白龍亭・八犬伝の神社仏閣

目次 >> 情報整理(物事) >> 八犬伝の神社仏閣(1998年 6月〜/1999年 9月 更新)

 南総里見八犬伝における神社仏閣を抜き出してみた。軽く調べただけなので網羅してはいない。

 一応、神社寺院を分けているが、厳密に言えば明治維新以前、神仏は不可分であった。たとえば「洲崎明神別当養老寺」などがその例だ。この例の場合「洲崎明神」と「養老寺」は別々に記載したが、本当は分けるのは不自然なのである。仏教系の牛頭天王を祀るのが神社だったりするのも変ではないのだ。


【關八州】

安房國

名稱:白籏神社。
場所:長狹郡?
解説:里見義實が山下定包打倒を祈願。

名稱:洲崎明神。
場所:安房郡。
解説:別當の養老寺に伏姫が參詣。

名稱:八幡宮。
場所:瀧田城の八隅。
解説:城攻めに功あった八幡宮の白鳩に感謝して里見義實が城内に建立。

名稱:富山姫神社。
場所:平郡富山の岩窟。
解説:伏姫を祀る。勅額により建立。後に勅額を峰の裏の奥の院に移し岩窟は閉鎖。

名稱:高光山誕生寺。
場所:長狹郡小湊敢川村。
解説:日蓮上人誕生之地。信徒の地元民を集めて里見義實擧兵。

名稱:養老寺。
場所:安房郡。
解説:洲崎明神別當。役行者の岩窟に伏姫が參詣。

名稱:大山寺。
場所:平郡富山の麓。
解説:不動の道場。延命寺以前の里見家の菩提寺。

名稱:觀音堂。
場所:平郡富山の峰。
解説:伏姫死後に義實が建立。

名稱:無量山延命寺。
場所:安房郡白濱、後に平郡府中。
住持:丶大(初代)→ 念戌(二代目)→ 道空(三代目・道節の子)。
解説:里見家菩提寺。

上總國

名稱:諏訪神社。
場所:夷隅郡(普善村?)。上總館山城の南。
神主:梶野葉門。
解説:大樟木のうろから蟇田素藤が神水を得た。
   里見義通を誘ふために素藤が修繕。
   參詣した義通を素藤が捕らへた。

名稱:正八幡神社。
場所:夷隅郡。上總館山城の西。
解説:里見義通を誘ふために蟇田素藤が修繕。

名稱:宇佐八幡神社。
場所:夷隅郡。上總館山城の東。
解説:里見義通を誘ふために蟇田素藤が修繕。

名稱:諏訪神社。
場所:長柄郡上郷村。
解説:夷隅郡の諏訪神社と對になる大樟木あり。

名稱:引接寺。
場所:夷隅郡山田村近くの弓折塚。
住持:安西出来介景次の母方の叔父。
解説:安西家滅亡後、出来介はここで育つ。
   山中村近くの弓折塚の遠山寺との記述あり。

名稱:松原の路上佛堂。
場所:夷隅郡羽賀。
解説:素藤退治に向かふ親兵衞が名馬青海波を休めた。

名稱:醫王山金光寺。
山號:古塚山→ 狐塚山→ 醫王山、と變遷。
場所:夷隅郡雜色村字古江。
解説:上總介廣常の五輪石塔婆の苔が瘧疾に効能あり。
   政木狐の白龍が化石となってここに落下した。

下總國

名稱:八幡の社。
場所:葛飾郡。
解説:犬田小文吾と山林房八が相撲をとった。

名稱:牛頭天王。
場所:葛飾郡行徳。
解説:祭りの神輿が出るとの記述のみ。堂の有無は不明。
(牛頭天王は佛教系なのだが神輿が出るので神社)

名稱:通无奇山逸匹寺。
場所:結城郡。
住持:淨西(善僧)→ 未得(善僧)→ 徳用(惡僧)。
解説:結城家の菩提寺。丶大の結城法要を襲った惡僧徳用の寺。

名稱:六道山能化院教主寺。
場所:結城郡。
住持:權僧正影西。
解説:元結城家の菩提寺。荒寺となってしまったが淨西の子・影西により復興。

名稱:地藏堂。
場所:結城郡左右川近く。
解説:淨西が里見季基の首と刀を埋め菩提を弔った。

名稱:誼夾院。
場所:猿嶋郡誼夾院村。
住持:豪荊法印。
解説:穗北の住人が一時隱れ住んだ。穗北住人と僧兵が忍岡城を落とした。

名稱:弘經寺。
場所:葛飾郡眞間。
解説:濱路姫守役・齢坂登が出家して弟子になった。

名稱:摩利支天堂。
場所:葛飾郡、國府臺近くの箭斫村。
別當:西妙。
解説:六十五匹の野猪を助け養ふ。信乃の野猪の計に使用。

名稱:他生山一樹寺。
場所:葛飾郡小梅。
解説:禪宗。千葉自胤を捕虜にした小文吾が戰死者の弔ひを依頼。

武藏國

名稱:雷電神社。
場所:埼玉郡? 桶川の近く。
解説:庚申塚刑場襲撃後に逃げた四犬士が一息ついた。

名稱:湯嶋神社。
場所:豊島郡。
解説:扇谷定正夫人蟹目前の飼猿を犬阪毛野が救った。

名稱:戸隱の小社。
場所:豊島郡。湯嶋神社近く。
解説:扇谷家老河鯉守如と犬阪毛野が密談した。

名稱:妻戀稻荷。
場所:豊島郡上野の近く。
解説:扇谷の忍岡城の鎮守の神。

名稱:瀧野川辨才天金剛寺。
場所:豊島郡瀧野川村。
解説:手束が伏姫神女から玉を投げられ犬塚信乃を身ごもった。
   母の病平癒を祈って信乃が瀧に打たれた。
   犬川莊助を救ふまで信乃・現八・小文吾が宿泊した。

