[ 特殊鉄道の画像仕様 ]


●特殊鉄道拡張プログラム用の車両について

モノレールなどの「特殊鉄道」は、実車も多種多様であり、ひとつの「規格」としてまとめることは難しい。といっても何らかの枠組みがないのも使いにくいので、UA01添付の専用レール画像をそのまま使う場合の「標準仕様」として、ひとつの形にはしてある。その画像仕様について解説する。
また、ケーブルカー等の急勾配用プログラム IA01で使う画像仕様についても説明する。



[ UA01(旧称 AM01)用の画像仕様 ]

●跨座式モノレール
跨座式モノレール
UA01添付のレール画像はアルウェーグ式用。
通常鉄道と同じ 60px高の画像だが、画像上端からレール上面までが 45pxとなっている。UA01添付の駅画像のプラットフォーム高は、画像上端から35px。
* 以上は、UA01 ver.2.3から採用した新仕様。
* ver.2.2以前でも既定仕様以外の画像を使う設定をすることで、この新仕様画像も走行可。
* アルウェーグ式にも色々種類があるようで、この画像仕様は、UA01添付の「多摩都市モノレール 1000系」と同じ「日立アルウェーグ方式(標準・大形)」のみ、という事になる。日本の跨座式モノレールは現在この規格が標準となっているが、アルウェーグ式以外はもちろん、同じ日立式でも昔のもの(東京モノレール)や小型規格(セントーサ・エキスプレス)、同じアルウェーグ式でも日立以外のもの(ラスベガス等)は、UA01添付のレール仕様に合わない。
* 発展形の日立式は「日本跨座式」と言うらしいが、海外のサイトでその名称を見たことがない。国際的には「日立式」と呼ぶのが通常なのではないか。名称問題はよく分からんが、当サイトでは日本跨座式の名称は当面使わないことにする。
アルウェーグ式比較
* 左上フレーム走行見本 No.836 に、日立式とディズニー式の比較あり。
* 日立アルウェーグ式モノレールのシーンは No.268 等にあり。小型規格は No.499 参照。
* アルウェーグ式初期の歴史は No.357、ロッキード式は No.358、東芝式は No.274 参照。

[ 旧仕様について ]
多摩モノレール1000系を最初に描いた 2002年には知識不足だったため寸法仕様が間違っていた。日立アルウェーグ式は日本の跨座式標準であるだけでなく海外にもあるし(重慶モノレール等)、間違った画像仕様のままにしておく訳にはいかないので、車輛画像修正+新仕様化として仕様修正もした。とはいえ、互換性の問題もあるので、UA01には旧仕様の設定も残してある。

●懸垂式モノレール
懸垂式モノレール
UA01添付のレール画像はサフェージュ式用。
通常鉄道と同じ 60px高の画像だが、画像上端からレール上面までが 19pxとなっている。UA01添付の駅画像のプラットフォーム高は、画像上端から58px。
* 以上は、UA01 ver.2.2から採用した新仕様。
* ver.2.1以前でも既定仕様以外の画像を使う設定をすることで、この新仕様画像も走行可。
* 台車以外の電装品が床下にある初期のサフェージュ式(名古屋東山モノレール)では、床面の位置がこの仕様と異なる。結局、この画像仕様は、湘南モノレールと千葉都市モノレールに採用された、量産型の「三菱サフェージュ式」のみ。
* 左上フレーム走行見本 No.359 は、サフェージュ式モノレールの歴史。
* サフェージュ式以外は、No.314(ランゲン式)、No.68(改良ランゲン式=東京都交通局式=上野式)参照。

[ 旧仕様について ]
懸垂式はレール上面という基準点が中途半端な高さにあるため、基準点より上側にも下側にも寸法の自由度をもたせた結果、画像全体が80px高という分かりにくい寸法仕様になっていた。上側にも余裕を持たせたのは、レールを跨ぐような懸垂方法のモノレールも存在することによった。しかし、サフェージュ式以外の懸垂モノレールを描く場合はそもそも添付レール画像は使えないし、さらには 60pxを超えるような懸垂式モノレールが存在しないことも分かり、余裕を持たせたつもりが、ただの無駄な空白と化していた。よって仕様変更を決断した。とはいえ、互換性の問題もあるので、UA01には旧仕様の設定も残してある。

●ゴムタイヤ式新交通システム
ゴムタイヤ式新交通システム
通常鉄道と同じく画像下端が車輪下端という分かりやすい寸法仕様。
* 2005年 11月に専用軌道画像を修正したが、車輛仕様そのものに変更はない。
* 専用軌道画像は側面ガイド方式。中央ガイド方式(No.724 参照)のシーンを作る場合は各自描画されたし。
* 左上フレーム走行見本 No.940 等に、ゴムタイヤ式新交通システムのシーンあり。

