写真で綴る山日記

 

〜船形山系 保野川源流〜

  2009年06月28日  晴       (写真はクリックで大きくなります)

 船形山は・・・晴れていました。
 数日前の週間予報では「曇り/雨」となっていたんでありますが、見事に晴れまして、緑濃い沢歩きを満喫した次第であります。
今回の沢歩きについて「船形山のブナを守る会」の案内には、健脚者向けと謳われている訳です。
うーん、私が健脚に混じって良いものか、一抹の不安は有ったんですけれども、まあ、地図を見ると距離も標高差もないし、と言う事で参加させて頂く事に・・・。

 いつものように大和町のまほろばホールの駐車場に集合し、数台の車に分乗の上、登山口の大滝キャンプ場を目指しました。
私はこの登山口は始めてでして、非常に良く整った環境にちよっと驚きでありました。

 さて、本日のコースや注意事項などのお話が有って、いよいよ沢へ降りた訳であります。
この時のコース説明では、ナメ滝が軽く有る程度で、ザイルは持っているけれども、まず、必要無いでしょう、との説明でありました。
成る程な、やっぱりそう言うコースか、と、内心ちょっとガッカリでは有りますが、総勢30名にもなる訳ですから、そんなハードな所へ踏み込む訳も無い訳です。
私也の下調べ、と言いましても地図を読んだ程度ですけれども、滝のマークも無く、岩場マークもほとんど無い、静かな沢と言う認識で有りました。


 


 さて、いよいよ沢に降りる所で、世話人のTさんから、温度は低いが硫黄を含んだ温泉が湧き出している所が有る事を教わった訳であります。
私としてはこれはかなりな衝撃のショックであります・・・なぜならば、船形山は年寄りの火山で、とっくに眠り続けている物だと認識していたからであります。
  そして、その場所は見事に硫黄臭が漂い、辺りの石は硫黄で黄ばみ、まさに硫黄の温泉そのものだったのであります・・・感激です。
これはアレです・・・温泉ハンターとしての側面からも見逃せない事実でありまして、夏の真っ盛り、暑い日を狙って「野湯」に入らなければならないと言う事にな訳であります・・・現実的・技術的には相当な困難が伴う物であろうと予想されますが。

 そんな場所を眺めつつ、晴れて空気も乾き、気持ちの良い穏やかな渓相の沢を、賑やかに登って行ったのであります。
参加者が30名にも上り、しかも、相当に平均年齢の高い集団でありますから、ちょっとしたネックが有っても通過に手間取る事は容易に想像がつく訳であります。
なので、このような穏やかな沢を選んでいるのだろうな、と、とても歩きやすい足場を踏みつつ、それぞれ軽快に沢を詰めて行くのでありました。



 

 私がこの会に参加させてもらうようになってこれが4度目であります。
なので、多少は雰囲気も掴めておりますし、どのような方々が一緒に登るのか、事前に見当もつく訳であります。
で、雪山の時にもその出で立ちや履物の多彩さには驚いたんでありますが、今回もそれは同じでありました。
高級な沢シューズと言う専用靴を履いている人と、沢タビと言われる、一応現代的な沢用の履物で足を固めている人が、今時の沢では普通なようであります。
しかし、3月の雪山をスパイク長靴で登ってしまう人達は、今回も長靴一丁で登り切ってしまう訳です。
そして、雪山で古典的な木製のワカンを履いていた面々は、今回は地下タビにワラジを履き、由緒正しい日本の沢登りスタイルで登場であります。
たった4回しか参加していないんですけれども、私はこの会の山行には諸手を上げ、何の異議もなく参加させて頂きたいと思う訳であります。
案内では、フェルトの沢タビかワラジを着用の事となっていましたが、現場では、様々な履物での参加者があり、中には不都合と思われる方が見受けられたとしても、それは自己責任と言う事で触れもせず、なのであります。
しかし、この緩さ、大人の自由度が無かったとしたら、たぶん私は続けて参加する事は無かったでありましょう・・・なんちゃって。
で、大人の自由度は、随所に発揮されまして、朝の説明ではナメ滝(平で緩やかな傾斜の滝)しか無いはずの保野川に、見るからにちゃんとした滝が現れたりする訳です。
もっとも、この程度の滝では地図には載らないんでしょうし、まあ、登って行く方も危なげも無く、楽しいものであります。




 その後も落ち着いた渓相で、危ない所も無く、しかし、釜のへつりなどもあって中々楽しい沢歩きが続く訳であります。
何よりも晴れて気温が高い為に沢水に足をつけても冷たく無く、思い切り水の中を歩けるのが最大の喜びで有りました。
で、私、会得しました・・・濡れまいと思うと危ない・・・落ちる前に自分から入れ、と言うのが沢では良いようであるな、と思ったのであります。
まあ、釜に飛び込むとか、水量や深さも見極めずにジャブジャブ行くのもナニでありますが、基本は、水の中に有るのでは無かろうかと気付いた訳であります。

