23 Nov 98 - 31 Jan 99


頭木 23 Nov 98 00:16:28

掲示板の調子が悪くなり、初期化しました。

書き込みをしていただいた方、たいへん申し訳ございません。
データは保存してありますので、いずれ過去ログとして表示できると思います。
これからもご意見・ご感想をどうぞよろしくお願い致します。

頭木 23 Nov 98 01:02:02

最後の書き込みは、
ごとうさんの「解釈」に関するものでした。
ありがちな最悪の解釈とその批判の好例としては、
「裏切られた遺言」クンデラ集英社の
163ページ〜167ページがすごく面白いです。
笑えます。
わりと書店に置いてある本ですから、
みなさんもぜひ見てみてください。

頭木 23 Nov 98 01:07:55

文芸評論家の加藤弘一さんが、
有名な「ほら貝」のリンク集の解説で、
ほめてくださっています
嬉しいのでリンクしてしまいました。
(ドイツのところです)


tomoko 26 Nov 98 12:02:13

カフカの評論と翻訳、面白かったです!
今までカフカはなんだか難しそうで、読んだことなかったんですけど、
ほかのも読んでみたくなったんですが、
おすすめは何でしょう?
それと、できたらどの翻訳がよいかも教えて下さい。

頭木 26 Nov 98 23:20:28

tomokoさん、こんにちは。
書き込み、ありがとうございます。
カフカの作品は、ぼくはすべて好きなので、すべておすすめですが、
最初はやはり定番ではありますが、「変身」がいいのではないしょうか。
カネッティは奇跡的な名作といっています。
あと、長いですが、「城」は後期のカフカのよさがみち満ちています。
それから、個人的にすごく好きなのは、
断片です。
カフカにはタイトルもついていない断片がたくさんあり、
これがこたえられないほどイイのです。
ただ、これは全集でなければちゃんとは読めず、
その新潮社の「決定版カフカ全集」も、
今はセット販売のみで、しかも品切れ寸前ではないかと思います。
翻訳のよしあしについては、
こういうところで書いていいものかどうかと思いますので、
直接メールさせていただきます。

江川 28 Nov 98 23:37:36

カフカの変身ほどの完成度の高い作品は、他に見当たりません。
始まりから終わりまでの一字一句がすべて現代という時代の正体
を余すところなく必要十分な語句で暴露しています。
これをもっと人生の早い段階で読みこなしていたら私も違った
人生を送れたのに、と思っています。
これ以上の作品は他の誰も書けない。現代人から職業と家族をうば
ったらただの虫であるということを描いているわけですが全くその
通りであります。ハエがもっている遺伝子と我々がもっている
遺伝子は何の違いもないもです。我々の実存はハエである。
実存主義の不毛を書いているといってもいい。

頭木 29 Nov 98 01:09:54

江川さん、はじめまして。書き込みありがとうございます。
ぼくも「変身」は完成度の高い作品だと思います。
それでもカフカ当人は、日記の中で、
「『変身』に対するひどい嫌悪。とても読めたもんじゃない結末。
ほとんど底の底まで不完全だ。当時、出張旅行で邪魔されなかったら、
もっとずっとよくなっていただろうに」(「決定版カフカ全集」新潮社)
なんて書いてます。これは意外に思われる方が多いのでは?
それでも、多くの作家たちも言っているように、これは最高傑作だと思います。
にもかかわらず、カフカの目指したところは、さらに高いということでしょう。(!)
ところで、tomokoさんからの質問のとき書き忘れましたが、
カフカが自分で最もよくできたと思っていたのは、
「火夫」(アメリカの第一章)のようです。(日記に何度もそう書いてあります)
さらにいえば、「判決」「変身」「流刑地にて」「断食芸人」もいちおうよしとしています。
(このことについては、ちゃんと書こうとするとかなりこみいるので、詳細は省きます)
「流刑地にて」については、
「紛れもないうち消しがたい欠点を除けば、必ずしも完全には不満ではない」
と日記に書いています。どこが欠点なのか?
また、「(カフカの中の)二つの要素――『火夫』と『流刑地にて』に最もはっきり認められる」
なんて記述もあります。この「二つの要素」とは? 面白いテーマです。

日記や手紙の記述をともに、
「カフカ自選集」なんて本を出すと面白いと思うんですが。
カフカが高く評価した順に作品を配列して、カフカ自身の評をそれぞれ付ける。
一冊ですむ分量ですし、興味深いものになるのでは。
どこかの出版社の方、新訳でやらせてもらえませんか?

ところで、「火夫」の話から連想的に思い出しましたが、
「アメリカ」は、ストローブ=ユイレによって映画化されています。
これはなかなかです。こういう映画もあるんだなって思いました。
評論でも書いたように、すぐれた小説の映画化は必然的に失敗作になるんですが、
例外を認めないわけにはいきません。
この監督の「アンナ・マグダレーナ・バッバの日記」という映画が
衛星第二で、12月7日(月)の深夜に放送されます。
こんな前衛的な作品を流すなんて、NHKも勇気があるなぁと驚きました。
ぼくはこれは観てませんが、
バッハの時代の古楽器による、名手レオンハルトの演奏を聞くだけでも、
観る価値があるそうです。

江川 29 Nov 98 08:59:46

返信ありがとうございます。頭木さん自身についての情報を
読んだのですが、好きな作家、趣味など私とかなり共通して
いて興味ぶかいものです。私も約10年前大学生でして
その時文学にかなり深く入り込み現在に至ってます。
しかし文学はぼくから快適な社会生活を奪ってしまった。
文学というジャンルは玉石混合で、ピンからきりまで
あります。それで僕にもできるかと思っていたのですが
カフカの作品を読むとほとんど奇跡的、バッハのバイオリン
独奏のシャコンヌみたいなものでこれほどの作品を読んでし
まってさらに私がなにかかくことがあるか?というような
状態です。カフカのように書く。それがこの数年の私の
願いなのですがとてもできない。しかし読んでしまったので
もう後戻りはできないし今は放心状態が続いています。
日本の作家ではただひとり阿部公房だけを私は辛うじて
認めています。
頭木 29 Nov 98 11:41:53

江川さん、書き込みありがとうございます!
けっこうたくさんの人は見に来てくれているのに、書き込みは少なくて、
さびしく思っていたところです。

みなさんも、どんどん書き込みお願いします。

江川さん、趣味も似ているとは珍しいですね。
石丸とかで現代音楽のCDと落語のCDを買ってひとつの袋に入れて持っているときなんか、
この組み合わせで買っていくのはオレだけかもなんて思ってしまいます。

「日本の作家ではただひとり安部公房だけを辛うじて認めています」というのは同感です。
でも、川端康成の後期、「眠れる美女」「片腕」とかは素晴らしいですよ。
ずっと「伊豆の踊り子」とか「雪国」の一般的なイメージがあって読んでなかったんですが、
マルケスがいちばん好きと言っているのを読んで、最初はマルケスでさえ芸者とか着物とかに
負けるのかと悲しく思ったんでが、もしかしたらと思って読んでみて、とびあがりました。
今は大好きです。「掌の小説」もいいですよ。

あと、中島敦は、これまたスゴイです。さすが日本で最初にカフカを評価しただけあります。
漢文の知識と、カフカなどの西洋の知識をどちらも豊かに持っていて、独特の世界があります。
この人が早死にしていなければ、どんなことになっていたか。つくづく残念です。

それから、これは個人的に好きなのですが、牧野信一。坂口安吾を世に出した人ですが、
ぜんぜん上です。最初は私小説なのですが、途中、独特の世界にたどりつきます。
この人も漢学の知識と、ギリシャ神話などの西洋の知識がどちらも豊富だった人で、
それが作品に活かされています。(文化のぶつかるところって、いいのかな?)

「これほどの作品を読んでしまってさらに私がなにかかくことがあるか?」
という気持ちはとてもよくわかります。
たしか、ムツゴロウが、東大在学中に同じ東大生だった大江健三郎がデビューし、
それを読んで、才能の違いに圧倒されて、小説家になるつもりだったのをあきらめた
というようなことを書いていたと思いますが、身近から出るととくにきついでしょうね。
(デビューした頃の大江さんの作品は新人らしい瑞々しい才能に満ちあふれていますよね。
「芽むしり仔撃ち」は、才能とはこういうものだという見本のようです)
しかし、「カフカのように書く」というのはどうでしょう?
ひとつの方法は必ず行き詰まります。新しい方法(技法という意味ではなく)の発見こそ
大切なことだと思いますが。(なんて、えらそうですが)
カフカの日記の1912年9月23日に、カフカが彼自身の方法に到達した瞬間、
つまりカフカがカフカになったときの感動的な記述があります。
これはぜひ読んでごらんになるといいと思います。
一度読んだら、ちょっと忘れられないですよ。

頭木 07 Dec 98 00:24:04

下にも書きましたが、
ストローブ=ユイレの「アンナ・マグダレーナ・バッバの日記」という映画が
衛星第二で、いよいよ明日12月7日(月)の深夜に放送されます。
いったいどんなだか、楽しみに観るつもりです。

風見梢太郎 08 Dec 98 13:52:52

初めてこのページを訪問いたしました。風見ともうします。
生計のためほかに職業をもっておりますが、自分の仕事は
小説をかくことだと思っています。

「訴訟」の新しい翻訳、読ませていただきました。
面白かったです。無料でこういうところに掲載するのは
もったいないくらいですね。
カフカについてはあまりたくさん読んでいるわけではない
のですが私は「城」という作品がとても好きです。特に冒頭
の部分は何度読んでもあきません。

一つ質問。作品で見る限り、カフカは仕事、職業というものを
非常に尊んでいるように読めるのですが、実際の生活の中では
作品を書く妨げになる、と嫌悪しているようですね。
このあたありのこと、何かヒントになるようなことがあれば
お教えください。

