ちょこっと行って来る山登り


    No.26 白神岳・・・(青森県)




            世界遺産なもんですから・・・貴重品、です。

      正直に言うと、早池峰山と白神岳は登らないだろうと思っていた訳であります。
    へえっ・・・なしてぇ?と言う人も多いかと思いますが、登山道をゾロゾロと行列して歩くのでは無いかと言う不安が有る訳でして、そんな訳で超有名どころへの登山は、私としてはちょっとナニでありまして、アレな訳です。
    が、しかし、土日とは言え春山ならまだそれ程の混雑と言う事は無いだろう、と思って、白神岳に狙いをつけた訳であります。
    ええ、そうです・・・土日に出掛けた理由は、当然高速道路の1000円ぽっきりを利用する前提で、待っていた訳であります。
    以上・・・前振り終了・・・以下、本編。

     4月4日土曜日、6時15分に家から一番近い高速の乗り口・・・泉パーキングETC入り口を通過。
    9時20分、秋田道能代東インターを通過し、県道と広域地方農道を通り八峰町で国道101号線へ。
    10時20分白神岳登山口駐車場着・・・10時35分出発。

     さて、延々350キロも走って来て休憩無しと言うのもナニでありますが、そこはそれ、若さでカバーでありまして、お茶の一服も飲まずに出発であります。
    いや、本音を言うと、どんだけ時間がかかるのか皆目見当がつかないので一分でも早く出たい訳であります。
    厳しい登りの続く山である、と言う評判がつとに高いのでありまして、まあ、正直に言えば、ビビっているのでありますね。
    手甲と脚絆、蓑に菅笠の出で立ちで・・・いや、駐車場に車を止めた時の温度が既に10度も有りまして、これは汗をかくなと言う事でオーバーズボンとウインドーブレーカーは止めであります。
    長袖下着に半袖Tシャツを一枚重ね、足元にスパッツの軽装で出発であります。
    さあ、いざ行かん、とする時に、少し離れた所に停まっていた車から爺様が降りて来まして、朝のご挨拶でありました。
    どちらから?・・ほう、仙台ですかぁ・・・夏道は足場がとても悪いので冬道を行くのが良いですよ・・・私は、この山のガイドやってる者です・・・んじゃ気を付けて、と、一方的にアドバイスをして爺様は去って行ったのでありました。

    登山届けを出す「記帳所」です。ここでノートに登山届けを書き込みます。

     さて、爺様からのアドバイスを、どうしたものかと考えながら舗装の車道を歩いて行くと記帳所なる場所が有りまして、そこで登山届けを出す訳であります。
    ノートに所番地など書き入れつつ、自分の一つ前の2人組のルートを見ますと、冬道を行く、と記されているでは有りませんか。
    おっ、と思ってその前を見たのでありますが、ルートは書いてなくて、不明でありました・・・本日、都合7名の入山がここで判明した訳であります。
    私しゃGPS頼みの登山な訳で、25000/1に地図に記された道以外は通りたく無いんでありますが、しかし、氷がどーの、雪崩がどーの、と言われれば、んじゃぁ勘で冬道とやらに行ってみっかい、と気持ちは動く訳です。
    しかも、先の2人連れが先行しているとなればそれなりに踏み跡は有るだろうし、と言う事で冬道を行く事に決定であります。

    この立派な階段・・・整備された登山道を想像させるのに十分な仕掛けであります。

      さて、この山の登山道は、入り口から凄い雰囲気で整備されているな、と思わせる訳でありますが、それは尻すぼみに酷くなる訳でして、初めの30分で安心したらすぐに泣きを見る事になります。
    しかし、それでも、通称「二股」までは普通に整備された登山道の趣でありますので、ここまでで手応えを感じた人は先へ進むのを止めた方が良いかも知れない、なんて言う位に先は大変な道であります・・・傾斜、荒れ具合、ともに一級であります、と思います。

    冬道と言うのは、雪が無ければただの薮漕ぎであります。

      そんな訳でGPSを頼りに冬道と呼ばれる、マテ山へ続く尾根の入り口を探りつつ夏道を行った訳であります。
    で、暫く行くと左側が尾根筋で、登山道はそれを巻いている訳でして、ありゃぁー脇っちょの尾根を登るんだな、間違った、と言う事で急いで逆戻りであります・・・400〜500メートル損した・・・往復で一キロは痛い。
    暫く戻りますと、成る程な、取り付きはここだろうな、と言う雰囲気の所に微かに踏み跡らしきものが見られますが、濡れた落ち葉と泥で判然とはしません。
    が、まあ、地図には複雑な尾根は無く、何であれマテ山へ辿り着けば良い訳で、と言う事で登り続けた訳であります。