●HSST(常電導磁気吸引浮上式リニア)
HSST
通常鉄道と同じ 60px高の画像だが、画像上端からレール(ガイド?)上面までが 57pxとなっている。というか下端から 3pxの位置にある。とはいえ台車下端が画像下端なので分かりにくい寸法仕様ではない。
* HSSTでは、台車から下に突き出す形で細いパンタグラフがある。この画像仕様はそのパンタグラフを全く考慮していない(画像仕様を決めた当時、自分がそれについて知らなかった)という問題がある。UA01添付の専用レール使用+パンタグラフ描画の場合、パラメータ設定数値を60pxにしたまま、60px高を超えて下に突き出す画像にする必要がある。
* 上記のパンタグラフ問題に対して、2007年 3月の Linimo画像更新時に 65px高に拡張してパンタグラフを追加した。この+5pxはレール画像仕様的には規格外のため、パラメータ設定数値は60pxのままとする必要があるので注意。
* UA01添付のHSSTレール画像は、実験線の写真を見て描いたもののため、実用路線である Linimoの本線とはレールを支える柱の形が異なる。この画像と同じ形の支柱は実際のところ車輌基地にしかなさそうだ。さらに、このレール画像には電力線を描いてないため、パンタグラフ付の車輌を走らせると違和感があるかもしれない。気になる場合は、下方 4pxの位置に電力線を一本追加されたし。
* 左上フレーム走行見本 No.72 等に HSSTのシーンあり。No.720 は HSSTの歴代。


●JR-Maglev(超電導磁気反発浮上式リニア)
JR-Maglev
通常鉄道と同じく画像下端が車輪下端という分かりやすい寸法仕様。ただし浮上鉄道なので、走行シーンにあわせるなら車輪を格納して、浮上分だけ下に空白が必要になる(といっても実車で10cmの浮上だから 1pxの空白でしかないが)。
* 2005年以前はレール(正しくはガイドウェイ)に描いてある側面磁石の上端が、車輛画像上端から 50pxの位置にあった。やや高すぎたので 51pxにガイドウェイ画像を修正した。
* 初期の国鉄リニアは逆T型ガイドウェイであり、このU型ガイドウェイとは仕様が異なる。
* 左上フレーム走行見本 No.305 に、逆T型時代を含めた超電導リニア歴代のシーンあり。

[ 他の特殊鉄道について ]
* 磁気浮上リニアには、他に「Transrapid」があり、英語版TKサイトで車輌画像を配布している。しかし、専用レール画像の配布予定なし。軌道形状はHSSTに近いし、絵的には跨座式モノレールにも近い。よって描画や設定に苦労することはないはず。なお、左上フレーム走行見本 No.74 等に、Transrapid のシーンあり。
* 韓国 Rotem社開発の磁気浮上リニアもあるが、構造は HSSTと同じようだ。HSST用レール画像が使えそうではある。No.714 参照。
* 初期 Alweg の技術者のひとりが開発した Urbanaut 方式(逆T字モノレールの一種)の初路線になるはずだった韓国の月尾銀河レールは No.1224 参照。但し、色々問題があり、営業しないまま放棄された。
* 懸垂式モノレールの一種と言えなくもない「ロープ駆動式懸垂型交通システム」用のレールも配布予定なし。走行見本 No.191 参照。
* 分類は跨座式モノレールらしい「磁石ベルト式輸送システム(BTM)」用のレールも配布予定なし。走行見本 No.744 参照。
* 超高速を目指す途上の「Hyperloop」用のレールも配布予定なし。走行見本 No.1573+ 参照。

* UA01にしかない特殊な設定を使わず、専用レール画像も使わないのであれば、あえてUA01を使わずとも、通常のプログラムでこれらの特殊鉄道を表現することは可能であり、ここに記した画像仕様に制約されることもない。

 
[ IA01用の画像仕様 ]

●ケーブルカー等
ケーブルカー等
ケーブルカーやラック式山岳鉄道など極端な急勾配を表現するためのIA01では、車輛は勾配にあわせて傾いた状態で描く。寸法は自由だが、1編成で1枚の画像でなければならず、表現するシーンに合わせた角度で描かねばならない。
車輛によって画像高がまちまちになる仕様のため、IA01では編成毎に画像高を指定する。しかし、実際の画像高ではなく「画像左端における、画像上端とレール上面の間の距離」を指定するので注意。右上がりの場合は、実際の画像高より指定数値はもっと高くなりうる。右下がりの場合は、実際の画像高より指定数値は小さくなる。
* IA01による勾配表現の見本は、左上フレーム No.63 等を参照。
* IA01初期添付のケーブルカーは、右上がり22度の傾斜になっている。また、下に無駄な空白部分を設けて、実際の画像高が指定画像高と一致するようにしてある。
* A02SL-Expert v1.3以降でも使える。編成毎に画像高が設定できない点を除いては、IA01と画像設定は同じである。なお、A02SL-Expertは、IA01では設定できない蒸機動輪が可能(煙は不可)。山岳ラック式鉄道の蒸機を表現する場合は、IA01仕様+蒸機仕様の画像があればよい。左上フレーム No.64 に、勾配+蒸機の見本あり。
 
