白龍亭・八犬傳系圖(六)‐京都周邊

目次 >> 系図 >> 京都周邊(1996年 6月~/2021年 9月再開)

28 三河伊勢‐海賊と領主

【三河國苛子崎(いらこさき)の海賊】

 海龍王脩羅五郎(かいりゅうわうしゅらごらう)〔筑紫の海賊の頭領・三河国苛子崎で里見家の船を襲ひ、犬江親兵衞仁を殺さうとするが、姨雪代四郎與保に殺される〕

     水冤鬼柄杓九郎(ふねゆうれいひさくらう)〔海賊の小頭領・船商人を装って里見家臣に毒酒を盛る〕

     灘渡破舩二(なだわたりはせんじ)〔海賊の小頭領・船商人を装って里見家臣に毒酒を盛る〕

        海癩黿正覺坊(うみぼうずせいがくぼう)〔手下・鄰尾判官伊近に捕らへられる〕

        橋毛船沼受太郎(はしけぶねぬすたらう)〔手下・鄰尾判官伊近に捕らへられる〕

        鍼千本河豚六(はりせんぶんふぐろく)〔手下・鄰尾判官伊近に捕らへられる〕

        寄鯨土左衞門(よりくじらどざえもん)〔手下・鄰尾判官伊近に捕らへられる〕

        潮冠嵒九郎(しほかむりいはくらう)〔手下・鄰尾判官伊近に捕らへられる〕

 今純友査勘太(いますみともさかんた)〔四國の海賊の頭領・三河國蕃山で蜑崎十一郎照文を襲ふが、三河國渥美郡領・鄰尾判官伊近に捕らへられる〕

     鋸鮫五鬼五郎(のぼきりさめごきごらう)〔海賊の小頭領〕
     僞名=設良四九二郎綾丑(したらしくじらうあやうし)〔僞・鄰尾判官配下の頭人〕

     小判鮫吸四郎(こばんさめきうしらう)〔今純友の小頭領・逃亡するも鄰尾判官伊近に捕らへられる〕

     棘鬣骨黿八(たひのあらげんはち)〔今純友の小頭領・逃亡するも鄰尾判官伊近に捕らへられる〕

     坂間田沙智七(さかまたしゃちひち)〔今純友の小頭領・逃亡するも鄰尾判官伊近に捕らへられる〕

     龍宮鶏魚太郎(りうぐうのとりうをたらう)〔今純友の小頭領・逃亡するも鄰尾判官伊近に捕らへられる〕


【三河國渥美郡】

 宗尊親王(むねたかしんわう)〔遠江井の城〕
    :
    :隣尾大夫信近(となをたいふのぶちか)〔南朝の忠臣〕──□──□──┐
                                      │
  ┌───────────────────────────────────┘
  │
  └──鄰尾判官伊近(となをはふぐわんこれちか)〔三河國渥美郡領・犬江等と共に海賊を捕らへる〕
       :
       :錦織機馬(にしごりはたま)〔兵頭(ものがしら)〕
       :
       :田作嵓四郎(たつくりいはしらう)〔兵頭〕