私、狭い意味のリアリズムの小説を書いています。現実には
起こり得ないようなことは作品に書いたことはありあません。

現実には起こり得ないことを書くことによってしか表現できない
もの、それは私の小説の対極にあるような気がして、それだけに
興味がありあます。

まとまりのないことを書きましたが、すばらしいホームページに
出会えたことを記念しての書き込みです。

頭木弘樹 08 Dec 98 23:20:02

風見さん、書き込み、ありがとうございます!
ダウンロードして、読んでいただいて、また書き込みに来ていただけたようで、
感謝、感激です。

「城」はぼくも大好きです。何回か読んでますが、毎回ちがうシーンが強く焼き付きます。
一度焼き付いたら二度と離れることのないほどのイメージを創り出していて、
カフカはやっばりスゴイと思います。

>作品で見る限り、カフカは仕事、職業というものを非常に尊んでいるように読めるのですが
筒井康隆が、作品の主人公にカミュをバカにさせたら、吉本隆明に「筒井はカミュがわかっとらん」
みたいなことを言われて弱った、というようなことを何かに書いていましたが、
カフカの小説の主人公は、カフカ自身のようによく言われますが、
作者と作中人物を同等視することは、私小説においてさえ、してはならないことだと思います。

>実際の生活の中では作品を書く妨げになる、と嫌悪しているようですね。
めちゃめちゃ嫌悪していたようです。
仕事さがしのときも、とにかく就業時間が短いものという基準で選んでいます。
日記には仕事のグチが山ほどあります。
結核になったときも、これで仕事をしなくてすむと喜んでいるくらいです。
カフカとしては、とにかく書く以外のことは何もしたくなく、
他のことをすることはすべて、書くことの邪魔になると思っていたようです。
結婚を避けた理由の大きな一つも、書くことの邪魔になるということです。

>このあたりのこと、何かヒントになるようなことがあればお教えください
質問にお答えしたいのですが、どういうことを答えたらいいのか……
できれば、もう一度、もう少し詳しく質問していただけるとありがたいのですが。

>狭い意味のリアリズムの小説を書いています。
狭義のというよりは、19世紀のリアリズムということだと思います。
現在、リアリズムそのものと思われているのは、19世紀のリアリズムにすぎず、
それからすると、カフカはリアリズムの小説家ではないことになりますが、
リアリズム本来の意味からいえば、
カフカはリアリズムの作家で、そこにあるのは新しいリアリズムです。
作家の役割は、新しいリアリズムを創造することにあると思います。

なんかやたら偉そうに書いてすみません。
いちいち(とぼくは思います)とつけてもうるさいので、勘弁してください。

ところで、現実には起こり得ないことは書かないといえば、日本には私小説という、
ものすごいジャルンが存在したわけですが、
その中にもいいものはあったようで、
たしか安部公房が、島尾敏雄の「死の刺」をほめてました。
(島尾敏雄の夢の話が面白いです)
あと、牧野信一の私小説は、ものすごく惹かれました。
(いちばん好きなのは私小説ではないあたりで、「帖てと月光と」なんかですが)

江川昌文 08 Dec 98 23:35:22

お返しの言葉が遅くなってすいません。
私はドイツの文化が好きです。頭木さんはドイツ語ができてうらやましい。
19世紀そして20世紀前半まではドイツ語圏の学芸、文化は世界の中
心でしたが第二次世界大戦後信じられないくらいのドイツの後退は悲しい
ことです。ナチズム全体の功罪はわかりませんが少なくとも文化面での
荒廃は全人類的損失といえるでしょう。アメリカを中心とした英語圏に
文化の中心がシフトした現在はいたるところに文化の後退が見られませんか?

風見さんへ。私も昼間はアルバイト、
これはそれほどきつい仕事ではないのですが、アパートに帰る
と食事の準備等で自分の自由になる時間はあんまりとれません。
小説を書くという行為はご存知とは思いますが時間がかかる
ことですよね。私なんか5時間かかって原稿用紙3枚程度。
現在は前にも言ったようにさっぱり書けなくて少々参ってます。
カフカも昼間は保険局の事務なんかして全く無駄な(文学的に)
時間を過ごすことがいやだったのではないのですか?
私も昼間の時間は耐え難いもったいない時間なのです。

川端、中島の推薦ありがとうございます。今度ぜひ読ませていただきます。
風見梢太郎 09 Dec 98 10:40:28

さっそくレスポンスありがとうございます。

「何かヒントになること・・・」
は大した意味はありません。書き込んでいただいたことで
十分です。「城」の中で、エルランガーというもの凄い事
務能力を持った人物が実に生き生きと描かれていたので、
カフカはこういう事務的な仕事に愛着を持っていたのだと
思っていました。それでカフカ自身の言葉がやや意外だっ
たのです。

ところで、中島敦が日本で最初にカフカを評価した、という記述が
ありましたが、それは知りませんでした。そうか、それで「山月記」
に虎になってしまった人が出て来るんだ。これは「変身」の影響です
ね、絶対。
島尾の「死の棘」は好きではありませんが、すごい、と思います。あれ
自分の体験じゃないそうですね、そこがまた凄いですね。

江川さんへ。
売れっ子の作家でないかぎり、仕事との両立は永遠の課題ですね。
でも、いろんな仕事をわたりあるいたりした人がそのことを材料に
いい小説を書くこともあるようですね。私なども、会社の中のこと
を書いた作品が多いので、全くじゃまになる、ということではあり
ませんが・・・・。確かに時間的には大変ですよね。

>日本の作家ではただひとり阿部公房だけを私は辛うじて
>認めています。

江川さんは、恐い人ですね。うーん。どんな作品を書かれるのかしら。

私の作品は一部インターネットで公開しています。みなさん、もしよろ
しければ遊びに来てください。

http://www2.big.or.jp/~kazami/

です。




頭木 09 Dec 98 20:22:33

>中島敦が日本で最初にカフカを評価した
最初に翻訳もしています。アフォリズムの一部です。中島敦の全集で読めます。

>「死の棘」は……自分の体験じゃないそうですね。
これは知りませんでした。てっきり自身の体験をもとにしているんだと思いました。

頭木 09 Dec 98 21:32:28

下に書いた、ストローブ=ユイレ監督(夫婦2人)の
映画「アンナ・マグダレーナ・バッバの日記」、観ました。
ちょっと感想なんぞ。

いや〜、感心しました。
●まず、人生ではなく、音楽を撮っていること。
バッハの伝記映画なんですが、
音楽家の(音楽家に限らずですが)伝記映画といえば、たいていの場合は、
恋愛とか、挫折と成功とか、栄光と苦悩とか、
その人の人生の中で、いいドラマになりそうな出来事を描くことが主で、
音楽はその伴奏、まさに映画音楽でしかなくなることが多いわけですが、
それが、この映画はまったく逆なのです。
映画で取りあげられるのは音楽です。

映画の最初から最後まで、レオンハルトがほとんど切れ目なく弾きまくりです。
それをずっと映しているシーンが大半を占めます。
バッハの人生は、奥さんのナレーション(日記の朗読)で語られるだけです。
子どもが何人も死んだり、大いなる挫折があったりしても、
「○○が死にました」とか語られるだけです。
バッハの人生はドラマに満ちていますが(恋愛あり、転落あり、いい敵役もいたのに)、
それが演じられることはありません。
ただひたすら演奏シーン。音楽が流れるのみ。
これは素晴らしいことではないでしょうか。
バッハで大切なのは、なんといっても、その音楽です。
バッハ当人にもそうであったはずです。
その伝記映画はまさにこうあるべきだと思わされました。
すぐれた芸術家なら、伝記映画なんか作られたくないでしょうが、
もし作られるなら、こういう映画を望むのではないでしょうか。

●そして、バッハの内心を解釈して描かないこと。
これまでの映画の中で描かれてきた芸術家の苦悩や内心ほど、
誤りに満ちた、俗物的なものはありません。
この映画では、はかり知ることができるはずもないバッハの内心は、
いっさい描かれません。泣いたり笑ったりしません。
内心が語られるのは、バッハの手紙の朗読等でだけです。

●ドラマ部分の演出の素晴らしさ。
この監督は、俳優を使わず、すべて演技の素人を使います。
で、いわゆるドラマ的な盛り上げ演出をしません。
ここで観客を泣かせようとか、ぜんぜんしません。
この演出、カメラワークには、驚く人が多いと思います。

なんにしても、偉さを再認識しました。
ほとんどの観客は最初のうち、このイントロが終わって、いつ本編のドラマが始まるのか
と思っているでしょうが、そのうち、「えっ、このままなの」と驚くことになるでしょう。
いやはや、たいしたもんです。この人が、日本のテレビドラマを演出したら、
キムタクとかが出ていても、NHK教育を抜いて、視聴率最低記録を樹立することでしょう。
他にこの映画を観た方いますか? やっぱりいないのかな?

頭木弘樹 10 Dec 98 10:12:25

このホームページを開設したのが、11月10日なので、
今日でちょうど1カ月経ちました。
これまでに来ていただいた方が、831人。1日平均27.7人。
ダウンロードをしていただいた方が、257人。1日平均8.47人。
これはぼくの予想をはるかにこえるものです。
みなさん、ありがとうございました!