●疑似3D
疑似3D(平行投影)

IA01では、平行投影の疑似3D表現も可能。
但し、複線時の踏切検知位置や駅停車位置の補正計算をする設定があるのは、上図の3パターンのみ。
* 左上フレーム走行見本に以下の疑似3Dシーンあり。
* アイソメトリック3D(縮尺計算ミス)= No.55No.69。…正しい「TK縮尺アイソメトリック」より大きい。下図参照。
* アイソメトリック3D(正しいTK縮尺)= No.510。…「IA01用アイソメトリック3Dセット」添付画像はこの縮尺。
* 上面直角アクソノメトリック3D= No.66/正面直角アクソノメトリック3D= No.67

← 側面画ピクセル入力

← 数値入力後にクリック

↑小数点以下を切り上げるか切り捨てるかは描画の都合により選択。
[ アイソメトリック計算機 ]
[ 走行見本 No.55のミステイク ]
* 基本セット添付の白無地車輌を元に傾斜30度にすることだけを考えて変型させたのが、No.55で走っている 103系。アイソメトリックであることには違いないが、TK縮尺(1px=10cm)より 122.7%ほど大きくなってしまっている。
* Photoshopにおける画像変形の手順は以下のとおり。他の描画ソフトでもそんなには違わないと思う。
* No.55の変換。変形 → 数値入力変換 → 「回転 -30°+ゆがみ・水平方向 -30°」
* 正調 TK縮尺変換。変形 → 数値入力変換 →「 拡大縮小・幅 70.7%・高さ 100% +ゆがみ・垂直方向 -30°」
* ちなみに、70.7%は、45°のコサイン。なぜ 45°なんてもんが出てくるかは、上図をじっくり見れば分かると思う。
* なお、ただ単に「ゆがみ・垂直方向 -30°」だけの変形でも、それっぽいカタチにはなる。しかし、TK縮尺より 141.6%も大きな絵になる。
* 疑似3Dでは側面だけではなく正面も描くわけだが、側面とは逆方向にゆがませればよい。同じ理由で、上図とは異なる右下がり方向に走るアイソメトリック画像にする場合も、ゆがみの±を逆転させるだけだ。
* 正しいTK縮尺アイソメトリックで 103系を描き直したシーンが No.510。No.55を見た後だと、やけに小さく見えてしまうが…。

[ 疑似3Dについてのノート ]
* 鉄道構造物も風景も車輛も、側面画と比較して描画はかなり難しい。
* とはいえ平行投影の疑似3Dなら遠近法も不要。描画ソフトの変形機能を駆使することで、側面画を描くスキルだけでも箱型車体なら描けると思う。もっとも、流線形あたりになると平行投影といえども難度は高い。
* 平行投影ではなく、透視投影(パースペクティブ)の疑似3Dに関しては、「正面画走行キット」を使う事である程度の表現は可能 → No.1090No.1176No.1177 参照。その応用で透視投影専用プログラムの試作も行っているが、未解決の問題が山積しており、果たして配布版として完成するのか未定である。ちなみに、透視投影表現の実例(試作)は左上フレーム No.210 を参照されたし。

疑似3D(透視投影)

* 余談。GIFや PNG などの二次元画像を使った「疑似3D」で表現可能なのは、最も単純な「一点透視」のみ。「二点透視」以上の表現は、疑似ではない本物の3D機能必須。そういう表現を求めて、おぱく堂は昔、VRML (Virtual Reality Modeling Language) に手を出したが、動かすのが難しくて挫折。その後、多くの人にとってもハードルが高すぎた(しかも、その割に仕上がりがしょぼい)のか、VRMLそのものが衰退。以後、ウェブ3Dというものが普及発展する気配がない。……その後、WebGLという凄い表現が可能なウェブ3D技術が登場。が、凄いがゆえに制作する側のハードルはさらに高い。そのせいか、ウェブ上で見る事は非常に少ない。なお、No.1578 が WebGL を使ったシーン。といっても、おぱく堂の未熟ゆえに VRML入門編レベルの簡易3D的な表現しかできていない。


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