうもりだったと気がつきました。かなり間抜けかも。
シュトラウスの音楽がやっぱいいですね〜。あのワルツに乗るとウキウキしてしまう。バレエは歌なしなんですが、途中1箇所だけ、夫が歌う場面があって、それがやっぱ素敵で、オペラでみたいな〜と思いました。(バレエ版は、オペラとは少し展開が違うらしい)
妻役の湯川さんも、夫役の山本さんもまずまず似合ってました。湯川さんはややビスチェ風の衣装に違和感があった気がしますが、まあ、あの衣装はそもそも難しいですね。
友人のウルリック役は、小嶋さんが怪我で降板して、吉本さんになりました。ダンスは素晴らしかったです。でも、おかしさがちょっと足りなかったかな〜。
去年みたルイジなんとかいう人のあの味はやっぱなかなか出せないですね〜。去年の小嶋さんはそれに対抗して、かなり濃いキャラを作ってましたが、吉本さんは、無理せずに自然にやってました。自然でいいんですが、やっぱ3枚目役の哀愁が足りないかな〜
2003/12/6(土) 18:30開演 東京文化会館
ジュリエット:エフゲーニャ・オブラスツォーワ、
ロミオ:ヴィクトル・バラーノフ、
マキューシオ:アンドレイ・メルクーリエフ、ティボルト:ドミトリー・ピハーチェフ
指揮:ミハイル・アグレスト?(⇒アレクサンドラ・ティトフだと思う)
管弦楽: キーロフ歌劇場管弦楽団
今日は、ザハロワとゼレンスキーの主演の予定だったのですが、ザハロワはボリジョイに移籍し、ゼレンスキーは背骨を傷めているとのことで、主役が2人とも変更になってしまいました。
でも、ジュリエット役のオブラスツォーワは、まだコールドで19歳らしいのですが、初々しくて、力いっぱいの演技で、ジュリエットにぴったりでした。小柄なので、最初の登場で、乳母と戯れるシーンは本当にまだ子供って感じで、それがロミオに出会って、本当に少女らしいまっすぐな恋の情熱を感じさせるようになって素敵でした。
ロミオ役のバラーノフは、かなりのベテランのようで、ちょっと落ち着いた感じで上品な感じでしたが、ロミオの直情さとか、熱っぽさはあまりなくてちょっと物足りなかったです。
なにより、この日は、オケがちょっと酷かったです。最初から金管はかなり外してました。クッションダンスの後のソロは出だしでしくじって、そのままソロは全然音がでないままというのもありました。他の音もなんかいまいちしっくりこないのが多かったです。神奈川で、素敵な音だと思ったのは、幻想かと思ってしまいました。
神奈川公演のゲルギエフがかなりゆったりめに音をとっていたのに比べると、今日の指揮者はかなり早めのテンポにしてました。前奏曲とか、踊らないシーンでは、ちょっとせわしない感じで落ち着かなかったけど、ダンスシーンには、ややアップテンポのほうが踊りやすいような感じで、神奈川の時よりダンスとは合っていたようです。
でも、なんか、全体に音色がきれいじゃないんですよね、、、あと、音のバランスがいまひとつ。オケのメンバー自体がかなり入れ替わりがあるようですね、、、、
キャスト表には、指揮者はミハイル・アグレストとなっていたけど、アレクサンドラ・ティトフだったようです。
2003/11/27(木) 18:30開演 神奈川県民ホール
ジュリエット:ディアナ・ヴィシニューワ、
ロミオ:アンドリアン・ファジェーチェフ
マキューシオ:アンドレイ・メルクーリエフ、ティボルト:ドミトリー・ピハーチェフ
指揮: ワレリー・ゲルギエフ
管弦楽: キーロフ歌劇場管弦楽団
今回のキーロフのロミオとジュリエットは、ラブロフスキー版。この版は、1940年にキーロフで初演され、その後ボリジョイ・バレエの海外公演で世界的に高く評価されるようになったもの。それまで、古典的なバレエしか知らなかったヨーロッパに人たちは、この演劇的なバレエにかなりの刺激を受けたようです。この作品に影響を受け、クランコ、マクミランなどが独自の振付で、ロミオとジュエットを製作しています。今では、マクミラン版、クランコ版の方が有名になってしまいましたが、今回ラブロフスキー版をみてみると、彼らの作ったロミオとジュリエットの原点がこの版にあるのがよくわかります。
古い振付なので、演技が多く、踊りはややおとなしめです。私のような純粋バレエファンには、ややもすると物足りなくなりそうだけど、舞台全体の美しさと、そしてなにより、それが音楽を楽しむ余裕となり、音楽のすばらしさを味わうことができました。
ゲルギエフは、割りとゆったりと音をとっており、時折、独特の間を作ったりもしているけど、それほど、音楽が突出した感じではありませんでした。それでも、時折、ダンスと合わなくなっているような気もしたけど、ラブロスキー版はそれほど踊りまくるっていう振付ではないので、違和感はあまり感じませんでした。
いつものロミジュリだと、かなり金管がかなりひやひやさせられるシーンが多いけど、それもなく安心して聞いていられました。長丁場なので、数回、ちょっとはずしたくらいは愛嬌というもの。迫力のある盛り上がりと、不協和音のバランスもいいし、そして、弱音の旋律はすばらしい美しさでした。ゲルギエフだからいいのか、オケがうまいのか、どっちかわかりませんが、ここまで音楽が楽しめるのはさすがです。
ヴィシニョーワのジュリエットは、最初の登場で、さすが子供っぽいとはいいがたく、乳母と戯れて、膝に乗っちゃうのはちょっと無理があったかも、、、(背が高いので)。でも、とても女らしく、艶っぽくて、すごく魅力的でした。ガラで見たときは、あまりにも色っぽすぎて、マノンのように見えたけど、それはなく、ジュリエットらしかったです。
ロミオ役のファジェーチェフも、最初はノーブルな感じで、でも、少年らしい情熱と、カッとしてティボルトを殺してしまう直情さとよく演じててよかったです。
舞踏会で2人が出会ったあと、半円の幕がおり、その前で二人が恋に落ちていくところが、とても素敵でした。ロミオに高くリフトされて、ジュリエットの表情が変わっていくところとか、すごく見ごたえありました。
バルコニーシーンは、マクミラン版を見慣れた目には、踊りはかなり物足りないですが、ロマンチックな雰囲気にヴィシニューワの美しい肢体が映えて結構よかったです。音楽も見せ場!なんですが、、、最後に盛り上がったところで、拍手が始まってしまい(たぶん、終わりだと勘違いしたのでしょう)、この後の別れの余韻をあらわすかのような弱音の旋律のところでずっと拍手が続いてしまって、ちょっと残念でした。
このアクシデントで、観客からクレームがでたらしく、その後の幕間に「拍手は音楽が終わってから」のアナウンスが出てました。このアナウンス、この後のキーロフのバレエ公演でもずっと流れたため、バレエ公演なのに途中で拍手はしてはいけないのか?とかなり誤解を呼んでしまったようようです。
舞踏会シーンになると、舞台には豪華なテーブルとその上に料理が並んだセットになりますが、あっという間にテーブルは片付けられ、クッションダンスになります。豪華なセットが楽しめていいような気もしますが、でも、舞台が進みながら、裏でテーブルを運びだす様が見えてしまい、いまいちな気も、、、、
ティボルトの死では、キャプレット夫人が自分の服を引き裂き、髪を振り乱し、ティボルトの死体に乗ったまま担ぎ上げられていくという演出で、これがすごい迫力。キャプレット夫人とティボルトのやや怪しい関係を暗示しているらしいのですが、ちょっと唐突にすごい演技になってしまった気もするし、あまりにも儀式的すぎて、却って悲しみがあまり伝わらないような気がしました。
最後の幕、ジュリエットが死んでしまうと、階段を下りてきて、祭壇になったところにジュリエットの死体を埋葬するという舞台セットで、これはすごく綺麗でした。ジュリエット、ロミオがすれ違いで死んでしまうので、ほとんど踊らないのですが、この舞台セットの美しさと、音楽の美しさで、感動しました。
公演が終わったあとも、音楽の余韻が残るような公演でした。
ただ、この当日は、そこまでこの日の音楽が特別すばらしいものだったとは気がつかず、キーロフならこのくらい当然なのかと思ったのですが、その後のキーロフの公演では見事に期待を裏切られ、この日の演奏は、かなり素晴らしいものだったらしいと、後から実感したのでした。
2003/12/3(水) 18:30開演 東京文化会館
シンデレラ:ディアナ・ヴィシニューワ、
王子:アンドレイ・メルクーリエフ、
継母:アレクサンドラ・イオシフィディ、
義理の姉たち:ヤナ・セレブリャコーワ、エレーナ・シェシナ
指揮: ミハイル・アグレスト
管弦楽: キーロフ歌劇場管弦楽団
ラトマンスキーが振付した最近のプロダクションです。舞台は割りとモダンな感じで、鉄骨を組んだような階段が舞台の両脇に置かれてました。そしてやはり鉄骨で作られた輪っか状のものが上から吊り下げられ、2幕ではシャンデリアになったりといろいろと使われてました。衣装も、ワンピースや、ドレスというモダンな感じで、舞台の雰囲気は、プロコフィエフの現代的な音に合っていました。
ダンスの振付は、ミュージカルっぽい現代的なダンスの振付があるかと思うと、意外と王子とシンデレラの踊りは急に純粋クラシックになってしまったり、まちまちでした。
2幕の宮廷シーンは、ロングドレスとタキシードで、結構かっこよかったです。しかし、極めつけが、四季の精。春、夏、秋、冬の精が、それぞれ、緑、赤、オレンジ、青のレオタードを着た男性で、しかも、顔まで同じ色に塗っていて、髪も同じような色に染めて、逆立っていたり、ポニーテールにしたり。重要な役回りですので、多分意識的にやっているのでしょうが、この安っぽいスタイルが、なんか全体のクォリティを下げているような気がしたのですが、どうなんでしょう、、、
義理の母は、大柄な女性で、最初は男性が女装しているのかと思ってしまいました。これは迫力で、なかなかよかったです。義理の姉たちも、小太りの姉と、やせっぽちの姉が珍妙なやりとりをして見せて、なかなかおもしろかったです。でも、シンデレラとの絡みがあまりないため、別にいじめられるわけでもなく、ただの変わり者の親子が、宮廷に行って大騒ぎって感じにも見えました。さらに、最初と最後に、酔っ払いのダメおやじみたいなシンデレラのお父さんがでてきて、シンデレラにお金をせびったりするんですが、これの登場する意味も不明、、、全体にストーリーが全然つながらないので、場面場面のおもしろさをみるって感じなんでしょうか。
シンデレラは一生懸命、掃除はしてましたが、あまり悲惨な感じがないため、魔法使いのおばあさんが現れて、変身させてくれるシーンも、あまり劇的な感じはしなかったです。
きれいに変身して、気がつくと、宮廷の中に紛れ込んでて、最初は戸惑いながらも、彼女のダンスをみんなが賞賛してくれて、しだいにダンスしながらシンデレラが高揚していくという演出はおもしろかったです。
3幕になると、王子は、レンガ色のTシャツに、白いスラックス、そして皮のウエストポーチといういでたちで、シンデレラを探す旅にでます。ウエストポーチというセンスにめまいがしましたが、そこから靴を出す王子がかわいくて、憎めなくなってしまった。、
旅では、女ばかりの娼館みたいなあやしいところに紛れ込み、おどおどする王子がまたかわいい。そして、次に男ばかりの場所に紛れ込むんですが、これがやけにくねくねとした怪しい男性たちで、ほとんど新宿2丁目に迷い込んだ王子って感じでした。うーん、意味が不明、、、、
最後に、シンデレラの家に行くと、姉たちには靴が合わず、それを見ていたシンデレラが思わず階段からもう片方の靴を落としてしまい、王子と再会する、という展開でした。そして、王子とシンデレラが、階段を上がったり、下がったり、しばらくすれ違いを繰り返し、最後に階段の上で見つめ合うという演出。これはなかなか良かったです。
そして、最後に、セットがすべて取り払われ、シンプルな広い舞台で踊られる王子とシンデレラのパドドゥがとても素敵でした。
今日のオケは、まあ、プロコフィエフにしては、さほど音をはずすこともなかったけど、あまり印象に残る演奏ではなかったです。
2003/11/9(日) 新国立劇場 中劇場
プレルジョカージュのヘリコプター、春の祭典を見てきました。コンテンポラリーなんで、とっても????ですが、まあ、それなりにおもしろく見ました。
ヘリコプターは、「ヘリコプター・カルテット」という、ヘリコプターの機械音をベースのリズムとりいれた現代音楽。私には、ほとんど、SF映画の効果音状態で、正直、パフォーマンスが終わって音が止まった時、ほっとしてしまいました。
光を使った視覚的効果のなかで、ダンサーが動いているんですが、どっかでみた画像と思ったら、思い当たるのは、テレビゲームの世界でした。光がゆれる背景のなかで、様式化されたポーズをとる姿は、TVゲームでキャラクターがファイティングしているような感じでした。
プログラムによると、「すべてバーチャルなのです」とありました。うーん、たしかに、なんかミクロの決死隊とか、TVゲームとか、近未来のヴァーチャルなイメージとかに近かったです。
春の祭典は、最初、女性ダンサーがでてきて、パンツを足首まで下げて踊りだして、そのうち、パンツを脱いじゃいました(あ、とはいっても、一応スカートはいてるし、その下もはいてるみたいでした)。そして、男性ダンサーがそれを拾って、あとはまあ、扇情的な踊りが続くわけです。
うーん、ハルサイなので、表現したいことはわかる気がしますが、べつにこういう表現にしなくても、、、と、ちょっと思ってしまった。
最後、一人の生贄らしき女性が、服を剥ぎ取られ、すっぽんぽんで踊りますが、これはかっこよかったです。
2003/11/2(日) 15:00開演 東京文化会館
ダニエル・バレンボレム指揮 シカゴ交響楽団
シルヴィ・ギエム
東京バレエ団
S席 34,000円という高値となった公演。ギエムとシカゴ交響楽団の競演だからって、そのまま足し算しないでほしい、、、でも、覚悟して電話したら、S、A, B,は売り切れ。まあ、アップでみるよな演目ではないので、C席なら安くていいかも、と購入。安い?おっと、21,000円だったんだ、、、感覚が狂ってしまう。3階右サイド席でしたが、右奥がちょっと切れてしまうけど、そんなに遠い感じもせず、結構見やすくよかったです。
(1) 春の祭典 音楽:ストラヴィンスキー 振付:ベジャール
生オケで春の祭典を聞いたの実は初めて。迫力あってよかったです。一部、むむっ、と違和感を持ったところがありましたが(たぶん、自分の持っているCDと音の印象が違うからでしょう)、音と踊りの迫力で夢中でみてしまいました。
ベジャールの春の祭典は、原始的な生命力と官能性があってカッコいい。とくに男性パートがいいですね。これは自分が女だからでしょうか、、、