【伊勢國阿漕】

 北畠中將(きたばたけちうせう)〔伊勢國司・多氣城主〕
    :
    :網曳平大夫周魚(あひきへいたいふのぶを)〔陣題・蜑崎照文等を一時海賊と疑って禁獄〕



29 京師1‐將軍家と家臣

【將軍家】
                                  ┌──□〔足利義詮だが八犬傳には登場しない〕────┐
  ┌──等持院殿・足利尊氏(とうぢゐんどの・あしかがたかうぢ)──┤                         │
 ─┤                               └──/──足利滿兼(みつかね)〔關東公方〕    │
  └──錦小路殿・足利直義(にしきのこうぢどの・ただよし)                              │
                                                            │
                                                            │
  ┌─────────────────────────────────────────────────────────┘
  │
  │                            ┌──□──□〔この二代の將軍は八犬傳には登場しない〕
  └──鹿苑院殿・足利義滿(ろくおんゐんどの・よしみつ)──┤
                               └──普廣院殿・足利義教(ふくわうゐんどの・よしのり)〔足利持氏叛亂時の將軍〕──┐
                                                                        │
                                                                        │
  ┌─────────────────────────────────────────────────────────────────────┘
  │
  │
  │  ┌──義勝(よしかつ)〔足利成氏が關東管領になった時の京都將軍の記述に(義勝)といふ「注」あり〕
  │  │
  │  ├──東山殿・足利義政(ひがしやまどの・あしかがよしまさ)───────────────┐
  └──┤                                           │
     │                                           │
     │        熊谷猨二郎直次(くまがやさじらうなほつぐ)〔義政近習〕        │
     │                                           │
     │        一色駛馬幸通(いっしきときまゆきみち)〔義政近習〕          │
     │                                           │
     │                                           │
     │        小槻宿祢雅久(こつきのすくねまさひさ)〔博士・義政に論語を講ずる〕  │
     │                                           │
     │        卜部美保(うらべのよしやす)〔博士・義政に日本紀を講ずる〕      │
     │                                           │
     │   ○                                       │
     │   ┃                                       │
     │   ┠────義材(よしき)〔義尚の次に將軍となる〕                │
     │   ┃                                       │
     ├──今出川亞相入道義視(いまでがはあしょうにうどうよしみ)              │
     │   ┃                                       │
     │   ┠────雪吹姫(ふぶきひめ)〔細河政元の養嗣となる〕             │
     │   ┃                                       │
     │   ○妾                                      │
     │                                           │
     │        土岐成頼〔美濃國主・應仁の亂後の義視が身を寄せる〕          │
     │                                           │
     │                                           │
     └──右衞門督政知(うゑもんのかみまさとも)〔堀越公方〕                │
                                                 │
                                                 │
  ┌──────────────────────────────────────────────┘
  │
  │
  └──室町殿・征夷將軍正五位下左中將義尚(むろまちどの・せいいせうぐんじょうごゐげさちうせうよしひさ)〔親兵衞上洛時及び八犬士上洛時の將軍〕


              澄月香車介直道(すづききゃうしゃのすけなほみち)〔將軍家臣・京の五虎のひとり、鎗の達人〕
                 ┃
                 ┠────○〔父母離縁時、三歳〕
                 ┃
                 ○〔直道が紀内鬼平五に私怨を晴らす前日、離縁させられた〕

                 順風耳九郎(おひかぜみみくらう)〔澄月直道の弟子〕

                 千里眼八(ちさとがんはち)〔澄月直道の弟子〕

                 品塚赤四郎(しなづかあかしらう)〔澄月直道の弟子〕


              熊谷二郎左衞門尉直親(くまがやじらうざゑもんのぜうなほちか)〔將軍家臣・勅使代秋篠將曹と共に關東に下った諚使〕


              高梨六郎左衞門尉職徳(たかなしろくらうざゑもんのぜうもとのり)〔室町家の市正(いちのかみ)・但鳥跖六を捕らへる〕



30 京師2‐公家・應仁の亂と三管領

【當今と公家】

當今・後土御門天皇(とうぎん・ごつちみかどてんわう)〔犬江親兵衞上洛時及び八犬士上洛時の天皇〕

    上卿 矢木原□納言(じょうきょう・やのきはら□なごん)〔金碗姓勅許の細書に名あり〕

    上卿 萬路小路亞相(までのこうじあしょう)〔犬江親兵衞に從六位上兵衞尉を與へる勅許の細書に名あり〕 *犬江親兵衞は辞退

    藏人右少辨藤原朝臣秋豐(くらんどうしょうべんふじはらのあそんあきとよ)〔勅許の執達〕


    ┌──秋篠將曹廣當(あきしののせうそうひろまさ)〔北面の武士・京の五虎のひとり、弓の達人・後に里見家への勅使代〕
    │
    └────────────────────────────────────────────────────────────────────┐
                                                                         │
    隱岐次郎左衞門尉廣有(おきのじらうざゑもんのぞうひろあり)〔後醍醐帝の時に南殿近くを飛行した怪鳥を射落とした〕──□──□──□──□──┘


