白龍亭・八犬伝の動物

目次 >> 情報整理(物事) >> 八犬伝の動物(1997年 12月〜/1998年 10月 更新)

 南総里見八犬伝に登場する動物を抜き出してみた。軽く調べただけなので網羅しているかどうかは分からない。


空中の動物


白龍
 三浦海岸で里見義實主從が一瞬見たもの。南へ飛び去った。この白龍亭の名前の由來でもある。
狐龍
 政木狐が功徳を積んで白龍になった。


白鳩
 白籏神社で里見義實が山下定包打倒を祈願した時に瑞兆として飛び去った。
瀧田城周辺の鳩
 里見義實は瀧田城周辺の鳩數十羽を捉へて檄文を城内にばらまき、山下定包に反感を持つ城内の者の蜂起を促した。


濱路姫をさらった鷲
 里見義成の五の姫をさらった鷲。鷲は甲斐國で四六城木工作に鐵砲で撃ち落とされ、姫は木工作に発見されて育った。

鸚鵡
舶來の鸚鵡
 里見家に救はれた難破外國商船から献上された鸚鵡。伏姫神女がこの鳥の口を借りて犬江親兵衞を遠ざけた里見義成の過ちを義實に傳へた。


地上の動物


八房の母犬
 犬懸の猟師・技平の飼犬。八房を産んですぐに狼に食はれて死んだ。原作では無名だが、NHKの新八犬伝ではシロ。
八房
 玉梓の生まれ変はりの怨靈の犬。母犬が死んだ後、狸に育てられた。安西景連を殺したら伏姫を嫁にやるという里見義實の戯言のままに景連の首を取る。その結果、伏姫と夫婦になり山の中で暮らす。伏姫の日々の勤行の中で怨靈は消滅、最期は金碗大輔の放った鐵砲玉で死ぬ。死後、神女となった伏姫の乘り物となる。
與四郎
 犬塚信乃の誕生直前に犬塚家にやってきた小犬。後に巨犬となり大塚村周辺の犬社会のボス格となる。信乃はこの犬を馬代わりにして騎乘。龜篠の飼猫・紀二郎を殺したことから僞御教書事件に発展。與四郎を救はんとした信乃と糠介の愚かな策が裏目に出て大塚村長家の使用人に打たれて瀕死の重症を負ふ。この事件の結果信乃の父番作が名刀村雨で自害。その後、信乃が村雨で與四郎を介錯。體内から「孝」の玉が飛び出した。
足往
 はるか大昔、甕襲の玉を見つけた犬。


八房の母犬を食ひ殺した狼
 八房が生まれてすぐに、その母犬を食ひ殺した。そのために八房は妙椿狸に育てられることになった。この狼のその後は不明。


妙椿
 八房犬を育てた狸。その怨念の一部が乘り移り、八房成佛後も里見家へ恨みを抱き続ける。妙椿尼に化けて上總館山城主蟇田素藤を煽って里見に仇なすが犬江親兵衞によって倒される。


政木狐
 扇谷家家老・河鯉家の屋敷内に住む狐。嫡男河鯉佐太郎孝嗣の乳母政木が居なくなった後に政木に化けて孝嗣に乳を與へる。ある日うっかり狐の姿に戻ってしまったところを家人に見られて河鯉家を去る。後に孝嗣の処刑寸前に箙大刀自に化けて孝嗣を救った。功徳を積んで狐龍となった。
夫の狐
 河鯉家の若黨・掛田和奈三に殺された政木狐の夫。
子の狐
 政木狐の子。
巣雁駿平行深
 政木狐が箙大刀自に化けた時に家臣に化けた狐。
美人に化けた野狐
 丹波國の民・宇嘉四郎の陰莖を噛み切った。野狐ではなく山鬼かもしれない。


紀二郎
 大塚村長夫人龜篠の飼猫。犬塚家の與四郎犬に噛み殺される。
僞の赤岩一角
 下野國庚申山に數百年住む妖力を持った猫。赤岩一角を殺して本人になりすまして人間界に住み人間の女と交はる。結局は正体がばれて一角の子・角太郎に殺される。
牙二郎
 化猫と人間の混血児。父とともに死ぬ。


玉坂飛伴太
 僞の赤岩一角の弟子。實は猯(まみ)だった。
まみ穴の老猯
 妖賊知雨老師に苦しめられてゐたところを丶大法師に救はれた。その場所は武藏芝濱の狸穴(まみあな)。今も東京都港區に地名が殘る。地名由來譚!?


