徒然なる侭に 温泉探訪



    肘折り温泉


     肘折温泉で三カ所入ってきました

     1発目・・・肘折 いでゆ館 
    いでゆ館 外観

     本当は山に行く予定で準備万端だったのでありますが、起きてみたら不穏な雲行きの空にビビりまして、んじゃぁ久しぶりに温泉でも行ってみるか、と思い立ったのであります。
    で、前から気になっていた肘折り温泉が脳裏に浮かんで、まあ、関山峠を越したらすぐでしょう、と言う感覚で出掛けてみた訳であります。
    肘折温泉の位置はなんとなく知っていました。
    月山の麓であり、寒河江からと新庄から回り込んでも行く事が出来る事も知っていたのであります。
    まあ、これだけ知っていれば何の迷いも無く行けるだろうと思うのが普通でありますが、一応、とりあえず、当てにならないバカーナビもセットしてみた訳であります。
    で、迷わず国道48号線から東根市に出て、寒河江を目指して行った訳です・・・バカーナビは高速に乗せようとしていたのでありますが、48号も作並を過ぎた辺りで諦めて寒河江まで一般道を行く事に同意したのでありました。
    それでも、途中細かい所でもバカーナビと意見が食い違うのでありますが、おっさんはこの道は良く知っている訳で、ナビに向って「このぉ若造めがぁ」と罵声を浴びせつつ無視するのであります。
    で、順調に寒河江を過ぎて国道458号線に右折した訳であります・・・ここの交差点はバカーナビも一致しておりました。
    で、いい加減走った所で汚い目立たない看板が現れた訳です・・・「肘折温泉へは抜けられません」と。
    なにぃー?何かの間違いだろう?と気にしつつも走って行くと・・・「○×より先冬期通行止め」と出た訳です。
    こりゃイカン、と地図を出してみれば、国道458号線は標高1000メートル以上の峠を超える訳で、しっかりと冬期間通行止めのマークが着いていたのでありました。
    ウヘェー・・・この時既に11時30分でありまして、予定では12時半前には肘折いでゆ館に着いて昼飯など喰う事になっていた訳であります。
    で、地図を眺めました、がぁ・・・やっぱし新庄まで行かなくちゃダメかぁ、と。
    ドーすっかなぁ?着いたら1時過ぎちまうしなぁ、止めっかなぁ?・・・と、言いつつ、車は尾花沢を目指して国道347号線を走っているのでありました。

     ザアザア振りの雨の中、腹ぺこでいでゆ館に辿り着いたのは1時10分でありました。
    こんな空腹では風呂どころではないと言う事で早速食堂へ飛び込んで、山形名物のソバでも食して進ぜようと思ったのでありますが、ソバは温かいものしか無い訳です。
    いや、肉ソバかなんかなら喜んで食べるのでありますが、そう言うものは無く、かき揚げソバしか無いのであります。
    結局食券の販売機のボタンはかつ丼を押す事になったのでありました・・・やっぱし今日はダメだな、と。

     さて、飯を喰って突き出た腹を撫でながらエレベーターで三階に上がりまして風呂場に行った訳であります。
    まっ、ドーと言う事も無い、地方自治体が作ればこんなもんでしょうと言う典型的な雰囲気の風呂でありまして、至って普通の風呂で在りました・・・エレベーターで上がったせいか雰囲気が亘理温泉に似てるかなぁ、と。
    しかし、お湯は源泉掛け流し(高温なので加水有り)でありまして、まずまず、塩化物泉としてそれなりのものでありました。
    でありますが、炭酸泉と言うにはちょっと気泡も少なく、言っちゃって良いのかなぁ、と思う所も無きにしも在らずでありまして、微妙です。
    鉄分を多く含むのか茶褐色のお湯は重みがあって、少し温度の低い寝湯の浴槽に長く浸かるのが良いとおっさんは感じました。
    ガイドブックには三階から自然を眺望しながらと在るのですが、ガラスが曇って何も見えませんでした、と。