男性の生贄役は首藤くんでした。彼の生贄は初めてなので、比較はできないけど、以前、ほかのダンスから感じた首藤君の繊細な感じはなく、とっても男性ぽかくて、迫力ありました。
女性の生贄は吉岡さんでした。東洋人のせいか、巫女さんみたいで神秘的な感じがしてよかったです。
(2) 火の鳥 音楽:ストラヴィンスキー 振付:ベジャール
これは、振りつけがそんなに好きじゃないので、ちょっと気を抜いて見てました。でも、音は一番よかった気がします。とても、豊かな音がでてました。
(3) ボレロ 音楽:ラベル 振付:ベジャール
奇跡の競演といっても、ギエムは実はこれしか踊らない。まあ、私はべつにいいですが。
ギエムのボレロは、以前一度みましたが、いまいち甘い感じがして好きじゃなかったですが、今日はすごく緊張感があってよかったと思いました。生オケ(しかもそれがシカゴ響だし)との拮抗がもたらす緊張感かもしれません。
ボレロっていうと、ドンのイメージで、野性的とか、官能的とかいう気がしますが、ギエムのボレロは、身体能力の高さと、スタイルのよさから、もっと、シャープな気高い感じがしました。
音は、酷すぎるってくらい、トロンボーンのソロ・パートで外してました。1箇所とかでなく、最初に躓いて、立ち直れず、音は飛ばす(したように聞こえた)、また外すの繰り返し。でも、全体としては迫力で、やっぱ、生はいいなあと思いました。
後半の演奏はかなり早くなったようで、私が見ていても、なんか、かなりあせって踊ってるなあという印象がありましたが、ネットの情報によると、ギエムは2回ジャンプするところを1回に減らしたところがあったようです。
ちょっとそれはよくない気がしますが、ギエムのあの緊張感が、生オケのおかげなら、やはり、生オケでみれてよかったと思いました。
ところで、上の席だったので、オケピットが良く見えるんですが、ボレロの時、最後の部分だけは一生懸命指揮してましたが、大半の部分で、バレンボレム君はほとんど何もしてないように見えました。知り合いに入ったら、ボレロは始まっちゃうと指揮者がやることはないらしいですが、そういうもんなんですかね、、、
2003/10/31(金) 19:00開演 新国立劇場(オペラ劇場)
2003/11/1(土) 17:00開演 新国立劇場(オペラ劇場)
2003/11/3(月) 14:00開演 新国立劇場(オペラ劇場)
指揮: バリー・ワーズワース、管弦楽: 東京フィルハーモニ交響楽団
振付:マクミラン、音楽:マスネの楽曲より
日本のバレエ団でマノンが見られるとは予想してませんでした。去年、ロミジュリを取り上げたのも非常にうれしかったけど、こんなに早くマノンが登場するとは驚きました。今回は3キャストすべて見ましたが、とても見ごたえのあるすばらしいもので、新国立のこの取り組みは快挙と言えると思います。
マノンは、演劇性の高いバレエで、あまりメジャーではありませんが、非常に見ごたえがあります。また、演劇性が高いだけに、キャストによってかなり違った印象になる点も楽しめます。今回は、フェリ&テューズリー組、酒井はな&ウォルシュ組、オスタ&マトヴィエンコ組の3キャストを1回ずつ見ました。それぞれ、全然違うマノン像になっていて興味深かったです。この中で、フェリの上手さはぴか一でした。
ニコラス・ジョージアスの舞台美術も素敵でした。ロイヤル・バレエから借りてきるようなので、ロイヤル・バレエの舞台と同じはずなんだけ、あれ、こんなに豪華できれいだったかなと、、、改めて思いました。ビデオでみると、全体茶色で地味になってしまうのですが、実際には非常にうつくしいグラデーションになっていて、深みのある舞台でした。(ロイヤルで何度も観たはずなのに、改めて驚くなんておかしいなあ、、、)
以下、3回のそれぞれの感想です。
マノン:アレッサンドラ・フェリ、 デ・グリュー:ロバート・テューズリー
レスコー:ドミニク・ウォルシュ、 GM:ゲンナディ・イリイン、 レスコーの恋人:湯川麻美子
フェリのマノン、なんて素敵なんでしょう。美しく、純真で、それでいて享楽的で浅はか。男を虜にしてやまない魅力。まさしくマノンです。ABT来日公演でみた、ロミオとジュリエットのジュリエット役も感動的でしたが、このマノンという微妙な役どころを見事に表現しているのに感嘆しました。
最初の登場、年齢のせい(確かそろそろ40才)もあってか、さすが、あどけない少女というよりは、もう少し女っぽく登場したように感じましたが、かといって、けっして悪女ではなく、あくまでも魅力的なかわいらしい女性。本人の世間しらずなところと、大人達の思惑に戸惑う様とかうまく表現してました。
そして、デ・グリューとのパ・ド・ドゥで、さすが、、、と思いました。男性にサポートされて体重をあずけて踊る時の体のラインが絶妙でした。
体のしなり、腕の伸ばし方、足の出し方、すべてが絶妙なラインを作って、なんとも魅力的。2人で踊りながら、これだけ魅力的に体を預けられたら、男性はこの恋に夢中になっていくだろうなあって、感じさせるものでした。なんとなく、相手のテューズリーがしだいに興奮して、演技に熱がこもったいったように見えてしまったもの。
そして、デ・グリューと暮らす部屋に、レスコー、ムッシュGMが現れ、毛皮と宝石を与えらた後の変貌もさすが。まず、歩き方がもう少女ではない、贅沢を手に入れた女王、そして男の気を引くことを計算しているしたたかさが見て取れる。
レスコー、ムッシュGMと3人で絡み合いながら踊るシーンで、足を投げかけながら、すっと身をかわすしぐさが、もう、ダンスなのか、演技なのか、ぜんぜん境目がない。このシーンって、マノンを物のように扱うことで、GM、レスコーの思惑のほうが勝っちゃう場合が多いけど、フェリの場合、男たちの思惑に負けてなくて、物のように扱われながらも男を翻弄しているようにもみえちゃう。
そして、ベットに腰かけて、すっとあげた足の美しさ。あまりに自然で、うっとりします。普通は、ここで、ムッシューGMの気を引くために足を出す、という意図的なポーズみたいになっているのだけど、フェリの場合、そんな意図さえ感じさせない。ほんとに何気なく、足を組んでみただけっていう自然さと、でも、ちゃんとGMの気を引くこともわかっているしたたかさ、そして出した足の美しさに、これは男は飛びつきたくなるだろうーと思ってしまった。
パーティーのシーンの女王ぶりもさすが。そして、デ・グリューと逃げ出したあとの寝室のパ・ド・ドゥで、デ・グリューを愛しながらも、ブレスレットを捨てるように言われると、贅沢に執着して、デ・グリューに対して主張する姿も、1幕の少女とは違った贅沢を知ってしまった女の性が見えてよかたです。とくに、愛してはいても、自分の心には正直みたいなところがマノンらしくて。
2幕までが、あまりにも輝くようなマノンだったので、3幕、みすぼらしい姿になって、船から下りてきて、デ・グリューにすがりつくように踊る姿は感動しました。それまでは、たとえデ・グリューを愛していても、自分に正直で、奔放にやりたいようにやってきたマノンですが、すべてを失って初めて、デ・グリューの本当の愛に気づき、彼だけを頼りにして、そして本当に彼を愛している姿がとても悲しく見えました。(このシーンで感動したのは初めて)
たいしたことではないですが、フェリの3幕の衣装は、普通のマノン3幕の衣装よりちょっと小奇麗になっていました。デザインは同じなんだけど、汚れとかはあまりない、薄水色っぽい衣装で、髪も、ショートカットになっただけなので、あまり見すぼらしい感じはしませんでした。翌日の酒井さんはもっと、マノン3幕っぽい衣装だったので、フェリのはABTの衣装でしょか、、、どうせなら、ぼろぼろの衣装のほうが、気分がでると思うのですが。
テューズリーのデ・グリューですが、見た目はハンサムだし、ダンスも品もあって雰囲気はとってもよかったのですが、いまいち踊りこみが足りなかったのではないかと思いました。
1幕最初のソロはかなりふらついてました(このソロはみんなあまりうまくなかった。もしかして、このソロってすごく難しいのかも)。特に、一番の見所であるパ・ド・ドゥが全然滑らかでなくなってしまって、2幕の寝室なんて、かなりフェリを力づくで振り回してました。フェリの上手さと、彼の力技でなんとかしてしまった感じ。
それに、フェリの情熱的、魅力的な演技に対して、ちょっと演技が平坦だったように思いました。後半、少しずつ燃え上がってくるけど、それも勢いがでるだけなので、うまくダンスに昇華できなかった感じです。
でも、ダンスは品があって、とくに足のラインがきれいで、アラベスクとかすごく素敵でした。あと、3幕のデ・グリューはとてもたくましく、頼もしくって素敵〜と思ってしまいました。でも、あまり頼りがいありそうだと、助け出してくれちゃいそうなんで、デ・グリューは少々情けないほうがいかも、、、なんて余計なことまで考えてしまいました。
彼は、確かデ・グリュー役は始めてだったんじゃないかな(去年、ロイヤルでキャスティングされたけど、監督がやめて降板されたし)。今回、デ・グリューだけでなく、レスコー役まで踊るので、ちょっと練習に無理があったような気がしました。もっとじっくり踊りこんでから見てみたかったと思います。
レスコー役のウォルシュですが、なかなか味のあるダンサーで、見ごたえありました。1幕、マノンがGMの愛人になったことをデ・グリューに告げて、デ・グリューを愚弄するところも迫力ありました。死ぬシーンはかなりの迫力、そして、更にフェリが駆け寄って、大泣きするので、思わず、もらい泣きしてしまいました。このシーンで泣けるとは思いませんでした。
ムッシューGMのイリインも、いかにも傲慢な金持ちのエロおやじっぽくてよかったです。ガリムーリンは看守役で、マノンを陵辱するシーンをふてぶてしく演じてて、はまってました(よく考えると、バレエにこんなシーンがあるとは、驚きかも)。
レスコーの恋人役の湯川さん、乞食の吉本さんなどもかんばってて、舞台がとても生き生きしてました。
あと、今回のマノンでは、2幕の3人の紳士の踊りに、レスコーが飛び入りするっていう演出になってました。これは結構たのしかった。
マノン:酒井はな、 デ・グリュー:ドミニク・ウォルシュ
レスコー:ロバート・テューズリー、 GM:ゲンナディ・イリイン、 レスコーの恋人:湯川麻美子
酒井さんのマノンは、かなり清純派、子供のマノンでした。見た目からいって、妖艶さをだすのは難しいので、この解釈でよかったのではないでしょうか。
最初の登場は、田舎から子供が出てきたって感じで、ほんとに清純であどけない子供でした。それが、大人たちの思惑を前に恐れる様子など、今後の悲劇性が高まってよかったです。
寝室のパ・ド・ドゥの後のレスコー、ムッシューGMと踊るところでも、宝石や毛皮に執着する女の性とか、男の気を引くことを生まれながら知っているとかいうのではなく、物がもらえるので、兄レスコーの言うままに足を出してみせてみたって感じ。ああ、この子は何もわかってないのねって感じがしました。
何もまだわかってない子供が、大人の思惑で翻弄され、人生を誤ってしまうという感じで、ストレートな悲劇性はこっちのほうがわかりやくなったと思います。また、マノンのような不道徳な女が嫌いな方には、こちらのほうが抵抗なくみれたかもしれません。
ただ、天使と悪魔の両面をもつ、マノンの不思議な魅力と、それに抗えないデ・グリューの弱さみたいな、本来の物語の面白みは薄くなってしまうので、ちょっと物足りないかもしれません。
そして、デ・グリュー役は、本当はイレールの予定だったのですが、直前に肉親が危篤になったとかで、降板してしまい、急遽、別の日でレスコー役だけ踊る予定のドミニク・ウォルシュがこの日のデ・グリュー役となりました。アナニアシヴィリ相手にデ・グリューをやったことがあるようです。
前日のレスコーはとてもよかったですが、結構癖が強そうなキャラクターなので、デ・グリューはどうかなと思いましたが、とても、よかったです。
デ・グリューの最初のソロはいまいち(やっぱり、このソロは難しいみたい)でしたが、その後、じりじりと良くなってきました。見た目は、テューズリーほどスマートでないので、ちょっとパッとしませんが、素朴な人柄を感じさせるデ・グリューで、酒井さんが純情路線のマノンなので、組み合わせとしてもバランスが良かったような気がします。
そして、なにより、とても情熱的でした。マノンへの一途な思いが伝わってきて、この物語をとても盛り上げてたと思います。とくに、3幕3場の沼地のシーン、酒井さんの、デ・グリューへの真の愛だけが残った哀れなマノンと、それを支える熱いデ・グリューの情熱が伝わってきて、3キャストのなかで一番感動的でした。
レスコー役は、きのうデ・グリューを踊ったテューズリー、意外と健闘してましたが、やはり、そこここの踊りに気品がでてしまい、ちょっと、違うかな、って思いました。本人はこの役を楽しみにしていたらしいので、主役を張れる人たちも、こういう灰汁の強いキャラってやりたいのでしょうね。
カーテンコールでは、酒井さんと、ウォルシュがかなりラブラブな感じでした。急な代役になってしまったけど、力いっぱい演じて、お互い満足行く舞台ができたのでしょう、感激してキスし合ってました。日本人キャストには珍しい。
マノン:マリ・クレール・オスタ、 デ・グリュー:デニス・マトヴィエンコ
レスコー:小嶋直也、 GM:ゲンナディ・イリイン、 レスコーの恋人:湯川麻美子
オスタのマノンは、かなり明確に”悪女”としてのマノン像を演じてました。そういう解釈もありなのかもしれませんが、オスタってもともとなぜかあまり上品に見えないので、あまりにも下品で浅はか、いえ、浅ましい蓮っ葉な女に見えて、ちょっと違和感がありました。
ともすれば下品な舞台になりそうだったのですが、マトヴィエンコのストレートさが、オスタの下品さを中和してくれてました。
マトヴィエンコのデ・グリューは、演技の深さはともかく、その若さが、等身大の若者、恋に落ちるデ・グリューを表現していて、ストレートな情熱がよかったと思います。デ・グリューとしては、3人の中で今回一番踊りこんでいる感じで、踊りは安定してしました。さすが、1回かぎりのゲストではなく、新国のシーズン・ゲスト・ダンサーとして契約しているだけあると思いました。
オスタは、登場した時から、かなり悪女っぽい雰囲気を出してました。中庭で周りの人と戯れるときも、酒井さんが無邪気にじゃれ合う感じなのに対し、オスタは自分の魅力がわかってて、軽くあしらっている感じでした。
でも、このときは、本性に悪女さをもちながらもまだ普通の娘だったのですが、幕をおう毎にところどころのしぐさに下品さがでるようになってきて、2幕のパーティでいかさま賭博がばれた後、床に散らばった小銭を争って拾い、レスコー恋人とけんかを始める演技にはびっくり。