〓足溌太郎(〓=人偏+乞)
 僞の赤岩一角の弟子。實は貂(てん)だった。


巨勢金岡の瞳無しの虎繪
 繪の中の虎だが、瞳を描いたことで實體化して京都市内で暴れまはる。犠牲になったのは惡人だけだが、最期には犬江親兵衞によって目を射られて繪に戻った。尸解仙となった一休禪師により成佛して繪ごと消滅。


黒い犢
 富山で伏姫が出會った子供が乘っていた子牛。この子は實は役行者だった。
虫龜村の須本太郎
 越後古志郡の鬪牛に參加した大關牛。牛主と同名。暴れて犬田小文吾に取り押さへられた。
逃入村の角連次
 越後古志郡の鬪牛に參加した大關牛。牛主と同名。
牛田村の孟右衞門
 越後古志郡の鬪牛に參加した大關牛。牛主と同名。
木澤村の幹之助
 越後古志郡の鬪牛に參加した大關牛。牛主と同名。
蓬村の艾三郎
 越後古志郡の鬪牛に參加した大關牛。牛主と同名。
鹽谷村の辛之助
 越後古志郡の鬪牛に參加した大關牛。牛主と同名。
小栗山村の判官八
 越後古志郡の鬪牛に參加した大關牛。牛主と同名。
赤鬼四郎
 媼内が盗み出した武藏芝濱の牛。牛主と同名。媼内と舩虫はこの牛の角に突き刺されて死んだ。


* 武士騎乘の馬は全部で何頭なのか數へていない。ゆえに主に名のある馬のみ。
走〓(〓=馬+風)
 犬江親兵衞が富山に再出現した日に里見義實が乘ってゐた馬。
青海波
 犬江親兵衞の愛馬。里見義實が與へた。
走帆
 犬江親兵衞の愛馬。管領細河政元が與へた。これに乘って安房へ歸還する途中、信濃國馬籠で死んだ。
山下定包の白馬
 神餘の奸臣・山下定包の馬。他人の乘らない白馬だったために定包は「白妙の人啖馬」と呼ばれた。自らを射殺する計劃があるのを知った定包はこの白馬を主君神餘光弘に貸した。その結果、定包と間違はれて光弘は射殺された。
蜑崎輝武の馬
 東條の郷士・蜑崎輝武が乘り、八房に乘る伏姫を追ひかけた。しかし富山の激流に人馬ともに流されて死亡した。原作では無名だが、NHKの新八犬伝ではイナズマヒカル。
主の乘替
 煉馬一門が滅亡した後に音音が單節・曳手を乘せて連れ出した馬。音音の言う「主」が主君・煉馬倍盛か、直接仕へた犬山道策なのかは不明。いずれ犬山道節に與へるつもりだったが、荒芽山の隱れ家が巨田助友に包圍された時に單節・曳手を逃がすために使ふ。敵の攻撃で馬は死んだが、鬼火に導かれて死んだまま走り去る。結局、安房國富山にたどり着いたところで倒れ、そこに埋められた。八房が埋められた犬塚は、これにより犬馬塚となった。


武藏淺草寺近くの暴猪
 犬田小文吾が取り押さへた。おかげで小文吾は惡女舩虫の家に泊まることになった。
國府臺の野猪
 國府臺の戰ひの時、犬塚信乃が敵方の駢馬三連車を焼くために野猪六十五匹に松明をつけて敵陣に走らせた。


蟹目前の飼猿
 關東管領扇谷定正の正妻・蟹目前が飼ってゐる猿。湯島神社で木から下りられなくなり、犬阪毛野が助けた。


泡雪奈四郎が鐵砲で撃った獲物
 奈四郎が誤って信乃を撃った後、奈四郎が仲介に入った四六城木工作に與へた。その夜、木工作が調理して信乃の酒席に出した。


狐の餌となった鼠
 掛田和奈三が政木狐の夫を誘ひ寄せるのに使った。夫の狐は誘はれて殺された。


水中の動物


里見義實が探した鯉
 安房に上陸した義實が安西景連から釣って來いといわれたのが鯉。魚編に里なので里見の魚で縁起がいいと最初は思ったが、結局釣れず。安房には鯉はいなかったのだ。鯉探しの旅で金碗八郎と出会ひ運命が開ける。


藥効のある蟹
 里見義實と出會った時の金碗八郎は顔が分からないやうに自ら漆を塗って皮膚に瘡を作ってゐた。それを即効で治したのが蟹の処方。

雜魚
神宮川で釣った魚
 犬塚信乃が名刀村雨を奪はれた神宮川。その時に釣ってその夜に食べたのは、鮒や〓(すばしり)といった雜魚。(〓=魚+走)

人魚
人魚の膏油
 第九輯下帙之下乙號中套の口繪に人魚の繪がある。しかし物語中には人魚そのものは登場せず、身體の九孔に塗れば寒中水に入っても寒さを感じず、刀に塗れば鐵をも切れるという「人魚膏油」というアイテムが登場するのみ。人魚の肉を食へばどうのといった記述もあり本文を讀む限りでは鯨肉や鯨油のイメージなのだが、口繪に女性の人魚の繪があるだけに考えると不気味である。


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