     いでゆ館・・・うんちく

       泉質    含重曹食塩泉(旧い表示)
     成分    ナトリウム・カルシウム・炭酸水素
     効能    神経痛・リュウマチ・疲労回復・切り傷・疣痔
     飲用    不可
     入湯料   350円 貸しタオルあり  手ぶら可 
     特記事項  かつ丼はそれなりに美味かった





    肘折共同浴場 上の湯

     さて、腹は落ち着いたし、ひとっ風呂浴びて暖まったし、で、次なる狙いの・・・いや、こっちが本命なんでありますが、共同浴場探訪であります。
    ものの本に依れば、ここには3カ所の共同浴場が在るとの事で、とりあえず、いでゆ館の受付のお嬢さんに尋ねてみた訳です。
    で、温泉街の地図を一枚くれまして、上の湯への行き方を示してくれたのであります。
    駐車場が無いのでここに置いたまま、徒歩10分程度である事も教えて頂いた訳ですが、他の2件はどーして教えてくれないのか、まっ、なんか訳でもあるのだろうな、と、上の湯へ向った訳であります。
    で、地図を頼りに歩き出してすぐに、路地の奥に「河原の湯」の看板を見つけたのであります。
    なぁーんだ、ちゃんと在るじゃないか、と路地に入って雪避けのドアを開けまして、風呂の木戸に手をかけますと、これが開かないのであります。
    ははぁーん、そう言う事かぁ・・・オフシーズンでの事かは分かりませんが、現在開いている共同浴場は上の湯だけのようでありました。

     で、旧い温泉街特有の狭い路地を歩いて行きますと、上の湯は在ったのであります。
    ここまでの街並と言いますか、路地の風情と言いますか、それは銀山なんかとはまた違った、昭和の40年代頃の感じとでも言いましょうか、そんなものをおっさんは感じつつそぞろ歩いた訳であります。

    上の湯の湯船

     さて、山形県の共同浴場の殆どが持つ共通の雰囲気を醸し出している上の湯の外観と番台と脱衣場でありますが、風呂場に入ったらちょっと吃驚であります。
    湯船を見守るお地蔵様が鎮座ましましているのであります・・・お地蔵様と肘折温泉の謂れにまつわる話しが書いてありましたが忘れました。
    で、ホントーの驚きはお湯でありまして、いでゆ館からほど近いにも関わらず、きれいに澄んだ透明な湯なのであります。
    しかも、pH値は中性なはずなのに、どういう訳かつるつるなのであります。
    しかし、つるつる系とは言ってもアルカリ泉のそれとは違う、なんとも言い表し難い柔らかなお湯なのであります。
    で、番台に申し訳程度に張ってある泉質の表示に放射線は無いのでありますが、恐らく、ナニか出てるんじゃないのか、とおっさんは睨んだんでありますが・・・分かりません。
    しかし、肘折温泉の名前の元になったお湯はこちらのお湯のようでありまして、番台のおばちゃんにちょっと聴いたら、いでゆ館とは一緒にしてくれるな、みたいな事と、旅館のお湯もいでゆ館と一緒なのだ、こここそが本物の肘折温泉であるぞ、と宣っておりました。
    「上の湯」・・・うんちく

       泉質    塩化物泉
     成分    ナトリウム・カルシウム・炭酸水素
     効能    神経痛・リュウマチ・疲労回復・切り傷・疣痔
     飲用    不可
     入湯料   200円 タオル販売あり  手ぶら不可 
     特記事項  駐車場が無いので要注意





     黄金温泉 カルデラ館 

    カルデラ館の外観

     さて、次はカルデラ館でありますが、ここは肘折温泉から車で3分、目と鼻の先なんでありますが、黄金温泉と名付けられ別の温泉とされている訳です。
    まあ、同じ大蔵村なんですが、色々と有るのでしょう、肘折温泉の道にはカルデラ館への看板はほとんど無いのであります。
    そんな訳で、なんだか分かり難い道に戸惑いましてカルデラ館を発見するのに手間取りました・・・はい、バカーナビはあらぬ方向を示してくれまして余計に難儀した次第であります。

