Shave! 2

陰毛、剃ったってよ

Nov.2018(追記/Sep.2019)
- ヴィーナス・スワールと、ジレット・プログライドの二刀流 -


おぱく堂主人・白龍亭主


●先ずわきより始めよ

 初老に至るまで、ヒゲ以外を剃ることは、ほぼなかった。
* 厳密に言えば、頭髪を剃った事はある。だが、直射日光が辛すぎて一度きりで断念。わずか 2mmでも頭髪があれば空気の層ができて暑さが和らぐが、0mmは灼熱地獄だ。
* もうひとつ厳密には、好奇心から陰毛を部分的に剃って「どうなるか」という感触を試したことはある。チクチクしてやめた。
* このページは「ひげそりの哲学」の続編でもある。
* 陰毛を剃った話をして恥ずかしくないのか? 別に。指原莉乃だって「下の毛を処理してる」って堂々と言ってるしな。アイドルですら言えることを一般人が言えない方がおかしいと思う。

 では、なぜ陰毛を剃ったのか?
 欧米中東あたりでは、陰毛を剃ることが性交相手に対する礼儀とされるとか聞くが、それを真似したわけではない。
* そういう目的なら、若い頃から剃っただろう。

 きっかけは、ワキ毛である。
 アトピーで全身痒いのだが、中年を過ぎた頃から、ワキが特に痒くなった。ある時、ふと「ワキ毛が蒸れてるせいで、痒みが増してないか?」と疑い、剃ってみた。
 剃ったら、痒みが減っただけでなく、非常に爽快だった。
 で、「陰毛を剃ったら、股間も同じような爽快感が得られるかな?」と思った。
 若干の躊躇はあったが、数日後に思い切って陰毛も剃ってみた。結果的にはとても爽快で、剃毛状態を今後も維持すると決めた。このページは、剃った状態を維持する話がメインである。
* 躊躇した理由は2つ。
 (1)「欧米では〜」とか言う出羽守に見られるのが嫌。
 (2) 部分的に試した過去の「チクチク」への抵抗感。
* いきなりカミソリで剃ったが、刃に毛がつまって大失敗。ハサミで短く刈り込んでから剃らないと、始末に悪い。
* よく「剃ると皮膚を傷つけるから、脱毛した方が安全」というエステ系の宣伝文句があるが「嘘つけ!」って思う。確かに、皮膚追従性の悪い低質なカミソリは皮膚を大いに傷つけるし、それを常用すれば皮膚が黒ずむ可能性はある。だが、レベルの高いカミソリではそんなことにはならないし、そもそも抜くのが安全なわけがない。抜いた後の毛穴こそ、細菌の入口になって感染症が恐ろしい。……だからといって、脱毛を否定しているわけではない。ただ「剃毛より脱毛が安全」などという嘘を言うな、ということだ。


●日々是剃毛

 男だから、毎日ヒゲを剃る。
 日々の陰毛剃りは、その延長上。慣れれば、なんのことはない。
* 当然ならが男性器周辺の毛ぞりの話だが、陰毛剃りを考えている女性の参考にもなると思う。個人差はあるにせよ、人体構造的に男性器周辺よりも女性器周辺の方が毛を剃りやすいはずだし、このページは以下、剃る道具の話にも及ぶから。
* 実は陰毛を剃るようになった後、スネ毛等も剃るようになり、三日に一度は全身剃りである。とはいえ、このページは陰毛についてのみ語る。

Shaving Pubic Hair

 個人差はあると思うが「剃りやすさ・剃りにくさ」は上図参照。
 面形状が複雑な個所、半径が小さい曲面など、剃りにくい部位の特徴はヒゲソリと同じである。
 ただ、会陰から肛門にかけては「見えない」という別の要素が加わる。鏡を使えばいいのだろうが、日々そこまで面倒なことは続けられない。ブラインドで剃るしかない。会陰はフラットだから問題はないが、肛門周辺(所謂「ケツ毛」)は難度が高く、ちゃんと剃り切れているのかわからない。
* 見せるために剃るのであれば、ケツ毛もちゃんと剃り切ることが重要だろう。その場合は、時々鏡で確認する必要はあるかと思う。自分の場合は、爽快目的の剃毛だから、多少毛が残っていたとしても気にするところではなく、確認作業はしない。