とくに3幕。哀れになったオスタからは、デ・グリューへの愛とかが全然感じられず、ただ自分の不運をなげているだけのように見えました。デ・グリューはたまたま側で支えてくれてる人って感じで、あまりデ・グリューを見ていないので、別に助けてくれるなら誰でもよさそうな感じすらしました。
デ・グリューが看守を殺してしまい、パニックになっている時、オスタは、「いい気味」とばかり死体に唾を吐きかけます(これには驚き!)。そして、オロオロしているデ・グリューに、「なにやってんだい、早く逃げるんだよ」って感じで、なんの迷いもなく逃亡します。その逃げ方の下品なこと、、、
うーーん、納得できない、この解釈。普通は、「殺してしまったどうしよう」って、デ・グリューとともに戸惑いながら、逃げるんだが、、、、いくら相手が悪かろうと、人殺しをなんとも思わないなんて、悪女っていうより、ただの悪人のような。
こうなると、最後の沼地は、浅ましい女の成れの果てって感じがしました。まあ、それも人間のもつ悲劇性のひとつだとは思いますが、、、
こんなマノン初めて見ました。個人的には、下品であまり好きではなかったです。でも、知り合いに言わせると、フランス人の「リアリティ」を表現しているらしいし、ネットでみると感動したという人も多いので、そういうのもありなのかなあ、、、、でも、マノンは、ただの下品な悪女ではないと思うのだが。
レスコー役は、小嶋直也さんでしたが、ちょっと難しかったかな。踊りは上手ですが、きれな踊りになっちゃうし、演技はいまいち物足りなかった、、、
例えば、1幕のレスコー、GM、マノンで踊るところ、他の日ほどおもしろくありませんでした。ここでの小嶋さんの踊りは、”オスタの足を支える”とか、そういう感じで、”サポート”に見えてしまい、3人の思惑が絡みあうような感じがあまりしませんでした。
オスタも、2人の男の思惑の道具とされながら、そうされるだけの魅力がでなくて、、、、そうしてしまうと、ここは本当にただの変な振付(それもかなり女性をばかにした)に見えてしまいます。
あと、1幕最後で、レスコーが、マノンがGMの愛人になったことをデ・グリューに告げて、デ・グリューを愚弄するところも、踊りと演技が分かれてしまい、迫力なし。
よっぱったシーンなど、演技そのものは健闘してましたが、踊りと演技がまだ結びついてない感じでした。
カーテンコールでは、酒井&ウォルシュの熱々ぶりとは違い、マトヴィエンコは、オスタをじっと見つめるんですが、オスタはほとんどマトヴィエンコをみませんでした。舞台に満足はしたのでしょうが、自己満足してしまっている感じ。なるほどなー、舞台の雰囲気って、こういうところにもでるんだな〜と思いました。
原作は、アベ・プレヴォ「マノン・レスコー」。映画にもなってますが、マスネやプッチーニのオペラでも有名です。マクミランが振付けたバレエ「マノン」では、マスネのオペラ「マノン」は使わず、マスネが作曲した様々な楽曲を組み合わせて使っています。
あらすじを簡単に紹介すると、こんな感じ。
レスコーの妹マノンと、神学生デ・グリューは恋に落ちます。しかし、マノンは純真な心とともに、贅沢を愛す享楽的な性格も合わせもつ少女で、贅沢に目がくらみムッシュGMの愛人になります。パーティで再会したマノンとデ・グリューは、いかさま賭博でムッシュGMから金を巻き上げようとしてバレてしまい、逃げ出します。逮捕されたマノンは、アメリカ大陸に流刑になり、彼女を追ってきたデ・グリューの腕の中で息絶えます。
マクミランの作ったマノンは、猥雑で退廃的な18世紀の腐敗した社会の雰囲気を再現し、官能的で不道徳なマノンや、その魅力に取り付かれるデ・グリュー、マノンを取り巻く人間たちの欲望などを踊りだけで表現してます。まず、振付が見事です。言葉だったら表現しきれないような複雑な思いを、振付によって見事表現しています。それぞれの踊りを通して、人々の心に渦巻く何重もの声が重なるように聞こえてきます。
一度、魅力を発見すると、見るたびに発見があって何度でも楽しめますが、ダンサーがうまく役にはまらず、何も伝わらないでしまうと、「変な振付」「暗いバレエ」で終わってしまうこともありますが。
すき嫌いは分かれるとは思うけど、おとぎ話だけがバレエではない、こういうバレエがあるってことをもっと知ってもらえたら、バレエファンも増えるのではと思うですが。(ただ、先入観でバレエはきれいなものと思って期待して見に来ちゃうと、はずれた気がしちゃうかもしれないなあ。あと、ストーリーの予習は必要です。)
2003/8/27(水) 18:30開演 ゆうぽうと
ジゼル:吉田都、アルブレヒト:ヨハン・コッボ
ヒラリオン:樽井裕典、ミルタ:厚木彩
指揮: 田中良和
管弦楽: 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
演劇的な演出で評価が高いピーターライト版のジゼル。初めて観ましたが、そんなに普通と違わない気がしました。舞台美術はピーター・ファーマーで、イギリスらしいシックな感じ、とはいっても、1幕は村の広場だし、2幕は森の中なので、いつもとすごく違うってわけでもなかったかな(忘れてしまった、、、)。
ピーターライト版の特徴は、ジゼルが狂って死んでしまうのでなく、剣で自分を刺して自殺するってところ。自殺のほうが、物語に説得力があると思うので、期待してましたが、これもそんなに普通と違わなない印象でした。アルブレヒトが自分を裏切ったと知って取り乱すシーンは同じで、その中で、剣を握ってうろうろする場面も同じ。そこで、普通は、自分を刺そうとして止められて、そのあと心臓の発作で息絶える、となるところが、止められる前に自分を刺してしまうってところだけが違った。自分を刺して死んだのかどうかはあまり関係ないように思われました。
吉田都のジゼルは、演技はまあ普通だったかな。2幕の体重を感じさせない踊りはさすがでした。ヨハン・コッボは割りとあっさりした感じがしました。踊りはきれいでした。
今日は、当日券でみようと思ったら、立ち見しかなかった。1階の一番後ろにたつのだけど、A席が8,000円の公演で、立ち見が6,000円って高くない?一応場所は書いてあるけど、きちんと場所が確保されているわけでもないし。納得いかない。
2003/8/24(日) 13:00開演 オーチャードホール
カジモト:ジェレミー・ベランガール、エスメラルダ:上野水香、
フロロ:小嶋直也、フェビュス:アルタンフヤグ・ドゥガラー
パリ・オペラ座のビデオを、TVで見たときは途中で寝ちゃったのですが、生だとそれよりは面白かったです。振付が意外とおもしろかったです。赤い服をまとった亡者?みたいなのがうごめく場面とか。
ひさしぶりにすごい前の方の席だったもので、とってもよく見てしまい、最初の群舞で、衣装のせいかいつもよりさらに、男性ダンサーのスタイルいまいちだなー、顔が大きいなあというのが気になってしまいました。近頃は日本人女性バレリーナは結構見栄えするようになったんですが、男性ダンサーはまだ難しいですね。
主人公のエスメラレルダを踊った上野水香は、日本人としてはスタイル抜群で、さらにいつものあのメイクした顔が舞台に映えていて、なかなか見栄えしてよかったです。
しかし、エスメラルダの恋人役になる美男の歩兵隊長(フェビュス)がかっこいいとは言いがたかった、、、もともと、衣装も変なんだけど、無理して金髪に染めててるのが似合うとはいい難かったです。(ルグリですら、この衣装は妙なので無理ないですが)
悪役の司祭も、パリ・オペラ座だとイレールがクールでかっこよく決めていたのだけど、今日の小嶋さんは、印象は悪役にとてもあっていたけど、かっこよさがないかなー、、、、、
醜いはずのせむし男が、パリ・オペラ座からのゲストであるベランガールだったので、舞台で彼が一番かっこよくよく見えてしまうってのはちょっと問題かな、、、、うーん、今日はもうちょっと遠目の席でみたほうがよかったかな。
カジモトのベランガールですが、踊っているとせむしの背中が時々まっすぐになってしまい、普通のきれいなダンスに見えてしまうのが惜しかった。ビデオで観たニコラはどんな時も背中が異常にゆがんだままで、てっきり何か詰め物をしていると思ったのだけど、なにも入れてないのですね。あの醜さがせむしの悲痛をうまく表してたので、ニコラってすごかったのかもしれない。
2003/8/13(水) 17:00開演 東京文化会館
今回は特別ガラは2日あって、最終日は恒例となってきた”サブライズ”なる特別パフォーマンスがあったようです。サブライズは、男性ダンサーが女装して見事なポワントさばきをみせる、とっても愉しい企画なんですが、私は残念ながら初日にいったので、おまけはみられませんでした、、、、
でも、本編のほうもとっても見ごたえありました。
振付:ジョージ・バランシーン 音楽:ジョージ・ガーシュイン
ゴメスはBプロだけの予定だったらしいのですが、カルロ・フラッチが出演できなくなったためか、急遽ガラにも出演しました。あまり期待してなかったですが、結構ニューヨークっぽい感じで洒脱な感じで踊っていてあってました。
振付:ケネス・マクミラン 音楽:ジュール・マスネ
マノンもデ・グリューも若々しくて、かわいいマノンでした。なんの疑問もなく、2人で幸せに戯れちゃっている感じで。原作のマノンは16歳なのだし、やけに悪女っぽく、デグリューを誘惑しちゃうよりいいかもしれません。これもありかな?って感じで、それなりによかったです。
振付:レナート・ツァネラ 音楽:アルヴォ・ペルト
基本的には各ダンサー1演目なんですが、カルロ・フラッチが出演できなくなったので、ルグリが急遽2演目踊ることになりこれが加わったとのこと。
前にも見たことあるんですが、どうも私にはよくわからない作品。ルグリがとても真摯な踊りをみせて、見事な肉体美に関心しましたが、やっぱりふーんって感じでした。会場はとても沸いてましたが、このダンスがすばらしかったのか、それともルグリ効果かは不明、、、
振付:ジョン・ノイマイヤー、 音楽:グスタフ・マーラー
悪くなかった気がしますがが、すでにすっかり忘れてます、、、、あ、衣装すら思い出せない。まずい、、、
振付:モーリス・ベジャール、音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト
このソロってこんなに長かったっけ?去年、全幕でみてすっかり気に入ったバレエ・フォー・ライフからのソロですが、やっぱ、ここだけ取り出して踊ってもいまいち盛り上がらないかも。
振付:ジョン・クランコ 音楽:ドメニコ・スカルラッティ/クルト・ハインツ・シュトルツェ
フェリはお転婆でも、かわいらしさがあって、この役にあってるかも。明るくて、強気のイタリア女の面目躍如ってところかな。さらに、バランキエヴィッチがこの濃い目のキャラクターにぴったり。役者〜って感じ。しかも、彼は技術もばっちりで、ジャンプとかも大きくてきれいで正確。見ごたえあります。とっても愉しかった。
振付:ローランド・ダレシオ 、音楽:フレデリック・ショパン/シンドラー
全然しらない作品だけど、すごく面白かった。振り付けも面白いけど、2人がまた魅力的。
鮮やかなピンクのTシャツを着て、つまんでビョーンと伸ばしてみせたり、片方のTシャツのなかにはいちゃったりと、ちょっとコミカルなんだけど、そこに、若さと、子供がもつ無邪気な残酷さとか、エロスとか、なんかいろんなものが絡まって、とても面白かった。2人がこれにとてもよくはまっていた。
また見たいです〜、ぜひぜひ。でも、無理だろうな、、、
ネットの情報によると、「最初、この2人は、ガラでは白鳥のアダージョを踊るつもりだった。でも、目の肥えた日本の客を、白鳥でうならせるのは相当なことをしないとできない」とNBS理事の佐々木さんが言って、この演目に変えさせたそうです。いろんな批判もある佐々木さんですが、これはブラボーな選択でした。
振付:マリウス・プティパ、音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ステパネンコのオディールをみて、ひさしぶりにクラシックを見た〜という気になりました。バレエ・フェスではクラシックの演目もいろいろあったはずですが、この端正さはまさにクラシックの王道の美しさ。さすが、ボリジョイです。
そして、ステパネンコの見事な回転。技をみせても、下品にならず、あくまでも美しい品があり、すばらしかったです。ウヴァーロフも奇をてらわず、優美な王子でした。このバレエ・フェスの個性派ぞろいのなか、クラシックを普通に踊るロシア組は不利になっちゃいますが、ここにきてクラシックの良さを再認識したのでした。
振付:ルイージ・マンツォッティ/ウーゴ・デラーラ 音楽:ロミュアルド・マレンコ
これは、ひたすらボッレの肉体美をみる演目だったような、、、、
知らない演目でしたが、割とクラシックのパドドゥっぽい感じでした。ホジキンソンは、白いチュチュに胸に赤と青の刺繍が入った衣装。そして、ボッレは、ほとんど”ふんどし”ともみえるような、とっても小さなゴールドのパンツ一丁でした。ハンサムだし、美しい肉体なんで、まあいいんですが。
振付:ジョゼ・マルティネス 音楽:レオ・ドリーブ
アニエスが発熱で、午後は38度もあったということで、ジョゼだけ踊るのかと思ったら、アダージョだけを2人で踊りました。
ジョゼが振り付けして、衣装はアニエスがデザインしたそうです。振り付けは割りとクラシックぽい感じ。衣装は、アニエスは深い紫のグラデーションのやや長めのクラシックチュチュって感じで、色が綺麗で、白いアニエスの肌にとてもよく映えていて、きっと好きな色なんだろうなと思いました。
振付:マッツ・エック 音楽:フレッシュ・カルテット
マッツエック振付なので、たぶん、理解不能な作品なんだろうな、、、と思っていたら、とんでもない。すごい良かったです。
幕があがると、舞台右奥にドアがあって、左手からでてきたギエムが、ドアの前に立ち、ドアをたたくポーズ。そこにドアの裏からすっとニコラの手が伸びてきて、やがて2人で踊るという展開。
パンフレットによると、「アパルトマン、、、それは私たちが自分自身や他人と密接に関係しながら生活する、日々のドラマが展開する場所。だがそれはまた、”分離”と孤独をも意味する。ともにいながら離れていることもできる場所なのである。このバレエのタイトルは、物語を示すものではなく、このキーワードに関する様々なイメージや行動を繰り返そうと試みたものである」(マッツエック)だそうです。