 さて、詰めるに従い分岐が多くなって来まして、年齢的にも幅のあるパーティーなので、先頭と最後尾がだいぶ間が空くなどで注意が必要になったりする訳です。
しかし、要注意箇所では先行者が後続を待って指示を伝えるなど、基本はしっかりと守られ、けっこう本格的になって来た保野川源流を楽しんでいた訳であります。
さてさて、思ったより時間がかかっているなぁ、ここは何所だ、なぁーに、もうすぐ詰め切るだろう、と歩いて行きますと、本日のハイライトとなる大きな滝が現れた訳であります。
ベテランさんが、どこから登ろうか?いや、巻いて行くべきかと思案する、本物の滝が出現したのであります・・・地形図には記載が有りません。
しかし一行は行く手に立ちはだかる滝を前に、実に能天気でありまして、動じるどころか嬉々として滝を眺めている訳であります。
まず、実年齢はともかく、楽しむ事にかけての年齢は、少年少女であります。
 






 ああだこうだと協議しているうちに、一名のベテランさんが左側から取り付いて登り始めました・・・このルートは上で手かがりが無く、行き詰まりました。
別なベテランさんが右側から取り付き、行き詰まった人へお助けロープを出すべく登り切りました。
しかし、お助けロープの長さが僅かに足らなくて、結局はもう一人、ザイルを持って登る事になった訳であります。

 その間に、その他のメンバーは高巻きして行く事に決まり、手前の草付きから滝を巻くべく登り始めた訳であります。
しかし、高巻きのコースもほぼ垂直に近い壁をよじ登らなければならず、それなりに難所でありまして、私もかなり力んだのであります。
うーん、これは、けっしてナンチャッテ沢登りのレベルでは無いなぁ・・・まあ、危ないレベルでもないけれど、と。
結局私も高巻きしたんでありますが、本当はザイルが降りた来るのを、ワクワクと心待ちにしていた訳であります。
で、高巻きの前にリーダー格の人から、フェルトの沢靴は草で滑るから、下山に使う予定で持って来ている登山靴に履き替えろ、との指示が出た訳です。
しかし、私はその指示を聞き漏らした振りをして沢タビで草付きの急斜面に挑んだ訳であります・・・結果は、大きく後悔致しました。
一番ヤバイと思ったのは、滝の上部10メートル位のところをトラバースした時、笹竹に乗ったフェルトの沢タビは滑るなんて生易しいもんでは無い訳で、リーダーの指示を無視した生意気なバカの末路・・・転落が一瞬頭を過った次第であります。





 







 この会の世話人で、一番若手のTさんがザイルを持って登っているんですが、このザイルは何所にも確保されていない訳で、落ちたら痛い訳です。
しかし、実に的確に足場を決め、ホールドを探し、危なげなく登って行くのであります。
私も後に続きたかったんでありますがぁ。















 こんなに立派な滝なんですが、地形図には載っていない訳です。
アレですか?夏場になったら水量が減って滝では無くなると言う事なんでしょうか?
もっとも、この場所は地形図では水が流れているとは書いていない訳で、やっぱりそう言う事なんでしょうか?
さて、一番上から下まででは10メートル以上は確実にある滝なんですが、Tさんがザイルを持って登り、左から攻めて行き詰まった人も登り切り、高巻きチームも全員無事に揃った所で再度、終点の升沢小屋を目指した訳であります。
いや、返す返すも残念であります・・・登りたかった・・・一人で行くしかないね、これは。
 









 


 滝を越えてからは渓相が薮っぽくなって参りまして、おおっ、いよいよ詰め切るか、と言う雰囲気になってまいりました。
  保野川はちょうど升沢小屋の裏を流れている訳であります。
なので、最終目的地は升沢小屋と言う事で、11時には着くでしょう、なんて言っていたんでありますが、到着は12時30分頃になっておりました。
滝から上は、所々に僅かではありますが残雪が見られたり、南蔵王ではもう散っていたイワカガミが見頃であったりと、これまた楽しい沢歩きでありました。
この沢は傾斜で上がるのでは無く、大小の滝で高度を上げる感じでありまして、歩き自体はとても楽でした。
滑る岩も少なく、危ない箇所もほとんど無く、まるで私が足慣らしをするのを待っていてくれたかのような沢でありまして、満足度120パーセントでありました。

 升沢小屋の前でお昼御飯にして、1時10分に小屋を出発。
三光の宮の手前の分岐で小休止の際には、お参りに行く人と、腰を据えて休む人に分かれたんでありますが、休むよりはゆっくり歩いていたいと思う訳です。
ナンと言っても蚊や虫に攻められる訳でして、落ち着いて休憩も無いのであります。
出発点の大滝キャンプ場には2時30分の到着で、本日の楽しい沢登りは終了でありました。







 この話 完


まあ、適当に書いてますんで、間違いが有っても見逃してやって下さい・・・


ご意見ご感想は 真摯に承っております・・・


INDEXに戻る 次のページへ