     いや、しかし、駐車場でアドバイスをくれた爺様はホントーに登山道を見て言っているのか、大いに疑う訳であります。
    取り付きの標高300メートルから650メートルまでのほぼ一時間、急登に継ぐ急登の薮漕ぎでありまして、必要なのはアイゼンやワカンでは無く、鉈と鎌でありました。
    しかし、救いは、ほとんどの急登場所にフィックスロープが張られている事であります。
    と、言う事は、白神山地が世界遺産になる前のマイナーな時代にはこちらがメインの登山道であったのか、と伺わせる訳であります。
    まず、20キロの荷物を背負ってはロープが無かったら登れませんで、途中で止めたと思いますよ・・・間違い無いです。

    マテ山山頂であります・・・なんて事無い、ただのピークでした。

     目指すマテ山の山頂は、標高たったの850メートルでありまして、泉ヶ岳よりも低い訳です。
    しかし、薮漕ぎと急登の連続で足は中々進まず、時間ばかりが過ぎて行くのでありました。
    12時少し前、薮漕ぎが終わり足元が雪になり、普通の急登程度になった尾根の小さなピークで、余りに腹が減ったので昼飯休憩を取りました。
    歩き始めて1時間と45分、こんなに早く参ったと思ったのは初めてでありました・・・立ち休みでおにぎりを一個とアンパンを一個補給。
    しかし、休みながら、なんとなく前方の尾根が明るいなと思っていたら、程なくマテ山の頂上でありまして、12時30分到着でありました。

     ここからは小さなピークを乗り越えながら、少しづつ標高を稼ぎ、最後に森林限界を超える辺りから、もう一度ガツンと登って白神岳の稜線に出る、と地図で読んで来た訳であります。
    何だかいつもと疲れ具合が違うな・・・大した距離は歩いていないのに体内のグリコーゲンは残り35パーセントとペースダウンを要求して来るんであります。
    もっとも、急ぎたくてもヘロヘロでして、精一杯歩いて幾らも進んでいない訳です・・・bombeeおやじ54歳、はっきり言ってバテました。
    仕方が無いので励ましの歌「巨人の星」を念仏のように唱えながら歩いて行きますと、頂上の小屋から下山して来たと言う2人組に出会いました。
    コンチハーで通り過ぎようとする私に、その荷物だと頂上小屋泊まりだな、と話しかけて参りました。
    この方は一名の女性登山客を案内して登って来たプロのガイドさんだそうで、山頂小屋の状況などを詳しく説明し始めた訳であります。
    なんでも、すっかり埋まっていた小屋を掘り出して入り口を開けて来たとの事で、しかし、三階から入る窓のサッシは壊れて閉まらないので夜はシートでも張れ、と。
    また、小屋内はすぐに寝られる状態ではないので明るいうちに雪を除けて掃除などして寝場所を確保するべし、とのアドバイスを頂いたのでありました。
    そして、最後の一言として、森林限界を超えた辺りからの登りは、アイゼンとピッケルの世界であるぞ・・・アイゼンは持っているか?、と。
    何物にも代え難い貴重なアドバイスを、立ち止まったまま10分近くも頂き、私は、丁寧にお礼を述べて歩き始めました訳であります。
    さて、20分も行きますと、また一人降りて来た訳であります・・・ンチワー、で通り過ぎようとすると、私の足元のスノーシューを見つけて、それは具合の良いものであるか?と質問して来たのであります。
    私は休憩がてら、急斜面の登坂や氷の斜面に滅法強いが、反面、本当のパウダースノーでは結構潜ってしまう事などを話したのであります。
    このおっさん、半袖Tシャツ一枚の出で立ちで10分近くも立ち話をしていたのでありますが、寒く無かったのでありましょうか?
    しかし、青森・秋田方面の登山者は行き会ったらまるで蟻の情報交換のように密度の濃い接触をするようでして・・・まあ、親切なんでありますね。