ギエムやニコラは、まさしく日常に生活している我々。2人の動きは、クラシックのような様式美ではなく、もっと猥雑な独特の動きで、そこから、日常生活で感じるであろう孤独や、やるせなさ、そして愛おしさなんかが伝わってくるくるようでした。
ギエムとニコラ、という組み合わせで最近いくつかの作品を見てますが、私としては、これが一番よかったなあ、、、、ギエム以上に、ニコラに合っていた。
振付:マリウス・プティパ 音楽:リッカルド・ドリゴ
プティパなので、いわゆるクラシックのパドドゥ。コホウトコヴァはお姫様っぽくて綺麗でした。ウルレザーガは、Bプロの時より髪を切ったらしく、さっぱりとしてました。でも、やっぱりいまいち印象がうすいなあ、、、衣装はなんかいまいち。
振付:マリウス・プティパ 音楽:アレクサンドル・グラズノフ
手を叩くヴァリエーションではなかった。結婚式のパドドゥじゃないのかな、、、
これも安心して見られる王道クラシックでした。アレクサンドローワは、Bプロのシルフはちょっと無理がありましたが、こういう大人な役なら見ごたえありました。フィーリンはやっぱりノーブル。
振付:ケネス・マクミラン 音楽:ジュール・マスネ
サイボーグのようなギエムより、女性らしい生足でぼろぼろの衣装のデュポンのほうがマノンぽい感じでよかったです。でも、走り出すとなんか元気になっちゃう感じがするんですが、、、
(15) 「ロメオとジュリエット」 出演:ディアナ・ヴィシニョーワ、ウラジーミル・マラーホフ
振付:ケネス・マクミラン 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
ヴィシニョーワはとっても上手でしたが、あまりにも色気たっぷりというか、男を誘う雰囲気が出すぎてて、まるでマノンでした、、、とってもきれいで、ゴージャスでかわいいのですが、これではジュリエットではないよなあ、、、マラーホフが割りと純情路線なので、さらにすごい上手の女に見えちゃうのだった。
マラーホフは、いつもは割りとすごい情熱的っぽい演技をしていた気がするのだけど、今回はマノンの寝室の時といい、疲れているのか、あまり熱っぽい演技をせず、シリアスな雰囲気で踊ってました。なので、とてもジュリエットに夢中な様には見えませんでした。
マラーホフはゲイだから、女っぽいヴィシニョーワが苦手なのか?なんて勝手に邪推(余計なお世話ってもんですが)したんですが、でも、この2人、舞台上で(普通よりたくさん)キスするんですよね。うーん、相性がいいのか、悪いのかよくわからない、、、
振付:マリウス・プティパ 音楽:ルートヴィッヒ・ミンクス
トリはやっぱり、ドン・キホーテ。ローホは、途中でバランスを見せるところで、バランスをとろうとしてすぐに足を下ろしてしまうシーンが最初2回ぐらいあったので、調子悪いのかな、と思ったけど、いえいえ、すごいバランスを見せてました。あんまり長いので、バランスできないときは、この時間はどんな振付があったのかな、、、と思ってしまいました。
そして、32回転は、やっぱり3回転だか、4回転だかをばんばんいれて、回ってました。でも、黒鳥のときほど盛り上がらなかったかな。そういえば、ロンドンでローホのドンキを見たときは、もっと変わった32回転していたような気もするんだけど、、、
Bプロのコジョカルは、白い総レースのチュチュ(以前のロイヤルのバージョン)でドンキを踊りましたが、ローホは、赤と黒の衣装でした。今のロイヤルのバージョンかな。
しかし、Bプロのコレーラも、今日のカレーニョも、胸元が大きくあいたバジルの衣装で、ちょっといまいち。ABTのドンキの衣装かな。
■ 抽選会
最終日なら、おまけのパフォーマンスがあるんですが、今日はまだガラ初日なので、ダンサー達のポワント・バレエシューズ、および「カルロ・フラッチ」という名前の香水の抽選会だけでした。さらに、最後にいは、ダンサーたちによる手ぬぐい撒き。しかし、私のいる18列までは全然とどかず。
ま、シューズなんて実はもらっても始末に困るもんだが、手ぬぐいくらいほしかったな。おまけも見らなかったし、、、残念。
2003/8/10(日) 13:30開演 東京文化会館
指揮: ミッシェル・ケヴァル, アレクサンドル・ソトニコフ
管弦楽: 東京フィルハーモニー交響楽団
世界バレエフェスティバルのBプロ。全体に、Aプロより各自にあった演目になってきて、よかった気がします。
振付:マリウス・プティパ 音楽:リッカルド・ドリゴ
白と水色のチュチュで、銀のティアラが豪華で、コホウトヴァにとっても似合ってました。コホウトコヴァはきのうのドンキよりこっちのほうがよかったかな。ウルレザーガは、ちょっとカーキ色っぽいシースルーの変な衣装を着てました。がんばろうとしているようには見えるんだが、やっぱりいまいち、、、
振付:イリ・キリアン 音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト
この作品は、確か前のバレエフェスでも見たんですが、とっても良かったです。前はただ綺麗だなと思ったのような気がしますが、今回は更にすごく情感と生身の人間が感じられて、美しさの中に色気もあって、ジーンときました。
この作品は、攻撃、性衝動、エネルギー、沈黙、洗練されたナンセンス、傷つきやすさなどを視覚化したバレエの一部だそうで、「小さいな死」とはオルガスムスの意味だそうです。そして、キリアンによると「これは慎重な選択であって、挑発とか無思慮と見られるべきではない。この選択は、私が『何ら神聖さのかけらもなく、残虐と気まぐれに満ちているこの世界』の一部として生き活動しているとう事実を認識するための、私なりの方法なのだ。このバレエによって私は、古代のトルソ2体が、頭部と手足を切断されているものの−−これは故意に人体を切断した証拠である−−、その創造者の霊力から来る美しさを失っていない、というイメージを伝えられればよいと思っている」(イリ・キリアン)
だ、そうです。ふー、、、全然良くわかりませんが、なんか、このセリフ気に入ってしまいました。とくに、「〜〜この世界の一部として〜〜私なりの方法なのだ」というくだり。その後はよくわかりません、、、とはいえ、彼の意図したイメージが伝わったかどうか知りませんが、よかったですよ。
振付:マリウス・プティパ 音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
Aプロでは技術は見事だが、いまいち見栄えのしなかったローホですが、これは素敵でした。Aプロでは小柄で手足が短いのがやけに目だってしまったのだけど、今日の黒鳥の衣装が豪華で素敵、小柄なのも全然気にならない。衣装って大事ね、、、
黒鳥の演技もなかなかよかったです。いかにも王子をあざけりながら、手玉にとってる感じでした。カレーニョの演技は、ビデオで見たことある演技ですが、これは実はあまり好きじゃないのよね、、、ちょっと大人の男の余裕のある駆け引きっぽくて。ジークフリート王子はナイーブでシリアスな少年のほうが好み。
振付:オーギュスト・ブルノンヴィル 音楽:ヘルマン・S.レーヴェンスヨルド
これはミスキャスト、、、、もともと、ルンキナが来日する予定が、妊娠してしまって、アレクサンドロワになったのですが、それなら、演目も変えといたほうがよかったんではないかと思いました。
アレクサンドロワのシルフィードはちょっと無理がありました。がたいがでかい上に、顔もきついので、一生懸命目をぱちぱちして、コケティッシュな演技をするんですが、ばたくさくなってしまいました。背が高いのを気にしてか、なんか猫背になってしまう気もするし、首がにゅーっと前に折れるんですよね。とても、シルフが軽やかに舞っているようには見えない、、、
フィーリンはよかったです。彼はこれが得意な演目らしいです。赤いキルトが似合ってました。
振付:ジェームス・クデルカ 音楽:アントニオ・ヴィヴァルディ
ヴィヴァルディの四季に振付けた作品のうちの「夏」の部分だそうです。「夏」は情熱を表現したらしい、、、が、あまり情熱は感じなかったなあ。でも、きれいでした。
振付:ベン・ファン・コーウェンベルグ 音楽:ジャック・ブレル
歌は、ブルジョワは豚同然と罵っていた青年が年を取って、自分が若い世代から同じ言葉で罵倒されている、といった内容、、、だそうです。
ダンスもそういうことを表現しているんでしょうか?あまりよくわからなかったです。ワイシャツ、ネクタイ姿で登場し、タバコをくわえながら、火は?と探したりして、コミカルな演技と、しかし、ジャンプとか回転とかはばっちり見事だし、結構面白かったですが、意味はやぱり不明でした。
彼のキャラクターは面白いです。かっこいいし。
振付:マリウス・プティパ 音楽:アレクサンドル・グラズノフ
ボリジョイ版は、手を叩くときに音をさせてないバージョン。クラシックの王道で、よかったです。
振付:マリウス・プティパ/ピエール・ラコット 音楽:ルードヴィヒ・ミンクス
東京バレエ団の群舞つき。ルテスチュとマルティネスは見事でした。
振付:アントニー・チューダー 音楽:アントニン・ドヴォルザーク
フェリはなかなかよかったです。ゴメスはよく覚えていない、、、
振付:ジョン・ノイマイヤー 音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
舞台上にはベットと、左のほうにドア。ベットに横になった2人で幕があき、まずは、ロミオが一人で目覚めて、立ち去ろうとしながら、後ろ髪を引かれ、ジュリエットにキスして再度立ち去ろうとすると、ジュリエットが目覚めて、立ち去ろうとするロミオを見つけて駆け寄るというダンスで始まります。
結構難しいそうな振付もありますが、とっても自然で、若い2人の情熱が感じられてすごくよかったです。ノイマイヤー版ってマイナーだったけど、全幕で見たくなるなあ。
振付:ジョージ・バランシン 音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ヴィシニョーワはやはり見事でした。華やかだし、駆け抜けるような感じでよかったです。マラーホフはいまいち調子悪い?綺麗ですが、なんか技が半端な気がする。
振付:ウィリアム・フォーサイス 音楽: トム・ウィレムス
Aプロのジゼルでは、????な2人でしたが、これは良かったです。ギエムとか、イレールが踊るインザミドルより、もっと色がついた感じで、無機質な感じより、もう少し人間くさい感じなんで、もしかしら、本来のフォーサイスとは違うのかもしれませんが、クラシックとは全然違う緊張感というか、どきどき感がちゃんとあって、おもしろかったです。子供ではあるけど、男女の拮抗した感じはちゃんとあって、Aプロの2人より全然よかった。
振付:ケネス・マクミラン 音楽:ジュール・マスネ
ギエムはサイボーグのような、どっちかというと鍛え上げられた感じのする足なんで、あんまりよれよれマノンって雰囲気とは違うかもしれない。とてもよく踊ってましたが、しかし、短すぎ。このパドドゥだけ抜き出すのって、やはり、ちょっと無理があるかも、、、
振付:モーリス・ベジャール 音楽:リヒャルト・シュトラウス
ジル・ロマンは白ワイシャツにネクタイ姿で登場。右手の置くのほうには、左手の前のほうには、ピアズリー(?)の「サロメ」の絵。左手前には、台があって、ナイフとかがあるので、断頭台なんでしょう、たぶん。
そして、たぶん、たとえサロメに首を要望されようとも、自分の信念は曲げず、みたいな苦悩の踊りをおどったのでしょうが、よくわかりませんでした。最後はサロメの絵に向かってジャンプして、絵を突き破って幕となりました。うーん、よくわからない。
振付:マリウス・プティパ 音楽:ルードヴィヒ・ミンクス
最後はお決まり、ドン・キホーテ。Aプロのバランシンでは?なコレーラでしたが、ドン・キなら任せとっけって感じですね。のりのりでよかったです。いつもの超高速回転も決めてました。でも、ロンドンでみたときのほうがすごかったなあ。コジョカルもかわいく決めてました。
コジョカルは白い総レースの(以前のロイヤルのバージョンの)チュチュで登場。素敵ですが、この衣装は、ギエム姉さんのような大人が着て、セクシーなドンキを踊るとぐっときます(3年前のガラで素敵だった〜)が、彼女の場合は、まだ普通の赤黒のほうがかわいいかもしれないですね。
コレーラは胸元があいたバジルの衣装でしたが、、、これはいやだなあ。
2003/8/3(日) 13:30開演 東京文化会館
3年に1回NBSが主催する世界バレエフェスティバル。これは、世界のトップバレエダンサーを集めての4時間に渡るガラ公演で、Aプロ、Bプロ、特別ガラが開催されます。まずはAプロから。
振付:ウィリアム・フォーサイス
なかなかきれいに踊っていて、悪くはなかったですが、なんか見てて普通のクラシックをみているような気がしてしまった。もっと、こうぎりぎりのオフバランスの危うさとか、男女の拮抗した緊張感、尖った感覚がこの作品の面白さだと思うのだけど、それはやや欠けてたかも。女性が小柄だったので、普通のペアっぽい感じがしてしまったのかもしれない。
振付:レオニード・ラブロフスキー
アレクサンドローワは、評価の高いダンサーだけど、顔がきついので、あまりジュリエットって感じじゃないしな〜と思っていたのだけど、すごくよかったです。席が1階の後方だったので、あまり顔が気にならなかったせいもあるかもしれないけど、すごく感動的でした。(近くでみたらどうだったのだろう、、、)
この前、2月にみたザハロワよりよかったかも。あのときは、とにかくザハロワの美しさが際立っていたけど、ドラマとしての感動はしなかった。今日は、ロミジュリのバレエとして、とっても感動しました。(遠目では)見かけもしっとりと女らしくて、ジュリエットらしい雰囲気を出してて、びっくり。この短いパドドゥだけで涙がでました。
フィーリンも相変わらず憂いがあってノーブルでいいなあ。
振付:ジョージ・バランシン
この二人で踊るとなんでも陽気でラブラブな感じになってしまうのかしら、、、とにかくかわいかった。前にみたドンキの乗りでした。コレーラのカラーですかね。
コレーラは、いかにもガラ向けに、かなりの見せ場を作ってました。まあ、ガラなので許させるのかな。でも、バランシンが良く理解できない私でも、これはバランシンではないなあ、、、っていうのはわかりました。
振付:フレデリック・アシュトン
シュツットガルト・バレエ団のダンサー。リーズの結婚から、バリエーションだけで、すごく短かった。カッコいいけど、大柄なので、やや重そうにも見えるかも。でも上手でした。
しかし、、、ん?これだけ???
そんな有名というわけでもないし、これだけのために彼は来たのか?それともBプロに期待するものがあるのか?