 ヒゲソリでは「深剃り」を追究してきたが、陰毛に関しては諦めた。
 これも個人差があるだろうが、自分は、顔に比べて股間の皮膚の平滑性が低い。さらに睾丸のように形状不安定な個所もある。明らかに、ヒゲソリより難度が高い。
 このような個所でヒゲソリ並の剃毛レベル(=ツルツルにする)を試すと、皮膚を削る。やりすぎると血が出る。……いや、出た。
 ヒゲは、ついつい手を当ててしまい、ツルツルになっていないと気になる。だが、股間はついつい手を当てることなどなく、ツルツルでなくても気にはならない。よって、深剃りの必要性はない。
* 人によっては、性交時に相手にチクチクさせたくない、という要求はあるかもしれない。ただ、特殊なプレイ以外では、男性器周辺では(おそらく女性器でも)相手に密着する個所は剃りやすい場所である。そこだけ、少しばかりの深剃りすればいい。さほど問題はないと思われる。


●二刀流事始

 ここからは「剃る道具」についての話になる。
 自分は、皮膚が弱いのに深剃りを求めるため、最高のカミソリを追究してきた。その結果、Gillette の、5枚刃をサスペンションで支える Fusion 5 シリーズを選んだ。
* この辺の詳細は「ひげそりの哲学」参照。
* サスペンションで支えることで皮膚追従性が高く、皮膚を傷めずに深剃りができる。
 Fusion 5 シリーズには、「並・上・特上」の3レベルの製品がある。
 特上は Proshield だが、替刃が高価だ。ということで、特上 Proshield(プロシールド)のホルダーに、上 Proglide(プログライド)の替刃を装着して使っている。この両者は「並」とは異なり、Flexball という首振り機能があり、これも効果絶大であることを確認している。

Gillette ProShield Chill (=Cool) with Flexball

 問題は「ケツ毛剃り」だ。
 肛門周辺を剃ったカミソリで、口の周囲のヒゲを剃る。……このことに「嫌だなぁ」と思ってしまったのだ。
* 後に、条件付きで「嫌じゃない」に変わった。詳細後述。……さらに後に、再び「嫌だ」に戻った。詳細追記分参照。
 となると、ヒゲと陰毛を別のカミソリで剃るしかない。
 剃毛の二刀流である。


●ヴィーナス・スワール

 陰毛剃り専用に選んだのは、Gillette Venus Swirl だ。
 Venus シリーズは、Gillette の女性用。Swirl(スワール)は、その最上位モデルである。
* 自分が買ったのは Purple だが、Blue にすればよかったと少し後悔。

Gillette Venus Swirl

 これを選んだ理由の第一は好奇心。
 ヒゲではなく、産毛剃りに最適化された女性用のカミソリとはどんなものか?
 ただし、機種に迷いはなく、スワール一択。理由は、ヒゲソリに使っているプログライドと同じく、サスペンションで支えられた5枚刃。しかも、Flexiball という首振り機構付き。こういう皮膚追従性が最高のモデルを使わないと皮膚を傷めるので、自分の中では他の選択肢はない。
* 男性用が「Flexball(フレックスボール)」で、女性用が「Flexiball(フレキシボール)」と微妙に違う。刃の皮膚追従性向上という目的は同じだが、構造が違う。どう違うのか買ってみるまでは分からなかったが、ピッチ・ロール・ヨーの3軸で言えば、男性用はヨー軸、女性用はロール軸に沿って首を振る。なお、ピッチ軸方向は、こういう機構のない「並」レベルの製品でも首を振る。(ちなみに、これはホルダー基準。替刃はホルダーに対して斜めに付いているので、刃と皮膚の接触面基準で見ると、どちらの製品も3軸合成の動きとなる)

 男性用と根本的に異なるのは、刃の周囲に広がる大きな摺り板。
* この摺り板は、オリジナルの英語名で「MoistureGlide」、日本向け製品では「モイスチャーグライドリボン」と、なぜか「リボン」が追加されている。
 この摺り板の所に、潤滑剤が埋め込んであって、水に濡れるとヌルヌルになる仕組みだ。だが、男性用でもそうだが、この手の潤滑剤は数日で尽きてしまう。それ以後は本当にただの摺り板でしかなくなる。
 使ってみてわかったが、この摺り板の存在こそが、極めて重要な意味を持つ。
 この平滑な摺り板が皮膚に密着してスライドすることで、刃と皮膚が理想的な接触具合になる。その結果、引っかかりのない、極めてスムーズな剃毛が可能になる。
* この摺り板は、ヒゲを剃ると鼻に引っかかり、鼻直下が剃れない。男性用には絶対に採用できない代物である。

