●おまけ/蘊蓄 88×31バナー リンクバナーのルーツは、かつて存在したブラウザ Netscape Navigator のダウンロードサイトへのリンク用である。下の左端が、件の Netscape バナー。残念ながら、自分が保存していたのは ver.3 用のみ。本当のルーツである ver.1 用は「3.0」という帯がなかったが、同じデザインである。 * ちなみに、帯が入ったのは ver.2 から。赤い帯に「2.0」と入っていた。帯が入ったことで「Now!」の文字が少し左に移動した。 * 厳密に言えば、ウェブ上における最初のバナーは Netscapeではない。だが、それは広告バナーのルーツではあっても、一般的なリンクバナーのルーツとは言いがたい。 今は昔。1990年代半ばの話。 文章と画像を表示できるだけだったウェブの世界に、デザインという要素を持ち込んだのは Netscape である。デザインに凝ったサイトを作りたかった人々は、当然これに飛びついた。問題は「Netscape で見てもらわないと意図したとおりに表示されない」ということ。だから「このサイトは Netscape で見ておくれ。ダウンロード先はここにあるよ」という意味で、Netscape バナーをサイトに貼ったのだ。 * Netscape バナーをサイトに貼ったもうひとつの理由。それは「俺のサイトは Netscape に合わせて、ちゃんとデザインしているんだぜ」という主張である。裏返せば「デザインされていない他のサイトとは違うんだよ」ということだ。単なるブラウザの宣伝なら、皆が貼ったりはしない。当時は、ただのリンクバナーではなく、デザインされたサイトのシンボルでもあったわけだ。 Netscape ブラウザの爆発的普及はこうして起こり、リンクバナー=88×31サイズ、という認識も世界中に広がったのである。 * 縦の 31ピクセルというのが半端な感じがするが、横ストライプを描いてみれば、縦寸法が奇数であることの意味が分かるだろう。 ちなみに、上の右端画像は「打倒 Netscape」を目指していた頃の Internet Explorer のリンクバナーである。その後ブラウザ界の頂点に君臨したが、当時はまだ、王者 Netscape に対する挑戦者でしかなかった。これに何故「FREE」の文字が入っているのかといえば、Netscapeが当時「有料」だったから。つまり「あっちと違って、こっちは無料だよ」と強調しているのである。 * Netscape は、パソコンにプリインストールされているのが普通だったから、あまり「有料」という感覚ではなかったが…。 中央のバナーは Netscape ver.4 のもの。それまで「バナーは立体的に表現する」のが普通だったので、この平面的な表現には驚かされた。 * この Netscape ver.4 は、初めて「ページ上に配置された画像等を動かせる」機能が付いたブラウザである。これがあってこそ、今の電車走行キットがある。 これは、当時、自分の八犬伝サイトに置いたパロディバナーである。 しかしパロディというのは「皆が元ネタを知っている」のが前提となる表現であり、元ネタが忘れ去られた今となっては、パロディとして成立しなくなってしまった。 * パロディというのは、一歩間違うと剽窃(パクリ)と受け取られかねないリスキーな表現。だが好きである。 * 両端の Netscape ver.3 以前と IE に関しては、当時、この手のパロディバナーをよく見た。自分もそれに刺激されて、こういうものを作ったわけだ。だが、今はほとんど見なくなったなぁ。ウェブ黎明期というものが、いつのまにか遠い過去になってしまった。 ちなみに、88×31サイズに関しては、IAB(米国インタラクティブ広告協議会)では「Micro Bar」と規定している。 * Banner じゃなくて Bar なのか…。 * IABの規定は、あくまで広告用。88×31以外の各種規定サイズは、個人サイトをつなぐハイパーリンク用のバナーの参考にはならない。 ついでに言えば、200×40サイズは、IABの規定にはない。それも当然で、そもそも 200×40は広告バナーとして生まれたものではなく、日本の CG・アニメ・漫画系サイトから生まれたもの。 * 自分が気づいた時には、他ジャンルも含めて日本における定番サイズになっていて、定着に至る過程をちゃんと見ていない。そんなわけで 200×40バナーに関しては、詳細に語ることができない。 * 確かにバナー上にそれなりの絵を描きたい場合には 88×31じゃ面積が狭すぎる。200×40 が、絵を描く人々の間から生まれたのも当然だろう。まぁ、おぱく堂的には縛りのきつい88×31の方が面白いと感じる。但しバナーのみ。縛りのきついプレイが好きなわけではない。何の話をしているんだ…。 |