振付:ジュール・ペロー
なんかいまいちでした。とくに女性が。最初のアラベスク・パンシェも中途半端だったし、そのあと、足をゆっくり上げるところもなんかふらついてて、あまりしっくりこなかった。
この二人もシュツットガルト・バレエ団のダンサー。そんなに有名な二人でもないし、しかもなんであえてジゼルで出演するんだろう、、、と思ってしまった。得意な演目にも見えないし、シュツットガルトらしい演目でもないし。
振付:ジョン・ノイマイヤー
最初は肌色っぽい短パンはいた男性のソロで始まり、長いややゆったりめのパンツをはいた女性が途中から入って踊るモダン。1999年にABTで初演され、12人のダンサーによるストーリーのないバレエだそうです。
動きが綺麗で、なかなかよかったです。
振付:マリウス・プティパ
後半、女性はタンパリンを持って踊るパドドゥ。とくにタンバリンを足、手と順に打っていくシーンが印象的。この2人だとやっぱり見栄えがして、技術的にも安定してて貫禄でした。
振付:ジョン・ノイマイヤー
1年前に膝の手術をして、今年6月にやっと復帰したデュポンが見られてよかった。
シルヴィアは、女性の性の目覚めを描いた作品で、以前惹かれあった若い2人が年月を経て再会してまた別れていく、という内容らしい。ここでは、茶色のフレアのツーピースを来たデュポンがトランクをもって現れ、そこにジャケットをきたルグリが登場し、再会〜別れの場面が演じられたようである。
しかし、デュポンってこんなにしっとりとして、憂いある女性だっけ?綺麗だし、それでいて憂いがあって、よかったです。作品自体はいまいちよくわかんないけど、全体をみたいなあ。
振付:ジョージ・バランシン
曲はラベルの「亡き王女のためのパヴァーヌ」。曲はすごく好きなんですが、ダンスはあまり面白くなかった。綺麗でしたが、、、、
白い大きな布をかぶった状態でフェリが登場、布を使って、しっとりと踊るんだけど、布をなびかせながら、歩く、アラベスク、を繰り返すばかりで、なんか変化がなく、動きも良く見えないし、物足りなくなってしまいました。
振付:ケネス・マクミラン
ヴィシニョーワは、マノンは似合うかも〜って予想はしたけど、登場したとたん、とっても魅力的で、これだけでつぼにはまってしまった。悪女だからといって妖艶すぎると、16歳という設定がおかしくなるし、かといって、ただの純な少女でもいけないし、、、というマノンという役にまさしくぴったりの雰囲気でした。
少女の雰囲気をもっていながら、でも十分に女で、無知で、奔放。男をとりこにする美しさと、悪気はないけど、男を堕落させてしまいそうな雰囲気がばっちり。踊りも(たぶん)ばっちりだったと思う、、、違和感はなかったので。
でも、マラーホフがいまいちだったなあ、、、妙なオールバックの髪型が変だったし、踊りもなんか硬かったような。マラーホフは、こういう演劇的な人間的な役より、ナイーブな少年っぽい役のほうがあってるかしら、、、
ヴィシニョーワのマノン、全幕でみた〜い!
振付:マリウス・プティパ
カレーニョは、水色に黄色い水玉模様のぴちぴちのハーレムパンツで登場。ABTの衣装なんだろうけど、なんかいまいち。そんなぴちぴちのハーレムパンツって変じゃないかなあ、、、、踊りは普通によかったです。
ロッホは、上手なんだけど、妙に無表情なので、そつなくこなしたように見えてしまい、海賊のわりにつまらなく感じてしまった。あと、小柄なのでスタイルはいまいち見栄えしないかも。
32回転は、最後までトリプル、シングル、シングルで回りきって、大拍手をもらってここで一機に盛り上がりました。しかし、正確なんだけど、ゆっくり目のテンポで淡々と回ってしまうんで、私としてはいまいち盛り上がらりに欠ける気がした。
なんか、いまいち悪口が多いけど、そんなに悪くはなかったです。カーテンコールで、笑って出てきたロッホは可愛かった。
振付:モーリス・ベジャール
となりに親子が座ってて、子供のほうが飽きてしまったらしく、母親にテッシュもらって鼻かんだり、なんだかんだと動くのが視界に入ってしまい、いまいち踊りに集中できなかった、、、、そんなにうるさくはしないのだけど、なんか気になってしまうじゃないか。この静かな作品には、静かな環境が必要なのよっ!!
なので、以前みたような感動まではいかなかったけど、やっぱりよかったです。ジル・ロマンは渋いわ〜。
振付:モーリス・ベジャール
ステパネンコはダンスは正確だし、凛とした感じの美しさがあってよかったです。途中はしっとりと踊ってましたが、最後の超高速シェネはさすがステパネンコって感じ。ウヴァーロフも安定して素敵でした。
ただ、通常、群舞が途中に入って踊る部分を無理やり2人のシーンだけつないでしまうと、なんかいまいち踊りが唐突になってしまう感じで、それが今ひとつでした。
振付:モーリス・ベジャール
キリアンらしい振り付けの、ちょっと変わった動きもあるけど、綺麗で落ち着いた感じのモダンでした。
超絶技巧ではないし、”ギエム”っていうのを前面に出す感じではなく、じっくりと表現してて素敵でした。
振付:マリウス・プティパ
そんなに悪いわけではないけく、通常のドンキとしては十分なんですが、この面子のガラで、なぜこの2人がトリなのかとちょっと思ってしまった。特にウルレザーガ。
コホウトコヴァのバリエーションは、扇をもつキトリのシーンではなく、通常友人が踊る3人のソロの部分を踊ってました。何でかな、、、キトリのヴァリにしておけばいいのになあ。
■■ 初めての出待ち ■■
公演が終わって外に出たら、すぐ隣の楽屋口に人が集まっていました。バレエダンサーは結構すぐ出てくるらしいので、ちょっと待ってみようかなと思い、初めて出待ちしてしまった。
一番最初に出てきたのは、デイバックを背負って、ひょいと現れたコレーラ。すごく可愛かった〜。
子供が、アレクサンドローワに、自分の着ているシャツにサインを求めたら、なかなかうまく書けないので、荷物を放り出し、大股開きで腰を落としてサインしてあげてました。親切だが、外人ってやっぱしぐさが大胆ね、、、
フィーリンはたくさんの人が集まっているので、ちょっと照れてました。
ルグリ、マルティネスなんかは、タクシーでスーッと出て行ってしまいました。「ルグリ!」と叫んで、走り去るタクシーを追いかける人がいました。ファンはすごい。
マラーホフが出てくると、「キャー」って感じの歓声が上がって、さすがすごい人気でした。でも、こんなに人気なのに、ちゃんとみんなの間をサインしながら帰っていくのは、やっぱりファンサービスを心得ているんですね。しかし、、、ほとんどスリッパみたいなサンダルはいてました、、、しかも、人を掻き分けながら山手線で帰って行きました。
あとは、ギエムはル・リッシュといっしょに出てきて、これまたすごい人気でした。これだけのスターならタクシーで帰るのかと思ったら、この2人も、サインぜめに会いながら、電車で帰って行きました。なかなか人が切れないので、後から駅にいったら、まだ人に囲まれてサインしながらホームに降りて行きました。
となりのおばさんが、あれ誰?といっているので、「ル・リッシュです」と教えてあげました。あと、芸能人がでてくるのかと思ってよってきた男の子たちにも、アイドルではなく、バレエダンサーだと教えてあげました。ほほ、恥ずかしい、、、
バレエ界では大スターでも、電車で帰れるんだから、バレエ界はまだまだマイナーですね〜。
2003/7/20(日) 16:00開演 文京シビックホール
ヌレエフ没後10年を追悼し、シャルル・ジュドの呼びかけで実現したメモリアル公演だそうです。企画、監修はシャルル・ジュド。前半はヌレエフが振付けた作品、後半は彼と縁が深い作品で構成されていました。
ヌレエフのドキュメンタリーみたいな映像で、彼の生い立ち、バレエ歴などを紹介。
出演:ムッサン、ガリムーリン 振付:マリウス・プティパ 改訂振付:ヌレエフ
ムッサンが、結構ほそめのハーレムパンツで踊りましたが、なんか衣装がいまいちかも。ハーレムパンツでもいいけど、それなら、もうちょっとたっぷりめでゴージャスなほうがいいのでは、、、
ダンスはまあまあでした。
出演:ルディエール、パケット 振付:ヌレエフ
ルディエールとは思いませんでした、、、まあまあかな。
出演:クチュルク、ミハリョフ 振付:マリウス・プティパ 改訂振付:ヌレエフ
どこが普通と違ってヌレエフ版なのかはよくわかりませんでした。しっかり踊ってて良かったです。
出演:ムッサン、ガリムーリン 振付:ヌレエフ
ヌレエフ版なので、現代版。いすと使いながら、2人で踊るシーンでした。ムッサンはなかなかしっとりと美しくてよかったです。
出演:ルディエール、イレール 振付:ヌレエフ
すごくよかった。オペラ座は引退してしまったルディエールですが、全然問題なし。少女そのものでした。イレールも素敵、、、、
この2人が、すごく難しいリフト&ステップの連続のようなパ・ド・ドゥをとっても自然に、そして情熱的に演じてました。色っぽくて、切なくて、どきどきしてしまいました。
出演:ジュド、ルブロ、タヴァラ、ラビス、リンシンドルジュ 振付:テイラー
ヘンデルの音楽で、大きく手を振りながら、並んで舞台を横切ったり、ちょっと新体操っぽいダンス。まあまあでした。ジュドがヌレエフに指名されて踊った作品とか、、、
出演:イレール、ペレン、クチュルク、フォーキナ 振付:バランシン
イレールがかっこいい、、、ギリシャ彫刻のアポロの神、そのもののようだわ〜。そして、たぶん、このアポロはすばらしいのだろうなあと予想はできたのですが、頭でわかっても、やっぱり、バランシンってどうもピンとこない、、、自分でももったいないと思う。
出演:ルジマトフ、ジュド、グリゾ、フランシオジ 振付:リモン
以前、ルジマトフの公演で見たことあるけど、ちょっと印象が違う気もする。ロシア版とパリ版は解釈が微妙に違うらしい。まあ、悪くないけど、それほど乗れなかったです。
カーテンコールで、ルジマトフに、どっと人が押し寄せたのをみて、なんか可笑しかった。
2003/7/17(木) 18:30開演 文京シビックホール
ジゼル:レティシア・ピュジョル、アルブレヒト:ローラン・イレール、
ヒラリオン:カール・パケット、ミルタ:デルフィーヌ・ムッサン
イレールとザハロワの共演のはずが、ザハロワが、キーロフのロンドン公演のために来日できず、急遽パリ・オペラ座のピュジョルが来日しました。更に、ヒラリオン役は、ドラノエの予定でしたが、怪我のため、同じパリ・オペラ座のカール・パケットが代役となりました。
実は、時間を見誤ってしまい、1幕の後半からの観劇でした。せっかくのイレールのアルブレヒトなのに、前半のジゼルとアルブレヒトのラブラブなシーンが見れなくて残念、、、
ピジョルは、あまりジゼルのイメージじゃないような気がしていましたが、意外とかわいくてよかったです。1幕のほうがとくに普通の女の子っぽくてよかった。最後の死んでしまうしまうシーンの演技は、とても自然でちょっとうるうるしました。
イレールのアルブレヒトは、いかにもプレイボーイな貴族って感じで素敵だと聞いて期待していたのですが、1幕は、衣装が地味な色(ページュ)で、しかも顔もやせて、髪も短めにしたせいもあり、なんか年齢の落ち着きが出てしまい、あまりぱっとした感じではなかったです。
でも、2幕のイレールは、憂いがあって素敵でした〜。最後のウィリーに死ぬまで踊らされるシーンの足さばきなど、技術的にもすごかったし、見た目も麗しいし、とっても素敵。演技も、ほんとに息たえだえっぽい感じもでてたし(実は本当に疲れてただけかもしれないが)
ミルタは、パリ・オペラ座からのゲスト、ムッサンが演じてました。最初のソロが良かったです。ただ、衣装が自前らしく、まわりの群舞の衣装とあってないので、雰囲気が違ってしまって惜しかった。
パケットの演じるヒラリオンは、すごい若くてかっこいい美形ヒラリオンでした。おっさんくさいヒラリオンの設定が多いけど、こういう若者のほうが、ジゼルとのバランスがとれてていいなあ。若者の性急さがジゼルに悲劇をもたらしてしまったって感じがでる気がする。
村人のペザントは、女性(シェスタコワでした)は良かったけど、男性がちょっといまいちあぶなっかしかった。
2003/6/28(土) 14:00開演 新国立劇場
ジェームズ:小嶋直也、 シルフィード:志賀三佐枝、
エフィー:中村美佳、 グァーン:トレウバトフ、マッジ:西川貴子
新国のラ・シルフィードはブルノンヴィル版。
1幕は結構マイムが多いです。ジェームズ役は小嶋さんでしたが、緑色のキルトの衣装が似合っていて、なかなかよかったです。やっぱ、あのスカートのようなスコットランド衣装を体格のいい男性がはくと、どうも違和感があるけど、そこは日本人、華奢なので、少年っぽい感じで似合ってました。
結構ノーブルな感じで、舞台のなかで一人すました感じで、まわりと格が違う感じを出してました。それはそれでジェームズっぽい感じでいいのかも。
シルフ役の志賀さんは、これまではどうも見た目がいまいち好きでなかったのだけど、今日は、席が遠かったせいかもしれないけど、違和感もなくよかったです。(でも、遠目にみても、ちょっと目の化粧が濃かったかも)
前、デンマーク・ロイヤルをみたときも思ったけど、この話って、どうも共感できる登場人物がいなくて、とくに主人公のジェームズなんて、浮気はするは、年寄りには冷淡だわ、全然いいとこなし。そして、最後にはいい気味だといわんばかりに死んでしまうので、どうも気がめいる。
デンマーク・ロイヤルで見たときは、脇役のガーンがおかしくって、それがちょっと楽しさを増したのだけど、今回のガーン役はあまり親しみが沸かなかったし。
でも、演技は結構しっかりしてたので、ストーリー展開もよくて、面白くみることができました。踊りもよかったです。
ディアナ・ヴィシニョーワ、イーゴリ・コルプ
次のパキータは、ヴィシニョーワがゲストでしたが、やっぱ、ひときわ華やかな存在感でした。でも、踊りはいまいちだったかな。ヴィシの華やかさに対して、男性の主役のコルプは、なぜかいまひとつ暗い、、、
というか、これはこの冬にパリ・オペラ座で全幕でみたとき、くだらないストーリーながら、すごく楽しく見たのと比べると、全然おもしろくなかった。べつに何が悪いわけでもないのだけど、これといった魅力があまり感じられなかった。あれ、こんなにつまらない踊りだっけ?って感じだった。
全幕でみる楽しさと、最後の結婚式の場面だけになってしまった違いもあるのかもしれないけど、、、、
やっぱ、パリ・オペラ座でみたときは、ルグリがすばらしかったかな。ちょっとステップ踏むだけで、わくわくしたもんなあ。
2003/6/17(火) 18:30開演 東京文化会館
ギエムがプロデュースしたという、三人姉妹、カルメン、マルグリットとアルマンの3本立ての公演。カルメンは東京バレエ団の出演で、それ以外はギエムとその他のゲストが出演してました。
■ 3人姉妹 ■
マーシャ:シルヴィ・ギエム、イリーナ:エマニュエラ・モンタナーリ、オリガ:ニコラ・トラナ、
ヴェルシーニン中佐、クルイギン:アンソニー・ダウエル、
やっぱり、原作読んで予習しておけばよかったかなあ。
振り付けのマクミランによると、チェーホフの3人姉妹が原作ではあるけど、忠実にバレエにしているというより、原作のもつメランコリーと雰囲気をとらえしょうとしたものらしい。でも、やっぱりバレエみるだけだと、マーシャが不倫しているというのと、三女を巡って将校2人が決闘するということしかわからない点がちょっと苦しい。
今年1月にロンドンでも見たけれど、その時のほうが全体のストーリー性とかは面白く見た気がする。いくつかのシーンが無かったようなので、少し省略されていたのかもしれない。
ギエムは割と大人っぽく見えるので、ギエムのマーシャだと、ダウエルのクルイギンと夫婦という設定がそんなに違和感なくなって、人妻の不倫ぽい感じがしてよかった。