    森林限界あたりから尾根に小屋の頭が見えました・・・まだけっこう遠いんです。

     そんな訳で、フウフウ言いながらもなんとか森林限界の急登に差し掛かった訳であります。
    そうかぁ・・・これからが難所のガリガリ君コースかぁ・・・まっ、アイゼンは最後に履く事にして、取りあえず行ける所までスノーシューで、と。
    しかし、私のスノーシューの特性から、トレースを辿るよりも真っ新な雪面の方が歩きやすいのでジグザグに登る踏み跡を無視して直登してみた訳であります。
    まず、結果から言うと、モナカ気味なので多少上滑りはするものの、歯が立たない程のものでは無く、難なく登り切れてしまった訳であります。
    で、氷になっていると言う尾根の直下は、確かに硬いのでありますが、私のデナリの歯が気持ち良く効いて歩きやすいのでありました。
    そんな訳で、随分驚かされた訳でありますが、まず、確かに急な登りは流石であるけれども、雪や氷と言う事であれば、やはり1300メートル級の山であるな、と言うのが偽らざる実感で有りました。

    小屋の入り口を中から撮ってみました。

     さて、そんな訳で山頂到着・・・いや、山頂は小屋から80メートル程先でありまして、山小屋到着は3時00分でありました。
    終わってみれば休憩を含む行動時間は4時間40分と、思った程悪いペースでは無かったかも知れないな、と。
    で、小屋の前には男性の3人組が居りまして、小屋に泊まるか尾根を下った所でテントを張るか協議の真っ最中で有りました。
    結局彼らはここでは寝られないと言う事と、万が一今晩雪が降ったら入り口が埋まって大変な事になる、と言う事で尾根に下って行った訳であります。
    ヘェー・・・そんなに酷いのか、と言う事で中へ入ってみると、まず、酷く無いとは言い難いな、と言う事でありましたが、まあ、風が当たる外よりはナンボか増しだろうと言う事で、迷わずここへお泊まりと決めた次第であります。
    入り口は三階の窓なんでありますがそこへは雪を掘り下げた穴から滑り降りるようにして入るのであります・・・けっこう無茶な体勢であります。

    新品のエアライズ1を無理くり張った所です。

    なんとか穴から小屋へ滑り込みますと、ウヒャァー、結構濡れてるな、湿気が凄いや、でありまして、気温が高いので壁の氷が溶けて雫が滴っている訳であります。
    ここに寝袋を広げて寝ると言う事は、雨の中に寝るのとほとんど一緒と言う事で、びしょ濡れで、朝には冷えて氷付け、と言う事でありますな、と。
    私は三階と呼ばれる屋根裏のスペースを目測し、これならテントが張れるだろうと読んで、買ったばかりのアライのエアーラズ1を広げてみた訳であります。
    すると、一部が梁や柱に接触はするものの、理想的な形で展開する事が出来た訳で、しめしめ、濡れずに寝られるし温かいし、言う事無いやね、と大満足であります。
    時間的にはもう既に4時過ぎ・・・これから誰か来るとは思えないし、まあ、非常事態と言う事で許して下され、と。
    一服して電気を点けて、中二階や一番下を覗いてみますと雫も酷く無く、寝るなら下かな、とも思ったんでありますが、真っ暗で不気味でその上微妙な臭いが香ばしいので一番上に決定した次第であります。
    微妙な臭いは、総ヒバ作りの小屋だと言う、木材の臭いは良いのでありますが、それ以外の何かを感じる訳であります・・・ヒバの臭いは三階が優れておりました。
    また、この小屋はどう言う使われ方なのか、キャンプ用の断熱マットが大量に準備されており、そして、古いですが、寝袋なんかも数点備蓄されている訳であります・・・どちら様かの定宿なのかな?。
    それでもストーブなんかを置かないのは、やっぱり火の始末と一酸化炭素中毒への懸念からなのでありましょうか?