 もうひとつの男性用との違いは軽さだ。
 スワールは、プログライドと比べて、圧倒的に軽量。持ち替えると、笑っちゃうぐらい重さが違う。
* 軽いけど、プログライドより持ちにくいと感じた。ホルダーの手で持つ部分に軟質素材が使われていて滑りにくくしてはいるが、持ち手が濡れると、プログライドより滑るのだ。ただし、滑りにくいプログライド(あるいはプロシールド)のホルダーは、汚れが溜まりやすいという欠点がある。一長一短だ。


 結論として、自動車に例えるとわかりやすい。

  ヴィーナス・スワール = サーキット仕様。
  ジレット・プログライド = ラリー仕様。

 フラットな皮膚面では、スワールの方が圧倒的に使いやすく、剃っていて気持ちいい。
 一方で、起伏のある面まできっちり深剃りできるのはプログライド(またはプロシールド)になる。
 人体表面の大半は平面だから、産毛を剃る女性用がスワールの構造になるのは当然の帰結で、顎まわりのややこしい個所のヒゲに限定される男性用がプログライドの仕様になるのも必然だ。陰毛に関しては、平面と凸凹が入り組んでいるが、総じてスワールが剃りやすい。
* 陰毛をも「出血覚悟の深剃りしたい」というなら、スワールでは物足りないかもしれない。ただ、会陰から肛門にかけての「見えない」個所をスムーズに剃る上では、スワールでないと逆に不快だろうと思う。


●ケチ野郎の、二刀流 ver.2

 二刀流 ver.1 = プログライドでヒゲを剃り、スワールで陰毛を剃る。
* 厳密に言えば、スワールで剃るのは「陰毛を含むその他の毛」が正しい。

 この方法で剃っているうちに、ひとつの事に気付いた。
 スワールで剃っている個所には、深剃りを求めていない。ゆえに、刃がかなりナマクラになるまで、替刃を交換しなくてよいと。
* 陰毛や、腋毛、脛毛などの太い毛では問題ないが、細い産毛は刃がへたってナマクラになると剃れなくなる。産毛剃りを重視する女性にとっては、スワールの替刃寿命はさほど長くはないだろう。

 この事実を前にして、ケチ野郎は何を考えたか?
 ヒゲも……スワールでとりあえず粗剃りして、仕上げの深剃りだけプログライドを使えば、プログライドの替刃寿命を延ばせるのではないか。
 プログライドの替刃は深剃り必須なので、ちょっとでもナマクラになったら寿命である。それを長持ちさせるには、深剃り用途以外には使わないのが一番だ。深剃りが不要な剃りにも使って無駄に消耗させるべきではない。

 問題はやはりケツ毛。
 そもそも、ケツ毛剃りとヒゲ剃りを同じカミソリで使いたくないからこそ始めた二刀流である。
 スワールでヒゲを剃ったら元も子もない。

 だが、しかし……!
 ケツ毛用とヒゲの粗剃りにスワールを分けて、総計三刀流にしたのでは、いくら替刃寿命を延ばせるとしても、非経済的だし、運用上も不便で、置き場所にも困る。

 考えた。

 深剃りは、なんだかんだ言って、皮膚を傷つける。
 そこに、ケツ毛を剃った刃を当てれば、付着した大腸菌が傷口から浸透してしまうかもしれない。
 では、皮膚を傷つけない粗剃りならば、どうだ?
 さらに、ケツ毛は毎日は剃らない。毎日剃るのは会陰から手前の陰毛だけだ。
 ならば、ケツ毛を剃った日は、刃により多くの湯を流して洗えば、ヒゲの粗剃りぐらいに使ってもいいのではないか?

 その結果、二刀流 ver.2 が誕生した。


●二刀流の経済性

 二刀流 ver.2 = プログライドはヒゲの仕上げ剃りだけ、他はすべてスワールで剃る。
* 潔癖症には耐えられない話ではある。

 その結果、どうなったか?

 カミソリ一本で、ヒゲだけ剃ると自分基準(=ケチ野郎的なナマクラ許容)で替刃寿命は約一ヶ月。全身を剃ると半月未満。
 二刀流にして、それぞれが一ヶ月寿命なら経済性は同じになる計算。ただし、これではホルダーを二本にするコストの元はとれない。
 それぞれが二ヶ月寿命ぐらいになれば、万々歳。
 で、現実は三ヶ月もつ!
* スワールのナマクラぶりはかなりのものにはなるが、使える。