りんぼうがい 11 Dec 98 02:18:24

頭木君、そうじゃのう。
ワシは映画は良く知らんけどレオンハルトのファンなので、
こういう映画があるということはグローヴ音楽事典で知っておった。
公開時、上映されたということだけで感動した。
また、動くレオンハルト、動くアーノンクール
(ヴィオラ・ダ・ガンバのソナタを二人が合奏している!これはレコードでもやってない)
を見て、あああ動いてるーと感激していた。
だもんで、細部はよう覚えとらん。客席でただ音楽だけきいておった。
ところでなにか、対比材料として、駄目な音楽映画の例はないかな。
「ラウンド・ミッドナイト」はまだ見てないんだが。どう?
頭木 13 Dec 98 22:42:14

>駄目な音楽映画の例
 伝記映画の場合は、いいやつなんてないのでは?
 あまりにすごそうでほとんど観てないので、なんともいえませんが。
 音楽映画ということでは、いいものもあるかもしれませんね。
 ただ、ちょっと思い出せるものはないです。
 チャーリー・パーカーの伝記映画「バード」は、音楽的にはいいのかもしれませんが、
 何しろ映画としてヒドかったのを覚えています。
 逆に質問ですが、アルトマンの近作「カンザスシティ」は、
 ある時代のジャズの再現が目的で創られたと聞きましたが、
 この映画のジャズのシーンはどんなもんでしょう?

Osh._mUsUmE\r 14 Dec 98 22:01:49

>◆夢見るように読む

この一節が、ぜひお書きになりたかったこと(のひとつ)と感じました。
すると安部公房のこんな一文を思い出し、、、

「ただし夢というやつは、白昼の光にさらされたとたん、
 見るみる色あせ、変質しはじめる。(中略)
 つまり肝心なのは、笑う月の身元や正体などではなく、
 笑う月そのものなのである。」(笑う月)

「夢の中だけでしか通用しない、夢だけの論理なのだろう。
 それ以上の夢判断は趣味じゃない。」(笑う月)

これは“本当の夢”のことですが、根っこの部分では同じかな、
と思った次第です。

頭木 14 Dec 98 22:02:55

(じつは下の書き込みは、Osh._mUsUmEさんの許可を得て、メールの一部を
掲載させていただいたものです。こちらで返事させてもらいます)

 するどいご指摘で、じつはここを書いているとき、いちばん頭にあったのは、
 安部公房の一節で、それも「笑う月」(新潮文庫)の中のものです。

「夢を書くには一定のスタイルがあり、やはり見たように書くのがいちばんだ。
(中略)作家はその仕事の性質上、とかく言葉のオートマティズムに流されや
すい。(中略)見なかった夢を――それがいかに発明にみちた着想であろうと
――作品を発酵させる発想の種子だと錯覚したとたん、取り返しのつかない衰
弱がはじまるのである。
 まず、見なければいけない。そして、確実に見たかどうかを繰返し自分に問
い質してみよう。見たものと、見なかったものとを、厳正に選り分けて、見な
かったものを捨てることに、ためらいを見せないことだ。(中略)
 書くべき夢は、見た夢であり、だからこそ書くことも可能なのだ」

「阿波環状線の夢」の中の、夢を書き方に寄せて、小説の書き方について述べ
ている部分です。
 この言葉を読んだとき、それまでぼくが感じてきた、さまざまなことを
 見事に結晶化して表現しているように思いました。
 たとえば、カフカをはじめて読んだときびっくりしたことの一つは、
「こういうことは必ずしも書かなくてもいいんだ」ということです。
 どういうことかというと、主人公の名前はKだけだし、どんな顔をしている
のか、どんな体型なのか、どんな服を着ているのか、どういう思想の持ち主な
のか、どういう経歴の持ち主なのか、どこに住んでいたのか、どこにも書いて
ありません。
 それまで、人間が出てくれば、どういう顔をしていて、どういう服を着てい
るということを書くのは、しなければならない、ごく当然のことと思っていま
した。
 このとき小説の自由ということを初めて知りました。(それは同時に、すべ
ての小説家は方法を自覚し、新しいそれに到達しなければならないということ
でもあるわけですが)
 本当に必要なことだけ書く、「見ない夢は書かない、見た夢だけを書く」と
いうのは素晴らしい言葉だと思います。
 安部公房の小説はまさにそういうふうに書かれていると思います。それだか
ら、退屈されられるムダな部分がまったくありません。
 映画とちがって、小説の場合、たとえば見せる必要のない背景や顔や衣装は
見せずにすみます。見せないこと、これは小説の大きな力だと思います。
 なんか話がとりとめなくなってきたので、とりあえずはこのへんで。

Osh._mUsUmE (メールより抜粋) 18 Dec 98 15:10:12

>「カフカ自選集」なんて本を出すと面白いと思うんですが。
>カフカが高く評価した順に作品を配列して、カフカ自身の評をそれぞれ付ける。
>一冊ですむ分量ですし、興味深いものになるのでは。

これ、売り込んでください。私はゼッタイ欲しいです。
でもカフカ本人の評価と、現在までの周辺からの評価とは、ずいぶん違うのでしょう
ね。
せっかくなら、ぜひカフカ自身による「書き方」についての記述も付けてください。
たとえばクラウス・ヴァーゲンバッハの『若き日のカフカ』に出てくる
この部分など、何に出てくるのでしょうか?

「弁証法的な章のどの一節に対しても、それ以外の章で、
 先の一節の支えとなる一節が実証されること、
 しかもその最初の一節からくる負荷を
 それ自身が必要としているかのように書くこと」。
 彼はこの二重のテクニック(叙述−解釈)をしばしば応用したが、
 それが最もきちんと分けて現れているのは『審判』のドームの章であろう。

ためしに角川文庫版・本野亨一訳の『審判』を見てみると、

「そう早呑み込みされては困る、」と僧侶は云い、
「私は、この話のいろいろな解釈を紹介しただけなので、
 そんなものをあまり重要視してはいけない。
 書物は不変であり、解釈などは、
 このことに対する絶望の表現にすぎない場合が多い。」

この“解釈”は、新潮文庫版・中野孝次訳の『審判』では、“見解”となっており。
もともとのカフカの原語は、どんな意味のドイツ語なのでしょう。
頭木さんなら、『訴訟』として、どう訳されますか?

頭木 18 Dec 98 15:11:09

「弁証法的……」ですが、どこに出てくるのか、おぼえがありません。
 正直言って、この「」の中は、何を言っているのか、わかりません。
 こんな文章をカフカが書くとは思えないのですが……
 クラウス・ヴァーゲンバッハの『若き日のカフカ』はじつは読んでません。
 どうですかこの本?
「彼はこの二重のテクニック(叙述−解釈)をしばしば応用したが」
 っていうのも疑問だけど。

「解釈」に関しては、原書は見てませんが、
 文脈からいって、「解釈」でいいのではないかと思います。

 それにしても、
 いろいろ読まれていて、驚きました。
 同じ「審判」で、訳者ちがいのものを持っておられるとは。

Osh._mUsUmE (メールより抜粋) 18 Dec 98 15:11:54

リアリティ、リアルとしての抽象。
それもカフカによる発見/発明のひとつかな、と思いました。
ボルヘスが、こんなことを書いていますが、

 朦朧とした冒頭は、カフカの小説を真似ようとしたもので、
 終結部は、チェスタトンかジョン・バンヤンの
 法悦境に到ることをめざしたが、あきらかに失敗した。
 わたしにとって、こうした啓示は、生涯、身分不相応のものらしいが、
 それを夢想することにはどうやら成功した。(砂の本 後書き「会議」)

カフカにおける抽象は、決して“朦朧”としての抽象ではなく、
読み手の想像力に訴える手段として具体的な描写をしない、
という作家がいますが、そういうものでもなく。
比喩のようにイメージを置き換えて伝えるのではなく、
イメージ自体を純粋に伝える、そんな抽象であるような気がします。
Kとフリーダのセックス描写(もちろんクンデラ訳)も、そのひとつでしょうか。
しかし、クンデラ訳で、ようやく分かったという。。。
そこでは見知らぬという感情のために息がつまってしまわないではいず、
しかもその異郷のばかげた誘惑にとらえられて・・・
これが、同じ部分だとは思えませんよね。
やれやれ。

頭木 18 Dec 98 15:12:46

「砂の本」も読んでない……
 どうですか、これ、面白いですか?

>イメージ自体を純粋に伝える、そんな抽象であるような気がします。

 すぐれた小説はつねに、「現実とはこれこれこういうものだ」
というふうに言葉に置き換えることのできない、
 ある具体的なイメージでしかとらえることのできない現実を
とらえているものだと思います。
 そこにこそ、小説の存在意義があるわけですし。

 評論のせいで、カフカの小説は非常に観念的にイメージされがちですが、
 じっさいに読んでみれば、
 カフカの小説ほど具体的な描写に満ちたものはないのではないでしょうか。
 非常に詩的ですが、いわゆる詩的な表現はいっさいありません。
 たとえば、「眠りの乳房にすがりついた」といったような表現や、
「村は谷間にひっそりと眠っていた」といった擬人法も決して使ってません。
 観念的なところもいっさいありません。
 つねに具体的に状況が描かれます。隠喩も詩的な味付けのためではなく、
状況の把握のためだけに使われます。

「裏切られた遺言」を読まれたようですね。
 訳についてのクンデラの評論は、
 カフカの文章論としても、出色だと思います。

Osh._mUsUmE (メールより抜粋) 18 Dec 98 15:13:26

お知らせをいただく前に、ストローブ=ユイレの項を拝見しました。
「見られなくて残念!」が大増幅、です。
ところで彼らは、シェーンベルクのオペラを映画化したりもしてるんですね。
安部公房の好きなミュージカルも“総合芸術”として捉えられていますが、
ふと音楽と視覚(化)の関係とは何だろう、と思い。


 ときには、映像は音のあとについて、
 第二義的な役割を果たすが、その逆はあり得ない。
 音−−これは、スクリーン上に現われる単なる挿絵よりも、
 大きな何ものかである。