    カルデラ館の飲泉所

     ガイドブックの写真で見るカルデラ館はもっと大きな建物を想像させたのでありますが、行ってみると意外に小じんまりとしたものでありました。
    もっとも、無駄に大きければ良いと言うものでもない訳で、風情のある外観は、個人的にはいでゆ館よりも好ましいものでありました。
    さて、350円也の木戸銭を払い中へ入りますと・・・至る所にそこはかとないレトロな感覚が漂い、とても落ち着くのであります。
    で、案内に従って薄暗い廊下を進みますと「飲泉所」なる場所が有りまして、冷たい炭酸泉を飲めるようになっているのであります。
    近くに貼ってあった張り紙に依れば、「かつて歌人斎藤茂吉もこの肘折温泉を訪れ、炭酸泉を飲んだ時の驚きと喜びを「泡立ちて湧きくる泉の香を好しと幾むすびしつけふの日和に」と歌に詠んでいます。」と書いてありました。
    しかし、ひねくれ者のおっさんは、今どきの炭酸飲料の刺激に毒されているせいか、口に含んでみてもさしたる刺激も感じなく拍子抜けしたのが正直な感想であります。
    ナント申しましょうか、その昔、5円で買った袋入りのサイダーの素をご存知でありましょうか?そんな感じでありましたので、古の茂吉の感想は当たっていると言えるのかもしれませぬ・・・なんちゃって。

     肝心のお湯でありますが、炭酸泉と大きく謳うには、おっさんの毛にまとわりつく気泡は意外に少ないものでありました。
    この程度の炭酸泉ならナンボでもあるがなぁ、しかし、この程度の炭酸で敢えて炭酸泉と言うのかなぁ、と疑問に思ったのも偽らざるものであります。
    しかし、木材を豊富に使い、脱衣場から風呂場までトータルで醸し出された昭和の時代を彷彿とさせる感覚はおっさんは大好きであります。
    源泉掛け流しの湯船に浸ると、熱く無い湯が心地よく、のんびり気分で癒されます・・・おっさんは風呂の評価に癒されるなんてのは滅多に使いませんが、ここははっきりと述べてみたいと思う次第であります。

     
    真冬もやっているのか?雨で厳しかった渡り廊下

     さて、ここまでの2軒には露天風呂が無かった訳でありますが、カルデラ館には有るのです。
    が、しかし、運が悪いと入れませんから要注意であります。
    露天風呂は一つしか無いので一時間おきに交互に男女交代で利用しているのであります。
    おっさんは運良く殿方利用の時間に当たったので、たった一人で悠々と利用させて頂きました。
    これがまた野趣に富んだ良い風呂でありまして、まだ深い雪の残る山を見ながら、頭を冷やす心地よい風と湯につかった下半身の温さのバランスの妙を味わったのでありました。
    しかし、夏に来たらアブやらナニやら厄介だろうなと想像に難く無い程に野性味豊かでありますから、好きずき、賛否は分かれる所かもしれませぬ。
    いや、のんびりしたいのは山々だったんでありますが、既に三時を回っている訳でして、新庄から鳴子へ回るか村山経由で帰るか躊躇しながら、肘折温泉を後にしたのでありました。

     結局帰り道はスピードの出せる国道13号を選んだんでありますが、これが大正解でありまして、おっさんが足繁く通っていた頃とは大違いで、新庄から東根の曲がり角まで1時間と掛からなかったんであります。


    「黄金温泉 カルデラ館」・・・うんちく

       泉質    炭酸水素・塩化物泉
     成分    ナトリウム・炭酸水素・
     効能    神経痛・リュウマチ・疲労回復・切り傷・疣痔
     飲用    不可
     入湯料   350円 タオル販売あり  手ぶら可 
     特記事項  肘折温泉の上の湯とセットだと450円になる


     


    まあ、ネタは新鮮ですが信憑性は・・・?


    行った温泉について 質問を承っております


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