日々の雑感 独り言 No.3
いつもとは違う 山の事 2
なんだか結局書くのは山の事、それも岩登りになってしまうので、そう言う名前にしても良いのかも知れないと思いつつ、しかし、まあ、ホントーに日々の雑感を書く事が有るだろうと言う事で、タイトルはそのままにしておく事にしました。
前振り終わり。
岩登りの師匠と言いますか、パートナーと言いますか、とにかく近頃、岩登りに関しては全面的に面倒を見てもらっているHさんが伊豆の方に岩登りに行くと言う話を聞き込みまして、ナントカこのおっさんも連れて行ってもらう訳には行きますまいか?と、お願いしてみた訳であります。
しかし、一緒に行くメンバーがかなりの手練と言う事で、私が行っても登れるような軟弱な壁には行かないよ、と言う事で、もうちょっと腕を揚げてからの方が良いでしょう・・・いや、行っても楽しく無いから、と言う事だったんであります。
が、しかし、見ているだけ、岩に触って感触を確かめるだけでも良いですから、と、頼み込んで、んじゃまぁ・・・と言う事になった訳です。
11月29日(日曜日)高速の日曜料金を利用する為と、移動の時間を夜中から早朝にし、日中を有効に使うと言う作戦で、11時に仙台南インターを、沼津に向けて出発であります。
いや、もうちょっと若い頃には、ダイビング屋のお仕事で伊豆への夜中移動はやっていたんでありますが、この歳になってみると、中々キツイもんでありました。
沼津のファミレスに4時30分頃到着し、朝飯など食いながらしばし時間つぶしの休憩を入れた訳です。
そこから修善寺温泉近くの城山へ移動し、山道を歩き始めたのが、夜明けと同時の6時半でありました・・・一睡もしていないんであります・・・いや、東名で少し居眠りはしたかも。
まず、皆様タフであります。
城山の概念図?です
歩き始めはまだパラパラと小雨も降っておりまして、寝不足と相まって、あんまし晴々とした気分ではなく、やや朦朧としながら山道を行く訳であります。
クライミングギァーを一式と昼飯や着替えなども詰め込んだ55リットルのザックは15キロ程度になっておりまして、早足で行くベテランを追いかけるのに必死でありました。
いや、アプローチが既にそこそこの岩場な訳でして、おっさん的には慎重を期して歩きたいぞ、と言う感じなんであります。
ダイバー馴染みの大瀬崎の行き帰りに見える、ゴンドラの掛かった山の隣が城山です
で、30〜40分も歩きまして岩場に到着してみますと、ウヒャァー・・・俺には無理だわ、と、一目瞭然の壁がデデーンと有る訳です。
上級者の0さんとWさんはさっさと有名なルートの下で準備を始めている訳です・・・たぶんグレードは5.12クラス?
で、私の師匠のHさんが、そんな厳しい壁の中から、5.10代らしきルートを見つけ出してくれて、よっしゃぁ、ここをやりましょう、と決定した訳であります。
トポと言う岩壁の登攀ルートを案内する図面が有るんでそれを頼りに探せば早いんでありますが、ここ城山は壁のスケールが大きくて、初めてでは、自分たちの前の壁がどれなのかを特定するのが中々難しいようであります。
しかも、当日は雨と有りまして、岩が濡れている所が多く、乾いているのはオーバーハングでかぶっている所しか無い訳です。
グイーンと大きくかぶさって来る壁面で、グレード5.10aとかbは無い訳で、Hさんは私にもナントカ登らせようとして、難度の低いのを探してくれる訳であります。
で、もともと5.11クラスが最低の場所でありますから、易しいと言っても私には手が出ない訳であります。
しかし、贅沢はこいていられない訳で、Hさんが選んだルートを先に登ってロープを掛け、私はそこをトップロープと言う、万全の確保体制でトライするのであります。
しかし、Hさんは5.11クラスは楽にこなす中級者であろうと私は思うんでありますが、その彼がやけに時間を食いながら登った壁を、私が必死でしがみつく訳であります。
結果は、精々半分も登ると一杯いっぱいで、落ちてしまう訳であります。
午前中にその壁で散々落ちまくり、とうとう諦めて別のルートを探したんでありますが、雨は上がっても滲み出しで濡れている岩が多く、中々良さそうなものが見つからない訳です。