                       タルコフスキー

頭木 18 Dec 98 15:14:00

 キアロスタミというイランの監督がいて、ぼくは好きなんですが、
 この人がまた音にこる人で、
 そのシーンの360度の自然音を必ずちゃんと入れるようにしているそうです。
 音がちゃんと録音できてなかったというので、
 その季節がまた来て音が撮れるまで1年待ったという話もあるようです。
 この自然音がきっちり入っているのが、非常に効果的です。
 この監督は音楽が非常に好きらしいですが、
 映画には音楽は特別な場合を除いて、まったく使っていません。
 撮影に行くときには、「撮りに行こう」ではなく、
「録音に行こう」と言うそうです。

Miyuki Ayakawa 18 Dec 98 23:50:02

 大学の授業で「文学の世界」というよく分からない授業を選択してしまいました。ドイツ人の教授が、目を輝かせながら、ものすごいドイツ悟臑りの英語でひたすらカフカについて語るという授業です。
 「変身」を高校時代に読んだぐらいしかカフカに関する知識の無い私は、学期末に提出させられる、カフカに関する自由テーマの6ページの英語レポートのことを考えるだけで、今から胃が痛んでいます・・・・。
 今日、さっそく図書館でフランツ・カフカ論(谷口 茂著)を借りて読み始めたところです。
 こんな私ですが、2ヶ月後のレポートを無事提出できるように、御声援お願いします。おすすめの伝記などありましたら、ぜひ教えて下さい。

    



頭木 19 Dec 98 11:15:33

Miyuki Ayakawaさん、書き込みありがとうございます。
面白そうな授業ですね。
カフカの伝記的な内容も豊富で、なおかつ素晴らしい評論として、
なんといってもおすすめは、
「もう一つの審判」エリアス・カネッティ 法政大学出版局 です。
カネッティはドイツのノーベル文学賞受賞作家ですから、
引用とかすると、先生の気にも入るのでは?(英訳もあると思います)
検討をお祈りします。
なにか質問等あったらまたご遠慮なくお願いします。

BELLA 20 Dec 98 03:54:31

とても興味深く拝見しています。
私は大学時代(今を去ること12年くらい前)からカフカを読むようになりました。なぜカフカが好きなのか、表現力がないのか批評力がないのか、自分でも良く分からないのです。しかしカフカが私の何かを突き刺し、私の人生のどこかを変えたと思っています。
頭木さんのおっしゃるとおり、良い本というのは私たちを非常に不愉快にします。
私にとってのそのような作家は、カフカに次ぐものとして、ボルヘスやデュラスが上げられます。これらの作家の作品は、読むと苦しいのであまりたくさん読めないのが困ります。それでも読まねばならない、それが人生だからです。
なんちゃって。
頭木 20 Dec 98 10:45:59

BELLAさん、書き込みありがとうございます。
大学を出てからもずっと読まれているというのは珍しいですね。
昔は、大人になると本を読まなくなっていくのを不思議に思っていましたし、
心底バカにしてましたが、
自分にもちょっとその傾向があり、悲しい……
ロブ=グリエはそれを、現実把握の時期をすぎ、現実認識が固定化されたのだとし、
「最近は現実にしか興味がなくなってきてね」なんていう中年ほど、
この先、新たな現実をつかみことのできない、その可能性さえ失った人間はいない
としています。
サッスクの本に、現実認識のできない生涯を持つ少女が、物語にひたっている間だけは、
自分をとりまく世界とおりあいをつけて、のびのびとすることができる、
という観察が載っていますが、
けっきょくは現実そのものは把握できないわけで、
ある種のとらえ方(物語)の中でしか生きていけないのは健常者も同じことで、
そのとらえ方が固定されてしまうのは、
決まった道しか歩けなくなってしまうのは、悲しいですね。

BELLAさんは、カフカのどの作品が好きですか?
あと、ボルヘスってぼくはじつはあんまり読んでないんです。
どの作品が面白いか、よかったら教えてください。

頭木 20 Dec 98 10:47:46

カウンターがついに1000をこえました。
ダウンロードの300をこえました。
丁度、開設して1カ月と10日です。
こんなに来ていただけるとは思っていませんでした。
みなさん、ありがとうございました!


大曲 20 Dec 98 23:25:41

カフカの文章はリアリズムですがその作品全体はシュールリアリズム
の文学と認識しています。これができるのは今のところカフカしかいない。
というかシュールレアリズムの唯一の成功例と思えます。
カフカの最も素晴らしいところはその文章にアフォリズムがないこと、
これは実は凄く難しいことなんです。日本の作家などすぐにアフォリズム
に逃げる性癖があって私をがっかりさせる。阿部公房はそれがないから
偉いと思います。20世紀文学のもう一人の雄であるジョイスはどうおも
われてますか。文学の最終到達点とさえ言われている彼はやはりカフカの
(IW2J^Yたりえるのでしょうか。
頭木 21 Dec 98 16:50:46

大曲さん、書き込みありがとうございます。

ボルヘスは評論「異端審問」(この本は読んでます)の中で、
カフカ以前の、カフカ的な作家たちについて指摘しています。
それは「カフカに影響を与えた」というのでも、
「カフカ以前にもカフカ的だった」というのでもなく、
カフカの登場により、それらがカフカ的に読まれるようになった、
「おのおのの作家は自らの先駆者を創り出すのである」
と言っています。

これは作家のみならず、芸術運動にもあてはまるでしょう。
シュールレアリスムの運動以前にも、シュールな作品というのは、
大昔からたくさんあったはずで、
それらはシュールレアリスムの登場によって、
シュールレアリスムの先駆としてではなく、
またシュールレアリスムの影響としてでもなく、
また新しい読み方をされることになるでしょう。

そういう意味合いからいえば、
カフカはシュールレアリスム以前の人で、
ブルトンの「シュールレアリスム宣言」が発刊されたのは、
ちょうどカフカの死んだ1924年で、
カフカがシュールレアリスムの影響を受けているはずはありませんし、
シュールレアリスムのほうもカフカの影響を受けているはずはありませんが
(カフカが有名になるのはまだかなり先ですから)、
カフカをシュールレアリスムとの関連で語ることは、
シュールレアリスムの光のもとで読むことは、
別に何の問題もないし、面白いかと思います。

ただ、ぼくとしてはシュールレアリスムとカフカということは、
思ってみたこともありませんでした。
カフカには、いわゆるシュールな場面はありませんし、
シュールの手法も使っていないと思います。

シュールレアリスムの成功例ということなら、
マルケスを筆頭とする、ラテンアメリカ文学ではないでしょうか。
彼らはパリの影響が濃厚で、
新しいリアリズムを求めたシュールレアリスムの運動は、
文学の方面では、長い時と場所を隔てて、
ラテンアメリカでやっとそこにたどりつくことができたのだと思います。

安部公房に関しては、
カフカの影響以上に、
シュールレアリスムの影響が濃厚で、
それなくてしては、「砂の女」等はありえなかったと思います。

>日本の作家などすぐにアフォリズムに逃げる性癖があって
 イイこと言いますね〜。
 これはホント、そう思います。
 また、読者がそのほうを喜ぶんですよね。

>20世紀文学のもう一人の雄であるジョイスはどうおもわれてますか。
 じつはジョイスは読んでいません。
 言葉の実験が多いわけで、
 けっきょく英語に精通してないと理解できないだろうと思い、
 読まずにきました。
「ダブリン市民」の中のいくつかくらいは読んだはずだけど、
 記憶に残っていません。
 これは読んだほうがいいというものがあったら、ぜひ教えていただきたいです。

大曲 21 Dec 98 21:03:04

深い教養をお持ちのようですね。つづけて
以下に勝手な意見を述べてみます。どうか許してください。

カフカの驚嘆すべきとこは、シュールレアリズム運動以前に
シュールレアリズムの作品を書いているというとこなのだと
思うのですが。虫に変身した男の生活を描いている「変身」は
文体は括゙なリアリズムで書かれていますが作品全体は
シュールではないのでしょうか。私だけが思っている
のであれば恥ずかしい話ですね。
それに付け加えてカフカは実存主義の先駆という批評もあり
ますが、私にはとてもそのようには思われず、全く構造主義
的作品に思われるのです。カフカの作品に登場する人達は
特異な、特殊な、他の人には見られない独特な感性をもった
主人公というような人間は登場しません。これはすなわち
実存主義文学の否定だと私は解釈してます。
(これは普通カフカの文学の普遍性の最も大きな理由ですね。)
「変身」なんて100%構造主義そのものと思えます。断言したいぐ
らいです。
20世紀の中葉の革命的哲学である構造主義を独自の文学世界で
そのはるか以前に括゙な作品として書きあげているカフカは恐るべき
男です。文学の奇跡でしょう。日本の中上健次や大江健三郎の作品
は、おおアマ、私は彼らは実存主義から一歩も出れないまぬけな
作家だと思います。

BELLA 22 Dec 98 02:40:12

書きこんですぐに丁寧にお返事を書いていただいて、感じ入りました。カフカを語ったものって、なぜか小難しいパソコンの解説書みたいなものが多くて、私には近付き難かったのですが、このページは全体が一つの物語のように、静かに私の中心に語りかけてきます。
私がカフカで読んだものは、「審判」、「城」、「変身」くらいです。カフカ全集も持っていますが、開くことが出来ません。
ボルヘスですが、これはカフカよりだいぶ楽な気分で読むことが出来ます。ボルヘスでは説話を収拾したような本も私は好きですが、小説では、「不死の人」が一番好きです。ボルヘスはみんなそうですが、これはとりわけ、どこかの神話のような物語です。
実は私は大学では生物学を専攻していました。だから文学を学問としてやってきませんでした。また若い頃には混乱がひどくて、まともに本を読むことはほとんど出来ませんでした。何とか普通に読めるようになったのは25歳くらいからでしょうか。おかしく思われることでしょう。
今私は小さな子供を二人育てていますので、現実、と言いますか、生活が私を求めて振り回しています。家族が寝静まったあと、本を読む時間を取れなければ、多分
気が狂ってしまうでしょう。しかしこういう制約をもっているのが、自分というものを育てるためには良いのかもしれません。