3人の姉妹が並んで踊るところがあったけど、こうして並んでみると、やっぱりギエムは抜群にスタイルがいい。動きもきれいでした。
最後のほうのコープとギエムのデュエットはとっても切なくてよかった。そして、決闘、雪のシーンと続いて、3人姉妹の悲しみが伝わるようで、ちょっとうるうるしました。それまでの暗い舞台に対して、白い雪が舞い落ちるラストは、とってもきれいで、それでいてさらに静けさと悲しみが増すようでした。
■ カルメン ■
カルメン:斎藤友佳理、ホセ:首藤康之、エスカミリオ:高岸直樹、ツニガ:後藤晴男、運命:遠藤千春
アロンソ版のカルメン。何度か見てますが、私は結構この版好きです。
斉藤さんは、前はもっとお嬢様っぽい、かわいいカルメンだった気がするけど、今回はもう少し大胆な感じで、蓮っ葉な感じを出してました。
首藤君は、前のいたいけな少年ではなく、やっぱり男っぽくなってました。なので、前より、デュエットがよかった。でも、ちょっと静かな曲想になるソロは、前のほうが独特の情感があった気もする。
■ マルグリットとアルマン ■
マルグリット:シルヴィ・ギエム、アルマン:マッシモ・ムッル、アルマンの父:アンソニー・ダウエル
これも数年前に、ロンドンでみましたが、その時よりよかった気がします。まあ、あのときはちょっと旅行疲れしてたせいかもしれませんが、、、
前は、ル・リッシュのアルマンでみたのですが、ル・リッシュは、あまりにも頑丈で、たくましい感じになってしまって、ちょっとアルマンのイメージではない気がしたけど、今日のムッルは、ハンサムなイタリア伊達男っぽさが、結構アルマンのイメージに近くてよかったかも。
ムッルはあまり笑わないせいか、田園のラブラブのシーンでもあまり甘〜い雰囲気は無かったですが、結構力いっぱい演じてました。最後のマルグリットの裏切りに怒るシーンはちょっと怖いくらいでした、、、
ギエムは大人っぽいので、この愛人の役もなかなかイメージが合っていてよかったです。2人で踊るシーンはとってもきれいでした。
2003/6/11(水) 18:30開演 オーチャードホール
オデット:ヴィヴィアナ・デュランテ、ジークフリート王子:熊川哲也、
オディール:モニカ・ペレーゴ、ロットバルト: ステュワード・キャシディ、
熊哲K-BALLETの白鳥の湖を見てきました。前、ジゼル見たときも思ったのだけど、すごく本格的な美術で感心。
特に今回は素敵でした。ロイヤルチック?と思ったら、やっぱり、担当したのは以前のロイヤルの白鳥を担当したヨランダ・ソナベンドという人でした。でも、前のロイヤルの白鳥はちょっとやりすぎの感もあったけど、今回のほうがとっても品よく、それでいてありきたりでもはなく、とってもよかったです。
白鳥の長めのチュチュも、ロイヤルの時より、きれいな感じがしました。見慣れたせいかもしれないけど。ただ、あの衣装だと、細かくジャンプするようなシーンだと、なんかもたついて見えるかも。大きく動くシーンはきれいだったんだけど。最後のシーン、ロットバルトを取り囲むところは、ちょっとAMPチックでした。
振り付けは結構変えている部分がありました。アシメトリーな感じで動くので、ちょっと面白かったけど、いまひとつはまっていなかったかなあ、、、
白鳥のアダージョの途中で、コールドの人たちが主役の周りをアラベスクでジャンプしながら左右に交差してたのだけど、なんかごたついてる感じがしました。
あと、最近、あまり王子に愛を感じないオデットが多かった、というか、王子なんか関係ないって感じの感情のあまり見えないオデットが多いなか、デュランテは人間ぽいというか、女っぽいというか、王子に対してラブラブな感じでよかったかも。
キャシディがロットバルトでしたが、これがすごくかっこよかった。彼はもちろん王子も踊れるノーブルなダンサーとは知っているのだけど、筋肉質系なので、あんまり好みでなかったのだけど、このロットバルトは格好よかった。
特に、最初にロットバルトで登場して一人で踊っていたとき、大きいのびやかなダンスで、かっこよかったです。
でも、黒鳥のシーンの衣装はいまいちだったかしら、、、^^);
それで、最後のシーンで、王子とロットバルトが結構マジで戦っていて、やっつけるのかと思って、ややボーっとみてたら、オデットが「私は死ぬわ!」みたいなマイムをやって、突然湖に身をなげてしまい、おおっ!っとびっくりしてしてたら、すぐ王子も身投げしてしまい、予想外の展開にちょっとあせりました。
ちょっと気を抜いてみていたせいか、なんか身投げが唐突で、ちょっとあれ?って感じでしたが、そのあと、(たぶんあの世で)オデットが人間に戻って、2人寄り添って幕となるシーンはなかなきれいでした。
そういえば、オデットと王子の出会いは、例の「私は王女で、悪魔に白鳥に変えられて、母の涙で湖ができました。うんぬん、、、、、」っていうマイム付でした。省略されることが多いマイムだけど、これすきなんです。
前のロイヤル来日の際に、都さんでこのマイムを始めてみて、音楽にのって流れるように演じられていて、すごくきれいで、かつ説得力があって、すごく感動したっけ。これはあるべきマイムだなって。
でも、あのときみたような動きの美しさと説得力はちょっと不足してたかなあ、、、
道化はいなくて、家庭教師がおどけた踊りを踊ってました。あと、王子の友達がたくさん狩にいって、白鳥を射ようとするところにオデットが登場してみんなをかばうシーンがありました。たくさんの男の人が、白鳥に矢を向けるシーンが結構長く続くので、ちょっといやな感じがしました。
全体としては、前のロイヤル版をベースに、ブルメイステル版を足したような構成になっていました。
2003/5/18(日) 14:00開演 新国立劇場
オデット/オディール:レドフスカヤ、 王子:マトヴィエンコ、
ロットバルト:イリイン、 道化:吉本泰久
ここの白鳥の湖は、キーロフと同じセルげーエフ版で、舞台美術や衣装もなかなか上品できれい。(衣装については、結構批判も あるようですが。まあ、妙な帽子が気になるところもあるけど、私は十分きれいだと思う、、、、)
今日の主役はゲストのレドフスカヤとマトヴィエンコ。レドフスカヤって、なかなか評判いい人なんだけど、どうもプロフィールの写真がいまいち好みではないので、あまり思い入れがない。でも、舞台にでるときっとすばらしいかなと気合を入れ直して舞台を見る。
うーん、でも、2幕の白鳥は、ちょっと怖いというか、きつい感じがして、どうも好きになれなかった。3幕の黒鳥は悪女っぽくて、雰囲気はすごくよかったけど、やや踊りが雑な感じもした。
家に帰ってから、ネットでいろんな人の感想をみると、すごく評判いい。よくわからない、、、一番前のかぶりつきの席だったので、なんか妙にリアルにアップで見ちゃったせいかなあ。少し遠目ぐらいのほうが幻想的に見えていいのかも。
王子のマトヴィエンコはなかなかよかった。最近、ガラでばかり見てたせいか、ガラだと技をみせようとがんばっちゃう感じがしててちょっと彼のイメージとは違う気がして心配だったのだけど、全幕の王子役では無理せずちゃんとノーブルな雰囲気をだしてて、演技も自然だった。それに、4幕の悪魔との戦いはなかなかかっこよかった。
しかし、今日のバレエで何がうれしいって、先週の眠りと比べると、舞台がとってもきれい!!群舞もたくさん登場するし。 それだけでとっても満足してしまったのだった。
2003/5/10(土) 18:30開演 東京文化会館
オーロラ姫:ポリーナ・セミオノワ、デジレ王子:ウラジーミル・マラーホフ、
リラの精:福井ゆい、カラボス:大島由賀子、フロリナ王女:小出領子、青い鳥:大嶋正樹
ここの版は、幻影の場がカットされているのと、美術とかがすごく安っぽいので、どうしようかなと思っていたのだけど、マラーホフ好きの友達に誘われてつい行ってしまった。
数年前、ギエムのゲストで始めてこの版を見たとき、あまりにもがっかりしてしまい、散々悪口書いてしまったっけ。その時よりは、少し王子の踊る場面が増えてはいるのだけど、やっぱり、この版はよくない
マラーホフなんて3幕しか登場しない。踊るのは、オーロラ、リラの精、王子の3人で踊る、幻影の場の超簡略版の場面と、結婚式のパドドゥだけ、、、、
1幕はいわゆるプロローグ。バックの絵がひどいし、王様と女王はこてこての鬘と衣装であまり似合わない。その他の衣装もなんかいまいち。妖精の踊りはまあまあかな。
2幕はオーロラの16歳の誕生日。しかし、背景の絵がまたいまいち。そして、オーロラはその安っぽいかき割りの絵の扉をあけて、突然登場してしまうのだった。(しかし、今日の席はサイドの端っこだったので、登場するところは見えなかった)
そして、花のワルツはやっぱりペアは4組だけ。さびしすぎる〜。
オーロラ役のセミオノワは、マラーホフがボリジョイバレエ学校からスカウトした期待の新人との触れ込み。たぶん、20歳前なんだろうけど、すごく落ち着いてて、踊りも上手で安心してみてられる感じ。しかし、落ち着きすぎかも〜。なんか妙に大人っぽくて貫禄があって、オーロラの初々しさ はなかったかなあ〜。しかも、周りが小柄な日本人だから、余計に、一番格上に見えてしまい、とてもオーロラの雰囲気はでないのだった。
バラのアダージョは、かなり緊張していたようですが、無事こなしてました。王子の手をとる前に、一旦手を上に上げてきちんとバランスをとっていたし。しかし、周りにいる4人の王子は、なんとも安っぽい服装で、王子にはみえないぞー、
3幕、やっとマラーホフ登場。リラの精、オーロラ、デジレ王子の3人で幻影の場もどきをちょっとだけ踊る。 なんだかとってつけたような場面で、あっという間にオーロラを見つけて結婚式になってしまう。やはり、幻影の場で王子の気持ちが徐々に盛り上がっていかないと、突然登場して結婚しちゃうみたいで、いまいち気分が盛り上がらない。
金、銀、ダイヤの精の踊りはまずまず。結婚式のゲストは、猫と、青い鳥・フロリナ王女だけで、あっさりだけど、これは個人的にはやたゲストが登場するよりコンパクトでいいかも。
青い鳥の男性は、なんかいまいちだったなあ。ジャンプしながら両足を打ちつけるところで、足の動きが全然間に合っていないし、ジャンプも一生懸命、目一杯でジャンプしているって感じで、あまり美しくないのだった。(ごめんなさい、、、)
それと比べると、マラーホフのジャンプは、とっても自然で美しかった。
2003/3/29(土) 18:30開演 NHKホール
ニキヤ:ルテステュ、ソロル:バール、ガムザッティ:ジロー
2003/3/30(日) 13:30開演 NHKホール
ニキヤ:オスタ、ソロル:ルグリ、ガムザッティ:ピュジョル
ヌレエフが最後にオペラ座のために振付けた「ラ・バヤデール」。凝った衣装、舞台セットでも有名。
この公演は、最近の来日バレエ公演の高値を更新して、S席2万5千円。これはあの象のセットをもってくるためか、、、と思ったが、象は思ったほど大きくなかった。衣装は、豪華は豪華だけど、使っていない色はないのかって感じで、この色使いはちょっと好き好きかも、、、(どうもヌレエフの好みらしい)
セットをおくと、踊るスペースがなんか狭い感じがしたのが残念。ビデオ版と同じセットなのだけど、なぜか、ビデオのほうが奥行きがあるせいか、りっぱに見える。奥行きがあまり感じられないのはしかたがないか、、、
この版は、全3幕で、影の王国で終わりとなる。かなり大団円って感じの終わり方だった。その後の結婚式で寺院崩壊というシーンはない。
構成はだいたいキーロフと同じ。
● 29日(ソワレ)の感想
今日のソロルは、ニコラ=ル・リッシュのはずだったのに〜、、、リハーサルで肉離れしたとかで降板。代わりにバールがソロルを踊った。数年前にも、ニコラの公演が怪我で中止になったし、なんか怪我が多いので、いやーな予感はあったが、、、あーん、ニコラ見たかったなあ。
でも、バールのソロルはなかなかよかった。踊りは切れがあって、しかもエレガントで美しい。まあ、素敵じゃない!と思うのだが、なんか印象がいまいち薄い。踊りだすと、「あら、素敵」って思うのだが、踊っていない時、ソロルが主役だったことをつい忘れてしまうのだった。これは、「印象が薄い」というと聞こえが悪いけど、「女性プリマを立てる、控えめな演技」というと聞こえがいいのかも。でも、やっぱり、ちょっと物足りないかも。
ガムザッティを演じたジローは、すごい大柄。背だけなく、肩幅とかもすごいので、すごい迫力。ソロルと並んで出てくるシーンで、思わず、男性2人並んでいるようにも見えてしまった。それで、トゥでたって、ソロルに迫っていくと、まるで、脅しているかのように圧倒してしまう。いやー、強い、強い。
なので、一人で踊ったほうが、なんかのびのびと見えるかも。相手がいると、ちょっと無理な感じがしてしまう。あー、きっと、ここではアラベスクのノンナのように、「相手がもっと背があれば、おもいっきり手が伸ばせるのに」なんて思っているじゃないかななんて思ってしまった。
ニキヤを演じたルテステュも背は高いが、ジローと並ぶと、ルテステュが華奢に見えてしまった。1幕第2場での、ニキヤとガムザッティのソロルをめぐる争いはすごい迫力だった。ガムザッティが、「私は富も、権力もすべてもっている。あなたなんか何?」って感じで、強気でニキヤに詰め寄り迫力。とくに、ジローがあの体格で迫力の演技をするとなかなかすごい。
ルテステュのニキヤは、とっても気高く美しかった。とくに3幕はやっぱり白眉。この人の場合、なぜか、情緒とか、儚さとかはないのだけど、テクニック的にも完璧(と思われる)だし、とってもきれいだった。
あと、この日のブロンズ・アイドルはジェレミー・べランガールで、すごくよかった。あの独特の音楽に、動きが、ぴたっ、ぴたっと決まって気持ちいい。ここのブロンズ・アイドルは、あまり金に塗らないらしく、かなり白っぽい仏像なので、なんか、仏像というより、ギリシャ彫刻みたいだったけど。
この日、2階センターの席だったのだけど、前のほうに、ジョゼ・マルチネスを発見。あの細さはマルチネス!と思ったら、やっぱりそうだった。サインをもらっている人がいた。どうせなら、ソロル踊ってほしい。
● 30日の感想
今日のルグリのソロルをみると、きのうのバールとは存在感がぜんぜん違う。今日の主役はだんぜんルグリって感じ。(これって本当はまずいのかな、、、)
ルグリは、幕が上がって出てきたときから、歩く姿、ちょっとしたしぐさまでが輝いている。1幕でルグリが踊ると、喜びにあふれていて、見ているとこっちまで楽しくなってくる。1幕のオスタのニキヤがなかなかよかったのも、ルグリが引っ張っている感じがする。
領主に娘(ガムザッティ)と結婚するように言われて、困りながらも、断れずにいる様子とかも、なんか、きのうよりよくわかる。あ、いや、バールもちゃんとそう演技してたんだけど、より言葉が聞こえてくる感じなの。
その後、領主、ガムザッティ、ソロルがいっしょにいるところに、ニキヤと奴隷が呼ばれて踊るシーンでは、ソロルは、そっと後ずさって柱の影に隠れてしまう。あら、細かい演出だのう。(実は、きのうのバールも同じように演じたらしいが、私は見てなかったらしい、、、ごめんなさい)
オスタのニキヤもなかなかがんばっていた。性格演技は、ルテステュよりはっきり出していたような気がする。なので、1幕、2幕はなかなかよかった。パドドゥも、ルグリに引っ張られてか、とっても素敵だった。
あと、2幕の婚約式で、ソロルの前で踊るシーンは、嫉妬と悲しみに駆られながら踊る姿がなかなかよかった。「ソロルから、、、」と言われて花かごを受け取ると、自分はガムザッティに勝ったとばかりに、勝ち誇ったような喜びの笑顔をみせて、「あさはかさ」を感じさせる演技で、ほー、なるほど、こういうのもあるのかと思った。(きのうのルテステュも、花かごを受け取ると笑顔で踊っていたのだけど、あまり、どういう心理かよくわからなかった)