     さて、食事の支度をしながら、たった一本持ち上げて来た缶ビールなど舐めながら・・・美味すぎー・・・マッタリとしていると、人の声が聞こえるでは有りませんか。
    ありゃぁ、3人組が戻って来たのかと思うと、どうも新手のグルーブが泊まりできたようで、入り口の穴を拡張するべく工事を始めたようでありました。
    で、いい加減広げて階段などこしらえたところで爺様が一人穴から覗き込んで、ありゃぁー泊まってる人が居るぞぉー、と魂消たのでありました。
    避難小屋とは言え山小屋でありますから、しかも土曜の夜となれば先客が居るくらいは考えられないのかな、と思いつつも、4名の爺様が荷物を運び入れるのを見ていた訳であります。
    で、話し好きな一人を除いてはほとんど無視された様なので、私もその後は関わりあわないように静かにラジオなど聴いていたのであります。
    まあ普通は小屋で一緒になると軽い自己紹介と、明日の行動予定など伝えあうものだと私は思ったのでありますが、今時はそう言う事はしないようで、出発時間も教えてもらえない訳でありました。
    んじゃぁ、私が何時に起きて音を立てても文句は受け付けませんよ、と言う事で、飯など喰って、ウイスキーでいつものように一人宴会をして、吹雪模様になった外へ出てオシッコなどして消灯したのが8時でありました。
    ところが、爺樣方、10時になってもまだ大声で喋っている始末で、ナンボのベテランか、私より年上かは知りませぬが、非常識であると言う事で、一声、ウルセェーぞ、とやった訳であります。
    これで寝られるかと思いきや、今度は、酒飲んだ年寄りは小便が近いもんで、代わる代わるにヘッドランプでテントを照らしながらドタバタと出入りする訳であります。
    かぁーっ、最悪の奴らと一緒になっちまったな、と、後悔してみたところでどうにもなりませぬ・・・しかし、喋っている話はベテランなんですがねぇ。

    一夜明けてドピーカンの天気・・・山小屋の屋根の先が山頂です。

     一夜明けて早朝、年寄りは朝は早いもので、4時過ぎには動き出しまして、濃霧の中、これは晴れると言い残して、5時に向白神岳を目指して軽装で出掛けて行きました。
    私は一度用足しに外に出て様子を見ましたが、風がなま暖かいので晴れ間は朝だけと読みまして、濃霧が晴れたら向白神岳を目指すか、思案しておりました。
    朝食の、餅入り味噌ラーメンなど食してパッキングをし終わった6時過ぎには濃霧は晴れて快晴になりましたが、西の空は急速に雲が湧き始めており、この天気が長くは続かない事を物語っておりまして、気温によっては雨も有るなと言う事で、寄り道せずにさっさと下山する事に決定でありました。
    私は下山が大好きなんであります・・・登りでは後ろを振り返る余裕が無いので常に斜面を仰ぎ見ている訳でありまして絶景に気が付くのはほとんど下りで、な訳であります。

    白神岳の山頂を背景に、気取ってみた訳ですけが・・・。

     天気が良いので向白神岳の尾根の向こう側には岩木山が見えておりましたし、日本海側には小さな漁港なんかも見えておりました。
    そう言えば、ガイドブックでは弘前の夜景が見える、となっていたんでありますが、昨晩は吹雪の中、能代の方向に街の明かりらしきものが微かに見えただけでありました。
    只今現在は快晴で、四方八方丸見え状態の上に、気温もまずまず塩梅良く、向白神岳への稜線が私を呼んでいる訳であります。
    はたして、私は、この山頂にまた来る事は有るだろうか?・・・向白神岳に行くチャンスなんじゃないか?
    行くべきか?・・・行きたいなぁ・・・でも天気は、たぶん持たないだろうなぁ、と、葛藤する事しばし・・・。
    よしっ、やっぱし、止めだなぁ・・・と。
    空身でシャカシャカと急いで往復4時間弱だそうでありますから、6時出発で、遅くても10時に戻れる訳であります。
    11時に小屋を出発して、下山に3時間半で、駐車場到着は午後2時半・・・悪く無い時間割だけれども、まあ、本日の所は勘弁しておくぞ、と言う事で・・・。

    帰り道、振り返って見えた景色が後ろ髪を引いてました(この小屋はトイレです)

     向白神岳を諦め、ゆっくりコーヒーなど飲んで辺りの景色を写真に収めまして、満足して下山を開始したのが7時40分でありました。
    さて、パッキングの時に昨晩着て寝たダウンジャケットとダウンパンツ、寝袋の湿気の凄さに驚いた訳であります。
    つい最近も船形山の升沢小屋で泊まったのでありますが、汗で濡れたものが凍り付いて固くなる事は有っても、衣類や寝袋が湿気を帯びるなんて事は無かったのであります。
    なんぼ四月になったとは言え、標高1350メートルの山頂小屋で梅雨時の様な湿気に見舞われるとは思っても居なかった訳で、初体験でありました。
    まあ、見方を変えると、船形山の升沢小屋の快適性と言うのが飛び抜けていると言う事な訳でありますね。
    升沢小屋へ行くと「長期滞在はご遠慮願います」の張り紙が有る訳ですが、夏場、あの小屋なら住み着いてしまいたいと思うのは、大いに納得であります。