頭木 26 Dec 98 22:29:25

風邪で寝込んでしまい、レスが遅くなってしまって大変申し訳ありませんでした。

大曲さん
>カフカの驚嘆すべきとこは、シュールレアリズム運動以前に
>シュールレアリズムの作品を書いているというとこなのだと思うのですが。
「シュルレアリストたちが文学的な大作のなかで真に実現できないまま
 公言していたその『夢と現実の溶解』がすでに(中略)
 それに先立つ十年間に書かれたカフカの小説のなかで生じていた」
とクンデラは「裏切られた遺言」(集英社)の中で書いていますが、
夢のような小説を書くという野望は、古くからあるもので、
日本でも夏目漱石もそれを目指していたりしましたが、
それはシュールレアリスムでも目指していたものです。
それを実現できたのはカフカのみで、
そういう意味では、たしかにおっしゃる通りだと思います。

実存主義、構造主義ということに関しては、
ぼくはよくわからないのですが、
できれば説明していただけると嬉しいです。


BELLAさん
>書きこんですぐに丁寧にお返事を書いていただいて、感じ入りました。
せっかくこう言っていただいたのに、
今度は遅くなってしまって、すみませんでした。

>カフカ全集も持っていますが、開くことが出来ません。
ぜひ断片を読んでほしいです。最高です。
感想も聞きたいです。

>ボルヘスでは説話を収拾したような本も私は好きですが、
>小説では、「不死の人」が一番好きです。
読んでみます。

>実は私は大学では生物学を専攻していました。
>だから文学を学問としてやってきませんでした。
文学を読むには、素晴らしいことだと思います。
文学青年ほど、文学から遠い存在はないと、ぼくは思っています。
人間を生理的にとらえていることは、文学を味わうにはとても恵まれていると思います。

さまざまな制約の中で、なおかつ文学を欠かせないものに感じておられることに、
自分をふりかえって反省するとともに、敬意のねんを持たずにいられません。


たお 01 Jan 99 02:06:09

 頭木さん、こんにちは。
(Yahoo!掲示板ではrealfishでしたが、ここではたおと名乗ってみますね)

 カフカのHTML、ずいぶん前にダウンロードさせていただき、翻訳を残してざっ
と拝見させていただきました。カフカへの愛が全編から伝わってきて、読んでい
て心地よい一編でした。

 大曲さん

|カフカの文章はリアリズムですがその作品全体はシュールリアリズム
|の文学と認識しています。これができるのは今のところカフカしかいない。
|というかシュールレアリズムの唯一の成功例と思えます。

 個人的にはカフカはシュルレアリスムというよりもミニマルアートに近い気が
します。シュルレアリスムと小説ということでは、ご存知の通りブルトンも何編
か小説らしきものを書いていますが、成功例ではないでしょうね。ボリス・ヴィ
アンの「北京の秋」が小説におけるシュルレアリスムの成功例じゃないかと思い
ますがどうでしょうか。

 もっとも、ぼくはこの「北京の秋」、どうしても全編読みとおせないんですよ
ね。自分にとって価値があるにもかかわらず読み通すことのできない小説って、
なぜかあるようです。


頭木 02 Jan 99 11:27:50

たおさん、あけましておめでとうございます。
長い評論を読んでくださったようで、ありがとうございます。


>自分にとって価値があるにもかかわらず読み通すことのできない小説って、
>なぜかあるようです。

 それってありますね!
 ぼくはル・クレジオの初期のやつはぜんぶ読みたいと思っているのですが、
 じつは読み切ったものがありません。
 数ページでそのままになっているものもあります。
 翻訳が困難な代物だと思われ、
 そのせいで読みにくいから、なんて言い訳を自分にしてますが……

シュウ 05 Jan 99 03:01:47

はじめまして、カフカについて詳しく解説されているし
生原稿の翻訳まで掲載されてる素晴らしいサイトですね。
是非ともリンクさせていただきたいと思い勝手にリンク
させて頂きましたけどよろしいでしょうか?
もし、駄目ならメールで連絡ください。

良ければ私のHPも覗きに来て下さい。
http://www11.cds.ne.jp/~artistic/
頭木 05 Jan 99 10:22:10

シュウさん、はじめまして。
リンクしていただけるのは本当に嬉しいことで、
どうもありがとうございます。
HPとりあえずちょっと見に行かせていただきました。
シュルレアリスムのサイトなんですね。
面白そうです。
これからじっくり全部鑑賞させていただきます。
取り急ぎお礼まで。


嶋田涼子 07 Jan 99 04:17:19

始めまして嶋田涼子ともうします。
安部公房のミーハーファンです。
インタビューで惹きつけれました。
今生きていればよかったのにと思います。
これからもよろしくお願いします。
頭木 07 Jan 99 09:51:07

嶋田涼子さん、はじめまして。
こちらこそよろしくお願いします。

インタビューって、NHKのですか?

安部公房には本当に生きていて欲しかったです。
あの朝、起きてテレビをつけたら、
ちょうど亡くなったニュースで顔写真が出たところで、
一瞬、ノーベル賞を受賞したニュースかと思ってしまいました。
そうだったらよかったんですが。

嶋田涼子 07 Jan 99 23:37:39

生きてて欲しかったですね。本当に。
ノーベル賞とって欲しかったです。
大江健三郎さんの演説聞いていて
夏目漱石の方が、もっと面白い話できるのにと思いました。
安部公房がとってももっと世界の人がわかって、面白い話ができると思います。
安部公房が生きていたらオウムの調査に乗り出すでしょう。
超能力少年のノンフィクションを書こうとしてフイクションになっていった話を
インタビューでしていましたが、あれだけ有名な作家さんが潜入ルポをおおまじめに書こうとしているところが愛しいです。
村上春樹はインタビューをしていきましたが
安部公房だったらもっと物自体にこだわった取材をするでしょう。

今の状況に対して
きっちり逃げないで
文学者として知識人として科学者として
プライドを持って発言する人っていないですね。本当に。

ただ、あんまり小説は読みづらいかなと思います。
もうちょっと大衆向けにアレンジして
つまりは恋愛などをいれた
阿部アレンジ小説を書こうと思っています。



Bella 08 Jan 99 02:26:37

ようやくダウンロードと解凍が出来たので、原稿を拝見しています。こんな感想でいいのかどうか分からないのですが、私にとってはとても意味のある評論です。なぜカフカを読むと苦しいのか、それが少しわかったように思えるからです。それは私の中に、直視すれば死ぬほどの内的な現実があるからではないか。それをカフカの書くものは、直視させようとするからなのだと分かってきたのです。子供の頃にはいまよりもっと生きるのがつらかった記憶がありますが、大人になるとそれを自分に隠す方法をマスターして、だんだん生きやすくなって行きます。しかしカフカが、というより私自身がそういう自分を許さないのでしょう。カフカが早死にしたのもわかるようです。カフカほどに現実を見つめつづければ、そんな百年も生きられるとは思えません。しかし私の生活も、性別も、環境も、カフカとは似ても似つかないのに、これほどぐっさり突き刺さるのも不思議な話です。つまり、描いているものはまったく私に馴染みのないものばかりなのに。まさにそこがカフカの、そして文学というものの偉大さなのでしょうね。生きている間に読まねばならない本が、そんなに多くはないけれど、絶対にあるということを思います。
頭木 08 Jan 99 10:47:43

嶋田涼子さん>
安部公房は「壁」で芥川賞をとり話題になった後、すっかり忘れられ、
「芥川賞をとった最も無名な作家」なんて言われ、
日本文学研究家のドナルド・キーンでさえ名前を知らなかったそうですが、
そんな時期に、ルポをたくさん書いています。
全集でなければ読めませんが、
けっこう面白いですよ。(ただ事件のほうがわからなくてなっていたりしますが)
深いつっこみをしすぎて、関係者全部(つまり双方から)イヤがられていたりして、
さすがです。
涼子さんは、安部公房では、どの小説が好きなんですか?
けっこう時代で読みづらさもかなりちがいますよ。

Bellaさん>
カフカの小説のモトになった体験があるとすれば、
それは家庭内のことですが、
それがそのまま、共産主義やファシズムの支配、
官僚主義、戦争等々を「これほど的確に表したものはない」
などと言われるのは、
家庭内にしろ、大きな社会にしろ、
そこにあるのは人間的現実であり、
そこにある普遍的な現実を的確にとらえているからだと思います。
だから、どこにでもあてはまるわけで、
たとえ描かれていること自体は馴染みのないものであっても、
ぐっさり突き刺さるのではないでしょうか。

永原朱記 10 Jan 99 19:13:29

頭木さん、はじめまして。
Gradivaと申します。
シュウさんのシュルレアリスムのページから飛んできました。
カフカを愛する者の一人として、こんなに充実したページに
出会えて嬉しく思います。
カフカについては、かつては解ったような気持ちになったこと
もありましたが、近づきすぎたのでしょうか、火傷をしたの
でしょうか?今では、ただその魅力に目e゚ソみ、語る事など
なくなって、ただその周りを憧れをもって巡り続けるのみと
なってしまいました。
頭木さんのページ、期待しております。
今後ともどうぞよろしく。
頭木 11 Jan 99 10:49:07

Gradivaさん、こんにちは。
こちらこそよろしくお願いします。
(シュウさん、ありがとうございます)
語ることがなくなるのが、本当の理解のように思います。
Gradivaさんはカフカだとどれが好きですか?