ピュジョルのガムザッティも、なかなか強気で高慢なお嬢様。オスタもピュジョルも小柄なので、きのうほどの迫力はないけど、こちらもはっきりとした対決で見ごたえあった。
ピュジョルは、2幕のガムザッティのパドドゥもきっちりとこなし問題なし。でも、そんなに強く印象には残らなかったかなあ、、、
オスタのニキヤは、3幕はちょっとまずいかったかも。とくにスカーフを使うシーンは、あまり慣れていないようで、かなり雑な印象になった。最後のほうで、頭にスカーフが絡んだりして、ちょっと危なっかしかった。
今日のブロンズ・アイドルはアレッシオ・カルボネ。たぶん、悪くなかったと思うのだけど、きのうのべランガールの印象が強くて、よくわからなかった。
それにしても、イレールも振付指導ということで、来日しており、会場に出没しているらしいが、彼は、もうクラシックの主役はやらなくなってしまったし、寂しいかぎり。イレールのソロル見たかったなあ、、、、
2003/3/23(日) 13:30開演 東京文化会館
【 エメラルド 】 エリザベット・モーラン、ウィルフリード・ロモリ、クレール・マリ・オスタ、その他
【 ルビー 】 エレオノーラ・アバニャート、ジェレミー・ベランガール、ステファニー・ロンベール、他
【 ダイヤモンド】 アニエス・ルテステュ、ジョゼ・マルチネス
バランシン振付のジュエルズ。3幕構成で、各幕がテーマの宝石をイメージして作成された作品。また、各幕は、バランシンが過ごした、パリ、ニューヨーク、サンクトペテルベルグのイメージとも重なるともいわれている。衣装は、クリスチャン・ラクロワ。
1幕「エメラルド」は、緑の長めのドレスで、フォーレの音楽でしっとりと踊る。第2ソロのシシリエンヌを、去年エトワールになったばかりのオスタが踊った。耳慣れた音楽であるせいもあるけど、このソロがすごくよかった。オスタがエトワールになったことについては、不満をいう人も多く、私もなんとなく地味〜な人のイメージがあったのだけど、結構かわいらしく、生き生き踊っていた。
2幕「ルビー」は、赤い短めのドレスで、ストラビンスキーの音楽で、少しアップテンポで快活に踊る。ちょっと変わった振りもあって、なかなか面白かった。ダンサーはあんまり覚えていない。
3幕「ダイヤモンド」は、白いクラシック・チュチュで、白鳥の湖みたいな感じの優雅なバレエ。音楽はチャイコフスキー。ここは、ルテスチュ&マルチネスが貫禄の美しさを出していた。
ダンサーもいいし、各幕ともとってもきれいだったのだけど、うーん、やっぱりバランシンってよくわかんないなあ。どうも、「まあ、きれい、、、」で終わってしまうのよね。まあ、ストーリーのない抽象バレエで、演技とかはないので、感動するような代物ではないのだろうけど、でも、ここがおもしろいっていうのがどこかよくわかんないなあ。
2003/3/2(日) 18:00開演 オーチャードホール
ザ・スワン/ストレンジャー:アダム・クーパー、王子:ベン・ライト、女王:マーガリート・ポーター
2003/3/6(木) 19:00開演 オーチャードホール
ザ・スワン/ストレンジャー:アダム・クーパー、王子:ベン・ライト、女王:マーガリート・ポーター
2003/3/11(火) 19:00開演 オーチャードホール
ザ・スワン/ストレンジャー:ジーザス・バスター、王子:トム・ワード、女王:マーガリート・ポーター
2003/3/13(木) 14:00開演 オーチャードホール
ザ・スワン/ストレンジャー:首藤康之、王子:トム・ワード、女王:エマ・スピアーズ
AMPによるこの白鳥の湖は、チャイコフスキーの白鳥の湖の音楽を使用して、古典とは全く異なる斬新な解釈を行ったバレエで、監督、振付、脚本はマシュー・ボーンによるもの。 95年にイギリスで初演され、4ヶ月連続公演というバレエ史上初の快挙をおさめた。
来日公演は、トリプル・キャスト。アダム・クーパーはなんとしても見たかったけど、首藤君も見たいし、、、なんて思いつつ、結局アダム2回、ジーザス1回、首藤君1回の合計4回見ててしまった。
1幕では、王子は母の愛に飢え、母への思慕、孤独を抱えたまま大人になってしまい、また、女王は「母」であるより「女」でしかない。そんな2人の関係が、いろいろなエピソードで描かれていく。劇中劇でバレエが出てくるんだけど、クラシックバレエをちょっとおちょくってて笑える。また、バレエを見ているガールフレンドのリアクションがとっても大げさで、ビデオよりパワーアップしている感じ、すごく可笑しい。
しかし、なんといっても1幕で最高なのはSWANKバーのシーン。酔客やストリッパーがノリノリで踊るショッキング・ピンクの猥雑な世界、でも、音楽はチャイコなんだんよね、、、これがとってもぴったりなのが信じられない。
そのあと、憔悴した王子が公園に向かう前に、王子の脳裏に白鳥達が現れて、羽ばたいているみせるシーンがあるけど、腕で羽ばたいてみせるタイミングがみんな微妙にずらしてあって、それがすごくリアリティを感じさせながら、神秘的できれいだった。
2幕。自殺しようとした王子の前に、1羽の白鳥(ザ・スワン)が現れる。白鳥は王子を威嚇するが、王子は恐れながらも強力に引きつけられる。そして、白鳥達の群舞。白鳥達の踊りは、あくまでも野生の白鳥を表現している。ビデオでみても綺麗だったけど、生でみると、更にその迫力に驚く。生で見て、改めて2幕の魅力に気がついた。
力強い白鳥達の世界に触れ、王子は生きる気力を取り戻す、、、という展開で、2幕が終わる。これもビデオだと、なんで、そういう展開になるのか、いまいち不思議だったのだけど、生で見ていると、白鳥達の力強さ、王子が憧れる1羽の白鳥の存在が強烈に伝わってきて、こういうものから勇気を得るって確かにあるなあ、、、なんて納得できるようになる。
ここはキャストによってかなり違う印象を残す。
アダム・クーパーの白鳥は、野生の凶暴性と、圧倒的な強さを持っていて、美しく逞しい肉体とともに、強烈な存在感を示す。それは、まさしく王子の強さへの憧れを象徴している。アダムの白鳥は、他の白鳥に対してもその強さは抜きん出ていて、まさしく群れの「長」として君臨し、周りを支配する。王子に対しても、最初はあくまでも異質な存在として警戒し、威嚇する。しかし、その強さゆえに孤高の寂しさももっていて、その孤独さがやがて王子と心を通じてしまうかのように見える。
ジーザス・バスターの場合、まだ若く、小柄なせいもあり、若木のようなしなやかさがあって、踊りがすごく柔らかい。そのせいで、彼が王子と踊ると、その若々しさ、ピュアな感じが、王子の心に残してしまっている少年性と共鳴するかのように見える。周りの白鳥との関係も、まだ若いので、群れの「長」っていうより、不良少年グループのリーダって感じ。
そして、首藤君。これはアダムとは全然違う意味で感動だった。彼の白鳥は、まさしく王子の孤独な心を映し出した分身のようで、生き物というより、精神的な存在になっていた。かといって、精霊ではなく、人間が持て余している感情が染み出して作り上げたかのような邪悪な存在であり、邪神のようにも見える。特に、彼が王子と踊ると、2人は一対の存在のように感じられた。
そして、ビデオでお気に入りの3幕の舞踏会シーン。(王子が憧れたザ・スワンに似た)ストレンジャーが舞踏会にやっていくる。女達と踊ながら、次々に陥落させていく。そして、最期、女王もついに彼の手に落ちる。王子は、母とストレンジャーに嫉妬し、錯乱する。
やっぱり、かっこいい、、、、でも、ここでも、生で見ていると、王子の追い詰められている心理がビデオより的確に伝わってくる。さすがである。
ここはやっぱり、ダントツでアダム・クーパーがカッコいい。女達との絡みが一番余裕で、女達との駆け引きや、楽しみながら女達をたらしこむ様子が様になる。これが、ジーザス君だと、まだまだ若いので、大人ぶっている不良少年とお姉さん方という感じになってしまう。でも、そこはラテン男、ラブシーンは結構様になる。
首藤君は、超硬派な雰囲気(高倉健みたいな感じ)になってしまい、とっても女達との絡みを楽しんでいるようには見えない。どっちかいうと女には興味がなくて、最初から王子が目的みたいな感じになる。
ここで好きなのは、ロシアの踊りと、ナポリの踊りの官能的なところ(O寺さんには”猥褻”といわれましたが、、、)。あとは、最期のコーダの盛り上がり。
ロシアの踊りは、通常の白鳥の湖では省略されることが多いけど、AMP版で大好きになってしまった(でも、通常のロシアの踊りはやっぱりあまり面白くない)。舞踏会に突然現れたストレンジャーと、互いを値踏みするかのような女たちとの絡み、、、、これを見てしまうと、ロシアの踊りって、セクシーな思わせぶりな音楽に聞こえてしまう、、、、ここで、胸フェチなのもアダム君。振付かと思ったが、他の2人はやらないので、アダムのオリジナルらしい。
ナポリの踊りは、その陽気な音楽が、淫乱なナポリの王女と妙に一致しててすごく楽しい。ここでは、連れの男を挑発するように、王女のクツを脱がせるシーンがあるけど、ここも、様になってのはアダム。ジーザスと首藤君はささっと脱がしてしまうんだけど、アダムは、ゆっくりと愛撫しながら靴を脱がせ、足にキスする。カッコいい、、、(失礼、、、)
4幕。錯乱したと思われた王子は、幽閉されてしまう。そして、王子と1羽の白鳥は白鳥達の攻撃を受けて死んでしまう。という展開なんだけど、ビデオでみた時は、なんでこうなるのかよく分らなかった。ところが、これが生でみると、すごく説得力があり、納得してしまった。
寝ている王子のベットの下から白鳥達が這い出してくるシーン、それはまさしく、白鳥達が王子の意識下から生み出されるかのようだ。ここで、この白鳥達は王子が作り出したもうひとつの世界なんだって気がついた。
そして、白鳥たちが、王子と王子の味方をした白鳥を殺してしまうのは、異質なものを排除しようとする野生の本能であり、王子は結局、自分が造りだした白鳥の世界でさえ異質な存在でしかなく、死によってしか自由が得られなかった、、、生の舞台を見ていると、そんなことがすーっと理解できてしまうのだった。
ベットの周りに白鳥達が集まって、羽ばたいてみせるシーンは、ぞっとするほど恐ろしい。振付のマシュー・ボーンのインタビューを読むと、ヒッチコックの「鳥」もイメージしたらしいが、まさしくこのシーンは鳥の不気味さがでている。
アダム・クーパーの白鳥は、その圧倒的な強さにより群れの「長」である。群れの白鳥たちからすれば、みんなが畏怖する自分達の長が、白鳥ではない王子に心を許すなんて、裏切りであり、許しがたい行為でしかない。それゆえに、アダム白鳥は、群れの白鳥たちから攻撃されてしまう、そんな風に見える。
首藤君の場合、最初からその存在は白鳥達のなかで異質。それが、王子との関係をもつことにより、より明確になり、群れの白鳥たちから攻撃されてしまう、というような感じになる。そして、死によって、王子と一体になれた、、、そんな感じがする。
ジーザスの場合は、まあ、やっぱり、王子と仲良くしちゃったので、不良グループのメンバーからやっつけられるって感じ。
実をいうと、アダム、アダムと2回みて、3回目のジーザスは少し中だるみしてしまったので、ジーザス君の舞台の印象は薄くなってしまった。何度もみていると、新鮮さがなくなってまずいなあと思っていたのだけど、4回目の首藤君で、また一気に復活。首藤君は、アダムの圧倒的な存在感とは全然違う、精神世界を作っていてすごく面白かった。
しかし、この公演すごい人気ですね。しかもアダム・クーパーの人気がすごい。全然バレエファンでないような人までが、アダム・クーパーの名前を口にしている。映画「リトル・ダンサー」に出演したといっても、ラストで後ろ姿でジャンプする1シーンだけだし、いつの間にかこんな全国区の人気になっていたのだろう。
この白鳥の湖は、こんなバレエがあったのか、、という驚きもたらしながら、しかも、とっても洗練されてて楽しい。しかし、一番の魅力はなんといっても、チャイコフスキーの白鳥の湖の音楽をそのまま生かしている点にある。しかも、古典的な音楽としてでなく、今を生きる音楽として、チャイコフスキーの音楽の魅力を蘇らせていると思う。
ニキヤ:ザハロワ、ソロル:ゼレンスキー、ガムザッティ:西川貴子、
ハイブラーミン:イリイン、黄金の神像:吉本泰久、マクダヴェヤ:奥田慎也、
影の王国のバリエーション 第1:前田新奈、第2:湯川麻美子、第3:大森結城
牧阿佐美版のラ・バヤデールの再演。この版は、寺院崩壊まで描きながら、スピーディな展開であることと、ソロルは許されるべきではないという考えから、ラストシーンで一人取り残されるという点が特徴。
ただ、ネットで話題になっていた話によると、今回は、ランチベリーが編曲した初演の時と、音楽を少し変えているらしい。特にラストが短調で終わるのが、この版として相応しかったのに、それが今回はなぜか長調になっていたとか、、、うーん、私はこの手の違いはよくわからない。
今回の目玉は、やはりザハロワのニキヤ。完璧な美、美しかったです。伸ばした腕、ちょっと反った背中のライン、アラベスク、とにかくポーズがすべて美しい。顔も可愛いし。ニキヤの演技は、結構強気な感じがしました。1幕で言い寄ってくるハイブラーミンに対してなんか、「このエロおやじ!」って感じで拒絶してました。でも、ソロルと2人になるとラブラブで可愛いらしい感じがでててよかったです。影の王国のソロもさすがきれいでした。
ゼレンスキーは、しばらく怪我してたらしいのですが、全然そんなことを感じさせず、相変わらずダイナミックで美しいジャンプをみせてくれてました。彼の役作りは、かなり純情・誠実なソロルでした。2幕の婚約式のシーンでは、ニキヤへの罪の呵責に、ニキヤもガムザッティも正視できない感じで演じてました。そして、毒蛇にかまれたニキヤを前に思わず駆け寄ってしまうのでした。なかなか演技がんばってました。
しかし、最期、寺院が崩壊して、ニキヤの幻影の後を追っていくシーンで、元気に岩をジャンプしちゃうのはちょっと違和感でしたが、、、
そして、ガムザッティの西川さん。この役は、美しく、何不自由ないお嬢様が、親の権力をバックに、ニキヤからソロルを奪うという役なので、圧倒的な美しさ、強さを出さないといけないのですが、ザハロワと並んじゃうと、どうしても地味になっちゃいますね、、、
ハイブラーミンは、結構よかったです。最初の見た目だけだと、あんまり悪徳高僧って感じの存在感がなかったけど、ニキヤに対する執着の演技がよかった。マクダヴェヤは、踊りのスケールが大きくてなかなか迫力がありました。
2003/2/15(土) 15:30開演 オーチャード・ホール
オーロラ:エリーナ・エフセーエフ、王子:シヴァコフ、モロゾフ、クリギン、リャブコフ
セット、群舞、王、王妃までついて、豪華な幕開け。しかし、エフセーエフのオーロラはいまいちでした。まだ、無理なんじゃないのって感じでした。元気よく登場しましたが、あまり王女の品はなかったし、見せ場のバランスは、王子がそばについていて、すぐ手を取ってしまう(そういう踊り方もありらしいですが)。
華やかさがなくて、ちょっと物足りない。
シェスタコワ、ペレン、ハビブリナ、クチュルク
綺麗でしたが、眠くなってしまった。
スヴェトラーナ・ザハロワ、アンドリアン・ファジェーチェフ
一気に目が覚めました。ザハロワが美しい、、、
ラブロフスキー版なので、マクミラン版を見慣れた目には踊りは少し物足りないけど、品がいい振付で、伸ばした腕、上げた足、反った背中、そにかくザハロワの美しさにうっとりしました。相手役のファジェーチェフもなかなか素敵。
フィリピエワ、マドヴィエンコ
この2人の定番なので、安心して楽しめました。32回転なんて超高速だし、長いバランスも余裕でしたね。2人の間がちょっと冷えてみえるのは気のせい?
