白龍亭・八犬伝における怪我病気の治療

目次 >> 情報整理(物事) >> 八犬伝における怪我病気の治療(1997年 12月〜/1998年 10月 更新)

 南総里見八犬伝における怪我や病気の治療を抜き出してみた。軽く調べただけなので網羅しているかどうかは分からない。


病状:皮膚の瘡。
原因:漆を塗った。
患者:金碗八郎。
処方:蟹。生の蟹を塗り、燒いた蟹を食す。
施者:里見義實。
効果:その場で完治。
場所:安房國長狹郡。

病状:三歳にして物言はず笑はずただ泣くのみ。
原因:玉梓の呪ひ。
患者:伏姫。
処方:仁義禮智忠信孝悌の八玉を含む數珠
施者:役行者。
効果:症状は完治。呪ひは消滅せず。
場所:安房國。

病状:刀傷。
原因:美濃國金蓮寺で將軍方の侍と斬りあった時にできた。
患者:大塚番作。
処方:湯治
効果:傷は治ったが筋が縮んでちゃんと歩けなくなった。
場所:信濃國筑摩の湯。

病状:破傷風。
原因:許我家中の者と斬りあった際に出来た刀傷。
患者:犬塚信乃。
処方:那古家の秘傳。下記材料を合はせて傷口に注ぐ。
材料:1)若い男の鮮血五合。山林房八が提供。(提供者は死亡)
   2)若い女の鮮血五合。小文吾の妹、沼藺が提供。(提供者は死亡)
施者:犬田小文吾。
効果:完治。
場所:下總國行徳の古那屋。

病状:打撲擦傷等。
原因:大塚家中の者による拷問。
患者:犬川額藏。
処方:犬山道節の肩から飛び出た忠の玉
施者:患者自身。
効果:完治。
場所:大塚家の牢の中。

病状:毒。
原因:馬加大記の命令により家中の者が食物に混入。
患者:犬田小文吾。
処方:悌の玉
施者:患者自身。
効果:完治。
場所:武藏國石濱城内の幽閉部屋。

病状:脾疳。
原因:不明。
患者:赤岩角太郎。(三歳なのでまだ犬村になってゐない)
処方:禮の玉を浸した水
施者:母=正香。
効果:三囘飲んで完治。
場所:下野國赤岩。

病状:目に刺さった矢傷。
原因:犬飼現八が放った矢。
患者:僞赤岩一角。
処方:僞赤岩一角(化猫)の秘傳。下記材料を調合。ただし調合の詳細は不明。
材料:1)四ヶ月以上の胎児の生肝。雛衣から入手を圖るが失敗。(雛衣は死亡)
   2)その母の心臓の血。雛衣から入手を圖るが失敗。(雛衣は死亡)
   3)百年土中に埋もれた木天蓼。木天蓼の短刀から入手。
施者:患者自身が調合する予定だった。
効果:処方を調合する以前に患者死亡のため不明。
場所:矢が刺さったのは下野國庚申山胎内くぐり付近。
  :木天蓼を入手したのは下野國赤岩の一角の屋敷内。
  :処方を試みたのは下野國犬村返璧の犬村角太郎の庵。

病状:過労?
原因:臺風により嶋に流され、やっとのことで本州に戻ってきた。
患者:犬田小文吾。
処方:湯治
効果:?
場所:攝津國有馬の湯。

病状:目が見えなくなる病。
原因:不明。
患者:犬田小文吾。
処方:悌の玉
施者:患者自身。
効果:完治。
場所:越後國小千谷の石龜屋。

病状:疫病。
原因:疫神。
患者:上總國夷隅郡の民。
処方:疫神の話を盗み聞きして知った黄金水
施者:蟇田素藤。
効果:完治。
場所:上總國夷隅郡諏訪神社。

病状:毒藥。
原因:海賊の罠。
患者:京都への使者の一行。供人夫役、船長漕工。
処方:仁の玉で胸を撫でる。
施者:犬江親兵衞。
効果:完治。
場所:三河國苛子崎。

病状:蟲積。
原因:不明。
患者:雪吹姫。
処方:加持祈祷
施者:徳用と堅削。
効果:加持の咒法は全く効果なし。
   堅削が姫を笑はせる話などして、多少病状が良くなった。
場所:京都管領細河政元の屋敷。

病状:頭瘡、及びその膿による失明。
原因:酒毒。
患者:竹林巽。
処方:藥師院への日參、及び數々の善行。
施者:患者自身。
効果:四年目に目痛がとれ、五年目に完治。
場所:丹波國桑田郡藥師院村。