大曲 12 Jan 99 20:10:14

こんにちは。突然ですが私が働いている職場に
カフカにそっくりな人がいらっしゃるのです。
顔が似ていると(雰囲気も体型も)いうことは
精神性も似ているということがほとんどだとおも
われます。(これは私の体験上、そして心理学でも
そんな分類がありましたよね。)
少々気難しくてとっつきにくい理知的で寡黙、周りと
真に溶け込むことがない、分裂気質の人なのです。
耳が顔との対比で大きいことまで似ているのです。
ほんの少しだけ話したことがある程度なので趣味とか
わかりませんが絶対歌謡曲とかスポーツとかに興味が
ないタイプなのは、はっきりしています。お近づきに
ないたいのですが、畏れ多くて(カフカを意識して
しまうんですよ。この気持ちわかってもらえますよね?)
なかなか話しかけるきっかけがないのです。
変な話してすいません。でもこんな書き込みできるのは
ここだけですから。失礼しました。
頭木 12 Jan 99 21:07:43

大曲さん、こんにちは。
なんか面白そうな人ですね。
カフカの写真を初めて見たときは驚きました。
黒光りした小さな顔にとがった目立つ耳。
悪魔みたいだと思いました。
矢印のようなシッポがついてそう。
作品と作家とイメージが異なる人も多いけど、
カフカはぴったり一致と感じる人が多いでしょうね。
ヘミングウェイは、あの外見と内面はかなり異なったそうで、
そういうエピソードがいっぱいありますが、
その人はどうでしょうね?
外見通りなのか。
ぜひ話しかけてみてくださいよ。

Gradiva 13 Jan 99 00:21:05

頭木さん、私は「城」・「審判」・「ある戦いの記録」が
特に好きです。

大曲さん、はじめまして。
<カフカを意識してしまう気持ち>大いにワカリます!!
シュウ 13 Jan 99 01:21:35

こんばんは、頭木さん。
私も「城」は好きです。
普通カフカといえば「変身」を代表作と
言われてるみたいですが「城」はのめり込んで
読んでしまいました。

頭木さんは昔小説を書かれてたんですね
最近は小説を書かれないのですか?
頭木さんの書かれた小説読んでみたいです。
機会があれば昔のものでも掲載していただけませんか?

では、また遊びにきます。

頭木 13 Jan 99 14:03:12

Gradivaさん>
「ある戦いの記録」が好きというのは、珍しいですね。
 全集以外では角川文庫のみに入っていますが、
「変身」はまあ面白かったんだけど、
 次の「ある戦いの記録」で挫折して以来、
 カフカは読んでない、という人は何人か知ってますが。
 もしかして、「観察」とかも好きなほうですか?
 初期作品には、たしかに独特の魅力がありますよね。
「審判」も途中で読みやめる人の多い話ですが、
(じつはぼくも最初に読んだときは挫折しました)
 ぜんぶ最後まで一気に読まれました?

シュウさん>
「城」はやっぱりいいですよね。
「変身」からしても、かなりの進歩があるように思います。
「変身」ですでに完成されたカフカですが、
 やっぱりもっと生きていたら、
 まだまだスゴイ域に達していたんだろうなぁ、と惜しまれます。
 ところで、ぼくの小説に関心を示していただいて、
 ありがとうございます。
 書くのをやめたわけではなく、むしろこれから書きたいと思っています。
 ただ、かなり変わっているので、
 いわゆる主人公がいて、ストーリーがあって、というものではありませんし、
(といっても、ありがちな、独り言みたいなものでもありませんが)
 悪いものではない自信はあるのですが、
 まだ自分でもいいものが書けたとも思えませんので、
 いまのところ掲載する気はありませんが、
 いずれはちょこっとくらい載せちゃうかもしれません。

Gradiva 14 Jan 99 02:16:03

頭木さん、お見通しですね。
ええ、あえて書きませんでしたが、確かに私は「観察」も
好きです、愛しています。
頭木さんは、何を?

私、挫折は「変身」でしました。
カフカはシュルレアリスム論の中で偶然知って、初め何を
読むかわからず、結局「変身」という薄い一冊と「城」を購入。
まず「変身」を。でも、たぶん私はこの本に別のものを
求めていたのだと思います。読んでもとても喜びとか感動、
驚き等を感じなくて、ましてや観照作用など全然ありません
でした。それでくじけちゃった!
あきらめの境地でもう片方の「城」を開いたら、びっくり。
そこの全ての世界、その文学に至福を覚えました。
ページを繰る毎に何度、表紙、背表紙の作者名を確認して
呟いたことでしょう。
「城」の三分の一も読むと何故だか急に「あの本も確保しな
ければ」と無くなるはずもない残りの文庫本を買いに走り
ました。
笑ってしまうでしょ?おまけにその時、作者の名前、題名
をすっかり忘れて家に確かめに戻りました!
「審判」は一気に。その後全作品順調に巡り、最後にやっと
「変身」を終りまで読み終えました。でも、これはたぶん
全くの左脳のみで読んだのではないかしら。やっぱり、
楽しめませんでした。

頭木 14 Jan 99 20:35:35

Gradivaさん、こんばんわ。
「観察」には確かに独特の魅力があります。
 一般にすぐれた作家の初期の習作には独特の魅力があるように思います。
 開花しきった花より、その萌芽に魅力を感じるようなものでしょうか。
 しかし、他の作品はいいのに、「変身」だけダメというのは不思議ですね。
 まあ、「変身」は面白いけど、他はダメという人もいるから、
 何かちがうのかな?
 ぼくにはよくわからないので、なんか気になります。
 ところで、「審判」を一気に読んだ人なんて、ぼくは初めて聞きまた。
 たいしたもんだと思います。
 最初に「変身」と「城」を買ってみたということは、
 いちばん薄いやつと、いちばん厚いやつを買ったわけですか?
 面白い買い方ですね。
 でも、ある作家を試しに読んでみるには、とても妥当なやり方かも。
 長編を読まなければその作家の本当の価値はわからない、
 と言っていたのは、たしか安部公房じゃなかったかな。
 芥川やすしに対して言っていて、
 すごいこと言う人だなと思った覚えがあります。

頭木 14 Jan 99 20:41:09

 おっと、書き忘れました。
 ぼくが好きなカフカの作品は、
 全集にしか入ってませんが、
 カフカの断片です。
 タイトルもついない、ノートに書かれた、非常に短い作品群です。
 全集だと1ページか2ページくらい。
 でも、その中に本当に素晴らしいイメージがたくさんあります。
 他ではどこでも出会えないような。
 その作品がなければ持つことのできない。
 中でも、田舎の家に久々に帰って、
 家の中には家族の気配があるのだけれど、
 中には入れず、ドアの外でじっとそれを聞いているという話。
(こう書くと、ものスゴクくだらない話に聞こえますね。
 おそろしくありふれたイメージの。でも、本当はちがいます。
 なにしろ、筋ではないんですよ。だから、全文引用する以外、
 伝えようもないんですけどね)

Gradiva 15 Jan 99 21:55:17

頭木さん、おっしゃる作品は「帰郷」ですね。

「なにしろ、筋ではないんですよ。だから、全文引用する
以外伝えようもないんですけどね。」
これを聞いて、本当に嬉しい。
またまた安易に同調するようでヘンですが、
この小さな、しかし偉大な作品を本当に好きな人が
ここにもいると知って力が湧いてきました。
この作品を読んで、コンピューターのように理解する人は
一番大切な何かを失って受け取ると思います。

本。面白い買い方でしょう。最近は、こんな買い方ができ
ないので、寂しいです。待ちに待って年に一冊、探しに
探して古書店で一冊あれば良い方です。
どこからかドドッとカフカ関係の本を出してくれない
かしら・・・

私は、頭木さんの「カフカ生原稿からのはじめての翻訳と
評論」をダウンロードさせていただきましたが、目の前に
いらっしゃるなら、立ち上がって拍手をおくりたいと
思いました。そして、ついでに握手を求めたりして。
次は安部公房論だそうですが、それが完了したら、
カフカ論(作品論)に戻っていただけるとうれしいです。
おっしゃるように、解説は必要だとは思いませんが、
一個人による作品論に興味があります。
私は、自分が感じたものしか見えないので、もっと
目を開かなくてはいけないと思っています。


頭木 16 Jan 99 11:41:16

Gradivaさん、びっくりしました。
あれだけで「帰郷」と気付かれるとは。
本当によく読まれてますねぇ!
「帰郷」は文庫には入ってないと思いましたが、全集を持っておられるのですか?
それとも池内さんの岩波文庫に入っているのかな?
カフカ関係の本も買われてるみたいですが、
なにか面白いのありましたか?
それと、Gradivaさんは、他の作家では誰が好きなんですか? 興味あるなぁ。
作品論に関しては、以前にも書き込んだことですが、
カフカ自身が「火夫」と「流刑地」にてに、自分の重要な2要素が顕著で、
この2つが結びつかないとダメなんだと日記に書いているのが気になっています。
この2要素ってなんだと思いますか?
ぼくはよくわからないのですが……

Gradiva 17 Jan 99 16:28:09

頭木さん、「帰郷」はとりわけ不思議な謎でくぎづけに
された作品だったので、わかりました。
甘美な孤独と美しいよそよそしさに私は参ってしまい
ました!今もなおそこで聞いた時計の音が静かな通奏低音
となって私の心にこだましています。
全集で読んだのですが、当初、なぜもっと文庫などで一般に
紹介されないのだろうかと不満に思いましたが、一方これで
良かったかな・・・とも。
他の作品のように、有名になりすぎて、余計な冠がついたり
適切・不適切な言葉のシールドに阻まれたりして、読む人の
第一印象に少なからず影響を与えるとすると、大いなる損失
だと思うからです。

カフカの言う「火夫」と「流刑地にて」の重要な2要素
とは・・今まで考えた事がなかったので、久しぶりに思考
に浸りました。
が、思い付きで浮かぶ印象は2,3ありますが、それが
本当の意味での要素となり得るかは疑問です。
もしかしたら、「アメリカ」の持つ向陽性みたいなものが
私の苦手感を増して理解を妨げているのかもしれません。
いつかわかったら報告します。


Gradiva 17 Jan 99 16:29:12

他の好きな作家は、安部公房、島尾敏雄、梶井基次郎、
稲垣足穂、プルースト等です。

もし良かったら私のホームページの書棚をのぞいて下さい。

http://www.asahi-net.or.jp/~ws8i-kmy

上にあげた作家は全く見当たらないので(足穂とプルースト
は数冊残していますが)驚かれるかもしれませんが、
やはり上記の作家もカフカのように揃えていると、
パンクしてしまいますから、しだいに手放し、ここには
現在拘わっているもの、これからまだ取り組もうとする
もののみを残しています。
無いけれど関心を失ったわけではありません。

これらは現在の私にとってすべて面白い本、です!
ただ、私は、頭木さんのように外国語が堪能でないので
原書は殆ど読みきれていません。
読むというより、好きなところやニュアンスをを比較
参照する時によく手にします。

今、かつてサンリオ出版から出されたというカフカの本
を探しているのですが、まだ見つかっていません。
どんな内容か、ご存知?

