あ、春

監督:相米慎二 出演:佐藤浩市、山崎努、斉藤由貴、富司純子

石橋 尚平(★★★)(11月7日)
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変なタイトルでしょ。東京国際映画祭で一足先に観ましたが、舞台挨拶の相米監督によると、スタッフに題名を賞金1万円で考えさせたところ、『春』というタイトルがぴったりしたんだけれども、それじゃ、賞金はもったいないということで、『あ、』をつけたということです。相米監督というと長廻しの撮影ということなんですけれども、今回はかなり控え目でした。あざとい感じもなくて、ハートウォーミングなこの話に合っていたと思います。私、この監督の『お引っ越し』と『ラブホテル』が大好きなんですけれども、『お引っ越し』、『夏の庭』、この作品とここのところ日本の民家を続けて舞台に使っているんですね。いいんですよ。家の中や庭のカメラワークも。斉藤由貴って好きな女優じゃなかったけれども、いい演技していると思います(相米監督にしごかれたという『雪の断章』は未見)。ラストシーンがすごくいいですね。二曹の船の上のシーンなんですけれども…。私は冬が来る前に観ちゃいましたけれども、もうすぐ春だという頃合いに劇場で観ると、いい気分になれるかもしれません。とにかく、いいお話です。