名稱:不動堂。
場所:豊島郡大塚。
解説:龜篠がここに行くと嘘をついた。それだけ。

名稱:淺草寺。
場所:豊島郡。
解説:舩虫の家の近くにある。

名稱:總泉寺。
場所:豊島郡。
解説:石濱城近くで時の鐘を打つ。

名稱:鹽濱閻魔堂。
場所:豊島郡司馬濱。
解説:舩虫最期の地。

名稱:鹽濱地藏堂。
場所:豊島郡司馬濱。
解説:上記閻魔堂と對の建物。

名稱:寶傳寺。
場所:豊島郡日比。
解説:河鯉守如の墓がある。毛野が密かに寺を修復。

相模國

名稱:鶴岡八幡宮。
場所:鎌倉郡鎌倉。
解説:巨田道灌が誅された時、嫡子の助友はここに參拜してゐて命拾ひした。

名稱:報國寺。
場所:鎌倉郡鎌倉。
解説:關東管領足利持氏自刃の地。

名稱:願成院。
場所:足柄郡犬坂村。
住持:犬阪毛野の母方の叔父。
解説:毛野はこの地で生まれ、後に叔父が死ぬまでここに隱れた。

上野國

名稱:明巍神社。
場所:碓井郡。
解説:白雲山妙義神社。犬川莊助が遠眼鏡で犬山道節を発見した。

名稱:田文地藏堂。
場所:甘樂郡荒芽山麓。
解説:音音の家に向かふ途中、暗で犬川莊助と犬山道節が爭った。


【豆甲信越】

伊豆國

名稱:黄檗寺關帝廟。
場所:伊豆國北條付近。
解説:犬川衞二が子の莊之助の運命を見るために御神籤を引いた。
   萬事中國風の黄檗宗寺院とはいへ禪寺に關帝廟があるのは不思議。
   隱元による黄檗宗傳來は江戸時代初頭。八犬傳世界にあるのも不思議。

甲斐國

名稱:八幡宮。
場所:八代郡石禾。
解説:八幡宮があるとの記述のみ。

名稱:指月院。
場所:八代郡石禾。
住持:丶大法師。
解説:無住となったため丶大が數年滯在。蜑崎照文も滯在。犬士探しの基地。
   別名、昼無住院(晝無住院)。禪寺。

信濃國

名稱:諏訪神社。
場所:諏訪郡。
解説:下社は大祝が登場するのみ。上社は毛野が伏せ拜む場面あり。

名稱:山神廟。
場所:中山道中碓井峠手前のどこか。
解説:京都から歸る途中の親兵衞一行が里見家の危機を知り話しあった。

名稱:拈華庵。
場所:御坂。
住持:蚊牛(惡僧)→ 傳眞(善僧)。
解説:手束の父・井直秀の菩提寺。大塚番作が手束と出會った。
   後に犬塚信乃が番作が埋めた桐一文字の太刀を入手。

名稱:安養寺。
住持:永壽王(足利成氏)の乳母の兄。
解説:春王・安王処刑後しばらく永壽王はここに隱れてゐた。

名稱:馬頭觀音院。
場所:馬籠。
解説:名馬走帆の死後、鞍と鐙を藏めた。

越後國

名稱:庚申堂。
場所:魚沼郡小千谷。
解説:犬田小文吾が舩虫を吊るしたが、事情を知らない犬川莊助が助けてしまった。


【其他の地域】

美濃國

名稱:金蓮寺。
場所:樽井(垂井)。
解説:春王・安王が処刑された。
   後に京都歸りの丶大と八犬士が訪れ菩提を弔った。

近江國

名稱:不明。
神主:処刑された祿齋屋余市の子がなった。
解説:祿齋屋余市の後日譚として語られるのみ。

名稱:大野の六地藏堂。
場所:石部近くの雁南山麓。
解説:京都歸りの親兵衞一行がここで休憩、付近で一泊。

山城國

名稱:大徳寺。
場所:京都紫野。
住持:一休宗純(だった)。
解説:死んだはずの一休が登場。尸解仙だったのだ。

名稱:青面堂(青面金剛庚申)。
場所:京都東山。
解説:惡僧徳用が雪吹姫を連れ込むが虎に襲はれた。
(八坂庚申堂を想定? しかし物語的には鹿ヶ谷付近でないと不自然ではある)

名稱:觀音。
場所:北嵯峨。
解説:澄月直道の弟子・品塚赤四郎が堂守になった。
   (花下仇太郎かも。どちらか一人)

丹波國

名稱:瑠璃光山藥師院。
場所:桑田郡藥師院村。
解説:竹林巽が繪馬を賣ってゐた。

名稱:玉藻寺。
場所:南洲田。
解説:美人に化けた野狐か山鬼に陰莖を噛み切られた宇嘉四郎が弟子となった。

大和國

名稱:石上神宮。
場所:八犬伝には國名すら記述なし。
解説:甕襲の玉が長い間ここにあった。

伊勢國

名稱:石藥師堂。
場所:東海道石藥師。
解説:秋篠廣當が親兵衞と對面した。


目次 >> 情報整理(物事) >> 八犬伝の神社仏閣
<< 前頁に戻る