頭木 18 Jan 99 10:19:24

Gradivaさん、あの時計の音がそんなに聞こえていたとは……驚きです。
>他の作品のように、有名になりすぎて、余計な冠がついたり
>適切・不適切な言葉のシールドに阻まれたりして、読む人の
>第一印象に少なからず影響を与えるとすると、大いなる損失
 というのは、まったくその通りですね。
 ぼくが断片が好きな理由のひとつは
 もしかしたらこれがあるのかもしれないなと思いました。
 ただ、一方で、いい作品は多くの人に知ってもらいたいとも強く思います。

「火夫」と「流刑地にて」で思い浮かぶ印象って?
 聞きたいです。
 べつに本当の要素でなくったって、
 ここは気軽な場ですから。

 好きな作家、教えていただいてありがとうございます。
 やっぱり安部公房は好きですか。
 島尾敏雄はぼくも好きです。夢の話が。
 梶井基次郎は「Kの昇天」なんかどうですか?
 牧野信一はどうですか? 好きじゃないですか?
 牧野信一はなんとなくお好きなような気がするんですが。

 ホームページの書棚、なぜか見れません。???
 他のところ、時間を作って、なるべく早く見させていただきます。

 サンリオから出たカフカの本って何ですか?
 またまたビックリです。
 まったく知りませんでした。
 何が出たんでしょうか?
 サンリオはスゴイ本を出していたから、めちゃめちゃ興味あります。
 教えてください。

Gradiva 19 Jan 99 06:03:38

頭木さん、「火夫」と「流刑地にて」についてですが、
実際のところ困りました。

今では巷で溢れかえっているカフカ像にすでに毒されて
しまって何が自分の考えか、自分を定位できなくなって
いる始末ですから。
でも、初めて読んだ時の印象など思い起こしてみると、

「火夫」には驚きました。明るいというか、閉塞感が
ないんですもの。
「アメリカ」という題名を目にしたにもかかわらず、
先に読んだ二長篇を想像して、もっと重苦しい重構造な
現実世界を期待していたからです。
でも実際はとても進行の早い、物語について行くと
いつのまにか普通っぽく読めてしまう社会小説、という
ふうに感じました。
たぶん、物語に遅延がないのはカールが物事に固執しな
いで、若い危うさでその場をやり過ごしていくからかも
しれませんね。
実はこういうの、苦手なんです!

「流刑地」は、緻密そのものですね。現実の残酷さを
リアリズムを極めて蒸散させてしまったようなところが
驚異でした。

探索中のサンリオ出版の本です、ちょっと古いです。
「カフカ?ある形式の記述」昭和48年
どなたかどこかで見かけられませんでした?
ご存知の方、教えて下さい。

Gradiva 19 Jan 99 06:04:42

ホームページの書棚、すみませんでした。
普段、IEで見ていてOKだったのですが、
ネットスケープで確かめましたら、全く見えずにびっくり
しました。
設定ミスでした。直しました。
教えて下さってありがとう。ヨロシク。

牧野信一という作家のことは、全く知りませんでした!
今度気をつけて、探してみます。
梶井基次郎は、私の場合は、習作の「太郎と街」、あとは
「冬の日」「檸檬」が特に好きです。
島尾の夢の系列のもの、安部の初期のものが大好きです。
頭木 19 Jan 99 15:17:57

Gradivaさん、
「アメリカ」はたしかに、カフカの他の作品とちがいますね。
 だから、この作品だけ好きという人もいるようです。
 アメリカのことをぜんぜん知らずに、調べようともせずに書いた
 というのは面白いと思います。
 カフカはこの「火夫」を何度も本当に高く評価しています。
 また、リルケはカフカを生前に評価した数少ない一人ですが、
 リルケも「変身」よりも「火夫」が好きだと言って、
 非常に高く評価しています。
 じつはぼくは、「火夫」のそこまでの値打ちはよくわからずにいます。
 たしかに素晴らしいけど。

 書棚拝見させていただきました。
 本当にびっくりしました!
 こんなに多くのカフカの本は、図書館でも見たことがありません。
 ぼくの持ってない本はもちろん、ぜんぜん知らなかった本もたくさんあります。
 本当にスゴイ数です。
 これ、ぜんぶ読まれたんですか?
 面白いと思われたのはどれですか?

 牧野信一は数社から文庫で出ています。
 いま手元にすぐあるのは、ベネッセと岩波です。
 ぼくの好きなのは「帖てと月光と」です。
 これはどちらの文庫でもいちばん最初に入っています。
 梶井基次郎の「太郎と街」「冬の日」「檸檬」、読んだとは思うのですが、
 思い出せないので、もう一回読んでみます。

奈々井のり子 20 Jan 99 19:46:39

自宅のノートパソコンでは結局うまくいかず、大学のコンピュータを使ってようやくダウンロードに成功し、ついでにプリントアウトもしました。
これからゆっくり拝読させていただきます。
この掲示板も興味深く目を通しました。わたしは、カフカは専門分野ではありませんが、独文学研究者の読み方はなんとなく分析的な感じがして、ここにメールを寄せる方々のような純粋な読者の深い声をもっと聞いてみたいなと思いました。
ちなみにわたしも梶井のファンを自認する者のひとりで、「Kの昇天」が一番好きです。前に梶井の話はしたことなかったでしたっけ。
それから、Gradivaさんが探していらっしゃるというサンリオ出版の本ですが、タイトルには見覚えがあるような気がします。昔の編集者仲間で、やはりカフカ・フリークの人がいるので、機会があればきいてみます。
あの出版社は、ほんとすごい本いっぱい出していたんですよね。
このホームページを見て、眠っていた編集者魂(?)がまたむくむくと起き上がってきたような気分です。自分に書く才能はありませんが、やはり心底本が好きなんだと思います。
これからも、がんばってください。
Gradiva 21 Jan 99 00:21:55

頭木さん、名古屋の美術館に行った帰りに大きな書店を
二個所のぞいたけれど、牧野信一の本が見つかりません
でした。そうなると、がぜん読みたくなってくる!明日も
どこかを探してみます。

書棚の本は、原書以外はしっかり親しんでいますよ。AHA!
どちらかというと、バイスナーのような正面から作品を
論じたものが好きで、面白いと思います。
他にゾーケル、ベーダ・アレマン、エムリッヒのものかな。
宗教、環境、生い立ち、精神分析などから論じたものは、
初めのうちは何でも知りたいので興味があったのですが、
ある程度読むとやはり作品自体を語ったものが私には
魅力的に感じられます。
頭木さん、あなたはどのようなものに興味ありますか?

それから、もう一つドイツ語を翻訳する気はないですか?
実は、デンマークの友人からクラウス・P・フィリッピの
本、というかコピーを入手しました。が、私は語学の壁に
阻まれてギブアップしています。
邦訳は出そうもないし・・救世主を待っています。
237ページはちょっと、骨がおれるかもしれないけれど。
絶対、魅力的なカフカ論です。78番に入れてあるもの
です。

頭木さん、古書店巡りはなさいませんか?カフカの掘り
出し物が見つかると面白いですヨー。



Gradiva 21 Jan 99 00:22:53

奈々井さん、はじめまして。
「カフカ?ある形式の記述」が見つかった折りには、
ぜひ、情報を下さいな。よろしく。

あの〜、梶井の「Kの昇天」のどういうところがお好き
なんでしょうか?良ければ教えて下さい。


頭木 21 Jan 99 11:12:40

奈々井のり子さん、なつかしい名前ですね。
「面倒だからやめた」とせずに、プリントアウトしてもらえたようで、
ありがとうございます。
作家のイメージに合わせて、ファンの読者のイメージも、
なんとなく予想してしまいますが、
じっさいには、その予想はほとんど意味がないというか、
外れているなぁと、感じます。
(これはイイ意味でも、悪い意味でもありません)
安部公房のメーリングリストにも参加しているのですが、
入る前に予想していたような人は、驚いたことに、
一人もいませんでした。
サンリオ出版については、文庫のすごさは知っていましたが、
単行本も出していたとは知りませんでした。
文庫のほうは、なんといってもSFがすごかったのですが、
現代文学でも驚くようなのが出ました。
マルケスの「エレンディラ」も最初だったし(現在はちくま文庫)。
あそこの編集者だったら面白かっただろうなぁと思います。
まあ、そういうところはやっぱりなくなってしまうわけですが。

頭木 21 Jan 99 11:13:05

Gradivaさん、岩波文庫もなかったんですか。
牧野信一は、いい作家だけに無視されやすいところがあります。
坂口安吾を世に送り出した人で、安吾よりはるかに優れているのですが、
安吾人気とは比べるべくもありません。
一時、内田百ケンとか、古いところの復権が流行ったときに、
最後のほうに、もうネタがないという感じで、
牧野信一も次々と文庫が出ました。
それまでは、おそらく、図書館でなければ読めなかったと思います。
しかし、それでも大きな再評価にはつながらなかったみたいです。
牧野信一は大きく3期に分けられて、最初は私小説で、
それから独特のシュール(というのはイヤではあるんですが)な作品を書き、
また私小説になります。
この独特な時期の小説がなんともいえません。
カフカのような本当の天才とまでは思いませんが、
とても好きです。