【應仁の亂と三管領】

    山名持豐入道宗全(やまなもちとよにうどうさうぜん)〔但馬、播磨、備後を領す。應仁の亂で義尚を立てる〕──┐
                                                        │
                                           ┌‐‐(養嗣)‐‐‐‐‐‐┴──□〔細河勝元の養嗣となる〕
    細河勝元(ほそかはかつもと)〔應仁の亂で義視を立てるが、後に義尚を立てる〕──┤
                                           ├──細河左京兆政元(ほそかはさけいちゃうまさもと)〔管領・犬江親兵衞仁を留める〕 
                                           │
                                           └────┐
                                                │
    ┌───────────────────────────────────────────┘
    │
    └──○
       ┃
    畠山左衞門督政長(はたけやまさゑもんのかみまさなが)〔應仁の亂で勝元側・後に管領〕

    畠山義就(はたけやまよしなり)〔應仁の亂で宗全側〕

                                               ┌‐‐(養嗣)‐‐斯波義廉(しばよしかど)〔足利義政に立てられる〕
    斯波義淳(しばよしあつ)──/──斯波義敏(しばよしとし)〔足利義政に退けられる〕──┤
                                               └────────松王丸(まつわうまる)〔義廉養嗣後に生まれた實子〕

       赤松滿祐(あかまつまんゆう)〔嘉吉の逆亂で山名宗全に討たれる〕

       伊勢貞親(いせさだちか)〔權家〕

       飯尾彦六左衞門常房(いひをひころくざゑもんつねふさ)〔應仁の亂後の京都の荒廃を詠む〕



31 京師3‐管領家臣・五虎

【細河政元】

  管領・細河左京兆政元(ほそかはさけいちゃうまさもと)〔管領・犬江親兵衞仁を留める〕‐(養子)‐‐┐
                                                  │
  ┌‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐┘
  │
  │  關白尚經(くわんぱくひさつね)─────────────九郎澄之(くらうすみゆき)〔香西復六が執立てる〕
  │                               ┃
  │  足利義視(あしかがよしみ)────────────┌‐‐雪吹姫(ふぶきひめ)〔足利義視妾腹の子・細河家の養女となる〕
  │                           │
  └‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐┤
                              │
     細河讃岐守元勝(ほそかはさぬきのかみもとかつ)──└‐‐六郎澄元(ろくらうすみもと)〔細河元勝の子・細河本家を嗣ぐ〕

        三好長輝(みよしながてる)〔澄元を執立てる〕


【管領家臣】

      ○
      ┃
      ┠────二六郎(にろくらう)〔關白藤原持通の御車の伴と爭って東國へ〕
      ┃    → 徳用(とくよう)〔結城逸匹寺住持・丶大襲撃に失敗した後、京に戻る〕
      ┃
     香西復六時長(かふさい(かがにし)またろくときなが)〔細河家の冢宰・後に政元を恨んで殺し、三好長輝に倒される〕
      ┃
      ┠────香西再六政景(さいろくまさかげ)
      ┃
      ○

     戸倉鴞四郎(とくらけうしらう)〔政元右筆・香西復六に金を貰って細河政元を殺す〕

     波々伯部十郎眞忠(ははかべじうらうさねただ)〔政元近習〕

     波々伯部忠一義列(ははかべちういちよしつら)〔政元近習・澄元に從ひ戸倉〓四郎を討ち取る〕


     紀内鬼平五景紀(きのうちきへいごかげとし)〔政元近習・投石の達人、澄月直道の助っ人を名乘りでて、逆に直道に石を當ててしまふ〕
     通稱=今三町(いまさんちゃう)
        *源爲朝勇臣・三町礫紀平二大夫(さんちゃうのつぶてのきへいじたいふ)に由來(曲亭馬琴作「爲朝外傳・椿説弓張月」では八町) 