 ケチ野郎的には、二刀流 ver.2 は大成功だ。
* もしかしたら、他でも応用できるかもしれない。
* たとえばスマホ。カメラやゲームの性能を追究してハイエンドなスマホを買った場合、YouTube動画(ローエンドでも快適に見られる)などでバッテリー消費を重ねて寿命を縮めるのは不経済ではないか? 安価な低性能機をサブスマホにして sim抜き Wi-Fi運用で動画専用にすれば、高価なメインスマホの寿命が延びるのではないか? ……まぁ、メインスマホ(但しサブはない)がローエンドな自分には関係のない話ではあるが。 ← 2019年5月末にスマホを新しくしたので、旧スマホがサブ機になり、この運用が実現した。


●ケツ毛をナメてた(Sep.2019 追記)

 ケツ毛は高頻度で剃らなくてもよい……という判断は間違っていた。
 見えない個所なので油断していたが、チン毛並とまでは行かないまでも、かなりのスピードで毛が伸びる。つまり、剃る頻度が低いと、けっこう伸びた毛が剃れる。
* 無論、個人差はあるだろうが。

 その結果、高頻度でケツ毛剃りをするようになった。
 てことは……二刀流 ver.2 では「ケツ毛剃り → ヒゲの粗剃り」の頻度も上がり、潔癖症的に耐え難い状況になった。そのため、ケチ野郎としては不本意ながら、二刀流 ver.1 に戻した。
* ケチ道の達人にはなれぬ未熟者だ。

 ちなみに、ケツ毛剃りに、男性用 ジレット・プログライド(または プロシールド)は不向きだ。
* 試したのかよ!
 ヒゲの深剃りに最適化された構造が、菊花状の場所とは相性が悪い……と思う。個人の感想ではあるが。
 つまりは、女性用ヴィーナス・スワール一択。
* ついでに言えば、金玉袋もスワール一択。複雑な形状なのでプログライド向きに思えるが、柔らかすぎて形状不安定な個所なので、擦り板で均しながら剃るスワールの方式が向いている。

 なお、ケツ毛は見えない個所なので、当初は剃り残しも多かったが、慣れてきて綺麗に剃れるようになった。何事も場数を踏むのが大事。
* ちゃんと剃れたか否かを確認するのは、スマホのインカメラで肛門周辺を撮影すれば簡単だ。ただし、撮ってみて「げっ、汚っ」と、見たくないものを見てしまった時の嫌な気分になりかねないので、そのつもりで。人によっては「まぁ、美しいわ」と思えるのかもしれないが。


●ホルダーの寿命

 ヒゲだけじゃなく全身を剃るようになって替刃寿命が気になるケチ野郎は、当然、ホルダーの寿命も気になる。
 フレックスボール以前は、替刃の脱着機構以外、機械的に壊れる個所はなかった。それでも、壊れるまで使ったことはない。それ以前に、取り切れない汚れがたまって匂いが耐えられなくなるからだ。
* フレックスボール以前のカミソリは「ひげそりの哲学」参照。
* ちなみに自分は、匂いに鈍感な方である。
 フレックスボール以後は、複雑な首振り機構ゆえに、機械的に壊れて寿命が尽きるかと思ったが、そうではなかった。
 やはり、取り切れない汚れによる匂いが辛くなるのだ。しかも、複雑な機構ゆえに汚れやすく、寿命は短い。フレックスボール以前は3年は耐えられたが、フレックスボール以後は2年でもきつい。……ということで、2019年残暑に、黄色いプロシールドのホルダーに換えた。
* 以前はプロシールド・クールの青いホルダーだった。クール版に付いてくる替刃はヒリヒリする(わざとヒリヒリさせる潤滑剤が付いている)のだが、この感触がどうしても好きになれず、色の好み云々ではなく黄色を選んだ。とはいえ、この黄色も悪くない。
* ホルダーに付属してくる替刃が終われば、ランクを落としてプログライドの替刃をセットする。ケチ野郎の流儀だ。

Gillette ProSheild

 一方、ヴィーナス・スワールのホルダー寿命はどうなのか?
 これを書いている時点では予想がつかない。プロシールドのホルダーと異なり、汚れが溜まりにくい構造であり、匂い面での忍耐限界は高いと思われる。ただ、女性用のフレキシボールという首振り機構は、男性用のフレックスボールより脆弱に見える。もしかしたら、自分史上初めて、機械的に壊れてホルダーを替えることになるやも。
* 自分は繊細なので(自分で言う?)荒々しい使い方はしておらず、柔肌を労わるような丁寧さでカミソリと接している。脆弱な構造でも、かなりの長寿命になるのでは?

Gillette Venus Swirl (Ocean Blue)

 なお、次にスワールのホルダーを新しくする時は、標準の Purple ではなく、特別版 Ocean Blue にするつもりだ。
* 替刃は Purpleの潤滑パッド付しかないので、統一感は欠けるが。