病状:腹痛下痢水瀉。
原因:酒の飲み過ぎ。
患者:小才二。
処方:丸藥+湯
施者:蟻屋梨八の妻。
効果:下痢水瀉數囘の後に完治。
場所:武藏國墨田河原。

病状:瘧疾。
原因:不明。
患者:武田信隆。
処方:上總介廣常の五輪石塔婆の苔
施者:患者自身。
効果:完治。
場所:上總國夷隅郡醫王山金光寺。


伏姫神藥關係。

処方:伏姫神藥(神授の仙丹、囘生起死の神藥)・經口、又は碎いて傷口塗布。
施者:犬江親兵衞。

病状:毒矢の傷。
原因:麻呂・安西の殘黨による里見義實襲撃。
患者:小水門目、鮹舩貝六郎。(義實近習)
効果:蘇生。
場所:安房國富山。

病状:打撲等。
原因:武藝の試合。
患者:鞍馬海傳眞賢、澄月香車介直道。紀内鬼平五景紀、徳用、堅削。
効果:完治。
場所:京都管領細河政元の屋敷。

病状:脈絶。
原因:虎が徳用らを噛むのを見たショック。
患者:雪吹姫。
施者:姨雪代四郎。親兵衛から藥の一部を預かってゐた。
効果:蘇生。
場所:京都白川青面金剛庚申堂。

病状:半死半生。
原因:虎に噛まれた。
患者:徳用、堅削。(二度目の使用)
施者:直塚紀二六。惡事を白状させるために止むを得ず蘇生させた。
効果:蘇生。
場所:京都白川青面金剛庚申堂。

病状:衰弱。
原因:不明。
患者:走帆。(親兵衞の乘馬)
効果:効果なく死亡。
場所:中山道。死亡したのは馬籠宿。

病状:打撲等。
原因:戰場における小競合。
患者:二四的寄舎五郎、須々利壇五郎とその配下。(里見加勢の野武士)*
効果:完治。
場所:武藏國千住付近。

病状:打撲・刀傷・槍傷等。
原因:戰爭。
患者:二四的寄舎五郎、須々利壇五郎。(二度目の使用)
  :〓内外助惟定、建柴浦介弘望。(山内顯定家臣)(〓=艸冠+絶)
  :科革七郎、望見一郎。(足利成氏近習)
  :樋口小二郎維龍、梶原后平二景澄、荻野五九郎泰儀。(長尾景春家臣)
  :その他、敵味方の雜兵。
効果:完治、又は蘇生。
場所:下總國葛西。
備考:施藥の頭人=眞間井樅二郎秋季、副=姨雪代四郎、直塚紀二六、漕地喜勘太。

病状:道節の射た矢傷+水死。
原因:戰爭。
患者:扇谷式部少輔朝寧。(扇谷定正の庶長子)
効果:蘇生。
場所:下總國國府臺前の大河の舟上。蘇生は國府臺城内。
備考:死体発見者は犬飼現八。

病状:刀傷等。
原因:戰爭。
患者:原播磨介胤久。(捕虜となった千葉家家老)
  :その他、行徳口の怪我人。
効果:完治。
場所:下總國今井河原柵。


医者の不在
 八犬伝において怪我や病気をした場合に医者が登場しない。犬塚信乃の母手束が病気になった時、医者から薬をもらってくるという話は出てくるが医者そのものは登場しない。
 名を持つ医者として今坂錠庵という者が登場するが、犬山道節の実母を毒殺する役割。医者としては邪道な存在。正しい医者が不在なのは何故なのだろうか。

伏姫神薬の有効期限
 文明十五年(1483)二月下旬に富山を出た犬江親兵衛が伏姫神女に持たされた薬。死んだ人間すら生き返らす(といっても色々な制約はある)上にいくら使ってもなくならない驚異の薬。しかし、明応九年(1500)四月に消滅してしまった。
 もし消滅していなければ里見幕府が出来ていたかも。あるいは犬江幕府か。死んでも生き返るんだから世界征服も夢じゃない。

伏姫神薬の使用条件
 戦場においてこの薬の使用を親兵衛が拒否した唯一の人物が、活間野目奴九郎。親兵衛の愛馬青海波を盗んだ泥棒。周囲の兵が皆「妙用巧到、華陀蒼公もしかざるべき」という即効で怪我が治る中、再び泥棒ができないようにとのことで治療されないままになる。悪人には使用されない。(*目奴九郎は里見加勢の野武士とたまたま同行)


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