トポで見て、よし、この岩なら行けそうだと思って探し当てると、濡れ濡れのびしょびしょで手が出せないのでありました。
そんな中でもまた手頃な所を見つけ出し、Hさんがロープを掛けてくれて、またトップロープで練習であります。
結局、クライミングジムで5.10bがやっとのおっさんにはまともに登れる岩は無く、終日、取り付いては落ち、落ちてはぶら下がりを繰り返して、試合終了でありました。
明けて翌日、12月1日・・・本日は始めから二組に分かれて、我々は城山で一番易しい入門クラスのひよこ岩へ向った訳であります。
が、しかし、辿り着いてみると、ひよこ岩は苔むしていて何だか怪しげな雰囲気であります。
Hさんが取り付いてみると、ズルッと滑って足が決まらない様子で、こりゃダメだ、となって移動であります。
ふうーっ、Hさんに申し訳ないなぁ、と思うので、少しグレード高くても適当に遊びますから、と言って、Hさんの登りたい壁で良い事にして、場所が決まった訳です。
それは、通称スラブと言う状態の壁でして、垂直よりはナンボか寝ている訳です・・・80度〜90度の間ですから登っている時には間違いなく壁なんでありますが。
しかし、スラブは手だけで登ろうとする私にはちょうど良い練習相手なようで、グレードが少し上でも、ナントか登れた訳であります。
昼飯を食って・・・と、言ってもパンを齧っただけですが・・・隣の壁をHさんが登って行きました。
スラブで二段か三段にでもなっているらしく、一段目のテラスを超えたらHさんが見えなくなり、出て行くロープの感じから、状況など想像し、ビレイを続けるのであります。
で、ふと、残りのロープを見ると、真ん中の印を過ぎようとしているでは有りませんか・・・半分を過ぎると降りてくる時に足りなくなってしまう訳です。
Hさぁーん・・・ロープ出切りましたよぉー、と声を掛けた所で、テンショーンと声が返って来て終了点到達でありました。
Hさんが降りて来て、ここはスタートさえ(スタートの5メートルはかぶり気味)こなせばおっさんでも行ける、ただし、終了点間際が厳しくて、ナンの手かがりも足場も無いので、ちょっとインチキだけれども、クイクッドローを三本繋いで下げて来たから、それを取ったら完登にするから、と言った訳です。
だいぶ岩に慣れて来たおっさんは、難しいと言われたスタートをヒョイヒョイとこなし、最初のテラスへ登れた訳です。
下からHさんが、上手い上手い、絶好調だねぇ、と声援を送ってくれるので、おっさんはすっかりその気になって登って行くのでありました。
で、途中、ナンの手かがりも無く、足の引っ掛かりも無く、両手両足のフリクション(摩擦抵抗)だけが頼りと言う所で行き詰まって、ここで終わりかなぁ、と思ったんでありますが、まあ、落ちたって大した事は無い訳で、度胸を決めてズリズリと這い上がった訳です。
で、ヤバイ所を過ぎると、後は割と簡単で、終了点の直下まで辿り着いた訳であります。
ウヒャァーいい景色だなぁ、25メートル登る壁は長いもんだなぁ、と、余裕をかましつつ、目の前で手の届きそうなヌンチャク(クイックドロー)を見た訳です。
しかし、これはインチキだよな、後僅かに70〜80センチ上がれば正規の終了点に触れて、正真正銘の成功だ・・・よっしゃぁ、と踏み出した訳です。
ウヒャァー滑ったぁー・・・ゴロン、ズデン、ドカン・・・痛ぁ・・・足を打ったな、激痛だぞ、降りられるのか?
で、下から急にテンションが掛かって驚いたHさんが、大丈夫かぁ・・・と。
運悪く、用心してロープを張り気味にしていたHさんに、ロープくださぁーい、と叫んで緩めてもらっているのであります。
で、私のロープは、この日の為に買った50メートルの新品でありまして、最高では10パーセントの伸びがあると書かれている訳です・・・50メートルの10パーセントだけでも5メートルで、ロープくださぁーいで、2メートルと・・・まあ、最低でも7メートルは落ちているのかな、なんて思うんですが、まあ、スラブですから落ちると言うよりは転がると言う事なのかも?