     野見鳥眞名五郎梭條(のみとりまなごらうおさえだ)〔政元家臣・緝捕(とりて)の隊の頭人・三田利・藻洲の惡逆を暴く〕


【京の五虎】

     種子嶋中太正告(たねこしまちうたまさのり)〔政元家臣・京の五虎のひとり、鐵砲の名人〕

        花下仇太郎(はなしたあたたらう)〔種子嶋の弟子〕

        三田利吾師平(みたりあしへい)〔賀茂河原の守り、種子嶋の隊の隊兵(くみこ)〕


     鞍馬海傳眞賢(眞方)(くらまかいでんさねかた)〔細河家の師範・京の五虎のひとり、劍術の名人〕

        藻洲千重介(もずのちへすけ)〔賀茂河原の守り、鞍馬の隊の少頭人〕


     無敵齋經緯(むてきさいたてぬき)〔二階松山城介の弟子・京の五虎、白打緝捕(とりてやわら)の名人〕 *二階松參照

     秋篠將曹廣當(あきしののせうそうひろまさ)〔北面の武士・京の五虎のひとり、弓の達人〕

     澄月香車介直道(すづききゃうしゃのすけなほみち)〔將軍家臣・京の五虎のひとり、鎗の達人〕



32 京師と隣國‐靈虎の由來と關令

【巨勢金岡の畫虎關係】
                                               ┌──相覧(すけみ)
  從五位下采女正・巨勢金岡(しょうごゐのげうねめのかみ・こせのかなおか)〔虎の繪を描く〕──┤
  諱=圓深                                         ├──公忠(きんただ)
  號=普天子                                        │
  別名=朝日阿闍梨                                     └──公望(きんもち)


  一休宗純(いっきうさうじゅん)〔紫野大徳寺和尚だったが文明十三年遷化して尸解仙(しかいせん)・東山殿を訪問し、畫虎を教化成佛させる〕

  祿齋屋余市(ろくさいやよいち)〔京都の骨董商人・管領政元に竹林巽風と巨勢金岡の虎を紹介〕
      ┃
      ┠────□〔父余市処刑後、近江國にて神主に〕
      ┃
      ○


      □〔豐後國大友家家臣〕
      ┃
     於兎子(おとこ)
      ┃
      ┃密通
      ┃
     竹林巽(たかはやしたつみ)〔豐後國大友家家臣・同輩の妻と密通し、丹波國に逃亡〕
  ┌‐‐→ 箕梨巽(みなしたつみ)〔隣家の養子となり繪馬商を継ぐ・巨勢金岡の虎繪を入手〕
  │  → 竹林巽風(たかはやしそんぷう)〔巨勢金岡の虎の繪を持って京へ逃げる・虎の繪に瞳を描き、靈虎に食はれる〕
  │
  │
  │【丹波國桑田郡藥師院村】
  └‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐┐
                                             │
  箕梨九里平(みなしくりへい)〔半農半商・瑠璃光山藥師院にて繪馬を賣る〕‐‐(養子)‐‐┘

  山幸樵六(やまさちしょうろく)〔樵・繪馬の下木を作る・誤って於兎子を撃ち殺し巽に殺される〕
      ┃
      ┠────□〔八、九歳の頃、川で溺死〕
      ┃
      ○

  芋莖新田の江五右衞門(いもからしんでんのえごゑもん)〔樵六が新婚祝いの品を持って行こうとした相手〕


  〔隣村〕

  弥勘太(やかんた)────宇嘉四郎(うかしらう)〔美人に化けた野狐か山鬼に魅されて陰莖を噛み斷られ、南洲田の玉藻寺の弟子となる〕


【近江國】

  老松湖大夫惟一(おいまつこだいふこれかず)〔近江國・辛崎の關令〕

  根古下厚四郎鴿宗(ねこしたあつしらうはとむね)〔近江國・阪本の關令〕

  大杖意鬼入道稔物(おほつゑいきのにうどうねんぶつ)〔近江國・大津の關令〕


  六角高頼(ろっかくたかより)〔近江の大名・將軍義尚に背く〕



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