    向白神の尾根の間に岩木山が見えています。

     そんな訳で、絶好の天気の中、後ろなど振り返る事の無い私が辿って来た道を眺めつつ、かつて無い程に名残惜しさを抱いて下って行く訳であります。
    独峰では無いのだけれども、海抜ゼロから立ち上がる山並みの一番前と言う事で高度感が抜群な訳でして、この眺めが下る事を拒んでしまうのでしょうか?
    ゆっくり、ゆっくり、辺りの景色を眺め、地図を取り出して二股コースの尾根など確認しつつ、森林限界の急傾斜を気持ち良く下りました。

    森林限界付近から下って来た道を振り返ってみました。

     程なく、森林限界からブナの林立するなだらかな尾根に入った標高950メートル辺りに、オレンジ色のテントが一張り有りました。
    ああ、昨日の3人組はここまで下って泊まった訳だ・・・ここでのテント泊も楽しそうだったなぁ・・・やっぱし、ここはまた来るな、次はここだな、なんて考えながら素晴らしいブナ林を下り続けたのであります。
    さて、間もなくマテ山へ登る手前から夏道を降りる頃だな、と、気をつけて歩いておりますと、ナニやら赤テープが急斜面を下る方向に打たれているでは有りませんか。
    おんやぁー・・・しかし、地図では夏道の分岐はまだ先なんだが・・・だが、ほとんどの踏み跡はこちらへ向かっているな・・・ウム、ショートカットであるな、と判断してそちらへ、と。
    一見してスノーシューは危険と判断し背中に括り着けましたが、さて、アイゼンをどーする?で迷う所でありました。
    粗方ザラメの氷り雪なんでありますが、所により本気で凍って居る所も有る訳です・・・まあ、気温高いし、下るんだから要らないな、と。
    しかし、歩き始めますと、これがまた素晴らしく急な下りでありまして、大変なモノなんであります・・・そうですね、泉ヶ岳表コースを2割増にして下さい、と言う感じでしょうか?
    で、ジグザグの正規の夏道に向かって真っ直ぐ駆け下りると言う、積雪期特有の近道なのでありましょうが、まず、辺りの雑木もひねた木が多く、こりゃぁたまに雪崩れてるんじゃないのかぁ、なんて思う訳であります。
    しかも、ここから二股の分岐に出るまで、ずーっと日陰の谷側を行く訳で、残雪が多いのであります・・・行きに登った冬道の方が日当たりが良く雪は格段に少なかった。

    最後の水場と呼ばれる場所。標高は550でこの程度の残雪でした

     最後の水場を過ぎると、残雪が有ったり無かったり、陽当たりの差で変わる訳ですが、これが結構鬼門でありました。
    狭いトラバース気味の夏道に残雪が残っているんでありますが、雪が中途半端なので足場が取れないでズリ落ちる訳です。
    ピッケルなりストックなりで斜面に支点を取り、三点確保の芸など出来ると良い訳ですが、この山はひょっこりと難度の高い技を要求して来るようであります。
    で、思ったんでありますけど、ゴールデンウィークには老若男女の登山者が列をなすそうですが、ここは決してお手軽なナンチャッテ登山は通用しないと思う訳であります。
    まあ、距離と標高から、登っちまえばなんとかなる、とも言えなくも無いですけど、残雪有ったら手強いです。
    と、言う事で、マテ山下の稜線から下り始めてからは、全く気の抜けないとても疲れる下りでありまして、二股の分岐に出た時には、下山ですとは思えない疲労感に襲われておりました。
    天気は、九時過ぎ頃から崩れて参りまして、山頂は黒い雲に覆われ、早めに下山を決めて正解であったな、と・・・。
    記帳所で下山の時刻を記入し、駐車場到着は11時丁度でありました。


     いやぁー・・・白神岳は、タフでありました。


     この話 完


    まあ、適当に書いてますんで、間違いが有っても見逃してやって下さい・・・


    ご意見ご感想は 承っておりませんが・・・


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