心配して声を掛けてくれるHさんに、落ちましたぁ・・・足を痛めたのでゆっくり降ろして下さいとお願いして、ナントカ下まで降りた訳です。
いや、Hさん面目ない、そして、申し訳ない・・・ビレイも出来そうに無いんで、一足先に車に戻りますから、と。
まずいなぁ、あちこち痛いけれども、足首と、序でに右手も岩に突いたんだなぁ、と言う事で、手首にも相当の痛みが走っている訳であります。
こうなると、一人で岩山の尾根道や岩と落ち葉と泥でズルズルの斜面を帰れる自信は無い訳です。
しかし、仲間の皆様も遠くから楽しみにして城山に来た訳ですか、心配をかけたり迷惑を掛けたく無い訳であります。
で、時間的にもそろそろ3時になっていたし、OさんもWさんも後一本づつ登ったらお仕舞いにすると言う事で、んじゃぁ私はおっさんと一緒にゆっくりと車に戻っていますから、と、Hさんが言ってくれて、二人で戻る事になったのでありました・・・助かったぁ、と。
まず、杖の代わりになりそうな棒切れを探すんでありますが、照葉樹の林の中で見つかる枝はどれも弱く、体重を預けようとするとボキッと行くんであります。
そうそう、温暖な伊豆地方に在る城山は山の木々が東北とは違って照葉樹の木々な訳であります。
冬の照葉樹林は下草も無く、ヤブツバキやアラカシの林はとても見通しが良くて、丸見えになる訳であります・・・そうです、キジ撃ちが困るんであります。
さて、そんな訳で、行きは30分程度で歩いたアプローチの道を一時間以上も掛けてなんとか這いずって来た訳であります。
しかし、荷物も背負ったまま、なんとか皆様に迷惑をかけずに済んだ事が一番の救いで有りました。
で、車に辿り着いたと思って間もなく、それまでナントカ歩けていた足は激痛で地面に降ろす事も出来なくなる始末でして、いやはや、ナントもカントも、でありました。
で、皆さんが冷やせ、とか、テーピングだ、とか色々アドバイスをくれるんでありますが、私は放っておくのが一番である・・・自然治癒を期待する方なんで、何もしない派な訳です。
ホントーを言うと、アイシングは充血を止めると言われていて初期の応急処置の基本でありますが、私は懐疑的なんであります。
と、言いますのは、すべての炎症の熱は、身体が悪い所を修復する時に出ているモノであるから、です。
血液は暖まると固まるので患部を冷やしても内出血は止まらないので、腫れは引かない、とも思っている訳です。
これは、今年だけで三度目の捻挫をテーピングだけで治して来た私の、勝手な療法なんでありますが、下手にギブスなんかで固定して動きを殺して筋力を落としてしまうより、特定方向をテーピングで動きを制限し、キネシオテープで筋肉を助けてやった方が後々楽だ、と、思っている訳です。
そんな訳で、まさか風呂で温めるバカは居ないでしょうと驚く皆さんを尻目に、ゆっくりと温泉につかり、温めて血流を良くし、早く治れよ、とやったのであります・・・よい子の皆さんはまねしないで下さいね。
宿泊した「美春荘」の窓から見えた朝焼の富士山(携帯なので画質はナニですが)
さて、明けて翌日、12月2日・・・全く歩く事が出来ない訳で、駐車場でお留守番をさせて頂きました。
快晴の日だまりに車を停め、クライミングの本を読んだりしているのも悪く無いもんであります。
12時少し過ぎには全員戻って参りまして、仙台へ向けて出発でありました。
Hさんを含む三名は南壁と呼ばれるエリアへ行って来たのでありますが、5.9〜5.10クラスが結構有って、是非おっさんに登らせたかったなぁ、と残念がっておりました。
しかし、アレです・・・初心者と言うのは雰囲気を味わっているだけでも酔えるのでありますから、そう言うおいしい所を残しておくと、また来たくなる訳で、コレで良かったのだと本気で思うのであります。
ワイルドボア なんとかを登るWさん(右側の人)
いつになったらこんなアクロバチックな壁に手を出せるのでありましょうか?・・・一生無理かもね。
師匠のHさんには、ホントーにナニからナニまでお世話になりっぱなしで・・・来年、ダイビングにお付き合いして借りは返しますからね。
INDEXに戻る
独り言の扉へ