ナタリヤ・レドフスカヤ、イリヤ・クズネツォフ
きれいでよかったのですが、あまりおもしろくなかったなあ。このパドドゥってこんな感じだっけかなあ。
オーレリア・シェフェール、クリス・ローランド
マイヨー版のシンデレラ。なかなかよかった。
マイヤ・プリセツカヤ、シャルル・ジュド
このプリセツカヤの牧神の午後、苦手、、、ニジンスキー版ではあるのだけど、なんかプリセツカヤが一人だけ派手な衣装で、途中で一枚一枚脱いでいく。それで、牧神を見て怯えてみせるのだけど、なんか、この演技があざとく感じられてしまってねえ、、、
あの歳(もう75歳は超えているはず)なので、何をやっても超越しているという声もありますが。と、いうことで、ネットでは皆様、さすがプリセツカヤと誉めてます。
ユリア・マハリナ、 マトヴィエンコ
マハリナは王女様って感じで迫力あってよかった。
ディアナ・ヴィシニョーワ、イーゴリ・コルプ
なかなかよかった。けど、前、キーロフで、彼女のチャイコフスキー・パ・ド・ドゥ見たとき、もっと輝くようで、わくわくしたような気がする。観客の反響はとってもすごかったし、ネットを見ても、みんな絶賛なので、きっとすばらしかったのだろうなあ、、、よくわからない。
イヴリン・ハート、 ファルフ・ルジマトフ、レニングラードバレエ団
セットも群舞もついて、見ごたえ十分。
ハートのジゼルって、伝説になっているけど、てっきりもう引退した人だと思っていたので、あまり期待してなかったですが、よかったです。とっても静かな慈愛に満ちたジゼルでした。無理に高く飛んだりはしなかったみたいで、それが余計そう感じさせたのかも。
とにかくとっても静か、影のようでした。2人ともさすがに若くは見えないので、なんとなく長年連れ添った夫婦が年老いてから、改めて互いを慈しみあうようにも見えたりして。
2003/2/12(水) 18:30開演 オーチャード・ホール
メドーラ:ディアナ・ヴィシニューワ、 コンラッド:マラト・シュミウノフ
アリ:ファルフ・ルジマトフ、 ギュリナーラ:オクサーナ・クチュルク
急遽、当日券で見に行きました。
ヴィシニューワは、公演直前に、練習不測のため出演できないとか言っていたらしいですが、無事出演しました。最初、ひとりだけ、超ビキニの衣装なので、ちょっと変な感じでしたが、でも、やっぱ、ダントツの華やかさ。手足も長いし、見栄えしますね。
ルジマトフは、なんか痩せた気がする。奴隷とはいえ、ギラギラした感じはなく、ひたすら美しかったです。ガラなどで、若者が踊る海賊は、元気いっぱいで技が見ものだけど、ルジマトフになると、やっぱ、アダージョでしっとりと美しさが際立つ。
コンラッドは、すごく大柄でハンサム君だったけど、なんかやけに大きく感じてしまった。踊りに軽さとか、小気味よさがないからかなあ、、、
海賊の場合、2幕のパドトロワが終わってしまうと、3幕はちょっと退屈。ジュエットとか全然ないし。
2003/2/8(土) 19:30開演 ゆうぽうと
ジュリエット:上野水香、 ロメオ:森田健太郎
ティボルト:ガリムーリン、 マキューシオ:菊地研
パリス:逸見智彦、 キャピュレット夫人:坂西麻美
ここの「ロミオとジュリエット」は、プリセツキー版(プリセツキーは、マイヤ・プリセツカヤの親戚らしい)。とはいっても、ほとんどクランコ版に近い。
上野さんは初めてのジュリエット役。あまり期待してなかったのだけど、意外とよかった。あまり深い心理描写みたいなのはなかったけど、自然体で普通の女の子って感じで演じていて、なかなかよかった。ロメオと別れた後、一人で踊るシーンも、なかなか感動的。森田さんはとくに問題なし。
ティボルトのガリムーリンは、硬派な感じでかっこよかった。それに剣でのケンカのシーン、腰がすわってて一番かっこいい。やっぱ、慣れているのかしら。
マキューシオは、ここではあまりシニカルな人間という設定ではないのかな、、、死ぬシーンも、「いやー冗談だよ」って感じもあまりなかったな。菊地研さんは、確かまだ17歳くらいで、ロシアに留学している人らしい。茶髪のちょっと長髪なんで、最初見たとき、なんかその辺にいるあんちゃんみたいな感じがしたが、ま、マキューシオならいいか。
パリスはなんか、いまいちやさしい人のようでいて、ジュリエットが好きなわけでもなく、いまいち印象のうすい役作りだった。あくまでも親が決めた婚約者という冷たい態度に徹するか、親が決めた婚約者とはいえ、それでもジュリエットと愛するという役か、どっちかはっきりさせたほうがよかったような。
装置はまあ、豪華ではないけど、シックでなかなかよかった。シュツットガルト・バレエみたいに、回廊のような橋を使った演出。ただ、これが最期の墓場のシーンではちょっと変だった。シュツットガルトの場合、これが地下に埋葬されるって感じで使われていたのでよかったけど、なんか普通の広場の真ん中に埋葬されたような感じになってしまっていた。
他の版と一番違うのは、最期。ロミオが毒を飲んで、死ぬ寸前に、ジュリエットが目覚める。ジュリエットはロミオを見つけて喜ぶが、その後、すぐロミオは事切れてしまう。これはなかなか泣かせる設定ではないか。しかし、ジュリエットがナイフで死んだ後、両家の親たちが二人を囲むようにして登場し、和解するっていうのは、ちょっと唐突すぎ。
2003/2/1(土) 19:30開演 オペラ・ガルニエ in PARIS
王子:ルグリ、パキータ:プジョー
盗賊:Stephane Phavarin
(パドトロワ)ミテキ・クドー、アレッシオ、Muriel Zusperreguy
いよいよ、ガルニエで初バレエ。幕が上がって、「あ、これって全幕だ、、、」と気がつく。しまったあ、、、パキータってマイナーな演目なので、結婚式の場面しかみたことないのよねえ。ストーリーがわからないなあ。
どうやら、ジプシーみたいな流れ者の一団のなかの娘と王子が恋に落ちるらしい。ところが、大臣の一人が王子暗殺を企てて、流れ者の親玉に依頼する。企みを知った娘が王子を助ける。そして、宮殿で、この企みが公にされ家来は逮捕される。さらに、娘が実は高貴な生まれであることがわかり、二人はめでたく結婚する。
というようなストーリーであるらしい。
見所は、やはり2幕の結婚式。ここはもうみててわくわくしてしまうダンスの饗宴。ルグリのステップがすばらしい。なんでもないステップなんだけど、軽やかで正確なステップ。見てて思わずうれしくなってきてしまう。観客からも拍手がもれる。
ルグリってあんまり(顔が)好みではないのだけど、その私が見ても、こんなに魅力的。40歳近くなってこの充実度はなんだろう。周りの同年代のダンサーがだんだん役を選ぶようになってきた中、クラシックをここまで充実して踊れるなんて、すごい。
去年、エトワールになったプジョーもきれいだし、ダンスもよかった。32回転もダブルを入れながらしっかり決めてました。
あとは、ミテキ・クドーがよかった。まあ、ハーフなので唯一識別できたというのもあるけど、1幕のパドトロワ、2幕でも女性3人で踊るところで出ていたけど、とっても印象に残った。
2003/1/31(金) 14:30開演 ロイヤル・オペラ・ハウス in LONDON
マノン:ジェイミー・タッパー、 デ・グリュー:David Makhateli
レスコー:マーティン・ハーベイ、 レスコーの恋人:バネッサ・パーマー
G.M:デビット・グリュー、看守:アシュレイ・ページ
乞食:Tim Matiakis
この公演は、マノン初日のマチネで、本当は、この役で定評のあるリャーン・ベンジャミンと、去年ロイヤルに移籍したロバート・テューズリーが踊るはずだった。ところが、ベンジャミンは産休となり、テューズリーは監督が代わったことで退団してしまった。ということで、急遽、若手の主演になった。
ベンジャミンとロバート・テューズリー、見たかったなあ。日本公演のベンジャミンはすごかったもの。テューズリーは初役だけど、ロイヤル・バレエ学校出身だし、なんといってもハンサム!去年の新国のロミオ役はとってもカッコよかったし、期待したんだがなあ、、、
で、若手のマノンはどうかというと、、、、デ・グリューはなかなかカッコいいダンサーだったけど、ちょっと都会的な感じ。それに対し、タッパーのマノンは、見た目がとっても幼くて、純朴な田舎の少女。あれ、なんか逆かも、、、
でも、タッパーの幼さは、結構それはそれでよかった気もする。高価なものを差し出され、つい豹変してしまう様子なんて、本当はなにもわかっていない子供なんだって感じがして原作っぽいかも。演技も明確だったし、ダンスもよかった気がする。
しかし、彼女とデ・グリューのパドドゥは、いまいち盛り上がらない感じだったなあ。デ・グリューのほうが、終始クールだった気がする。出会いのシーンとかも、まじめで純粋なデ・グリューが、マノンに出会って、恋に高揚していく感じはあんまりないし。
後半、ちょっとずつデ・グリューの演技ものってきたような気がするけど、それでも、やっぱり最期の沼地のパドドゥもよくわからないまま。いつの間にかマノンは息絶えてしまった。デ・グリューのほうが、あまり相手をみて演技というか、ダンスしてない感じがする。とくに、。
なんせマノンはお気に入りバレエなので、つい辛口になってしまった。まあ、若手なので、これからですかね。
でも、やっぱりマノンはいいです。見ててつい力が入ってしまい、息を詰めるようにして見てしまう。
2003/1/28(火) 19:30開演 ロイヤル・オペラ・ハウス in LONDON
主演は、吉田都、イワン・プトロフ。ストーリーは無い抽象バレエ。プトロフ君が、髪をオールバックにしていて、顔がちょっと変。さらさらヘアの方がかっこよかったのに〜。都さんはさすが安定感あり。
で、肝心のバレエ、、、、きれいだったけど、よくわからず。あまり印象にない。いまいち好みで無かった。
オルガ(長女):Nicola Tranah、 マーシャ(次女):ダーシー・バッセル、 イリーナ(三女):タマラ・ロッホ
クリギン(マーシャの夫):アンソニー・ダウエル、マーシャの恋人:イナキ・ウルレザーガ
男爵:Alastair Marriott 、 将校(?):マーティン・ハーベイ
原作は、チェーホフの三人姉妹だけど、原作を読んだことがないので、どのくらい原作に沿って展開しているは不明。ロシアの田舎に住む3人姉妹の恋愛に、都会(モスクワ)への憧れを絡めて描かれる。
マーシャ役のバッセルは相変わらず綺麗。しっとりとした演技と、ダンスもきれいでとってもよかった。
1昨年、芸術監督を辞めたダウエルは、今年はバレエの脇役で大活躍。この3人姉妹では、クリギン役で、他の男に心を奪われている若い妻への思いを好演してました。今年6月には、ギエムとともに日本でも公演する予定。
マーシャの不倫相手のウルレザーガは、なんか、太って見えるんだが、、、軍服の衣装のせいかしら、、、もう少しいい男の色気があったほうがいいなあ。なんせ不倫相手なんだから。
イリーナは、男爵と将校(?配役表ではCaptain)の2人の男の心を弄び、二人は決闘することになって、片方が死んでしまう。この3人は、あまりよく覚えていないが、まあよかった気がする。
タイツで踊るモダンバレエ。バレエの情景より、こっちの方がきれいでよかった。
2003/1/16(木) 18:30開演 東京文化会館
幕が上がって、舞台にたくさんのダンサーがいてびっくり。最期は、ダンサーが一列に並んで踊り、なかなか迫力。
ドン・ジョバンニに憧れる女性たちの様子をちょっとコミカルに描いた作品。ドン・ジョバンニは舞台上には登場しないで、いす、スポットライトで存在が表現されるが、今回は、最期にドン・ジョバンニが登場して終了する演出になっている。まあ、おもしろかったかな、、、
メロディを踊る首藤くんが、すっかり大人の男になっている、、、、びっくり。3年前に彼のボレロを見たとき、少年のような繊細さを感じさせた首藤くんだったけど、今日は、すっかり男っぽい感じ。でも、前もよかったけど、ちょっとストイックな色っぽさは彼ならでは。今日もいいわあ。
特に前半は、緊張感が漂う感じで、こっちも固唾を呑んで見てしまった。ただ、後半はやや音楽と群舞の迫力におされ気味だったかしら。