カフカの評論でぼくが好きなのは、
ここで何回か書きましたが、
『もう一つの審判』エリアス・カネッティ 法政大学出版局
『裏切られた遺言』クンデラ 集英社
『小説の精神』クンデラ 集英社
にきわまります。
ちなみに、『もう一つの審判』は、
それまで評論というものをバカにしたいたぼくが、
初めて評論というものの価値を感じた一冊です。

クラウス・P・フィリッピっていうのは何者ですか?
すみません。有名な人なのかもしれないけど、ぜんぜん知りません。

古書店巡りはよくしたもんです。
地方出身なので、神田の古書店街にずっとあこがれてました。
なにしろ、欲しい本はだいたいが絶版になっていたので。
中学のとき、ハロルド・ピンターを知って、
全集を買おうとしたら、竹内書店のものも、新潮社のものも絶版。
地方の図書館にも置いてなく、
神田の古書店に100通くらい往復はがきを送り(親に怒られました)、
ようやく竹内書店の1冊と、
新潮の3巻の全集のうちの1巻だけ手に入れ、
読んでみると、これが予想以上の素晴らしさで、
本当に嬉しかったものです。
ピンター全集はその後、大学生のときになぜか2刷が出たのですが、
それも今はまた絶版です。
古書街のほうは、大学のときにさんざん巡って、
ちょっと小遣いかせぎなんかもしました。
たとえば、牧野信一全集なんか、値打ちを知っているところと、
知らないところでは、数万も値段がちがいました。
あっちの店からこっちの店とちょっと歩くだけで、
1、2万かせげることはよくありました。
個人的に持っていた牧野信一全集と、ベケット全集全巻を交換したのも、
いい思い出です。古書店さんもぼくも双方にとっていい取引でした。
そういえば、最近、ぜんぜん行ってないな〜。

ところで、ピアノ上手ですね〜
グリーグはお好きなんですか?
他に、どんな曲がお好きなんですか?

たお 22 Jan 99 00:42:50

|『小説の精神』クンデラ 集英社

 も法政大学出版局では?(新版出ていたら失礼)

 これは本当に価値ある1冊だとぼくも思います。少なくとも今の時代に小説を
扱おうとする人は絶対に読むべきだと感じました……

 サンリオ文庫はぼくも結構買いました。特に驚かされたのはフィリップ・K・
ディックの「ヴァリス」とトマス・ピンチョンの「競売ナンバー49の叫び」で
すが、両方とも再版されましたね。
 しかしジョン・バースの「フローティング・オペラ」が絶版のまま……。


頭木 22 Jan 99 22:37:14

ひゃーっ!
たおさん、ありがとうごさいます!
すっかり間違えてました。
おっしゃる通り、
『小説の精神』クンデラは、法政大学出版局です。
間違ったことを書いてしまって、
本当に申し訳ありませんでした。
たおさんも読まれているとは、
嬉しいかぎりです。
これ、見かけのせいで、あまり売れてないのではと心配ですが、
ちょっと他にない素晴らしい本ですよね。
ところで、フィリップ・K・ディックの「ヴァリス」と
トマス・ピンチョンの「競売ナンバー49の叫び」ですが、
再版されたの知りませんでした。
よかったら、どこからか教えてもらえませんか?

たお 23 Jan 99 00:33:29

 えらそうなことを書いておきながら、実はぼくも最初はクンデラなんて全然
興味なくて(「存在の絶えられない軽さ」が映画化されたときの日本での報道
のされかたが絶えられないほど軽かったのが大きいかも(笑))、大学時代の
先輩のすすめで読んで驚いた次第です。

 「ヴァリス」(「聖なる侵入」、「アルベマス」も)は創元推理文庫へ、
「競売ナンバー49の叫び」は筑摩書房で単行本です。
頭木 23 Jan 99 11:04:04

たおさん、ぼくもまったく同じです。
「存在のたえられない軽さ」の映画で最初に名前を知り、
そのせいでまるで読む気がありませんでした。
でも、その後、安部公房の「もぐら日記」でほめてあって、
「あれっ?」と思って、読んでみて驚いた次第です。
まあ、考えてみれば映画で原作を判断するなんて言語道断でした。
しかも、映画も観てなくて、評判だけですから。反省してます。

「競売ナンバー49の叫び」は単行本なんですか。
文庫から単行本になったわけですね。
う〜ん、やっぱりサンリオ文庫はスゴイ。

Gradiva 23 Jan 99 14:01:43

頭木さん、牧野信一、未だ不明。
こうなると益々興味がわく!
この数日、両親がインフルエンザでダウンしたので、
応援に行ってきました。
その折、かつて文学青年だった父の書棚をのぞいてみまし
たが、<専門は数学ですが多数広範囲の文学書があります>
見つかりませんでした・・・。う〜ん。

たおさん、はじめまして。
たくさん読んでいらっしゃいますね。私の知らないもの
ばかりで、ワッ!という感じ。

頭木さん、「もう一つの審判」はすでに手配しました。
あと、クンデラの本も読んでみようと思います。

クラウス・P・フィリッピが、何者かは知りませんが、
エピステーメー「カフカ 不在のオリジン」朝日出版社
の中で他のさまざまなカフカ論に混じって彼の抄訳があり、
この人の書くものに途方もなく魅力を感じたので、
入手にこぎつけたというわけなんです。
食指が湧いてこないかな?こんな説明の仕方では。

神田の古書店って、行ってみたいな。きっと素晴らしい
でしょうね。
私たちの地方では発見が少ないから、あこがれる。
頭木さんは、古書店で交換できる読み方をなさっている
から立派ですね。
私なんか、手に入れた本は売り出された時の形を
とどめてないから、古書店の親爺さんには叱られるし、
「野蛮人」「殺本鬼」というありがたくない呼び名を
頂戴してしまって・・・。

グリーグは好きです。美があります。すばらしくセクシー
であり、そして禁欲的です。
彼の暗さは、北欧の冷たいフィヨルドの水です。透明で
光を求めて更に澄もうと深化する。
ショパンに傾倒したというだけあって形式にこだわらない
音に対する清潔さ、厳正さがあり、甘さに流されない精神
の極まりがあります。
真実と対峙するという点ではカフカに相当するものと
思います。
有名な「ピアノ協奏曲 イ短調」は一度は録音してみたい
けれど、オケもテクニックもないから・・・
ショパンもリストも好きで、心理的に共鳴して心を重ね
られるのはベートーベンです。
けれど、この頃好きな曲はなぜか北欧の曲が多いです。


たお 24 Jan 99 01:41:36

Gradivaさん

 書棚見ました。畤暈がしそうです……(苦笑)
 ぼくは昔から系統だった読書ができなくて、どうも書棚が汚いです。情けない
限り……

 ぼくもシュルレアリスム関係の本を何冊か棚に並べている(並んでるだけで、
読んでいないか中身を忘れている)んですが、なんかほとんど重なってないよ
うです。

 ところで、「シュルレアリスム宣言集」って何種類か訳出されてますけど、誰の
訳がいいんでしょうか。ぼくは手元にある稲田三吉訳が結構気に入ってますが。
Gradiva 25 Jan 99 17:49:24

たおさん、私は、稲田三吉訳はとても自然に読める気が
して好きです。翻訳にありがちな読みづらさみたいなものが
なくて、気にならないというか。

「シュルレアリスム宣言集」の稲田訳は、ひょっとすると
私も読んだかもしれません。
数年前に文学をやっている知人から借りたものが、とても
いい本でした。
無理がなくて、すっと本題に集中できる文でした。初めに
この本で読みたかった、と思ったほどです。

勝手に想像してしまったけれど、たおさんの書棚って、
おもしろそう!
HPか何かで紹介されています?




たお 29 Jan 99 00:24:41

|勝手に想像してしまったけれど、たおさんの書棚って、
|おもしろそう!
|HPか何かで紹介されています?

なぜか他人の書棚って気になりますね。本が多くても少なくても。はじめて知人の
部屋に遊びにいくときは、やはり書棚に目がいきます……

(ちなみに私のサイト、?×!は
 http://www.aisnet.ne.jp/realfish/
 です。やる気なさげに細々と開店中……)

Gradiva 30 Jan 99 13:35:16

頭木さん、お忙しいのかな?(キニナル!)

たおさん、なんて Marvelous! なHPでしょう。
MITを散策中、偶然チョムスキーに出くわし、おりしも
ちょうど向こうからブルトンがやって来る・・みたいに
どきどきしました。
ところで、URLが違ってませんか?飛ぶのに苦労しました。
wwwの後に1を、jp/の後に~を入れました。

カフカは、「ストリンドベルイを読んだ。彼はわたしに
滋養を与える」と日記に書いているそうですが、たおさんの
決然としたHPは、確かにある種のインパクトを与えて
くれますネ。

頭木 30 Jan 99 17:33:59

いや〜、
インフルエンザで、すっかり寝込んでしまいました。
少しよくなってきたので、久々にマックの前にすわったところです。
もう数日で熱も引くことでしょう。
ひどいときは、テレビをつけても、
三つ子がいっぺんにニュース読んでいるように見えたりして、
なかなかすさまじいものがありました。
しんどい……

Gradiva 31 Jan 99 20:28:20

頭木さん、インフルエンザと格闘中、呼び出したりして
すみませんでした。
熱のせいで、TVではアナウンサーが四次元人のように見え
るのかしら。ご同情いたします。
ゆっくり休んで、早く出ていらして下さいネ。Good luck!